モンハン世界に成り行きで転生した中身おっさん   作:びびんば

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168天廻龍と約束しましょう。

シャガルマガラと対峙して、もうかなりの時間が経ったと思う。

時間は分からない。

だって空暗いし、周りはシャガルマガラの鱗粉?のせいで薄明るいし。

 

体は疲れ果てている。

万全ではない。

 

ショウコを爆発からかばった時に、背中に傷も負った。

負った、と思う。

確証が持てないのは、背中は見えないから。

見えないからまぁいいやという謎理論を持ち出し、とりあえずなんとか気を保っている。

 

双剣の斬れ味も問題だ。

なんとか岩場に駆け込んでは、スキを見て砥石で研いでいるが……この戦法も、命がけである。

まぁそもそもが狩猟自体命懸けなわけだけど。

砥石使用高速化が無ければ、終わってた。スキルと防具……セツヒトさんに感謝だ。

 

というわけで、俺がシャガルマガラに敵う要素が割と少ない。

 

 

(…………でも、不思議と、なぁ、)

 

 

落ち着いている。

いつもみたいに、アドレナリンドバドバ状態ではない。

 

リラックス……とまでは言わないが、なんかいい感じに力が抜けている。

 

だからって、状況が好転するわけではないけど。

 

 

「グァァァァァァァ!!!」

「くっ……!!」

 

 

再び空に舞い上がり、大きな咆哮を上げるシャガルマガラ。

そのたびに身が竦み、狩りが仕切り直しとなる。

 

先程から、実は何回かカウンターを入れられている。

だが、その度にこう飛び上がられてはたまらない。

手数の武器である双剣は、リズムも大切。

やりにくいったらない。

 

それに、攻撃が効いている気が全くしない。

動きは相変わらず素早く、一撃一撃はとてつもなく重い。

 

不規則な地面の光攻撃と相まって、俺はかなり疲弊していた。

 

 

(あんだけ走りこんだんだけどなぁ。)

 

 

自分の体力の無さに、もっと鍛えておけばよかった、と後悔してきた。

いや、頑張ってきた、とも思うけど。

 

 

「…………グルルルルル…………。」

「……強いなぁ、お前。多分俺史上最強だよ。」

「…………ガァッ!!!」

「ぬぉぉっ!!?」

 

 

ドダッ、ドダッ、ドダッ!!

 

 

突進攻撃。

まだ食らってはないけど、あれ一撃でもかなり持っていかれる。

気をつけないと。

 

更に言えば……。

 

 

「グルァッ!!」

「こっちか!!」

 

 

ビュオォ!!

 

 

体を翻し、尻尾の勢いも付けて前脚で薙ぎ払う攻撃。

これは範囲も広く、注意が必要だ。

 

回った巨体の左の懐に突っ込んでいくと、案外無事であることは分かっている。

だが、当たったらタダでは済まない。

 

 

そして。

 

 

「グルァァァァ!!!」

「くっ……!!」

 

 

ブワッ……ドガァッ!ドガッ!ドガァッ!!

 

 

こっちがうまいこと足元に回避していると、すぐさまブレスを仕掛けてくる。

広範囲で威力の高いブレス。

おかげで行ったり来たりを繰り返している。

 

……そりゃぁ疲れるわけだ。

 

何ならこのブレス、時間差で爆発する。

こっちが「あれ?なにもない?」とか思っていると爆発するのだ。

おかげで既に数回吹き飛ばされている。

不規則な光の地面攻撃と似ているが、威力が違う。

これもこれ以上喰らえば、致命傷を免れない。

 

 

「グルルルルル…………。」

「…………。」

 

 

避けんなよコラ、とでも言わんばかりに、こちらをにらみつけるシャガルマガラ。

 

いや、あんたの攻撃大概強力ですから。

避けるよそりゃ。

 

 

(………………あぁ、でも。)

 

 

そういえば、と思い返す。

避けられては、いる。

 

不思議と。

いや、当たったらやばいんだけども。

背中の痛みと相まって、当たったらどうなるかなんて考えたくもないんだけども。

 

 

「グァァァ!!!」

「っ!!?またかよっ!!」

 

 

ドドドドドド、と迫りくる突進。

やっぱり避ける。

 

 

(まぁでも、ティガレックスの時よりはましか……アイツのときは足場が雪だったし、とんでもなくしつこかったし…………あぁ。)

 

 

思い出した。

思い出してきた。

 

俺は、ハンターになって、いろんな出会いがあった。

モンスターもまた、たくさん。

 

 

経験が、ある。

シャガルマガラの攻撃全てに、経験が。

 

 

「グァァ!!」

(爪撃……。)

 

 

ヒョイッ。

 

ドガァ!!

 

 

岩に突き刺さり、砕くほどの一撃。

 

威力こそ違うが、ジンオウガの前脚よりはまだ避けやすい。

アイツは動きから何からバランスが良かったからなぁ……かっこいいし。

シャガルマガラは……なんと言うか、ちょっとアンバランス。

 

 

「グァ……!!」

 

 

ヒュイイィ……!

 

 

(ブレスの前触れ……!)

 

 

シャガルマガラが苦しそうに、青黒い煙を口から漏らす。

ブレスします、と教えてくれる。

 

 

(初ブレス……というかビームは……あぁ、あいつだ。)

 

 

俺が初めてこの世界に来たときに戦った、あいつ。

そりゃ岩と間違えてくつろいだ俺が悪かったけどさ。

 

…………死ぬかと思った経験は、あのバサルモスが初めてだったなぁ…………。

 

 

ズドォ!!ズドォ!ズドォン!!

 

 

なんてことを考えていたら、その青紫のブレスが爆発した。

ブレスを避けるのは得意技……なんて言ったらショウコに怒られるけど……。

ま、まぁとにかく。

 

懐に潜ればいい。

 

 

スッ。

 

 

「……ふっ!!」

 

 

ザシュ!ザザン!ザン!!

 

 

「ギャァァァ!!」

(ラージャンのビームも、アレやばかったよなぁ……。)

 

 

斬りつけながら思い出すのは、金色の光線。

スーパーなサイ◯人さながらの、アニメでしか見ないようなあの光線だ。

 

 

(足元にスキができるのは、こいつも同じだ。)

 

 

冷静だ。

不思議と。

 

いや、不思議じゃないか。

 

シャガルマガラの動きは、今までの奴らを思い出せば、なんてことはない。

いや、当たると死ぬと思うんですけど。

…………どうにかなる気がする。

 

 

「ギャァァァ!!」

(飛び上がって……滑空、かな。)

 

 

これもラージャンのローリング物理法則無視アタック…………いや、リオレウスの滑空攻撃に近いかな?

ラージャンの方は当たる寸前に避けるのがミソだったけど……シャガルマガラの場合範囲が広い。

 

リオレウスの滑空も、範囲が広いからなぁ。

 

 

(横に避けるのは諦めて……ふっ!!)

 

 

当たる目前。寸前に。

飛び上がり、回転。

 

攻撃まで行うのは、ちょいとキツイ。

今回は回転しての回避のみ。

 

 

ギギン!!

 

 

「うおっとぉ……うん、うまくいった。」

「グァァァァ!!!」

 

 

回転回避。

相手の力を、そのままいなす、俺の技。

コツをつかんだのは、雪山だったな。

 

ゴシャハギさん……あの時はお世話になりました……!!

 

 

「グァァ!!グァァ!ギャァァァ!!!」

「ぬおっ!!ほっ!ふんっ!!」

 

 

上から振り下ろされた、シャガルマガラの前脚による連続攻撃。

だが、落ち着いて見切る。

 

 

(ゴシャハギさん……あなたの連続斬りには、遠く及びません!!避けられます!!)

 

 

いや、多分シャガルマガラの方が強烈だと思うけど。

故・ゴシャハギさんへの思い出補正は、俺の中でそれほどに強い。

実際、あの連続斬りはヤバかったし。

 

後にも先にも、モンスターにさん付けしたのはゴシャハギさんだけだと思う。

 

 

「…………グゥゥゥ…………!!」

(……雰囲気が、変わったな。)

 

 

緊張が、辺りを包む。

いい加減避けまくる俺に業を煮やしたのか。

 

シャガルマガラか、身を低くして構える。

 

 

(空気が、ピリピリする……ディノバルドを思い出すなぁ……。)

 

 

数々の、死ぬかと思った経験。

その中でも、段違いにやばいと思ったモンスター。

 

斬竜ディノバルド。

 

 

(尻尾を噛んで……あの溜める瞬間は、マジで怖かった。)

 

 

思い出す。

あの時の緊張感。

 

回避に失敗すれば、天国への直行コース。

 

 

「…………ガァァ!!!」

(…………っ!!)

 

 

刹那、前脚を振り上げて俺を切り裂きに来たシャガルマガラ。

間違いなく殺しに来ている、その一撃。

速度が、今までとは比較にならない。

 

でも。

 

 

(…………見える。)

 

 

ヒュン……。

 

 

ザシュ!!

ズザザザザザザザザザ!!!

 

 

「ギャァァァ!!?」

(空中回転…………乱舞っ!!!)

 

 

ズザザザザザザザザザン!

 

 

「グァァァァ……。」

 

 

ズゥン。

 

 

(……チャンス!!)

 

 

ピンチはチャンス。

ディノバルドで分かったこと。

アイツの尻尾は、最大の武器であり、最大の弱点。

狙って攻撃できるなら、むしろ最強の尻尾攻撃は最大のチャンスともなる。

 

まぁ狙ってカウンターばかり、なんてやってたら、死ぬけど。

 

 

(鬼人化!!)

 

ザン!!

ザシュ!!ヒュパッ……。

ズザザザザザザザザザザザザン!!

 

 

「ギャァ!?ギャァ!!グァァァァ!!」

「ふっ……ふん!!うらぁ!!」

 

 

倒れ伏せる相手を、タコ殴りにする。

 

……シャガルマガラには失礼ながら。

俺は頭のどこかで、これまでの敵を思い出していた。

 

 

 

バサルモス、ドス系、アオアシラ、プケプケ、ロアルドロスにルドロス……。

リオレウス、リオレイア、ディノバルド、オロミドロにタマミツネ……。

ジンオウガ、ティガレックス、ゴシャハギさん、ベリオロスにザボアザギル……。

アンジャナフ、そしてラージャン。さらに、ゴア・マガラ……こいつの前の形態。

強敵の数々。

 

…………今、相対するは、天廻龍シャガルマガラ。

 

 

 

こいつが、生まれ変わって何度となく俺の前に現れるとしたら。

さっきみたいに、また復活するとしたら。

 

俺は、その度にこいつを倒す。

 

天廻龍シャガルマガラ。

輪廻を巡り、また再び俺たちの前に現れるのかもしれない。

生き返って来る。

それが、コイツの生態であり、生き方。

ただ、命を全うするだけの、生き物。

 

それがお前だというのなら。

 

 

「……お前に罪なんか無いけどっ!なっ!」

 

 

ザン!ズザザザザザザン!

 

 

「人間の、俺たちの勝手な勝手なエゴだけどな!!」

 

 

ザシュッ!!ヒュパッ!!

ズザザザザン!!

 

 

「グァァァァ…………!」

 

 

連撃に加えた連撃の後。

苦しげに立ち上がったシャガルマガラは、まっすぐに俺を見据えた。

 

 

「…………大切なみんなが生きるために。俺が生きるために。お前を屠る。それが俺の生き方なんだ。モンスターハンター、なんだ。」

「グゥゥゥ…………。」

「…………また生き返るのがお前の使命なんだってんなら……。」

「…………ガァァァ!!!」

 

 

シャガルマガラが、両の前脚を持ち上げた。

体重を乗せた、攻撃が来る。

 

 

「……いつだって、俺は、お前を倒す!!!!!」

 

 

俺は、軽く跳び上がると、身体を捻った。

力は入れない。身体を溶かしに溶かしていく。

 

 

ヒュン……。

 

 

「…………うらぁ!!!」

「グルァァァァァァァァァ!!!」

 

 

グァッ!!

 

眼の前に迫る、シャガルマガラの爪。

寸前で、受け流し。

 

 

ヒュン!!

ザシュン!!

ズザザザザザザザザザザザザザザザザザン!!

 

 

相手の勢いに任せた、俺のカウンター。

回転は勢いを増し。

 

 

ザシュゥ!!ズザザザザン!!!

 

 

「グァ!!………………ァァァ………………。」

 

 

…………ズゥン…………。

 

 

シャガルマガラの体を引き裂いて。

 

 

「…………………………。」

「はぁっ……はあっ……。」

 

 

遂に、仕留めたのだった。

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