モンハン世界に成り行きで転生した中身おっさん   作:びびんば

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遅くなりました。申し訳ありません。
詳しくは活動報告にてお伝えします。

数カ月ぶりの投稿です。
ここから最終回まで突っ走ります。


166天廻龍を狩猟しましょう。

ジリ貧。

少しずつ、だが確実に追い詰められる様を言う。

 

現状、どうやらその表現が一番近い。

 

 

「……ショウコ!下!!」

「は……いっ!!」

 

 

ドゴォ!!

 

 

「にゃっ!?」

「大丈夫か!?」

「は、はい!いけます!」

 

 

足元に浮かび上がるのは、爆発の予兆である白い光。

かろうじて避けるショウコに声をかける。

狙って出しているようではなさそうだが、それだけに全く読めない。

ランダムに出てくる光を気にしながら、更にシャガルマガラの猛攻を凌いでいく。

 

禁足地に辿り着いてからの攻防は、既に半日が経っていた。

黒い空が立ち込め、シャガルマガラ自身やその周囲に光が出ているため、正確な時間はよくわからない。

ただ、体感ではもう丸一日戦っているような気分だった。

 

光の爆発。

そして、当たれば大ダメージは免れない、青紫色のブレス。

一度追い詰めたと思うと、空に浮かび上がり咆哮。

その後、何事もなかったかのように再び始まる命のやり取り、

 

俺とショウコは徐々に疲弊している。

狩り場を変えられるような場所では無い。

息をつく暇が、無い。

 

 

「っ!?ご主人さまぁ!ブレスです!」

「はいよっ!!」

 

 

ドゴォ!!

 

ドォン!!!ドォン!ドォン!!

 

 

もう何度目かも分からないブレスが爆発する。

その度に大きく後退。

威力からして、喰らえばただでは済まない。

だから逃げるしかないわけだが、そうすると……。

 

 

「グァォァァァァァァァァア!!!」

 

 

シャガルマガラが攻勢を強めてくるわけだ。

それがもう何度も何度も繰り返される。

 

 

「はぁっ……はぁっ……。」

(ショウコ……。)

 

 

ショウコを見やれば、息が少しずつ上がってきている。

限界が近いのかもしれない。

 

 

厳しいか……?

 

古龍。

その辺の大型とは比較にならないほどの強さ。

だが古龍と呼ばれるからには、ただ強いだけではないと考えていた。

 

その姿形、物理法則を無視した攻撃……それに加えて。

 

この体力。

 

恐れ入る。

 

 

「……グァァァァア!!!」

「ひゃっ!?」

 

 

ドガァッ!!

 

 

「ショウコ!!」

 

 

何てことの無い、前脚での振り払い攻撃。

モーションが小さく、確かに避けづらいが……。

 

ショウコが、食らってしまった。

 

あの、回避なら誰にも負けないショウコが。

 

 

「ショウコ!!」

「っ……い、いけます!」

「……くっ!!シャガルマガラ!!こっちだコラ!!」

「グァァァァア!!!」

 

 

ズァ…………

 

 

……上体を起こしてのボディプレス……!

 

 

(緊急回避ぃ!!)

 

 

……ズドォ!!!

 

 

「うぉぉ……あっぶねぇ……!」

 

 

巨大な前脚が地を踏む寸前に、ショウコから離れながら回避する。

俺に誘導して、ショウコをカバーすることにした。

 

 

「……っ!!ショウコ!!何とか立て直せるか!?」

「……はいっ!ありがとうござ……います……!!」

 

 

……おそらくだが、ショウコはこれ以上は厳しい。

体力の限界だ。

 

敵は思った以上、いや超想定外の体力のようだ。

狩猟の始めから、全く変わらぬその様子。

 

流石、というべきか。

 

 

「ギャァァァァァァァ!!!」

(突進!)

 

 

スッ……。

 

 

鬼人化、脱力。

相手の脇をすり抜け、受け流すイメージ。

 

……回転!

 

 

ヒュパッ……ズザザザザ!

ザシュゥ!ズザン!!

 

 

「グァァァァア!?」

「よしっ!!」

 

 

既に見切っている、シャガルマガラの突進。

その距離、威力、モーションまで、慣れてはきた。

 

問題はオレたち自身の体力だ。

特にショウコは、もう限界だろう。

 

死への恐怖。

そんなものは無いと言いたいところだが、怖いもんは怖い。

むしろその感情は、ハンターをやる上でなくしてはいけない感情だ。

その感情の先が、いま目の前まで迫ってきている気がする。

 

 

(ショウコは限界。双剣を研ぐ暇は……まあなんとかできる。俺もまだ動ける。)

 

 

冷静に分析する。

まだ、なんとかなる域。

しかし、それを越えれば……。 

 

 

「ギャアアアァァァ!!」

「!!〜っ!!」

 

 

何してやがると言いたげな咆哮を上げるシャガルマガラ。

考える時間ぐらい欲しいものである。

 

まぁ、あっちもそう悠長なこと言ってられんってわけか。

 

 

「……ご主人様!いけます!!」

「よし!いくぞ!仕掛ける!」

「……はいっ!!」

 

 

ショウコの疲れている声。

引くに引けないこの戦いの中、これ以上引き伸ばすことは、危険。

 

決死の覚悟が、俺たち二人の間で固まった。

もう、いくしかない。

 

 

「ショウコ!!合わせろ!!」

「はいっ!!」

 

 

返事をしてすぐ、シャガルマガラの後方に走るショウコ。

素早い動き、そして敵の意識は俺に向いていたため、ショウコが気を引くことはない。

 

 

「……せーのっ!!」

「やぁぁぁぁ!!」

「うらあああぁぁぁ!!」

 

 

シャガルマガラがこちらに攻撃を仕掛けようとする、その寸前。

俺たちは、一斉に攻撃を仕掛けることにした。

 

肩をいからせ、片翼を俺に叩きつけようとするシャガルマガラ。

そのタイミングを、待っていた!

 

 

(回避……回転っ!!)

 

 

グルン……。

 

 

「グゥアァ!?」

「うらぁ!!!」

 

 

ヒュパ!!

ズザザザザザザザ!!

ザシュ!!ザザン!!

 

 

「グアアアアアア!!!」

「まだまだぁ!!」

 

 

攻撃を交わして、得意の回避攻撃。

上空に浮かび上がり、重力に身を任せながら更に回転を上げる。

 

 

(喰らえっ!!俺にできる最大の……火力!!)

 

 

ズザザザザザザザザザザザザザアン!!!!!

ザシュン!!

 

 

「ギャアアアアアア!!!!」

 

 

とにかく、叩き込んだ。

叩き込めた。

今できる、精一杯の力で。

 

 

(頭部に!完璧に決まった!!)

 

 

手応えは、十分。

 

 

ザッ!

 

 

(シャガルマガラは!?)

 

 

着地後、間髪いれず敵を確認する。

どんな時も、敵を見失わない。

教えは忘れない。

 

教官、いいのが入れられましたよ、俺。

 

 

「ガァッ……!」

 

 

ズゥン……。

 

 

シャガルマガラが、その巨体を横たえた。

……チャンス!!!

 

 

「ショウコォ!!ありったけ叩き込むぞ!!」

「はい!!」

 

 

シャガルマガラの後方、俺の反対側で足を削っていたショウコ。

見れば、強靭な四つ足に無数の傷痕が見える。

 

足へのダメージの蓄積、そして俺の弱点攻撃。

これが、俺たちのチームワークだ!!

 

 

「ぬらああぁぁぁ!!!」

「やぁぁぁぁぁ!!」

 

 

ザシュっ!!ザザザザザザザザザン!!

ヒュパッ!ズザシュ!!

 

 

猛攻を仕掛ける俺たち。

今しかない、今できるだけダメージを稼ぐ!

ここで……。

 

 

(倒す!!!)

 

 

「ギャア!グアァァ!?……ガアア!!」

 

 

ジタバタともがくシャガルマガラ。

今までにも大型モンスターが倒れ伏せ、追撃を加えてきたことは多々あった。

そのモンスターたちと同じように、ただただ俺たちの攻撃を喰らい続けるシャガルマガラ。

 

こいつもまた、モンスターだ。

 

 

「やぁっ……!はぁっ……!」

 

 

時間にして十秒ほど。

その半ばで、ショウコはもう息も絶え絶えだった。

 

覚悟を決めての、一斉攻撃。

うまくいった後の、ボーナスタイム。

体力を全て使い切った、そんな顔をしていた。

 

 

(ここで倒せないと……!!)

 

 

嫌な考えが頭をよぎる。

 

 

「うらあああ!!!」

 

 

考えるより先に、双剣を天に向けた。

飛び上がり、体を縦に回転する。

 

 

ヒュン……!!

 

 

(叩き込め!!)

 

 

ズザザザザザザザザザザザザザン!!!

 

 

「ギィャァァァァァァァァァァァ!!!」

 

 

ヨーヨーのように回った俺は、今までやったこともない縦の動きをかました。

地獄車とでも言えばいいのか。

 

 

「らぁ!!……うおっと……!!」

 

 

ザッ。

 

 

地に足をつけ、シャガルマガラを急いで確認する。

 

なんせ、俺の中では地球がぐるぐると上下に回っていたのだ。高速に。

自分を見失ってしまった。

通常時は使えないな、この技……。

 

 

「グア……ァァァァ……。」

 

 

ズゥン……。

 

……。

 

 

「……ち、沈黙……。」

「…………。」

「ご、ご主人様……。止まりました……。」

「……マジか……。」

 

 

シャガルマガラが止まったまま、動かない。

口を開けたまま、頭を横たえて微動だにしない。

 

 

「……。」

 

 

スッ……。

 

 

「ご主人さま!?」

 

 

ゴアマガラの首元に手を伸ばす。

……脈は感じられない。

生気というか、生きている気配も感じられない。

 

倒した……。

ついに……シャガルマガラを……!

 

 

「止まっている……な。」

「……や、やりましたぁ……うぅ……。」

 

 

フラッ……。

 

 

「しょ、ショウコ!大丈夫か!?」

「す、すんません……ちょ、ちょっと限界で……。」

 

 

トスッ。

 

 

フラついたショウコを両手で抱き止めた。

軽いな……そして疲労の色が隠せていない。

 

あんな強敵相手に、心も体も限界だったのだろう。

 

 

「すんません……やりましたね……あぁ、ほっとするわぁ……ご主人様の腕の中……。」

「アホなこと言ってる場合か……えーと、信号弾は後だ。一旦あの掘建て小屋に戻ろう。」

「はい……うっ……。」

「……ショウコ?」

 

 

ショウコの様子がおかしい。

顔色が……かなり白い……。

 

 

「ゴホッ!……ゴホッゴホッ!!」

 

 

ビチャ。

 

 

ショウコの口から出てきたもの。

血。

口の周りが赤く濡れている。

 

 

「……!?ショウコ!!お前ーーー」

 

 

限界だったのか、という寸前。

ショウコが俺の口に指を当てた。

 

 

「ふふふ……ご主人様にも気取られんようにできたわ……さすがウチ、オトモの鑑です……。」

「な、何を……ま、まて、今ウチケシの実を……!」

「大丈夫です……とりあえず、休めば平気です。」

「ばっかやろう……やばい時は言えってーーー」

「強敵、でした。」

「あ…………。」

「命賭けるって、決めたやないですか、ウチら。……ご主人様がウチの立場なら、ぜーーーーったい黙っとる。」

「う……。」

「ほら、図星や……ふふ。……ゴホッゴホッ!!……あー、つらいですー……。」

 

 

余裕……そうに見えるけど……。

軽口は叩いてはいるが、一刻も早く医者に診せなければ……。

まったく、コイツは本当に……。

 

 

「……お前は……やっぱり俺の最高の相棒だよ。」

「……何回言われてもええですね、それ。」

「何度でも言ってやる。でも、不調を黙ってたのはダメだ。減点。」

「ここまで頑張った可愛いオトモに、ご主人様はひどいわぁ……ふふふ。」

 

 

ザッ。

 

 

シャガルマガラの亡骸を背に、とりあえず俺は先ほどの小屋に向かうことにした。

ショウコはふざける余裕はありそうだが、体に力が入っていない。

それに、顔色は相変わらず悪い。

 

頭には、ワサドラでゴア・マガラにやられたハンターたちの姿がよぎる。

 

……死なせるかよ。絶対に。

最悪、俺がおぶって麓まで行く。

おじさんのお迎えが来れば御の字。

何なら、街まで走ってやる。

 

 

「えへへ……ご主人様のお姫様抱っこやー……。」

「馬鹿なこと言ーーー」

 

 

抱きかかえているショウコの顔。

やっぱ元気なんじゃ無いかと、少し安心して見下ろした、その瞬間。

 

 

 

 

 

地面が、光った。

 

俺たちの、足元。

 

 

 

 

(光!?爆ーーー避け)

 

 

キュイィ……

 

ズガァァァァン!!

 

 

瞬時に駆け巡った俺の思考。

と同時に起きた、爆発。

 

 

「ぐぁぁ!!」

「きゃあ!!」

 

 

ゴロゴロゴロゴロ……ズザァ!!

 

 

ゴツゴツの岩が並ぶ地面に、転がる俺たち。

俺にできたことは、ショウコを庇うことだけ。

光に背を向けて、地面に接しないように抱きかかえて、なるべくショウコに影響が無いように。

跳んで、転がった。

 

間に合ったのかと言われれば、それは嘘になる。

背中にはかなりの痛み。

 

 

「……ぐぅ……!!」

「うぅ……。」

 

 

油断した……いや、シャガルマガラは完全に沈黙していた。

確かめた。間違いなく。

 

……古龍……他のモンスターとは一線を画す、その存在。

侮っていた。

それを油断というのなら、俺は完全に間違えたワケだ。

 

 

「……ショウコ……?」

「う、うぅ……。」

「おいっ!ショウコ!しっかりしろ!!」

「……うぅ……。」

 

 

ショウコの返事はない。

意識はあるが、顔色はさらに悪くなり、朦朧としている様子。

狂竜症か或いは……くそっ……。

 

 

「……ふっ!!」

 

 

脇目も振らずに、俺はショウコを抱えて走り出した。

向かうは、最初に見た掘建小屋。

 

なぜか知らんが、シャガルマガラは咆哮を上げながら空を飛び続けている。

今は、ショウコの無事が最優先だ。

 

 

 

* * * * * *

 

 

 

「おい!!シャガルマガラ!!」

「グルルルルル……。」

 

 

空に浮かんでいたシャガルマガラを呼ぶ。

ふわふわと降下してくるその様は、もう完全に神のようである。

物理法則さんは完全に息をしていない。

 

 

「どんな手品で生き返ったのかは知らん。いや、ぶっちゃけ少し興味あるけど……今はいい!!」

「グァァァァ……。」

 

 

素直に、すごいと思えた。

あの時、脈拍は確かに無かった。勘の域は出ないが、生物としての気配も消えていた。

 

だが、土煙の向こうにはヤツはいた。

平然と。さも当たり前のように。

 

空中に留まり、今にも咆哮を上げようとしている。

 

 

「……やる!お前を狩り切ってやる!!こい!!!」

「………ガァァァァァァァァァ!!!」

 

 

ものすごい声を上げるシャガルマガラ。

あたりには、もう見慣れた白い花弁のような鱗が舞い散る。

粒子化したこれらが人体に入り込めば、狂竜症に冒される。

 

 

ショウコは、限界だった。

それは、火を見るより明らかだった。

顔色は真っ白。汗もびっしょりで、ドス黒い空気が体から発せられていた。

返事もままならない。狩猟などもっての他だろう。

小屋に寝かせ、装備とアイテムを確認しながらまた戻ってきた。

いにしえの秘薬を、とある方法で無理やりに飲ませた。

その間律儀に待っていたシャガルマガラには、ちょっと感謝。

 

ありがとな。

 

 

(……状況は……かなりやばいよなぁ……。)

 

 

手足は動く。

ただ、疲労は結構きてる。

ショウコがばてるほどの運動量をこなしているわけだし。

それに、周囲は暗いが鱗粉が明るく照らし、今が何時なのか全くわからない。

 

心は折れてない。

呑気に、そして冷静にそんなことを考えている自分を褒めたい。

 

ちなみに、背中の怪我。

はっきり言う。すっげぇ痛い。

腰を曲げると痛烈な痛みが走る。

これで回避攻撃とかできるのか、俺。

 

 

「ガァァァァ!!!」

「……やるしか……!!」

 

 

ズガアアァァ!!!

 

ヒュン……。

ズバァ!!

 

 

「ギャァァァァ!!?」

「ないよなぁぁぁ……いってぇぇぇ!!!」

 

 

華麗に。

それはもう華麗に、シャガルマガラの踏み抜き攻撃を避けた俺。

その技のキレとは裏腹に、背中が。

もう、めっちゃ痛い。

 

 

(締まらねぇ……背中、結構な傷だろうな……。)

 

 

多分、ちょっとエグい感じに怪我していると踏んでいる。

しかも結構な範囲で。

見えないから、気にしないことにした。

……嘘です動くだけで痛いですごめんなさい許してください。

 

 

「グァァァ!!!」

 

 

ですよね攻撃の手は緩めてくれませんよねわかってましたよチクショウ!!

 

 

「のわっ!!」

 

 

ドガ!!ドガッ!ドガッ!!

 

 

突進をかましながら、岩ごと俺を踏み潰そうとしてきたシャガルマガラ。

避ける。今のは避けるしかない。

 

 

(痛いのが邪魔だ……咄嗟の反撃ができない……。)

 

 

もう一度状況整理。

 

怪我をしている俺。頭から回復薬を被ったとはいえ、失血なんてなったらもうアウト。

シャガルマガラはなんか元気。さっきまで心臓止まってましたよアイツ。

反射神経はもう当てにならない。体はどんどん重くなる。

ショウコのためにも、早くこの狩猟を終わらせたい。

……終わりって……。

 

 

「諦めたく無いんだけどなぁ……。」

 

 

なぜ先ほどから俺は余裕で冷静なのか。

自分でもわからないほどに、落ち着いている。

 

そんな冷静な頭で、奴を屠る方法を考えてみる。

 

 

思い浮かばない。

 

 

「……ちょっとやばいなぁ……。」

 

 

軽く口にした俺を。

 

 

「ガァァァァァ!!!」

 

 

シャガルマガラは、容赦なく追撃してきた。

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