タマミツネを倒した。
様子のおかしさ、強さ……どう見ても普通の個体ではなかった。
その強さを見誤って負傷はしたものの、なんとか倒すことはできたが……。
「この目……治るのかなぁ……。」
正直めっちゃ不安。
スタート地点までトボトボと歩く。
気分はあんまり良くない。
せっかく強敵を倒したというのに。
右腕も痛いし。
「…………おっ。」
癖になってしまった独り言を吐き出しながら、ようやく沼地のスタート地点まで戻ってきた。
あまりに泥だらけだったので、道中、崖の窪みで全身着替えた。
狩猟地で一瞬スッポンポンになるという稀有な体験をした。
インナーまで染み込んだ泥をある程度落とすことができたので、良しとしよう。
ついでに右手にも添え木をしておいた。
見た目腫れているが、骨が完全にイッているわけではなさそうだ。
素人判断でくっつけるのはやめておこう……。
怖すぎる。
スタート地点でしばらく待つと迎えのネコタクがやってきた。
普通に乗り込み、ワサドラまで帰ることにした。
ギルドにはなんて報告したもんかなぁと、荒い運転に揺られながら考えるのであった。
* * * * * *
報告の前に、ギルドの医務室に寄った。
ショウコが心配しているかも知れないとも思ったが、ネコタクの振動で右腕が痛む痛む。
申し訳ないが、ここは治療を優先させてもらおう。
「ポッキリ……ではなさそうですな。」
「いてぇっ!?……あ、そうですか。」
「患部にこれ、貼っときましょう。……ソウジさんならすぐ治るでしょう。」
「はぁ……。」
「あなたの回復力はアイルー並みですからな……とは言っても、数日は様子を見てください。」
お医者さんとは知らない仲ではない。
別に懇意の仲というわけでもないが。
医者と仲良しとか、ハンターとして笑えない気がする。
まさか名前まで覚えられているとは思わなかったけど。
看護師さんに包帯を巻かれ、三角巾をつけられた。
「ありがとうございました。」
「はい、お大事に。」
こんな怪我よく見てきた、と言わんばかりにあっさりとした対応であった。
…………。
ギルドに戻り、報告を行うことにした。
時刻はもう夕方。
予定ではもう少し早く帰るつもりだったが、ギルド内は人でごった返していた。
「うわぁ……これは無理そう……。」
どの受付も長蛇の列。
その先頭には、ニヤニヤした男性ハンターとそれを対応するハイビスさんの姿が見えた。
後ろには早くしろよとイラつき顔の男たち。
……流石、人気ナンバーワンの受付嬢である。
「待つしかないか……。」
その辺の壁にもたれかかり、周囲を見渡す。
……人が多すぎて、ちっこいショウコがどこにいるのやら。
「ご主人様!!」
「のわっ!!」
急に下から話しかけられて驚いてしまった。
なんてことは無い。
ショウコがそこに居たのだ。
「び、びっくりした……ショウコ。いたのか。」
「いたのか、ちゃいます!ちょうどギルドへの報告を終えて、そちらに飛んでいこうとしていたところです!う、腕が……!」
「ああ、折っちゃった。」
「そ、そんな……。」
青ざめるショウコ。
そこまでのことではないのだが。
「安心してくれ、大したことじゃ無い。」
「で、でも!例のタマミツネ、かなりの強さやった……言うことですよね!?」
「あ、あぁ。正直良く勝てたと思う。」
「あぁ……すんません。報告が長引いてしまって……。」
「いや、いいんだ。気にしないでくれ。それより……。」
人混みでわちゃわちゃしているギルドを再び見渡す。
「誰に報告したんだ?」
「あ、えっと……あっちです。」
「あっちって……え?」
ショウコが指差す先。
受付台が並ぶ方とは反対方向の、ギルド内の酒場がある方。
…………誰よ。
「で、ですから。あの、バーテンさんです。」
「バーテン……?」
よく目を凝らして見てみる。
…………あ。なるほど。
いや、なるほどじゃないわ。
何してんだあの人。
「…………とりあえず、行こう。」
「はいっ。」
酒場はバーカウンターと十数台の机から構成される、まぁ結構な規模のものである。
その中で、一際異様を放つカウンター内の人物。
「何してるんですか、こんなところで。」
「おや、ソウジさん!ご無事ですか!?」
「無事……ではないですけど……シガイアさんの出で立ちに比べれば、なんてこと無いです……。」
「いやはや……申し訳ない。私の趣味でしてね。…………あ、すみません。お待たせしましたとお伝え下さい。」
手際よくドリンクを作ると、給仕の男性に渡すシガイアさん。
…………何してんだこの人。
遠目から見たときは吹き出しそうになったぞ。
かなり板についた様子のシガイアさんは、横にいたもう一人の男性に何かを話している。
その男性は、サッとどこかに行ってしまった。
……ギルドになにか報告しに行ったのかな。
「いや、すみません。一応救援の準備を進めていたのですが、必要なくなったものでして。今、キャンセルしましたので。」
「あ、ありがとうございます。」
「ソウジさんの事ですから、すぐ戻るとは思っておりましたが、まさか負傷して帰られるとは思わず……腕の方は大丈夫ですか?」
「折れてます。数日は様子を見るようにと言われました。……大したことは無さそうです。」
「はっはっは。腕を折って大したことないとは……師匠に似てきましたねぇ、ソウジさん。」
「うっ……。」
軽口を叩きながら、スッと俺にミルクを差し出してくるシガイアさん。
……本職じゃなかろうか。めっちゃ似合っている。
ダンディなマスター、と言われれば、うんそうだね、と返すほどには。
「…………報告をお受けしても?」
「えっ?ここでですか?」
「ええ、とりあえずバーテンの真似事は終わりにします。……ソウジさんが怪我をされるほどのモンスター、そちらの方が急務でしょう。」
「は、はぁ。」
まるで飲み屋に愚痴を言いに来たハンターのようであるが……まぁいいか。
ギルドのトップが、ここでいいと言うんだから。
「じゃあ……まず、今回のクエストの狩猟対象であるオロミドロ……コイツは普通に倒せました。」
「えぇ。そちらはショウコさんから伺っております。」
「その後……聞いているかもですけど、泡狐竜……タマミツネが現れました。」
「…………ふむ。」
「初見でしたし、確定はできないですけど……目が、例の感じでした。」
「…………様子は?」
身をカウンターに少し乗り出し、声を落として話しかけてくるシガイアさん。
発言に気をつけろということか。
「その前に……タマミツネというのは、珍しいモンスターですか?」
「出現報告は、この辺ではほとんどありません。……首都に行けば、東方の湿地帯に居るというのは、聞いたことがありますね。」
「そうですか。」
やっぱり珍しいんだな。
聞いたことの無いモンスターであった為、確認がしたかった。
「……めちゃくちゃ強かったです。攻撃力で言えば、ティガレックスやディノバルドの力に匹敵するかと。」
「…………間違いなさそうですね。」
俺の腕を見やり、頷く。
自分で言いたくは無いが、これでも一応俺はHR7のハンターである。
よっぽどだと、伝わったと思う。
「続けます。」
「はい、ゆっくりで結構ですよ。」
メモを取りながら、俺の話を聞くシガイアさん。
そこから、俺はタマミツネの様子を細かに伝えた。
狩猟の流れ、攻撃の仕方、反撃、そして俺の体調の変化まで。
酒場の喧騒は一段と増していく。
その雰囲気の盛り上がりとは裏腹に、シガイアさんの表情は険しくなる一方であった。
「…………こんな感じです。その後は信号弾を上げて、ネコタクで戻って医務室へ直行しました。」
「…………ありがとうございます。狩猟お疲れさまでした。その、黒い霧の影響はいかがですか?」
「…………。」
遠くの窓に映る自分の姿を確認する。
三角巾を付けた俺の目は、未だ赤く妖しく光っていた。
「…………まだ、赤いままですね。ショウコ、どうだ?俺の目。」
「えっ?……いや、ウチには、普通に見えます。」
「私も、いつものソウジさんに見えますねぇ……。」
「なるほど……やっぱ俺にしか見えないのかなぁ……。」
モンスターにしか起こらないと思っていた現象。
それが俺にも起こっている。
…………正直不気味以外の何者でもない。
「体は何ともないです。むしろこう……集中力が増しているというか、頭が冴えている感じがします。」
「不思議なものですね……実は、今回の件で一つ思い当たることがあります。」
「えっ?」
そう言うとシガイアさんは、カウンターの下から書類の束を取り出してきた。
数十枚のそれは、紐で固く縛ってまとめられている。
端が変色し、随分古そうだけど……。
「ショウコさんの報告を聞いてもしやと思い、取り出してきたのですが……これではないかと踏んでいます。どうぞ。」
「……拝見します。」
「う、ウチも見ていいですか?」
「もちろんです。」
ショウコにも見えるように、差し出された書類を見る。
「ご主人様……この症状……。」
「…………あぁ。多分……そうかも。」
書類に書かれていた内容。
ところどころインクが滲んで見えにくいが……。
『…………モンスターの狂竜化について…………バサルモスがひれ伏したと同時に、その巨体を取り巻くように黒い霧が出現…………バサルモスは我を失ったかのように暴れ回り、その体色も青黒く変…………パーティメンバーと協力し、罠を仕掛けながら何とか倒すことが………私はこの現象を【狂竜化】と名付けることにした。影響はハンターにまで及び……。』
ページはここで途切れている。
だが、今回の狩猟と合致するところがいくつもある。
狂竜化……。
俺が唾を飲み込むと、シガイアさんがページをめくっていく。
「……これは二十年程前、黒く変色した異様なバサルモスを倒したあるハンターの手記です。」
「二十年……。」
「えぇ……そしてこのページには……そのハンターもまた、様子が変わってしまったと書かれてあります。」
「えっ!?」
「あぁ、ご安心ください。ウチケシの実を飲んで、落ち着いたようです。……ここです。」
「…………あ、ホントだ。」
シガイアさんが指し示したところを見ると、確かにそう書かれてあった。
少し安心したけど……危惧すべきは他にある、よな。
「…………問題はここでは無いですね。」
「…………ええ、そうなんです。」
「えっ?ご主人様もウチケシ飲めばええんちゃいます?」
ショウコが疑問を投げかけてくる。
まぁそれはいいんだけど。
「ショウコ、例えばその辺のハンターがふらっと狩猟にでかけたとして……対象のモンスターが規格外に強力になっていたら。どうだ?」
「あ……。」
どうやらわかったようだ。
「そいつはウチケシの実で対処できるともわからず、俺と同じように力が無くなって……。」
「うわぁ……。」
「えぇ……非常にまずい状況になりますね。」
ギルドは、そのハンターランクに応じて厳密にクエストの対象を決定している。
安全に狩りを進めるために、それは必要不可欠な要素だ。
もし、黒い霧……狂竜化したモンスターが蔓延っているというのなら……それが根底から覆される。
ギルドの信用とか以前に、ハンターの命が危ない。
「……ソウジさんが力を失ったあと、再び調子が戻った……いや、それ以上に良くなった。……ウチケシの実は?」
「いや、飲んでないです。」
「……ソウジさんは狂竜化の影響を受けたと見ていいでしょう。そしてそれを克服した。その要因が、負傷してもなお攻撃し続けたということでしたら……ちょっとその辺の方には真似できない芸当ですよねぇ……。」
「そ、そうですね……。」
「ご主人様は猪突猛進やから……。」
若干呆れ顔のショウコ。
…………何も言い返せない自分が恥ずい。
「…………すぐにクエスト受注基準の一時的な見直しを図ります。ハンターたちにも注意を払ってもらう。幸い、黒い霧というのはソウジさんでなくても視認できるようですからね。救援体制も増強、無闇矢鱈にモンスターに立ち向かうのを辞めてもらう他無いでしょう。」
「そうですね。」
「いやはや……ソウジさんが負傷してまで持ってきてくださったこの情報……ありがたいです。」
「少なくとも無謀な真似はしないようにと通達しなくては」と言い残し、シガイアさんは書類をまとめ始めた。
「ソウジさん。まずはお体を治しましょう。急を要する状況ですが、ワサドラのハンター層は厚い。ゆっくり休まれてください。」
「はい、ありがとうございます。」
「ショウコさんも、いい機会です。一緒にゆっくりなさって下さいね。」
「安静にするよう、ご主人様を監視します!」
「ははは、それは大切な役目ですね。よろしくおねがいします。……それでは。」
コツコツと足音を立て、ギルド本部に向かうシガイアさんを見送る。
……立ち振る舞いがダンディだとは思っていたけど、バーテンの格好が似合いすぎだろ。
「……俺もああいう大人になるべきなんだろうなぁ。」
「ご主人様はタイプが違う気がします……。」
ショウコから大変失礼な返事を頂いた。
精神的にも少しだけダメージを負った俺は、大人しく宿に向かうのであった。
* * * * * *
宿ではちょっと騒ぎになった。
まず、俺が帰ると同時にドールにめっちゃ心配された。
「せっかく私の頭撫でたのに……。」とか何とか言っていた。
あれ?ドールさん、頭ナデナデ=幸運のおまじない否定派でしたよね?
そこから俺にクエスト禁止令なるものが発布された。
「身の回りの世話も私がするから、大人しくしててね。」
「ドールちゃん?お世話はウチがやるで?宿の仕事、大変やろ?」
「ううん。私がやる。」
「いや、ウチが。」
「いやいや。」
「いやいや。」
……社会人みたいなやりとりをする二人は放って、とっとと部屋に戻ろう。
でも確かに安静にはしないとなぁ。
「ソウジさん、あの二人を放っておいていいのかの?」
「いやぁ、仲が良くていいことですね。」
「お前さんも大概じゃのぉ……。」
ホエールさんが珍しく感心していた。
なぜ?
…………。
夕飯をとって部屋に戻ってからは、泥だらけの装備の掃除を始めた。
ちなみに夕飯時も大変であった。
右手が使えないからと言って、別に飯を食えなくなったわけでもなし。
ありとあらゆる方法で、ドールとショウコが俺に食わせようとしてきたのだが、丁重にお断りをして、左手で食べた。
「そうか。食べにくいものにすればよかったんだ。」
「ドールちゃん!明日の朝は左手じゃ食べられんようなもの、お願い!」
「う、うん。わかった。やってみるね!」
「君たちは何の相談をしているんですかね。」
そんなに俺に食わせたいのか。
ありがたいことではあるが……ドール、そういうのを本末転倒と言うんだぞ?
そんなこんなで、落ち着かない夕飯を終え、部屋に戻ってきた次第である。
装備の方。
ギフトのおかげでほとんど綺麗になってはいるが、細かいところまでは砂が入り込んでいて汚れていた。
この際装備の一新も兼ねて、セツヒトさんの所に行くのもいいかもしれない。
……そういえば、スキル関連のパワーアップの為に装備を変えるんだった。
その辺も相談しに行こう。
足りない素材は……アンジャナフ……リオレウス……あとラージャンか。
どれもこれも強敵である。
特にラージャンとか、ハイビスさんに行かないよう釘を刺されたモンスターである。
……あの素材だけは、狩猟以外の方法で何とかしないとなぁ。
「……ご主人様ご主人様。」
「ん?何だ?」
あぐらをかいて両足で装備を固定しながら綺麗にしていた俺。
そんな俺の様子を見ながら、ショウコが話しかけてきた。
「……整備、ウチやりましょうか?」
「あぁ、ありがとう。でも大丈夫だ。大した汚れでもないし、こういうの好きなんだ。」
「わ、分かりました……。」
「……どうした?」
……ショウコが何か言い淀んでいる。
「何か言いたいことがあるなら、遠慮なく言って欲しい。俺とショウコの仲だろ?」
「……あ、ありがとうございます。……その……。」
……かっこいいことを言ったが、何か俺に対する不満があるのかと思うと、ちょっと心配。
こういうのは手っ取り早く聞いて、改善していくに限る。
コミュニケーションの齟齬は、俺たちの場合命に関わる。
「……ご主人様が以前ここでウチを説得されたこと……覚えていますか?」
「あぁ、あの時か。」
ディノバルドに叩きのめされた時、ショウコは自分のせいだと落ち込んで塞ぎ込んでしまっていた。
辞めると言い出した時は、内心ドキドキだったんだよなぁ。
女神様を真似して、プレゼン作戦で何とかしたけど。
「あの時……ウチ、めちゃくちゃ嬉しかったです。今更ですけど。ご主人様に、一生付いていこうって、今でも本気で思っています。」
「お、おぅ。」
面と向かって話されると恥ずかしい。
そんな俺の顔を見ながら、ショウコは言いにくそうに心の内を吐露し始めた。
「……やから、今更ウチがお荷物ちゃうかとか、そんなん、思いません。意地でも強くなって、ご主人様に追いついて見せます。……でも、今回のタマミツネで……やっぱりウチ、足引っ張っとるんちゃうかって、思ってしまいました。」
「…………。」
「で、でも!がんばります!もうウジウジしたくないんです!ご主人様に回避上手て褒められて、ウチめっちゃ嬉しかったです!頑張ってきた甲斐があったって、そう思いました……。ご主人様は……ウチの事……これからも頼りにしてくれますか?」
「……何を言うか。」
タマミツネ。
何とか倒したが、あの強さは完全に誤算だった。
万が一の可能性も考慮して、ショウコにはギルドに走ってもらったけど。
俺がまるで、ショウコを邪魔だと思ったと……そう不安に感じたんだな。
……全力で否定させてもらう。
「ショウコ、沼地でも言ったけど……セツヒトさんとか教官とか……俺がとても敵わないと思うあの化け物クラス。その辺と比べてもショウコの回避具合は、凄まじかったんだぞ?」
「は、はい。」
「そんなオトモが俺についてきて、フォローに回ってくれるって……どんだけ俺は恵まれているんだ?と思っているよ。」
「……。」
「頼りにしている。それが俺の答え。タマミツネの報告にギルドまで走らせたのも、結果アイツを倒せそうなのは俺だったからに過ぎない。ショウコはパワーが足りないしな。」
「うっ……。」
「まぁそこは適材適所。ギフトの力を明かさないようにしなければならない以上、俺がパーティーを組むことは難しい。……もう一度言うけど……頼りにしまくってるよ。うん、本当に。」
「ご主人様。」
偽りなき本音。
ここまで献身的に俺について来てくれて、時には無茶しすぎと叱ってくれる。
本当にありがたい存在なのだ。
「……な、なんか恥ずかしくなってきたから、この辺にしよう!ね、寝るぞ!」
「あ!ご主人様、顔赤くなってます!」
「うううううううるさい。なってへんなってへん!」
「ふふ……何でウチみたいに喋るんですか。」
あぁぁめっちゃ恥ずい。
テキパキと装備をポーチにしまい、とっとと寝るに限る。
「ご主人様?」
「あ、あぁ。どうした?」
「……きょ、今日は、そっちで寝てもええですか?」
「……好きにしなさい。」
「…………はいっ!!!」
ちっこいショウコが毛布を持って俺のベッドに並ぶ。
……まぁたまにはいいか。
右腕はまだ折れているし、赤い目の症状はよく分からんし。
不安なことはたくさんあるけど……今夜ばかりは忘れて、眠ろう。
俺とショウコは狩りの疲れもあり、そこからすぐに眠りにつくのであった。
おやすみなさい……。