コーヒーを頂いてしばらく後、シガイアさんは仕事に戻っていった。
なんだかんだ、やっぱりお忙しいんだろう。
昨夜も遅くまでミヤコさんと話していたみたいだけど……何だったんだろう。
……まぁいいか。偉い人たちの考えなど、気にしたところでしょうがないだろうし。
…………。
コーヒーを飲み干した俺は受付に向かった。
夕方にはまだ早い時間。
もうそろそろ、クエスト帰りのハンターたちが増えてくることだろう。
その前に、一言ハイビスさんに挨拶をしておこうと思った。
「お疲れ様です。」
「あ、ソウジさん!お疲れ様です……どうされました?」
「いや、特に用事があるわけでは無いんですけど……そのほら、明日からお世話になりますので、挨拶を。」
「あ……そ、そうでしたか。ちょ、ちょっとお待ち下さいね!」
受付に広げられた書類をサッと片付けると、ハイビスさんが姿勢を正す。
……座っている横、作業用の小さい机の下に、お菓子の袋が見えた。
隠れて食べているのかな。
口の周りを何となく見たが、特に汚れてはいないご様子。
良かった。以前は食べかすが残っていて、指摘するかどうか迷ってしまったから。
こういう抜けているところが多々あるのに、仕事はきっちりとされるのだから、人間とはわからないものである。
人間分析の真似事を一瞬で終えた俺は、ハイビスさんの向かい、受付の椅子に座ることにした。
「お待たせしました、ソウジさん。」
「いえ、ありがとうございます。……とはいっても、本当に挨拶だけなんですけど。」
「はい、シガイアから聞きました。明日からどうぞ、よろしくお願いいたします!」
「はい、よろしくお願いいたします。……冬山の時依頼ですね、こういうの。」
「ふふ……楽しかったです、あの冬山の出張。」
「はい。」
冬山。
冬季になるとモンスターが減り、ハンターたちも少なくなるワサドラ。
その間、俺を鍛え上げるためにセツヒトさんが考えたのが、冬山への遠征だった。
ギルドの業務も兼ねて、ハイビスさんも同行して、何とも奇妙な三人旅になったが……。
うん、今思い返せば、結構楽しかったと思う。
「あんな雪景色、中々拝めませんからね。」
「俺も初めてでしたよ、あんなの。明日から向かう首都は、冬はどうなんですか?」
「雪なんて全く降りませんよ?一年中暖かくて、冬はこちらよりもよっぽど過ごしやすいんです。……モンスターの数も、それなりですけど。」
「あー、なるほど。」
厳しい気候に適したモンスターもいれば、温暖湿潤な気候を好むモンスターもいるか。
というか、後者の方が普通か。
なんであの雪山、冬にモンスターが増えるのか……その辺りの疑問は付きないけど。
「私とヒナタは同郷……ザキミーユの西側出身なんですよ?首都の中では、治安は良いほうです。」
「へぇ。じゃあ他の場所は?」
「首都と言っても広くて、私も全部は分かりませんけど……中央はとにかく厳かな建物が立ち並ぶ都会ですね。ワサドラの比じゃありませんよ?」
「おぉ、すごいな。見たい。」
「ふふ、時間があれば、私が案内します。北部は、農産物品を扱う大きな市場があります。南部は更に南の港町ニナンチと首都を運河で結ぶ場所ですから、商業系の建物が多いです。」
「じゃあ東部は?」
「西と同じで住宅街が広がってます。……良くも悪くも、大雑把な人が多くて……あ、あまりおすすめは……。」
「へぇ……。」
首都の話は色々と聞いたことが合ったが、こういう地理的な中身まで聞いたのは初めてだった。
ちょっと面白い。
街の成り立ちとか昔の道とか、そういうのは大好物である。
「いいですね、そういう話。あちらへの道すがら、もっと聞かせてほしいです。」
「は、はい。私で良ければ、いくらでも!」
やけに張り切っているハイビスさんであった。
「……ソウジさん。」
「はい?」
明日の集合時間や持ち物について話をしていると、ハイビスさんが少しだけ真面目な顔をした。
名前を呼ばれ、返事をする。
「シガイアから聞きました。古龍の討伐……なんですよね。」
「あ、はい。」
「ど、どうしてそんなに落ち着いていらっしゃるのかなー、と。思いまして……。」
「あぁ、それは……。」
何でだろう。
今日一日、俺は非常にリラックスして過ごしている。
覚悟は変わらない。
むしろ色んな人に会いながら、だんだんとやる気に満ちてきている。
……女神様のおかげなのかも。
朝、やたら頭がスッキリしていたし。
「……一生懸命やるだけ、ですから。」
「だ、だけって……。」
「相手は古龍。もしかしたら死ぬかも知れません。」
「…………。」
「でもまぁ、やるしかないなら、やってやりましょうという気持ちというか。約束なんです、ある人との。精一杯生きるって。……だからですかね。落ち着いてます。不思議と。」
女神様とはもう会えないけど。
約束は変わらない。
俺は、精一杯生き続ける。
死ぬまで。
「……ソウジさん、この席、覚えていますか?」
「え?」
「ここ……ソウジさんが初めてギルドに来た時の席なんですよ?」
「あぁ……。」
思い返す。
懐かしいなぁ。
……マジでなんにも知らなかったな、俺。
とりあえずモンスター倒したろ!ぐらいの気持ちだったっけ。
「……俺あの時、右も左もわからなかったです。」
「はい。それはもう、私が鮮明に覚えております。前代未聞でしたから。」
「うっ……。」
「ふふふっ……でも、予感したんですよ?」
「えっ?」
「この人を、ここで逃しちゃいけないって。絶対、大物になる気がするって。直感で、こう、感じたんです。」
「そ、そうだったんですね。」
記憶では、俺が何も知らないでくのぼうだと判明してからは、何かちょっぴり冷たかったように覚えているのだが……。
「それが今や、ギルドから古龍討伐を依頼されるまでになって。……私の目は正しかったんですね。」
「いや、倒せるか分かりませんけどーーー」
「ーーーた、倒します!」
ハイビスさんが、大きな声を出した。
当然その声はギルド中に響き、何があったのかと周囲の視線がこちらに集まる。
しかし、ハイビスさんは堂々と続けた。
「ソウジさんは、か、必ず!この大陸中に名を馳せるような、立派なハンターになるんです!」
「ハイビスさん。」
「わ、私が担当するソウジさんは、絶対に!」
「…………。」
冬山でも言われたこと。
思い出した。
この人は、いつでも俺を応援してくれる。
「で、ですから!」
「ハイビスさん。」
「は、はい!」
「ありがとうございます。嬉しいです。」
「あ……。」
「ハイビスさんがそうやって後押ししてくれるだけで……やる気が漲ってきましたよ。」
「…………いえ!お力になれたなら、私も嬉しいです。」
笑顔で応えるハイビスさん。
眩しいなぁ。
だけど。
「な、なので……その、大声は控えた方が……。」
「えっ?……あ……。」
自分でも気づかなかったのだろう。
大きな声を出してしまったことが今更恥ずかしくなったのか、ハイビスさんは顔を真っ赤にして俯いた。
あらら。
「す、すみません……。」
「…………ははははは!!」
「ちょ、ちょっ!ソウジさん!笑わないでくださいますか!?」
「す、すいません、つい。……ははははは!だ、ダメだ!」
「ソウジさん!……もぅっ!」
ハイビスさんの気持ちが嬉しくて。
抜けているハイビスさんはやっぱりいつも通りで。
つい笑ってしまった。
その後、キョドりまくったハイビスさんが自分のお菓子を床に散乱させ。
涙混じりで謝りながら、俺と掃除を行うという珍事が発生。
また俺が笑ってしまったものだから、ハイビスさんはすっかりむくれてしまった。
明日からは、長い道のり。
折を見て、謝ろう……。
* * * * * *
ギルドを後にした俺は、そのまま真っすぐ宿に帰った。
夕飯をとって、部屋でボーッとする。
日課のトレーニングも今日は軽め。
ショウコは「ご主人様がいなくなってから大変でしたよ!」と愚痴を言いながら、銭湯に向かっていった。
一体オスズに何をされたのか。
気になったが、聞かないことにした。
ちょっと嬉しそうだったし。
ベッドに腰掛け、すっかり暗くなった窓の外を見る。
向かいにある建物の明かりが灯った。
「………………。」
静かな時間。
しばらくは、こうやってゆっくりとワサドラで過ごすこともできなくなる。
外からは、野太い笑い声。
ガヤガヤとした喧騒、今日もそこかしこで飲み会が行われているのだろう。
こういう平和な夜を、いつまでも迎えられるように。
ハンターとして、俺は頑張りたい。
決意は固まっている。
だがまぁ……今はのんびりする……か……。
「…………!?」
衝撃が走った。
声にも出せず、ただただ驚く。
なぜなら、窓の枠、その下。
いきなり手が出てきたからである。
(えっ!?人!?)
思わず近寄ると、その手の持ち主が分かった。
……何てアホなことをしてるんだ、この人は。
「セツヒトさん……何してるんですか、そんなところで。」
「せっちゃんだってー……よーい……しょっと!!」
「うわ!!」
窓枠にかかった手はセツヒトさんであった。
窓を開けるなり、身軽にヒョイッと部屋の中に入ってくる。
「…………ここ、二階ですよ?」
「知ってるよー。だからジャンプしてきてみましたー。」
「何故そこまでして……。」
「んー……夜這いー?」
「ぶふぉ!!」
夜這いて。
こっそり侵入しようとする辺り、まぁ確かに泥棒か夜這いっぽいけども。
俺が思わず吹き出したものだから、セツヒトさんが顔を顰める。
「わー!きちゃなーい!冗談だよー。」
「分かりにくいですって!マジかと思いましたよ!」
「まぁでも半分は……そのつもり?」
「何故に疑問形!そして俺は貞操の危機!?」
「はははー、冗談だよー。……その、お話をしに、ねー?来たんだー。」
「は、はぁ……。」
備え付けの椅子に腰掛けたセツヒトさん。
俺はそのままベッドに座る。
「聞いたよー?明日から、行くってー?」
「あ、はい。そうなんです。……って、誰から聞いたんですか?」
「シガイアさーん。」
「あ、なるほど。」
相変わらず主語も間も抜けた話をするセツヒトさん。
付き合いも長いため、それなりに会話は成り立つけど。
「……しかもハイビスちゃんとかと一緒なんでしょー?」
「あ、そうです。何でも、ワサドラギルド側からも人間を出す、って言ってました。シガイアさんが。」
「へぇー……ふーーーん。」
「……な、何でしょうか。」
シガイアさんがセツヒトさんに伝えたということか。
すると、セツヒトさんが素っ頓狂なことを言い出した。
「……私は残るけどー……ソウジ、その、寂しいー?」
「へっ?」
寂しいって。
どういうこと?
「……そりゃ、まぁ。セツヒトさんとはしばらく会えなくなりますけど。」
「そーそー。だからー……さ、寂しいー?」
「……もしかして付いてきたい……とかですか?」
「な、何を言うのー?このセツヒトさんがー……そんなこと言うわけ無いでしょー?」
「は、はぁ。」
いや、だって。
あからさまにモジモジしてるし。
この人がモジモジとか、明日は雨か?
……ついてきたい……のかな。
「いや、危険な狩猟になりますし。」
「いやいやー、私だよー?この天下のセツヒトさんだよー?古龍なんて、ボッコボコにするってー。」
「…………。」
プロボクサーのシャドーボクシングのように、パンチを繰り出すセツヒトさん。
そりゃ、セツヒトさんが付いてこられるなら百人力だ。
だけど……。
「…………ふっ!」
「!!?」
ヒュン!!
セツヒトさんが繰り出す拳。
その隙間を縫うように。
俺はセツヒトさんの左肩にグーパンチをかました。
「っ……!!」
「…………やっぱり。ダメじゃないですか。」
「…………うー……ソウジにはわかるかー。」
「そりゃ分かりますよ。……見れば。」
俺が出した右拳。
剣の速度に比べれば何てこともない、子ども騙しのパンチ。
左手でそれをいなして、俺のがら空きの左半身に右を返せばそれでよし。
だが、セツヒトさんはできなかった。
返せなかった。
右手で左肩を庇い、防ぐような動き。
シャドーボクシングの様を見ていたらわかる。
明らかに、良くはない。
精細を欠いた、何かを気にしているフットワーク。
……先のラージャン戦で痛めた左腕は、良くなっていない。
そう判断して、試してみたけど。
「……俺を庇った、傷ですね。」
「うー……そうなんだけどー。で、でもねー?右手だって戦え―――」
「―――絶対に、ダメです。」
「…………。」
「俺の前で傷つくのは……もう、させたくない。」
心情として。
セツヒトさんが傷つく姿など、もう見たくもない。
それに、現実として。
俺の、力も入れていない簡単な攻撃をいなせないようなセツヒトさんは。
……多分、戦えない。
「…………うん……そうだよねー……。」
「…………。」
「いやー、流石に古龍はねー。ちょっちー……キツいか。」
「ちょっとではなく、キツイですよ。……というか、俺が気づいてなかったら付いてくるつもりだったんですか?」
「…………うん。」
「いや、それは―――」
「―――ソウジが、好きだから。」
「っ!!」
思わぬ返事。
ドキッとする。
「……ただ、それだけ。……ソウジ、目が、本気だから。」
「…………。」
「考えたくないんだよー?でもさー……そんな目をして、消えてった奴なんて、たくさん見てきてからさー……。」
「…………。」
「ふ、不安……なんだよー。うん。本当に……。」
……俺が言ったことだ。
セツヒトさんの想いに対して、応えた。
「大切な人を失う悲しみは、味わいたくない」と。
でも。
今セツヒトさんは、そういう感情にとらわれているわけで。
だから。
「ついていって、少しでも、ソウジが生きていられるならさー……そりゃー、い、行きたいよねー。」
「…………セツヒトさん。」
「…………。」
セツヒトさんの想いは、とても良くわかる。
俺のことを、好きだと言ってくれた。
何てありがたいことだろう。
……返答は、もちろん。
「……ダメです。」
「えーーー!?なんでよーー!!」
「いや、当たり前ですよ!怪我したままの人を連れて行くとか、頭おかしいやつですって!」
「で、でもさー!ここは『わかりました、愛しの人よー!』とか言って抱きしめるとこでしょー!?」
「それはもっと頭おかしいですよ!!」
連れて行けるわけ無い。
アホか。
「その、セツヒトさん……だ、大事だからこそですね、連れて行くわけにはいきません。」
「う…………。」
「俺、絶対に帰ってきます。……約束します。だから、無理はしないで下さい。」
「…………む、むー。」
「…………。」
「…………わ、わかったよー……もぅ。」
ようやく折れるセツヒトさん。
説得……できたのか?
「……もー!ソウジー!ロマンのかけらもないよねー!」
「いや、めっちゃ現実考えなきゃいけない場面ですよね!?」
「それはわかるけどさー?こー、なんていうのー?ほら、ロマンティックにー?」
「……はいはい。」
「あー!!適当になってきた!!さいてー!!」
ギャーギャー言われても。
お互い様だけど、俺はセツヒトさんの死なんて見たくもない。
そりゃ、そっちもだろうけど。
何が何でも、現実を見させてもらう。
「……絶対に、帰ります。俺。絶対に。」
「…………約束、だよー?」
「…………はい。」
「…………ま、まぁ?よーし。」
良しとか何とか言うけども。
……変な所でガンコなセツヒトさんが折れたのは、やっぱり自分の状態を分かっているからだろう。
この人は超の付く実力者なわけで。
自分の状態なんて、とっくのとうに分かりきっていたはずだ。
「……腕、相当悪いんですよね?」
「…………ま。まぁ、ねー。」
「やっぱり……。」
俺をかばってできた傷。
あの獄狼竜を相手にしてできた古傷をえぐったわけだ。
未だに痛むのは、仕方がないし、何よりも申し訳ない。
「…………。」
「…………。」
静寂。
お互いに黙り込む。
聞こえるのは、外の喧騒。連日のお祭り騒ぎは今夜も続いている。
なのに、俺とセツヒトさんは静かなまま。
変な時間が流れる。
……な、何か、お互いにお互いを思いやっていたからだろうか……ちょっと気恥ずかしい……。
「ま、まぁさー。」
「……はい。」
そんな間を嫌ってか、セツヒトさんが静寂を破った。
「ソウジのためにできた傷なら……まぁ、いいよねー。」
「っ!!」
「……お?今のは効いたー?」
「効いてません。」
「嘘だよー、ソウジ顔赤いもーん。」
「赤くありません!!」
嘘である。
……今のは効いた。
今日はなんだか妙にしおらしいから……ギャップにやられ気味だったところを、突然のストレート。
ちくしょう。
顔が熱い。
「と、とにかくですね……その、ご心配は嬉しいです。でも、負けるつもりなんか毛頭ないです。」
「……うん。」
「あちらにも屈強な方々がいるという話ですし、俺一人でやるわけでも無さそうですし。……何とかお力添えをして、古龍を討伐します。」
「えー。そこは『俺一人に任せとけ!!』とか言うところだよー?」
「アホですか。言えませんよ。」
それこそ、セツヒトさんクラスの猛者だっているかもわからない。
いや、知らんけど。
「……ソウジレベルの奴なんて、そうそういないと思うよー?」
「いや、いますよ。セツヒトさんとか教官とか……。」
「私らクラスがゴロゴロいたらー……そんなにこの業界、大変じゃないってー。」
「…………そ、それはそうですけど。」
確かに……教官が10人とかいるんだったら、この世界にモンスターはいなそうではある。
教官10人……。
想像してしまった……暑苦しい。
そんな苦々しい顔をした俺を、セツヒトさんが下から覗き込んできた。
長い銀髪が、横に垂れている。
「……ソウジー?」
「はい?」
「…………約束、だよー?」
「…………はいっ。」
「あーでもー……約束しすぎると帰って来られないかもー……。」
「どないやねん。」
今更である。
死亡フラグってやつか?
そんなもの、今日はもう立ちまくりである。
今日は色んな人と話をしまくったわけで。
後ろに手を組んだセツヒトさんが、なんか急にモジモジしだした。
珍しい姿を、今日はよく見る日である。
「…………じゃ、じゃあさー。」
「は、はい。」
「約束ついでにキスなんてー……。」
「しません。」
「えーーーーー!」
「だってもうそれ完全に死ぬやつですよ!?」
「もういいじゃーん!むしろ今しかないじゃーん!!」
「殺す気満々!?」
その後、子どもが駄々を捏ねるかのように喚くセツヒトさんをなだめつつ、丁重にお帰りいただいた。
ちゃんと宿の入口から。
「いくじなし。」とかなんとか言われたが、それはそれ、これはこれである。
……これを眺めているのか知らんが、神さんたちは今頃「ソウジる」とか言ってるんだろう。
…………。
……知るかボケぇ!!
こちとら死ぬか生きるか瀬戸際なんじゃぁ!!
と、開き直ることにした。
ヘタレ、ここに極まれり、である。
更に、この一部始終はショウコにバッチリ聞かれていた。
「ご主人様はやっぱり鬼畜や……。」とかなんとか言っていた。
ガン無視だガン無視。
そのまま、俺は不貞寝。
……何とも落ち着かない、出立前夜となった。