モンハン世界に成り行きで転生した中身おっさん   作:びびんば

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138金獅子クエストを受けましょう。

「ふっ…………ふっ…………。」

「ひぃ…………ひい…………。」

「ふぇぇぇぇ…………ま、まだ走りますかぁ…………?」

「喋っとると余計辛くなるで!ハンズさん!」

「……ふぁ…………ふぁい…………!」

 

 

眼前に広がる景色。

向かって右側は畑。随分と向こうまで広がっている。

何とものどかな風景だが、ここがこの町の食糧の生命線。

 

モンスターの糞を定期的に農家に納入する様になってから、その生産が爆発的に増えたという。

比例して人口や人の流れも増加。

経済的にも潤ったという。

その施策を提案したのはシガイアさんらしい。

需要のあまりないものにスポットを当て、農家と初心者ハンターに需要供給の関係を築く。

新しい商売を始めるときの基本と言えるが、そのシステムをきっちりと作り上げた手腕は流石である。

 

 

「ふっ…………ふっ…………。」

「うわっ……またペース上がった…………。」

「……ふ、ふぇぇ…………。」

 

 

その畑とは反対側、向かって左。

急成長を遂げる町、ワサドラがある。

俺もここに来てたかだか一年と少しだが、その間だけでもたくさんの店や家が増えた。

無造作に増えていくと、町並みが汚くなったりインフラが混乱したりするものだが……その辺はあまり気になったことがない。

詳しくはないが、町の中心とその外側、それぞれに住宅用地と店舗用地を分け、一定の場所に広場や公園を設置して……。

まぁ所謂都市計画みたいなものが、きちんとしているんだと思う。

 

 

「も、もう……私だめですぅ…………。」

「あ、あとちょっとやから!入り口まで頑張ってください!」

「…………うぇぇ…………。」

 

 

町の外周ランニングをすると、あらゆるところでシガイアさんの凄さがわかる。

 

左回りにグルっと外周して、再びスタート地点である町の入口側へ。

その一帯は何もない土地がキレイに整備されている。

ここも近々、大開発が行われるらしい。

町中の商店街通りを延伸して、そこに付随した店舗を作り上げ、住宅を建てられる土地も作るとか。

 

その計画を提案したのもシガイアさん。

 

…………あの人、もはや町の長と言っても差し支えないんじゃ…………。

町長さんとか見たことないし。

 

そう言えば冬に行ったミヨシ村も、臨時ギルドを運営している長は村長さんであった。

ヨツミワドウのからくり蛙を見る度に、アワキ村長を思い出す。

元気にしているだろうか。

 

 

「はぁっ……!はぁっ…………!」

「うぇぇぇぇ…………。」

「んー…………。」

 

 

考え事をしながら町の入口に到着。

10周まであと2周か。

 

 

「よしっ……ショウコ、ハンズ、あと2周頑張って…………だ、大丈夫か?ふたりとも。」

「ぜ、全然、大丈夫……はあっ……はあっ……ちゃいますぅ!」

「私もう…………うぅ。」

 

 

バタン。

 

 

「は、ハンズさん!?」

「ハンズ!ど、どうした!?」

「どうした?ちゃいます!!明らかにご主人様のペースがおかしかったんです!」

「えっ!?マジか!?」

「ほらっ、ハンズさん運びますよ!」

「は、はいはい!」

 

 

倒れ込んだハンズを、宿までおんぶして運んだ。

まさか倒れ込むとは……と思ったが、どうやらかなりのハイペースで走っていたようだ。

考え事をしながら走るのは良くない。

 

 

「ご主人様……大丈夫ですか?なんかいつもとちゃいますよ?」

「そ、そうか?」

「自覚はありそうですね……。まさか、今日のクエストに向けて緊張しているとか……。」

「…………ショウコに隠し事はできないな。実は……少し緊張している。」

 

 

ハンズの介抱をした後、ショウコに心配された。

そう、今日はいつものクエストとは違う。

相手は、あの金獅子ラージャン。

いつも通りにしていろといわれても、ちょっと無理。

 

 

「そら、お偉い人にプレッシャーかけられたら緊張もしますよねぇ……。」

「……まぁなぁ……。」

 

 

なぜ俺がこんなに緊張しているのか。

それは昨日ギルドであった出来事に由来する。

 

 

* * * * * *

 

 

カクラニ火山から帰ってきて次の日は、休みを取った。

と言っても、完全な休日ではない。

 

次に受けようとしている、金獅子ラージャンの狩猟。

その依頼の受注とか用意とか……その辺を済ませようとしたのだ。

 

「自分の装備は自分で用意したい。」とセツヒトさんに啖呵を切った手前、やっぱ無理とは言えない。

いや、自分で用意したいのは確かなのだが。

そもそも以前クエストを受けようとしたら、ハイビスさんに止められた。

俺も強くなったと自負はしているが、それでも認められないほどには、相手は強いということである。

 

 

とは言っても、何もしなければ始まらない。

まずは、ギルド本部に行って、ハイビスさんに掛け合ってみようと思った次第だ。

 

いつものように石造りの建物に入り、ハイビスさんを探してみた。

ところが、事態は急展開を迎えた。

 

入るなりいきなり「ナイスタイミングです。ソウジさん、その、こちらへ。」とハイビスさんに手を引かれ、あれよあれよとギルドマスターの部屋まで通されたのだ。

 

わけもわからず部屋に入ると、そこには二人の人間。

ギルドマスターのシガイアさんとセツヒトさんがいた。

 

 

「いきなり申し訳ありません、ソウジさん。そしていいタイミングで来てくださいました。」

「おー、やっほーソウジー。」

「シガイアさんに……セツヒトさん?」

「とりあえずお話を……こちらにおかけください。」

 

 

ハイビスさんとともに部屋に入り、四人で机を囲む。

相変わらず高そうな革張りのソファーに腰を下ろすと、セツヒトさんが俺のすぐ隣に座った。

…………近くない?

 

 

「ソウジー、せっちゃんー。」

「あ、すんません。せっちゃんさん。」

「んー……よろしい!」

 

 

何がよろしいなのか。

 

 

「そ、その……セツヒトさん?ソウジさんと、ち、近くありませんか?」

「えー?そりゃー久しぶりだしー?弟子の調子を見ようとねー?」

「そ、それにしても……。」

「…………二人でランチ行ってた…………(ボソッ)」

「うっ…………。」

 

 

二人が何か話している。

ランチ?何の話題だ?

 

 

「…………きょ、今日のところは、どうぞ。」

「そー?悪いねーハイビスちゃーん。」

 

 

良く分からないが、席の配置はこれでいいようだ。

なぜハイビスさんが恨めしく俺を見つめるのかはわからんが……。

 

 

「…………さて、ソウジさん。私からよろしいですか?」

「は、はい。」

 

 

よく分からないまま話が始まった。

 

 

「さて……。まずは怪我の完治、及び復帰、おめでとうございます。早くて驚かされましたよ。」

「いやぁ、薬の効き目がすごくて……。」

「そのセリフ……よくセツヒトからも聞きましたよ。セツヒトはセツヒトで、回復が半端なかったですから……。」

「シガイアさーん、人を化け物みたいに言わないでよー。」

「お前は腕をポッキリいったままクエストに行っているからな……化け物以外何と言えばいいんだ?」

「あははー……あれは若気の至りと言いますかー……。」

「お前といいマショルクといい、どうなっているんだ……一度、王立研究所にでも行って、体を隅から隅まで見てもらうといい。……あぁ、すみませんソウジさん。というわけなので、その回復力も、あまり驚かされなかったと言いますか。」

「は、はぁ。」

 

 

確かにマショルク教官も、俺に折られた腕なんぞその晩には気にせずガブガブ酒を煽っていたなぁ……。

 

 

「で、本題なのですが。」

「あ、はい。」

 

 

ペラッ。

 

 

場を仕切り直したシガイアさんが、一枚の紙を机に広げた。

内容は、ある一つのクエスト。

 

 

 

【クエスト名】暴れん坊を捕まえて

【目的地】南部森林地帯

【時間】無制限

【ターゲット】ラージャン一体の捕獲

【報酬金】24,2000z

【依頼主】南部農家主 キタバの娘 イパス

【依頼文】

初めて見るモンスターです。父も長く農家をしているが、見たことがないと言っておりました。

腕利きのハンターさんをお願いします。

※現状被害なし。要生態等確認。捕獲推奨。 ワサドラギルド観測班主任

※ザキミーユ本部との重複の可能性あり。要確認。 ワサドラギルド本部長シガイア

※※※高難易度、HR7以上推奨※※※

 

 

 

「これは……。」

 

 

見たことある。

いつか、装備を整えようと丁度いいクエストを探していた時。

ギルド職員である知的イケメン君が見せてくれた、クエストの依頼文書である。

確かハイビスさんに確認して……俺の手には負えないからと、首都ギルドに依頼を回すという話だったような。

 

 

「……実は、セツヒトから以前、ソウジさんが装備を整えるための素材を求めていると聞きまして。」

「はい。」

「そして、その素材集めは順調……私からお話している例の件、そこと並行して進められているようですね。」

「そ、そうですね。」

 

 

俺が次にラージャンを狙っていることがバレて……その説教をしようというのだろうか。

力不足、的な?

いやでも、ならなぜセツヒトさんがここにいる?

 

 

「ラージャンは、希少なモンスターです。よっぽどのことが無い限りは、討伐などしない。」

「そ、そうなんですね。」

「ええ、はっきり言いますと、下手な古龍よりも強い。間違いなく。」

「…………。」

 

 

シガイアさんの目が、真剣味を帯びてくる。

 

 

「…………そんな生態系の頂点中の頂点にいるモンスターを討伐すれば……地域のモンスター情勢は大きく変わる。これは分かりますか?」

「え、ええ。何となく。前世の知識ですけど。」

 

 

前世の知識。

ある天敵がいない島で、人間の手で放されたウサギが超繁殖。

ところが、餌が食い尽くされ、ウサギたちは急増のあと急減。

島の豊かな植生は傾き、たくさんの糞尿で汚染された土地が元に戻るには、かなりの時間を要する。

そんな話を思い出した。

 

モンスターの生態系のバランスを取る。

これもまた、ギルドの仕事だ。

 

 

「ご理解が早く、助かります。そしてこの依頼……首都ザキミーユとウチの管轄の、丁度真ん中辺りのエリアでしてね……。これが、厄介なんです。」

「そ、そうなんですか?」

 

 

シガイアさんが珍しく顔を顰める。

ハイビスさんやセツヒトさんも、同じ顔をしている。

 

え?何で?ワサドラかザキミーユか、どっちかが倒せば、それで終わりなんじゃないの?

 

 

「ハイビスさん。厄介な理由について説明できますか?」

「は、はい。えーっと……ソウジさん、まず今回の相手は、超希少かつ超強力なモンスター、ラージャンです。」

「は、はい。」

 

 

ハイビスさんが丁寧に説明してくれる。

俺の右にはその話を聞きながら、うんうんと頷くセツヒトさん。

 

 

「ギルドは、その運営は寄付や税金だけではとてもまかないきれません。その多くは、モンスターの素材を管理して、金銭のように運用しながら、需要と供給のバランスを見て利益を出して……そういう風にして、予算を捻出しています。」

「ちょっとピンハネしすぎだけどねー。」

「セツヒトは静かにな。」

「むー。」

 

 

シガイアさんに黙らされるセツヒトさん。

確かにセツヒトさんの言うこともわかる。

結構な素材を取られ、ハンターの手元に戻ってくるものは少ない。ぶっちゃけ。

本来、倒したモンスターの素材は全て自分のものなのに。

 

だが、そこには理由が存在する。

 

クエストの工程を全て完了するためには、様々な人員や設備、資材が必要である。

すなわち、金。

 

それらギルドの費用をまかなうためのシステムが、素材の運用なんだよな。

うん。

その話なら、ちょっと前に考えたことがあるし、分かるぞ。

 

 

「ここまではよろしいですか?」

「あ、大丈夫です。続きを。」

 

 

ハイビスさんが確認を取ってくれる。

俺、一応異世界人だしな。

その辺配慮して、話をしてくれているんだろう。

ありがたいです。

 

 

「それでですね……今回のラージャンの素材、これはかなりの大金になります。ですが、素材を得ようにも生態系のバランスを崩してまで手を出しては本末転倒。そもそも倒せるような大きなハンターチームを組む、そんなお金を捻出しては、結局経費と素材のお金でトントン。」

「は、はい。」

「そんな折、人間の住む領域までラージャンが現れました。地域の生態に属しない、()()()()()()()()として。しかもその領域というのが、南部農家主……すなわち、首都やワサドラ、その周辺に食材を供給する一帯の権力者、キタバさん。その方から、ギルドに直接依頼があったんです。」

「お、おお。」

「…………こ、ここまで……大丈夫ですか?」

「ちょ、ちょっと整理しますね。」

 

 

考えてみる。

物凄く金になる、けどめっちゃ強いラージャン。

それを倒すことには、とりあえず問題はなさそう。

だが、倒す為には本末転倒ながら、経費がかかる。

それがワサドラと首都の丁度真ん中辺りに現れた。

しかも依頼したのは、なんか偉い人。

 

生態系を考えるとか以前に、人々の生活を守るために、ギルドは動かなきゃならないよな?

税金もらってるわけだし。

ある意味、公共機関であるわけで。

 

…………あれ?何かきな臭くなってきたぞ?

結構ヤバい話をしようとしてる?

 

 

「大変そうな話、というのは分かってきましたけど……。」

「はい。そして、ここからがもっと大変なんです……。」

 

 

ハイビスさんが、丁寧に話を続ける。

 

 

「まず、今回の依頼はあくまでワサドラ預かりです。緊急、というほどでもないですが、すぐにでも対応しなければならない事態です。私達は協議の結果、すぐに首都に報告しました。」

「こういうのは、独り占めしようとするだけ損ですからね。すぐに報告連絡相談。これに尽きます。」

(社会人の基本……。)

 

 

前世の新人研修のようなセリフを、シガイアさんが補足してくれた。

じゃあ既にこの件に関しては、首都のギルドも知っているわけだな。

 

ハイビスさんが続ける。

 

 

「首都ギルドも慌てたらしいです。さすがにあそこも、ラージャンにすぐ対応できそうなハンターはそうそういません。チームの編成等を行う時間も考えると、期間が必要なんだと思います。」

「そ、それで首都の返答は?」

「…………こちらにまかせる、とのことでした。」

「へ?」

「うっわー……。」

 

 

思いっきり嫌な顔をするセツヒトさん。

セツヒトさんの色々な嫌な思い出と、被るものがあったんだろうな。

 

たが、丸投げしていいのか?

首都がやってしまえば、素材をゲットするチャンスじゃないのか?

 

そう考えていると、シガイアさんが俺の頭を読んだかのように話してくれた。

 

 

「……どうやらラージャン討伐の為の経費も準備期間も足りないと判断したようですね。十人以上のチーム……旅団レベルの話だ。首都は、こういう迅速さには弱い。」

「……大きすぎる、ということですか。」

「はい。首都も、一枚岩ではありません。中央以外にも、東西南北それぞれに支部ギルドがあり、それぞれがしのぎを削っている。あちらの内部の混乱を避けるため、こちらに丸投げした……のかも知れませんね。」

 

 

そしてシガイアさんは()()その話を受けた、というわけか。

 

 

「対してこちらは……悲しい話、ギルドはそこまでの規模ではありません。ですが、戦力は十分。ハンターの生ける伝説、G級の百手セツヒト。それに、ティガレックスもソロで倒す超級の新人、HR7のソウジさんがいらっしゃいます。いやぁ、ソウジさんがハンターランクを上げていてよかったです。……また、ソウジさんがラージャンの素材を必要としているのは聞いていました。」

「は、はぁ。」

「そこで、セツヒトも同行して、ラージャン討伐に向かってほしいのです。いいな、セツヒト。」

「がってーん。」

 

 

気の抜ける返事が、セツヒトさんから上がる。

どうやら了承と言うことらしい。

 

……すると、首都から突っ返されたクエスト依頼を、俺と俺のオトモのショウコ、セツヒトさん、それでクリアしろというわけだな?

まぁ俺としてはラージャンに挑みたかったわけで、渡りに船である。

 

 

「俺としても助かります。ラージャンに挑めるかどうかさえ、分からないまま今日ここに来たので。」

「いえいえ。こちらも、勝手に話を進めて申し訳ありません……ですが、私としてもギルドとしてもメリットが大きいんです。」

「へ?」

「首都が突き返したような案件を、こちらが少数精鋭でクリアする。しかもワサドラ南部農村地帯の権力者、キタバの信頼を得られる。さらには、ラージャン素材を手に入れられる。……ワサドラとして、首都に大きな意趣返しができます。鼻を明かすことができる……ははは、これは楽しくなってきました。」

「…………。」

「うわー、シガイアさん悪い顔してるー。」

 

 

ニッコニコの笑顔でとんでもない事を嬉しそうに話すシガイアさん。

心底愉快そうである。

 

 

「……ソウジさん、気になるのは、首都の動きです。」

「首都?」

「ええ。先程話しましたように、首都も一枚岩ではない。今回の判断は首都の……おそらく中央が下したんでしょう。だが、他の支部は不満でしょうね。」

「確かに……そうでしょうね。」

「ええ。……ですから、何らかの妨害があっても不思議ではない。」

「ぼ、妨害。」

「はい。マショルクからの報告待ちですが……いやぁ、私も敵が多いものでしてね。」

「「「あー……。」」」

 

 

全員が納得してしまう。

仕事ができる人って、それだけで疎まれるものだろうしなぁ。

 

 

「……………ご納得いただけて、何よりです。」

「い、いえ。すみません。」

「ですので……警戒として、御者に護衛をつけます。」

「護衛?」

「はい。ハイビスさん、あの方々にお話は?」

「はい、既に伝えております。」

「素晴らしい。流石です。」

「…………?」

 

 

あの方?

どなた?

なんて顔をしていると、ハイビスさんが付け足してくれた。

 

 

「フェニクさんです、ソウジさん。」

「…………あー、なるほど。」

「更にガーグァ車には、あのおじさんが。」

「な、なるほど。」

 

 

フェニクさん。

一時期ショウコとパーティーを組んでいたあの人。

雰囲気からして只者では無いと思っていたら、首都で警備の仕事をしていた過去をお持ちだった。

対人戦なら相当な腕前らしい。

…………ハンターとしては、まだまだらしいけど。

 

 

「セルレギオスの一件の恩を返したいと、快く引き受けてくださいました。トツバちゃんもおじさんも、二つ返事です。」

「ありがたいことです……。」

 

 

こんな危険なクエストに同行してくれるとか、3人とも、ありがたい限りである。

 

 

「ソウジの人柄のおかげだよねー。」

「へ?」

「ソウジさー、いい人だもん。それに頑張っていて一生懸命でー……みんな、ソウジのそんな姿に、惹かれているんだよー?」

「そ、そうですかね。」

「ふつーないってー。あんなハチャメチャな敵にー、得体のしれない人間同士のドロドロにー、巻き込まれたくないよー?ふつー。」

「…………ありがたい限りです。」

 

 

セツヒトさんがなんだかむず痒いことをおっしゃる。

いや、嬉しいんですけどね。

 

 

「私とショウコちゃんとソウジでラージャンの狩猟ー。ガーグァ車のおじさんが車載せてくれてー、対人はフェニクさんの護衛付きー。…………うーん、イケるイケるー。」

 

 

とっても楽観的な事を言うセツヒトさん。

…………まぁ、言葉にすれば単純な話だ。

 

…………やってやる。

 

 

そんなやる気に満ちている俺に冷水を打つように、シガイアさんがあることを尋ねてきた。

 

 

「…………ソウジさん、例の赤い目……どうですか?」

「えっ?いや、特になんともないですけど……。」

「まだ赤いままなんですよね?」

「はい。」

「…………くれぐれも用心なさってください。あなたを失っては、このギルド、いや、ハンター界全体の大きな打撃になる。」

「は、はい。」

「今回も、セツヒト一人では中々行かせられないところに、ソウジさんという強力なカードがあって、初めて成り立つ話です。警戒するに越したことはない。」

「…………。」

「個人的にもあなたのファンですから。くれぐれも、お気をつけください。」

「…………はいっ!わかりました!」

 

 

俺は、期待に応えようと、元気よく返事を返した。

 

 

* * * * * *

 

 

ここまでが、昨日あった話。

だが家に帰ってよくよく考えてみると、段々と緊張してきてしまった。

ラージャンとか妨害とか。

色々なことが頭の中を渦巻いている。

 

 

「ご主人様。まずは、みなさんと合流しましょう。」

「…………そうだな。」

 

 

考えていても仕方がない。

俺達は朝食を手早く済ませ、待ち合わせのガーグァ車乗り場に向かうことにした。

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