モンハン世界に成り行きで転生した中身おっさん   作:びびんば

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皆様、あけましておめでとうございます。
今年もどうぞ、よろしくお願いいたします。

……諸事情により、しばらく電子機器とは無縁の生活を送っておりました。
スマホが無いと生きていけない体になってしまっている……。

投下、再開します!


130オトモを絶賛しましょう。

避けるという行為は、防御とは少し違う。

 

当たり前だが、攻撃に当たってはいけない。

相手の動きを見て、先を常に取り続ける。

 

次の避け方、自分が動きやすい且つ敵の攻撃に即座に対応できる位置取り。

それを常に考えなければいけない。

 

回避し続けるということは、かなり頭を使い続けなければならないわけだ。

シールドなどを使った防御なら或いは、攻撃を見てからでも間に合うかも知れない。

だが、回避はそうはいかない。

 

ノーダメージというリターンを得るためには、それなりのリスクが付きまとう。

 

 

「いやぁ……すごいわ。」

 

 

なので、ショウコとオロミドロの様子を見て思った感想は、それ。

 

 

まず、オロミドロの動き。

これがアホみたいに凄い。

 

どうやってるのか皆目検討もつかないが、地面から泥を抉り出し、次々とショウコにドロドロの塊を繰り出している。

何というか……ちょっと気持ち悪い。

更にその長い尻尾を駆使して叩きつけたり、タマミツネのようにグルッと回って変なタイミングでまた泥を繰り出したり。

終いには地面に半身を潜り込ませ、頭と尻尾だけを出して……何かもう訳わからん。

 

あれは嫌われるわ。

ハンターのみんなが嫌がるのもわかる気がする。

 

 

そして何よりすごいと思ったのがショウコ。

その全てを避けきっているのである。

繰り返すが、避けているのである。

 

だって体に泥とかついていないもの。

俺と違って。

 

俺はと言えば、変な好奇心?からタマミツネに泡を食らい、水と泥の地面にダイブしまくったわけで。

装備はもうそれはそれは汚れ切っている。

恥ずかしい……。

 

 

「グァォォァ…………!!」

 

 

(オロミドロの動きが……?)

 

 

グネグネと動き始めたと思ったら、突如明後日の方を向き。

 

 

グジャ、グジャ、グジャ。

 

 

汚い音を立てて、どこかに行ってしまった。

 

 

「…………。」

 

 

参戦しようと思ったら、これである。

何も言えない……。

 

 

…………。

 

 

とりあえずショウコと合流しよう……。

 

 

………………。

 

 

「ショウコ。」

「あっ!ご主人様……ケガとか無いですか?」

「あぁ、泥だらけだけど、平気だ。ショウコは?」

「とりあえず避けきりましたが……あいつ無茶苦茶です!もう、汚れんで良かった……。」

 

 

ショウコ、それ結構すごいことだと思うぞ。

 

 

「途中から見てた。タマミツネもどっか行っちゃってな。凄いぞショウコ。いや、マジで。」

「み、見とったんですか!?うわ、恥ずい……。」

「いや、恥ずかしくなんかないぞ。凄かった。俺にはあの芸当はできん。」

「いやぁ、ははー……。」

 

 

はにかむショウコ。

身体能力の凄まじさ、まさにそれだ。

避けるために必要な予見。それがショウコにはいらない。

見てから、避けられる。

 

そこがすごいと思う。

 

 

「俺が相手したら……多分もっと汚れているな……。」

「いや、うちも泥被っとらんだけでビッチョビチョですよ?」

「本当だ。……あ、そうか。」

「へ?」

 

 

忘れていた。

俺のギフト、便利な使い道を見つけた。

 

えーっと……情報画面から装備を外して……。

 

 

スッ。

 

 

「うえっ!?どうしたんです!?ご主人様!?」

「いや、俺のギフトってそういえば……。」

 

 

インナー一丁で間抜けな格好になる俺。

だが、ストリーキング趣味など俺には無い。

ましてや狩猟中になんて、どんだけマニアックな話だ。

 

 

「このまま……。」

 

 

スッ。

 

 

再び同じ装備を取り付ける。

 

 

「あっ……うわぁ、一瞬や……。」

「おぉ、できた。これは便利だ。」

 

 

俺のギフトの一つ、早着替え。

とても便利で毎朝お世話になっているが、こいつは自動で装備をキレイにしてくれる機能も備えている。

 

上手くいくか不安だったが、良かった。

出かける前と同じ綺麗さに戻っている。

 

 

「それめっちゃ便利ですね!……それってウチもできるもんですか?」

「あぁ。待ってな。」

 

 

スッ。

 

 

「ふぁっ!?」

「あっ!!」

 

 

オトモであるショウコの装備は、何故か俺も変更することが可能である。

ショウコの装備もキレイにしようとやってみたら……ショウコもインナー一丁になるのをすっかり忘れていた……。

 

 

「ご、ご主人様!は、早く!!」

「は、はいはい!」

 

 

急いで装備をつけ直す。

ショウコの装備も、キレイになった。

 

 

「…………。」

「…………。」

 

 

何だこの空気。

見ちゃったなぁ……ショウコのインナー姿。

というか下着姿。

 

 

「…………ご、ご主人様にならまぁ見られてもウチはええんですけど……その、野外っていう趣味はありません……。」

「いやいやいや!!俺も無いからね!ていうか見られたことに反応して!?」

「は、はい……。」

 

 

顔を赤くしてモジモジしだすショウコ。

さっきまで華麗にオロミドロの攻撃を避けていたアイルーとは思えない。

 

 

「ず、すまんかった、ショウコ。」

「い、いや!ウチもすんません!」

 

 

二人して、場を取り繕うのに少し時間を要した。

 

 

「…………さて。」

「何事も無かったかのようにされてるご主人様って、すごいですよね……。」

「面の皮は厚い方だと、自覚はしている。」

 

 

 

気を取り直して、これからのことを話し合う。

オロミドロを追うか、タマミツネを追うか。

 

 

「ショウコはどう思う?」

「そうですね……面倒な方を先に倒した方がええと思います。と言っても、ウチ片方しか見てませんけど。」

「あ、そりゃそうか。」

 

 

ショウコはタマミツネを見ていないんだった。

ということは、両方とも見ている俺が判断した方がいいよな。

 

 

「うーん……面倒臭い方…………オロミドロ、かなぁ。」

「やっぱりですか……。」

「うん。面倒、という表現があれほど似合うモンスターもいないと思うぞ。泥を扱うってだけでもう嫌なのに、それを飛ばすわその辺に散らばらせるわ地中に潜るわ爺さんくさいわで最悪だ。」

「最後はようわかりませんけど……。」

「ショウコが今無事でいられること自体がすごい。いや、できるとは思っていたけどな。……俺たちのクエストはあくまでオロミドロの討伐だ。履き違えないようにしないと。」

「はい。タマミツネとかいう方は、大丈夫ですか?」

「あぁ、今のところ捕捉できている。谷の上、かなり向こうの方まで行ってしまっているからな。心配ないだろ。」

 

 

面倒な方を先に狩猟する。

つまり、オロミドロを先に追うことにした。

 

 

* * * * * *

 

 

結論から言おう。

オロミドロは、何とか狩猟することができた。

 

だが……。

 

 

「…………こいつ、め、面倒だったな………。」

「は、はい……!」

 

 

俺は命を頂いて生きている、ハンター。

だから、このような表現をしてしまうのは非常に気が引けるのだが……言わずにはいられない。

 

 

「な、何なんだあの攻撃!泥のビル建てて、どこの建設現場かと思ったぞ!?」

「そのビルっているのがよう分かりませんけど……あれはビビりました。」

「面倒とかそういうの通り越して……何かよく分からんままに倒してしまった……。」

「ホンマ、ようわかりませんでしたねぇ……。」

 

 

途中から独特の動きに慣れ、徐々に俺たちのペースになった。

 

泥を出したりクネクネ回転したり……正直、先に相手をしたショウコのアドバイスが無かったら、泥または手痛い反撃を喰らっていたと思う。

始めはそれぐらい苦労した。

 

そして、そのリズムにも慣れてきたと思っていたその時。

急に距離を離したオロミドロが、泥のビル群を作ってきた。

……言っている意味が分からないと思う。

だがそれ以外に表現しようが無い。

地中から、突然、俺とオロミドロの間に泥ビルが生えてきたのだ。

行く手を遮ってくるわ足を取られるわでもう心底嫌になった。

幸いショウコは後方に位置していたため、容赦なくタコ殴りにしていた。

 

俺ももうヤケクソ。

「むしろこのビル登ればいいんじゃね?」というアホみたいな発想の元、ドロドロになりながら泥のビルをよじ登り、空中から頭に目掛けてドカンと一発。

髭を叩き切ってやった。

その後尻尾をモロに食らって、ちょっとやばかった。

 

ダメージを重ねていくと、釣られた魚のようにビタンビタン地上で跳ね回るので、そこからはもう好き勝手にやらせてもらった。

恨みを込めて。

 

 

「……少し冷静さを欠いていた……。」

「ご主人様らしく無かったです。……落ち着いていけば。ご主人様なら避けられましたよ?」

「反省します……。」

 

 

チャッ。

 

スッ。

 

 

言いながら装備を出し入れして、ある程度綺麗にする。

インナーの中にまで泥水が染み込んで非常に気持ち悪い。

 

が、これは流石に着替えられないわけで。

 

……この面倒さ……ハンター連中から嫌われるわけだわ。

 

 

「信号弾、撃ちますね?」

「あぁ、頼む。」

 

 

一応はクエスト達成なので、ショウコに狩猟達成の信号弾をお願いする。

非常に疲れてしまった……。

 

 

「さて、もう一匹いる訳だが……ショウコは体力はどうだ?」

「まだいける、って感じです!……なので……。」

「……あぁ、もうやめておこうか。」

 

 

初見のモンスター、それをずっと避け続けていたわけだ。

ショウコの疲れも納得である。

悔いは残るが……仕方がない。

 

「まだいける」は「もう危ない」である。

 

……タマミツネの方はギルドに報告して、他の上位ハンターにやってもらうか。

無理は禁物。

 

 

「……よし!じゃあ、戻るか。」

「そうですね。賛成です。……結局赤い目のモンスター、いませんでしたね。」

「あぁ、オロミドロも最後まで変化は無かったしな。」

「ご主人様が言うならそうなんでしょうね。」

「まぁ気長に行くしか…………?」

 

 

二人で狩猟後の何でもない会話をしていた。

その時だった。

 

 

(どこだ……?)

 

 

誰かから見られているような、そんな感じがする。

一応「マップ」を確認。

……大型の反応は無い……が。

 

 

「ショウコ、警戒。」

「……はい。」

 

 

トーンの低い声で、大体を察してくれたのだろう。

ショウコは俺の背中に周り、死角を無くしてくれた。

流石のコンビネーションである。

 

 

「……どこですか?」

「分からん。俺の力でも、反応は無い。だが……。」

「……分かります。……なんか、ザワザワしてきました……。」

 

 

そうなのだ。

嫌な予感というか、鳥肌が思わず立つような、というか。

そんな不気味な雰囲気を、嫌が応にも感じてしまう。

 

この辺り、死角が多い。

谷に遮られているし、その上から俺たちを見ているということも考えられる。

どこかに、いる。

 

得体の知れない、何か。

 

 

どこだ?

 

どこにいる?

 

 

「……!ご主人様!あそこ!」

「いたか!?」

 

 

振り向いてすぐ、ショウコの指差す方向。

谷の上に向けられた指が示す先。

 

 

(あれはタマミツネ……か?)

 

 

先程まで俺と戦っていた大型モンスター、タマミツネ。

一瞬、そいつがオロミドロの敵討ちにでもやってきたのかと思った。

良かった、あいつだったのか、と。

 

少しだけ安心したその時、目に入ったのは。

 

 

「あいつ……目が赤い。」

「えっ!?」

「真っ赤だ……どうして、さっきまでは綺麗な青色だったような……。」

「……ウチ、青にしか見えませんけど……。」

「そうか……。」

 

 

やはり俺にしか赤い目は分からないみたいだ。

 

発見。

アイツは、例のヤツだ。

 

 

「グゥゥゥゥゥゥ………。」

 

 

唸る声が、ここまで聞こえる。

周囲の滝の音、水の弾かれる音、その中に混じって尚、鮮明に。

 

その鳴き声は……先程まで相対していたヤツのモノとは全く違う。

 

 

「……ショウコ、いけるか?」

「はい、いけます。」

「よし。簡単に言うぞ。アイツの名前はタマミツネ、海竜種だがオロミドロとは全く動きが違う。注意してくれ。あと、空中に泡を出してくる。触れると面倒だぞ。気をつけて。それから……。」

 

 

ショウコに簡単に特徴を伝えておく。

 

ジッとこちらを睨みつけたままのタマミツネ。

すぐに襲いかかってこようとはしない。

だが、確実にこちらのスキを突こうとしているのがわかる。

目は、離せない。

 

 

「グゥゥゥゥゥ…………ギャァァァァァァァァ!!!」

「ッ!!!」

「〜〜!!」

 

 

唸り声が叫び声に変わった。

滝の前の沼地帯に響き渡る絶叫。

……とんでもない大きさだ。

 

やっぱり、様子が違うな。

 

 

だが、驚くのはまだ早かった。

 

 

バッ。

 

 

谷からこちらにめがけて、一直線に飛び込んできたタマミツネ。

 

 

「!!ショウコ!!」

「はいっ!!」

 

 

すでに予知していたのか、ショウコの反応は速かった。

余裕を持って後退する。

 

 

バシャァァァン!!

 

 

激しく沼地に飛び降りたタマミツネは、だが動かない。

 

…………どこか苦しげ…………?

俺と戦っていた時の流麗さはいまだ見当たらない。

 

 

そんなことを思っていた。

 

次の瞬間だった。

 

 

「ガァ……ガ…………グァァァァァァァァ!!!」

「!?」

「う、うわ!なんやのこれ!?」

 

 

思わず声を上げるショウコ。

無理もない。

 

なぜならタマミツネが苦しげに声を上げた瞬間。

その身から、ドス黒い何かを放出し始めたのだ。

 

まるで排気ガス……いや、それよりも黒い。

粒子状の黒い粒が混じっているような……。

そんな煙のようなものが、タマミツネの体から発散されていく。

 

…………これ、吸い込んだらまずいのでは?

 

 

「ショウコ!」

「は、はいっ!」

「異常個体!こいつはこんなモンスターじゃない!……急いでギルドに報告!」

「えっ!?で、でも、ご主人様は!?」

「安心しろ!……あの時とは違う!!」

「ギャァァァァァァ!!!」

 

 

ズドォン!!

 

 

振り下ろされた尻尾。

だが、避ける。

 

その動きは、見えている。

 

 

「……ショウコ!余裕だ!こんなやつ。」

「で、でも……。」

「安心しろ!必ず仕留める!」

「…………はいっ!!」

 

 

タタッ。

 

 

ショウコが後方に向けて走り出す。

……ディノバルドの時を思い出すな。

 

だが、あの時とは違う。

俺は、確実に強くなった。

 

そう簡単にやられはしない。

何なら、討伐してやるさ。

 

 

「……グゥァァァァ!!」

「来いっ!タマミツネ!」

 

 

タマミツネの耳を刺すような咆哮とともに。

本日2回目の狩猟が始まった。

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