「ガー。」
「グー。」
「…………呑気な顔……癒やされる……。」
衝撃的で間抜けな時間から、明けて次の日。
俺はふらっとガーグァ達の厩舎にやってきていた。
色々あったもんで、リフレッシュも兼ねてランニングをしてみたのだが、この村は広い。
いや、村が広い、という表現は少し正しくない。
延々と続く畑。
村と畑の納屋と、その境界線が微妙なため、村の周回と言ってもどこを走ればいいかわからなかった、というのが正解だ。
チダイ村は一大農産地。
ワサドラにも結構な広さの畑が広がっているが、次元が違う。
北海道に旅行に行ったときのことを思い出してしまった。
人を見かけることも殆どない、のどかな道を走る。
少しずつ気持ちが楽になる。
結構なペースで走るため、ワサドラではぶつからないように気を使うのだが……ここは楽だ。
そして10周を越えたところで、この厩舎に立ち寄った、というわけである。
「ガー。」
「グー。」
「…………。」
間抜けな面。
これでいてコイツらは、かなり優秀。
天敵のジンオウガの縄張りにも臆することなく、忠実に走ってくれる。
おじさんの腕もあるのだろうが、これまでに何度も助けられた。
「今回ばかりは……助けてくれないよなぁ……。」
* * * * * *
昨日の出来事。
四人に、すごいところを見られてしまった。
セツヒトさんから告白されて、キョドッた俺。
グイグイくるセツヒトさん。
……あれは……キスをしようとしていたんだよな。
……。
……。
ま、まぁそこはひとまず置いておいて。
そこから4人がなだれ込むようにやって来た。
いくら何でもタイミングが悪すぎた。
ショウコは俺以上にテンパるし、教官はなぜかご機嫌だし。
フェニクさんは「そうきたか……。」とか訳の分からんこと言うし、トツバはしらーっと俺を見つめるし。
そんな4人にどう言い訳したもんかと思ったら。
セツヒトさんが言い放った言葉。
これに全員が驚いた。
『あー……ごめんねー、告っちゃったー。……我慢ができないもんでー……。』
これにはあっけに取られた。
漢らしいわ。
言い訳とか考えていた俺、恥ずかしい。
その後はもう、セツヒトさんに質問攻め。
俺はなぜかベッドの上に正座して、女性陣がくっちゃべっているのを聞くばかり。
『せせせセツヒトさん!!ついに!ついにぃ!』
『落ち着いてよー、ショウコちゃーん。……なんかごめーん……。』
『い、いやいや!なんで謝るんですか!?』
『えー、だってショウコちゃんーーー』
『す、ストップです!……セツヒトさん、かっこええです!ウチも覚悟、決めました!』
『おー。さすがショウコ。私の親友。』
『と、トツバ……からかわんといてや……。』
当事者なのに蚊帳の外。
正座でかしこまる俺、かっこ悪い。
そんな時、フェニクさんが俺の横に座り、質問をしてきた。
『で?ソウジさん。返事はしたのかい?』
『……。』
『……その様子だと、まだみたいだね……。まぁ、我々もタイミングが悪かったからね。』
ふう、とため息をつくフェニクさん。
すると、いつも以上にキリッとした顔で俺を見つめてきた。
『ソウジさん、いいかい?君は、自覚した方がいい。』
『……。』
『誰もが優しく、言わなかったのだろうけどね。……無意識に人を傷つけてしまう、そういうことは、あるんだ。あぁいや、今回の件に限らず、だけどね?……君は今、あらゆる人間に好意を向けられている。……これ以上は私が言う資格などないのだろうが……これだけは言わせて欲しい。』
『……はい。』
『まさか引き伸ばそうとか、そんなことを考えてはいまいね?……もったいつけるような人間は、碌なもんじゃない。……普段の様子を含め、いい加減にしたまえよ?ソウジさん。いや、ソウジ君。』
……これは効いた。
心の臓に、突き刺さった。
……その後は見兼ねた教官に無理やり連れ出された。
教官に用意された部屋で、おじさんと男三人で、過ごさせてもらった。
脱ぎ癖がすごいセツヒトさんにも、気を遣ったみたいだ。
……教官が俺とセツヒトさんに気を遣うなど、よっぽどである。
ちなみにおじさんは『やっとかよぉ!!』と言っていた。
何でも、中々仲が進展しない俺たちを見て、ずっとヤキモキしていたらしい。
はたから見ても分かるような感じだった、ということだ。
……俺はその好意を、ずっと無碍にしていたわけだ。
申し訳ない気持ちで、いっぱいである。
……以上、回想終わり。
* * * * * *
『いい加減にしたまえよ?』
「うぅ……。」
「グァー……。」
「グー……。」
フェニクさんの言葉が何度も思い出される。
心が痛い。
情けない声が漏れる。
心配げに見てくるガーグー達。
……まぁ本当に心配しているわけではないだろうけど、そう見えた。
こいつらにまで心配をかけていては、もうダメの極みである。
「…………よし。」
セツヒトさんに返事をしなければならない。
セツヒトさんはああは言っていたが、これはケジメだ。
フェニクさんに言われたから返事をする、ではない。
俺が、そう思うから。
今まで何にも気づいて来られなかったから。
俺なりに、返事をする。
心を、決めて。
「いつまでもこのままじゃいけない、よな。」
「……ガー!」
「……グー……。」
ガーグー達が「せやな」とでも言うように、俺に頭を向けてくる。
……いや、撫でろ、ということか。
もちろんいいけど。
「…………。」
こいつらを撫でると。
何故だろう。
俺の頭には、あの人の笑顔が浮かんでくる。
勤勉で、たまにドジで、いつも俺を一生懸命に応援してくれて。
俺がハンターとして生きると決めた、その初めの初めから付き合ってくれた、あの人。
俺の強さとか、見てくれとか。
そういうところではなく、純粋にハンターとしての俺を支えて続けてくれた、あの人の笑顔が。
支えてくれた人は、他にもいる。
更に頭に浮かぶのは、俺の最高の相棒の姿。
いつも一生懸命で、俺のそばにいつも居て、叱咤激励してくれて。
自分の境遇に屈することなく、常に明るく場を照らしてくれる、相棒。
とても頼りになる、相棒。
世話になっているというなら、俺を一番に親身に思ってくれているあの子も、忘れてはならない。
この世界に来て、何も知らない俺を、温かく迎えてくれて。
あの子といると、心底安心する。
若いのに、落ち着いていて、気兼ねなく話ができて……そんな関係性が、とても心地よい。
「……俺は何て失礼な奴なんだ……。」
セツヒトさんに気持ちを打ち明けられたばかりだというのに。
次から次へと違う女性を思い浮かべてしまった俺は、やはりダメなやつだ。
フェニクさんの言う通り。
いい加減にしよう。
「……さて。」
自分のことばかり考えてもいられない。
一先ずは、これから先の事。
ラージャン討伐の報告……あの黒いモンスターについて。
喫緊の課題であり、俺のレベルアップには欠かせない、装備の新調について。
そして、シガイアさんから言い渡されている、赤い目のモンスターの件。
その辺も、何とかしないと。
「よしっ!」
気合を入れ直して、厩舎を後にした。
とりあえず、セツヒトさんには普通に接しよう。
ワサドラに帰って落ち着いたら話をしませんか、と。
そこだけ、伝えよう。
俺は、長閑な村の通りをゆっくりと歩き出した。
* * * * * *
一日経って、俺の体はかなり良くなっていた。
ショウコからはいつものように、「その回復力、引きますわぁ……。」とお褒めの言葉を預かった。
ものすごくポジティブに、ありがたくその言葉を受け入れることにした。
セツヒトさんは見た目元気そうだったが、詳しくはわからない。
だが、なるべく早く医者に診てもらった方がいいだろう。
毒矢をさされたというのに、「あいつにも色々事情があるんでしょー。」と、犯人の男を擁護するようなことを言っていた。
仏か。
そして、お世話になったイパスさんに、礼を言いに行った。
「もう少し居てくださって構わないのですが……申し訳ありません。ここには首都やワサドラのような腕のいい医者はおりませんで……。」
「いえいえ、そこまでの距離じゃありませんし。こんな大人数を泊めていただいて、ありがたい限りです。」
「そう言っていただけると、大変ありがたい限りです。ソウジさん……。」
「…………ど、どうしました?」
「また、遊びにいらしてくださいね?ラージャンの討伐というあなたのハンターとしての大きな節目に立ち会えたこと、誇りに思っております。」
そう言うと、イパスさんがその円縁のメガネを外した。
なーんかこの人怖いんだよなぁ……。
含む言い方が多すぎて、もう訳がわからなくなる。
「あ、ありがとうございます。」
「個人的に、えぇ、個人的にではありますが……私は、あなたの進む道を邪魔はしないと、ここに明言いたします。」
「……そ、それはどうも。」
そ、それはあれか?
中立の立場にある、大陸に大きく影響を持つ人物として。
俺の味方でいてくれる、とか……そういうこと?
「どうか、道中お気をつけください。
「…………あ、ありがとうございました!!それでは、失礼します!!」
ダダっ!!
バタン!
「ふ、ふー……。」
あー怖!
もう色々背負いたくなくて、逃げ出すように部屋を出てしまった。
南風。
南。
……首都、だよなぁ……。
あの人、何からどこまで知っているんだろう。
……できるなら今後とも、あまり関わりたくはない方であった。
* * * * * *
「道中気をつけて行こう、おじさん。」
「おぅ、フェニクさん……だったか?頼りにしてるぜ!」
「あぁ。まぁこの車には、最強の御仁がいるからね。護衛として情けない話だが、安心だよ。」
チダイを出発してから数時間。
御者台に座るおじさんとフェニクさんが話をしている。
頼りになる御仁。
それはもちろん、この方である。
「はーはっはっはっ!!気持ちがいいものだな!幌の上というのは!!」
マショルク教官。
恐らく、セツヒトさんに並ぶ最強の一角。
「教官!なんで仁王立ちで突っ立ってるんですか!!」
「見張りを行っているのだ!私が気配を出して、モンスター一匹寄せ付けないと約束しよう!」
「あ、教官もそういう部類でしたか。」
セツヒトさんもいつだかやっていたが、殺気を放ってモンスターが近寄ることさえ許さない芸当。
意味がわからんかったが、どうやら俺の知り合いは意味わからん連中ばっかりのようだ。
まぁ……教官なら落ちても死なないだろう……。
よし、放っておこう。
それに、荷台の中に入られたら、正直困る。
「あいつー……うるさいんだよーもー。」
なぜなら、セツヒトさんがここにいるから。
荷台にいるのは、俺、セツヒトさん、ショウコ、トツバ。
教官とセツヒトさんが犬猿の仲になっているのは、全員知っている。
おじさん以外。
「ご、ご主人様……セツヒトさん……マショルクさんに怒ってるんちゃいます?」
「うーん……まぁ何だ、気にするな。」
「ど、どうしてご主人様はそんなに落ち着いているんですか……。」
「……慣れた。」
どうにもならんことがこの世にはあるのだ。
二人の関係は、色々と深い事情があるからなぁ。
「慣れって……そ、そういえばご主人様、セツヒトさんにご返事は……。」
「あぁ……色々考えた。……セツヒトさん。」
「んー?何ー?ソウジー。あとー、せっちゃんー。」
俺とショウコがいるのは荷台の前方、おじさんの後ろ。
荷台の後方には、過ぎていく景色をぼーっと見つめるセツヒトさん。
そんないつもより少し落ち着いた様子のセツヒトさんに、話しかける。
「せっちゃんさん……横、失礼します。」
「何ー?そんなに私にくっつきたいのー?」
「いえ、話がしたいんです。……ワサドラに着いて、落ち着いてから。」
「お、おー……。うん……りょーかい。」
「……ありがとうございます。」
いつも通りのテンション。
軽いイジリは、今回ばかりは完全にスルーしておいて。
要件だけ伝えると、俺は荷台の中央に腰を下ろした。
「ご主人様……胎決めたんですね……いいです!男らしい!」
「な、何を言うか!俺はいつでも男らしく……無かったなぁ……。」
今までの所業を思い出して、ヘナヘナと力が抜ける。
失礼すぎる。
かっこ悪すぎる、俺。
「ご、ご主人様!?ど、どうしたんです!?」
「い、いや。おれ、かっこ悪いなぁと……。」
「ソウジ。はっきり言って身から出た錆。昨日のフェニクの言葉。とくと味わうといい。」
「うぐっ。」
『いい加減にしたまえよ?』
あぁぁぁあぁ。
トツバの言葉がクリーンヒット!!
俺の精神に百万ダメージ!
ついでにフェニクさんの言葉も思い出して追加百万ダメージ!
恐ろしいコンビである。
「…………まーまー、トツバちゃーん。これがこいつの良いところでもあるんだからさー。許してやってよー。」
「だめ。こういう男は周りまで駄目にする。おしおき。セツヒトもみんなも苦しんだ。」
うぐぅ……。
正にぐうの音も出ない。
いや、ぐうの音だけしかでない。
「そーなんだけどねー。……ソウジー、ごめんねー。フォローできないわー。」
「い、いえ、いいんです……俺は……最低です……。」
「アカン……ご主人様が真っ白になっとる……。」
「んー、ちょっとだけー、いい気味ー。でも可愛そうだからー……。」
ヘナヘナを通り越してヘニャヘニャ。
そんな俺の耳元に、セツヒトさんが近寄ってくる。
「そんな情けないソウジもー……いいよねー……。(ボソッ)」
「…………っ!!」
…………ボンッ!
一瞬で顔が赤くなる。
おぉ……今のは効いたわ……。
「……セ、セツヒトさん、何言うたんですか!?」
「んー?……ワサドラまでの、牽制ー?」
「い、いや聞かれても……。」
「……ショウコちゃーん、私やるときはやるからねー?」
「!?」
「んふふー……がんばろうねー?」
「う、うぐぐ。」
「ファイト、ショウコ。」
女性陣がギャーギャー何かを言い合う中、俺は荷台に横たわったまま。
移動一日目はこうして過ぎていった。
あ、あと半日もあるのね……。
* * * * * *
その後も無事に移動を終えた。
ワサドラにたどり着いたのは、チダイ村を出発して一日と少し。
「やっぱり一流と移動すると楽だわ!」とおじさんが言うように、来たときよりも更に早くたどり着いた。
教官の殺気。恐るべし。
ちなみにその教官は昨晩、セツヒトさんと何か話しているようであった。
ステゴロの喧嘩でもおっ始めないかと心配したのだが、杞憂に終わったので、そこは安心した。
ショウコなんか「ご、ご主人様、止めんでええんですか!?」と、めちゃくちゃ心配してたけど。
あの二人にも色々あるのだし、いい大人だ。
むしろ良い機会だと思って、何もしないことにした。
何を話していたのか気にはなるが……次の日のセツヒトさんがそこまで機嫌を悪くしていなかったので、悪い話し合いではなかったのだろう。
「それじゃおじさん、ありがとうございました!移動、お疲れさまでした!」
「おうよ!また呼んでくれよな!ソウジさんなら、ロハでもいいぜ!」
「いやいや、そこはちゃんとお金払わせて下さいよ。」
「ははははは!まぁ冗談だけどよ!……あー、まぁ、何だ。ソウジさん。……頑張れよ!」
「……はいっ!」
「おう!いい返事だ!それじゃあな!!」
おじさんにお礼を言って、そこで別れた。
いつもいつも気さくで、且つ素晴らしい仕事ぶり。
かっこいいぜ。
これからも懇意にさせていただきたいものである。
「さて……それじゃまず、ギルドの医務室に行きましょうか。すぐ報告もしましょう。」
「はーい……フェニクー、おんぶー。」
「えっ!?……わ、私か!?それはお安いご用だが……。」
思わぬセツヒトさんの言葉に、戸惑うフェニクさん。
しどろもどろになるこの人も、珍しい。
こういう時のセツヒトさんは強い。
だが、より強引なお方がここにいるのを、忘れてはならない。
「何だセツヒト!情けない!ほら、私が肩を貸してやろう!」
「……絶・対・嫌ー!」
「ははははは!何!遠慮するな!」
「人の話を聞けー!!!」
ヒョイッと担がれたセツヒトさんは、多少ジタバタしたものの、何とまぁ大人しく教官に担がれていった。
……お、おぉぉ。
な、何があったんだあの二人。
そんな姿を見て、ショウコが話す。
「何か……滅茶苦茶仲の悪いきょうだいみたいですね……。」
「あ……それだわショウコ。しっくり来た。」
「……お二人は仲が悪いと聞いていたが……そこまでではないのだな。」
「フェニクさん。いや、珍しいですよ。俺も驚いてます……昨晩何話したんだろう……。」
二人の事情を結構知っている俺としては、ちょっと驚き。
……少しは和解したのかな……。
嬉しい。
「こらー!!もうちょっと優しく運べこのバカマショルク!!」
ズドゴォン!!
「ぐぅぉぉぉ……い、今のは効いたぞ!セツヒト!」
「…………ふんっ!」
スタスタスタスタ……。
な、仲良くなったのかなぁ……。
うん、そういうことにしよう。
俺たちも後を追うように、ギルドに向かった。
……人の頭を殴る音ではなかったぞ……。
* * * * * *
ギルドは、ちょうど混雑時間が終わったところであった。
まだハンター達は結構いたが、朝と夕の渋滞ほどではない。
入り口に入ると、中がめっちゃザワザワしだした。
……まぁ、確かに。
教官にセツヒトさん、人気の高いショウコ、美人でかっこいいフェニクさん。
トツバも……まぁマニアックなお方にはどストライクだろうし。
話題には事欠かなそうなメンツである。
ちなみに、ギルドに入る時には流石に教官もセツヒトさんを下ろした。
ムスッとしながらスタスタと医務室に向かうセツヒトさんが、ちょっと可愛かったのは黙っておこう。
そんなザワザワとした雰囲気の中、フェニクさんが口を開いた。
「さて……ソウジさん。我々は別口の依頼だからね。報告はこちらで済ませるよ。護衛と狩猟はまた扱いが違うようでね。」
「あ、そうなんですね……わかりました。その、色々とありがとうございました。……助かりました。」
「ははは、ラージャンを倒した人間に頭を下げられては困るんだがね…………あー…………その、ソウジさん。」
「はい?」
フェニクさんは、俺達とは別に報告する必要があるらしい。
一緒にすれば効率的だと思うのだが。
報酬の出所が違うからだろうか?
……まぁ考えても分からん。
そのフェニクさんは、なにか言いたげにモジモジしている。
この人の珍しい姿を、今日はよく見るなぁ。
「…………ソウジさん、その、昨日は言いすぎてしまった。済まない。」
「い、いやいや。その、俺も色々と反省しました。……ありがとうございます。」
「…………あぁ。次は是非、クエストでハンターとして、ともに戦いたいものだ。色々教えてほしい。」
「俺なんかで良ければ……是非。」
「あぁ。それでは、な。行こう。トツバ。」
「ソウジ、ショウコ、ファイト。じゃ。」
スタスタスタ……。
二人がハンター用の受付とは違う方に向かっていった。
何気に今回とても助けられた二人である。
もし今回彼女らがいなかったら……苦しかっただろう。
次は厄介なクエストではなく、一緒に狩りを行いたいと思う。
さて。
俺たちもラージャン狩猟を報告したいところだけど……。
「お、お疲れさまでした!みなさん!」
「あ、ハイビスさん。」
俺たちを見つけると、いつもの受付嬢の制服を着たハイビスさんが走り寄ってくる。
眩しいその御姿に、いつもなら心の中で感謝申し上げるところなのだが……。
どうにも何だかドキドキしてしまう。
…………セツヒトさんの告白のせいか、意識している俺。
……アホか。とっとと本題に移ろう。
仕事だ、仕事。
「すみません、ラージャン捕獲の報告をしたいのですが……。」
「ええ!もちろん!狩猟、本当にお疲れ様でございました。みなさん、ギルドマスター室までお願いします。……あれ?セツヒトさんは……。」
「…………色々と、事情が。とりあえず、セツヒトさんが怪我をしました。」
「えっ!!??」
「医務室にいってもらってます。命が、とか、そこまでではないとは思うんですが……。」
「…………わ、分かりました。」
顔が白くなるハイビスさん。
仲良くなったもんな、セツヒトさんとハイビスさんの二人。
そもそもセツヒトさんが怪我する姿が想像できない。
「……よかったら、医務室へ行かれては?」
「えっ。」
「心配……なんですよね。」
「…………す、すみません。すぐに戻りますので!み、皆さんはお部屋まで、どうぞ!」
タッタッタッ……。
医務室のある方まで駆けていくハイビスさん。
まぁ、俺たちが報告すれば……問題ないだろ。
セツヒトさんとハイビスさん、かなり仲良くなったよなぁ……。
そんな一部始終もあり、周囲からの視線が熱い。
「おそらく、ラージャン捕獲の報告は来ているが故、こうも周りに見られるのだろうな!なに、気にせず堂々と行こう!」
「ウチ……ちょっと恥ずかしいです。」
堂々としていられる教官の方が珍しいと思う。
* * * * * *
コンコン。
『はい。空いております、どうぞ。』
「あ、失礼しまーす……。」
ガチャ。
ゾロゾロとシガイアさんの部屋に入る俺たち。
ショウコに教官、そして俺。
セツヒトさんはまだ診察中。
「皆さんお揃いで。狩猟、お疲れさまでした。」
「いえ。」
「狩猟の簡単な内容については、先程伺いました。マショルク、報告助かった。どうやら力になれたようだな。」
「あぁ!だが、正直ギリギリだったな!ソウジ君!」
「はい……教官が来てくれなかったら、多分俺……。」
「……ははは、なるほど。その辺も含めて、お話を聞きましょう。」
革張りのソファに腰を下ろした俺たち。
物珍しいのか、ショウコはキョロキョロとして落ち着かない様子である。
猫っぽい。
「じゃあですね……。」
腰を落ち着けたところで、シガイアさんに詳細を伝えることにした。