モンハン世界に成り行きで転生した中身おっさん   作:びびんば

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16新たなフォロワー層の獲得を確認しましょう。

「……うじさん?双治さん?」

(むにゃむにゃ、もう食べられないよう。)

「……。」

(はい起きますすみません。無言はやめてください。)

 

 

意識を失った。

そしたら例のきれいな湖の上に寝ていた。

 

だから、多分女神様に声をかけられる気がした。

 

ちょいと冗談をかましたら、フランクに無視されるとは。

仲良くなったものだ。

 

「仲良くはないです。」

(そんな。ショック。)

 

 

おそらく何かまた、新情報でも教えてくださるのだと思う。

女神様の声を、座して待つ。

 

 

「双治さん。実は今回、忠告しに来ました。」

(忠告……ですか?)

 

 

なんかまずいことをやらかしたのか。

声しか聞いたことないから分かる。いつもよりトーンが低い。

 

女神さまが続ける。

 

 

「双治さんは、気を失いました。」

(はい。)

「理由は、お分かりになりますか?」

(…………オーバーワーク?)

「はい、概ね正解です。」

 

 

双剣の<操作方法>が判明した瞬間、気を失った。

尋常じゃない頭痛だったしなぁ……とりあえずもうやりたくない。

 

 

「まさか一日に2回も、武器のマスタリングを行うとは予想外でした。先にお伝えしておくべきでした。」

「いえ、私こそ調子に乗ってすみませんでした。」

 

 

マスタリングとは、あの<操作方法>がわかる瞬間のことだろうか。

 

 

「マスタリングは、脳や体への負担がかなり大きいです。お体の方は問題ないようですが、頭への負荷が多すぎたのでしょう。」

「双剣は失敗ですか?」

「いえ、むしろ双治さん向きの武器かと。推奨します。技の方も、問題なく習得できております。」

 

 

双剣の<操作方法>の一覧が習得できなかったのでは?と心配していたが、問題ないようだ。

 

「安心しているところに申し訳ないのですが、現在マスタリング可能な武器種は片手剣と双剣のみです。」

(えっ?)

「これ以上のマスタリングは、双治さんの命に関わります。」

 

 

命、と聞いて、少し怖くなった。

 

 

「そもそも、片手剣と双剣のマスタリングに必要な第1技の習得がここまで早いとは、思いませんでした。少なくとも数ヶ月はかかるものです。次回は数年単位で、次のマスタリングはおやめください。」

(……。)

「よろしくおねがいします。」

 

 

有無を言わせぬ、そんな感じのトーンだった。

 

でも、少し無機質な話し方に心配の感情が混じっている気がして。

 

 

(わかりました。死にたくは、ないです。)

「よかったです。」

 

 

新しい武器を試したい気持ちはあるが。

そこまで器用な方でもない。1つ2つの武器を極める方が俺には向いている気がする。

 

女神様も公認の「推奨武器」らしいし。

 

 

「先程も申し上げましたが、双剣は最適解です。スタミナや鬼神化状態の維持など、気を配るべき部分は多いですが、素早さに特化したスタイルです。双治さんの肉体には、正解だと思われます。」

(それはよかったです。)

「むしろ、ノーヒントでそこまでたどり着いた双治さんに驚かされました。」

(色々考えましたよ。)

「ええ、見ておりました。」

 

 

見られていたのか。そりゃそうか、恥ずかしい。

 

 

「飲食店の女性に鼻を伸ばすところと同じぐらいバズりました。」

(ちょっと待て。)

 

 

えーっと?女神様??

どこまでSNSに上げてるの??

 

 

「それはもう、隅から隅まで、です。心は中年、体は青年。アンバランスさに戸惑うかわいい姿が、主にF1〜F3の主婦層にウケています。」

(ウケを狙っていたわけではないんですが!?ていうか神様の主婦層って何!?)

「まさかここに来て、新たな客層の獲得に成功するとは。私も良い意味で驚かされました。」

(私も驚きですよ!)

 

 

何かダメだ!この女神様ダメだ!

 

 

(女神様?私は今日一日で武器種2つの習得に成功しました。)

「ええ。」

(ギルドでハンター登録をした際、落ち込むこともありましたが、前向きに考え、新しい武器種の<操作方法>習得に励みました。)

「はい。」

(しかも、マスタリング?とやらはかなり難しいんですよね?そのへん頑張ったことへの反応とかは、無いんでしょうか!?)

「ええ、ありました。そこそこバズっております。」

 

 

そこそこ……一応死にかけたのに……。

 

 

「やはり、血の気の多い方々がフォロワーに多いのです。武器の扱いの習得というよりは、やはりその先の戦いを好まれるのでは無いか、と推測します。」

(なるほどー……。)

「……双治さんがフォロワーを意識し始めていることに、感銘を受けております。」

(意識してないわ!!畜生!)

 

 

さっきからもうタメ口だ。

もういいや、俺もフランクになろう。

 

 

「明日はいよいよハンター講習の初日ですね。おそらく苦労することはないかと思われます。どうぞ、思いのままに頑張る姿をお見せください。」

(……分かりました。とは言っても、私はフォロワーの神様方とか、その辺は意識しませんよ!)

「はい。」

(……私のやりたい様に、一生懸命やらせていただきますので!)

「はい、それこそフォロワーが望まれる姿です。よろしくおねがいします。」

 

 

だめだ。

結局俺は足掻くしかなくて、そしてその姿がウケているんだ。

 

 

 

「マスタリングは、当分おやめください。本当に。それでは失礼します。」

(お、お疲れさまでした……。)

 

 

大切な忠告と、割とどうでもいい神様SNSについての、2つのお話を聞いた。

 

 

(……忠告は甘んじて受ける。SNSについては、もう気にしないことにしよう……。)

 

 

薄れゆく意識の中で、そう誓う俺だった。

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