モンハン世界に成り行きで転生した中身おっさん   作:びびんば

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174続けましょう。(後日談④)

「えー、それではお集まりの皆々様。グラスは持ちましたでしょうか。」

「かたくるしーよー、そーじー。」

「はい、もう出来上がっている方もいらっしゃいますが、気にしないよう……乾杯!!」

「「「「「かんぱーい!」」」」」

 

 

夜。

イシザキ亭。

恒例の、月例会。

 

俺の親しい人たちを集めた……月例会なんて聞こえはいいが、まあ仲間内のただの飲み会である。

 

 

「えー、今日は主賓がいますので紹介します。」

「わわ、いいですよ、ソウジさん。」

「ハンズが……帰ってきました!」

「「「わーーー!!!!」」」

 

 

女性陣がハンズに集中する。

セツヒトさんにショウコ、酒が飲めるようになったドール。

ハイビスさんとヒナタさんは……残業かな。まだいない。

最初の頃はこれに教官や、たまにフェニクさんとトツバもいて、随分賑やかだった。

……思えば、こういう盛り上がりには教官が必要だ。

 

教官、今何してるんですか。

まさかくたばってませんよね。

……探しに行きますからね。待っていて下さい。

 

 

ハンズはもみくちゃ。

ショウコとドールが特にベッタベタである。

まあ久しぶりだしな。

放っておこう。

 

俺は、自分の定位置になっているカウンターに腰掛けた。

 

 

「なぁソウジさん……俺場違いじゃねぇか?」

「いやいやいや、そんなことはないです。すみません、そんな思いをさせて。今日は俺がお酌しますので。」

「ちょっ、ちょっと待て!街の……大陸の英雄にそんな事させたらバチが当たっちまう!」

「だめです。おじさんは俺がお酌するんです。」

「ご、強情だな……まぁいいや、ケイさん!ビールおかわり!二つな!」

「はいはい!お待ちくださいねー!」

 

 

今日はたまにしか来ないおじさんもぜひ、と呼ばせてもらった。

そして、俺の隣りに座ってもらった。

明後日からお世話になるわけで、話がしたかった。

 

そんなおじさんは、先程からキャイキャイ騒がしいテーブルを眺めている。

ハンズとは知らない仲では無い。

 

 

「あれがハンズか……いや、見違えたなぁ。」

「そうですよね。俺も最初分かりませんでした。」

「……しかしよぉ……ソウジさんは、セツヒトさんと一緒に住んでもう長ぇよな?」

「え、えぇ。お陰様で。」

「周りに女性ばかりでよ……よくぞ今までで無事で居られたなぁ、とな。俺はいつソウジさんが刺されねぇか心配だぞ?」

 

 

おじさんの心配は、まぁご尤も。

俺には心に決めた女性がいる。

だからといって、いやだからこそ、こう多数の女性といるのはどうか、ということだろう。

 

でもなぁ。

別に俺が何かしたわけでもないしする予定もないし。

 

この数年でそれ系のやっかみみたいなのは……慣れた。

何ならギルドで一回絡まれた時は、きっちりと大人として対応させてもらった。

 

 

一ヶ月前にもこんなことがあった。

 

 

『おいこら。』

『アッハイ。何でしょう。』

『お前誰だか知らねぇがいい加減にしろよ?』

『…………。』

『女侍らしてアイルーちゃんまで囲っててめぇ―――』

『いやすみませんマジでごめんなさい(土下座ズザー)』

『…………えっ?』

『ほんっとぉぉぉぉぉぉにいぃぃぃぃいぃい心からぁぁぁぁぁぁあごめんなさぁぁぁぁぁぁ―――』

『あ。もういいです。(ドン引き)』

 

 

……回想終わり。

 

 

みたいな。

平和に解決。

これぞ、大人の対応。

 

うんうん。

 

 

「ソウジさん?何か遠い目して……目が潤んでるけどよ。大丈夫か?」

「いえ……何でもないんです……全部俺が悪いんです……。」

「よく分かんねぇなぁ……。」

 

 

あの時はもう周りの目がすごかったなぁ……。

え?あの人なにしてんの?え?あの人本当に古龍やった人?え?という感じの目。

 

……別につらくない。

つらくなんて、ないのだ。

穏便に済んだし。

 

あの後もそのチンピラみたいなハンターを見かけることはなかったし。

俺に引きすぎて街を出たのかな……。

 

 

……そんな俺のプライドズタズタ話は置いといて。

 

おじさんとは、明後日からの行程について簡単に打ち合わせしておいた。

俺が無茶振りを受けておじさんが急に仕事を依頼されるなんて、ファンゴに大型狩猟を邪魔されるぐらいにはよくある話なので、一瞬で終わった。

 

 

「街道沿いに行って……チダイ村はどうする?」

「まぁいつも通り行くしかないでしょうね……。」

 

 

あの村にはイパスさん(苦手な人)が居るが……仕方ない。

だって、いい宿もあるし。

おじさんには少しでも疲れてほしくないし。

 

チダイは、ここワサドラと首都ザキミーユのちょうど中間にある村だ。

肥沃な土地、水はけの良い広大な平地は、大陸の食を支える一大農産地となっている。

そしてその一帯トップの代理が、イパスさんである。

 

物腰柔らかで、美しく穏やかそうな見た目とは裏腹に、非常に計算高く強かな女性である。

そして……何故か俺の狩猟遍歴とか様々な事情に詳しい……。

初めてお会いしてから今日まで、とても苦手とするお方である。

 

 

「まぁ、悪くされるなんてことはないだろうし、いいんじゃねえか?」

「俺、話すだけで緊張するんですよね……こう、警戒がMAXになるというか……気を抜いては一気にやられる、みたいな。」

「そんな、大型モンスターじゃあるめぇしよ……ま、了解したわ。気をつけていこう。」

「はい、よろしくおねがいします。」

 

 

そんなこんなで、仕事の話、終了。

うん、色々気をつけていこう。

 

 

 

* * * * * *

 

 

 

「もう飲む。飲みまくる。」

「ご主人さま?何かヤケになってません?」

「だっておじさん帰るし寂しい。」

 

 

おじさんは「色々と準備があるからよ!じゃあな!」と言って、そそくさと帰っていった。

落ち込んだ俺を見かねて、ショウコがそばにやってきた。

気遣いのできる相棒である。

 

 

「俺の心のオアシスがいなくなった。」

「たまにご主人さまって、ホンマにソッチちゃうかと思えてなりません。」

「もうええんや……ワイはヘタレでソッチでギルドの犬でんねん……。」

「アカン、暴走しとる。」

 

 

ショウコに怒られそうな言葉遣いで、愚痴をこぼす。

なんだか今日は飲みたい気分。

 

 

「あ……そうだ、ショウコ。」

「はい?」

 

 

呆れ顔のショウコに、明後日から首都に行くことを言っておかないと。

仕事の話は終わりのつもりだったけど、そうもいかない。

 

 

「明後日からギルドの仕事で、首都に行ってくる。」

「い、いきなりですね。はい。了解です。」

「セツヒトさんも一緒だ。」

「へ?何で……そんなに大変な仕事ですか?」

「いや、教官探し。」

「……よ、よぅわかりませんけど……。」

 

 

うん、言ってる俺もよくわかっていない。

まぁ詳しく言わないとな。

 

 

「教官の痕跡が見つかったんだ。それもボロボロの装備、モンスターのつけたものだったらしい。」

「……えぇぇ!?」

「まぁ、教官のことだから滅多なことはないと思うんだけどな?それを手がかりに、教官を探せって命令だ。」

「…………ハスガさん……ギルドマスターから、ですか?」

「うん。」

 

 

まぁ驚くよな、そんなこと聞いたら。

俺だって驚いたし。

 

 

「……まぁマショルクさん(あの人)がどうにかなるとは思えませんけど……なんですかその無茶苦茶でフワフワした仕事。」

「だよなぁ……俺、別に探偵でも便利屋でもないっての。」

「……ちなみに期間は?」

「確か、2週間とか言ってたぞ?ゆっくりでいいし、しかもセツヒトさんは同行させろって、どういうことだろう。」

「…………んん?」

 

 

ショウコが変に考え込んでいる。

何かが分かったのだろうか。

 

 

「どうした?何かまずいことでも……。」

「いや……それ、ハスガさんからのプレゼントやないんですか?セツヒトさんと二人で、首都観光楽しんでー、的な。今まで苦労かけたしー、みたいな。」

「…………んなアホな。」

 

 

おかしなことを言うショウコ。

そんなわけ無いだろう。

どうやって教官を探しながら羽を伸ばせと言うのか。

 

しかし、ショウコがそこで俺に畳み掛けてきた。

 

 

「…………費用はどうなんですか?」

「そりゃ……当たり前だけど旅費とかは全部ギルド持ち……あ、いや、土産代とか観光費もいいって言ってたな。」

「……宿泊は?」

「それも大丈夫って言ってた……確か首都のロイヤル何とかって―――」

「ブーーーっ!!ろ、ロイヤルホテル!!?それって……王族御用達の来賓向けのやつ……。」

「へ?そ、そうなの!?」

 

 

……んん?

何か変な話になってきた。

 

 

「推測するに……適当な仕事の都合つけて、ご主人さまとセツヒトさんに休みあげようってことちゃいます?」

「…………いやいやいや。」

「ハスガさん、様子おかしかったとか無いですか?そんな遠回しなシガイアさんみたいなやり方、あの人得意や無いでしょうし。」

「…………あーーー。」

 

 

うん。おかしかった。

変だった。

 

……じゃあ何か?

俺は遠回しにハスガさんに旅行をプレゼントされたってことか?

な、なんで?

 

……でも信憑性高そう。

 

 

「凄いなショウコ、ちょっと合点が入った……マジで探偵みたい。」

「い、いやいや。ご主人さまが鈍すぎるだけかと……。」

「それは否定できない……ショウコさん、その推理力使って、教官探し手伝ってくれません?」

「いやいやいや!そんなことできませんよ!!お二人の旅行に!!」

「いや、セツヒトさんとの旅行と決まったわけでは……。」

「なになにー?私の話ー?」

「「うわぁ!!」」

 

 

後ろから俺とショウコに寄りかかってきたのは、今まさに話題の人、セツヒトさん。

いきなり来るから驚いてしまった。

 

 

「わー!ふたりともー、声おっきいー。」

「す、すみません。」

「何の話してたのー?わたしの名前言ってたでしょー。」

「あー……なんと言いますか。」

 

 

困った。

ハスガさんの話をそのまま伝えていいものか。

「仕事行きません?」は「めんどーなのやー。」とか言われそう。

「一緒に教官探しません?」はシンプルに「嫌。」だろうし。

 

……あれ!?詰んでない!?

なんて言えばいいのこれ!?

 

 

「……ご主人さま、もう普通に言うてください……。」

「うぇっ!?ショウコ……いや、何言っても断られそうで……。」

「いや、いけます。大丈夫やと思います。マショルクさんのところは伏せて。」

「な、なるほど。」

「だーかーらー、何の話ー?」

 

 

しびれを切らしそうな酔っぱらいが、俺の首に絡んでくる。

今日はよく締め付けられる日である。

 

 

「せ、セツヒトさーーー」

「せっちゃんだってー……いっつも言ってるでしょー。」

「せ、せっちゃんさん、お話があります……。」

「んー……何ー?」

 

 

うっ……。

ふ、不機嫌だ。

 

……ええい!ままよ!!

 

 

「……俺と、二人で首都に行きませんか?2週間ぐらいかけて、ゆっくり。」

「…………え……。」

「お金の心配はいらない……そうです。泊まるところはロイヤルホテルです。」

「……え、あ、あのすっごいたっかいところー!?すごー……な、なんでー!?」

「あ、あぁいや……ついでにとある仕事もあるんですが……旅行、みたいな。」

「……旅行……ソウジと……二人っきり……。」

「お、おじさんも一緒ですよ!?御者の!!」

「……二人……。」

 

 

仕事の部分は、ちょっとぼかした。

う、嘘は言ってないよな……?

 

誘いを受けたセツヒトさんは、なんか……くねくねしている。

 

 

「んふ……んふーふーふー……そっかー……ソウジ、そっかー…………。」

「……せ、せっちゃんさん?一応旅行みたいな、ですよ?その、仕事もありますからね?しかも明後日からいきなり、ですよ?」

「……えへへへへー……い、いーよー?いきなりでもさー?……修練場の仕事も明後日からお休みだしー……。」

「あ……本当ですか?良かった……断られたらどうしようかと。」

「え、えー?そ、そりゃねー、私もやぶさかではないっていうかー……んふふふふふふふ。」

 

 

…………何か不安だが。

 

よし。

何とかセツヒトさんを誘うことに成功。

 

 

「ケイさーん!!おかわりおねがいしまーす!!」

「はいよセツヒトさん!今日は飲むわねぇ!!」

「えー?いやー、ちょっと……うへへへー!」

 

 

何だかいつになくご機嫌になったセツヒトさんは、追加注文をしてテーブルに戻っていった。

よかった……断られなくて。

 

俺がホッとしていると、ショウコが声をかけてくる。

 

 

「ご主人さま!うまくやりましたね!」

「あぁ……ありがとうなショウコ。事前に旅行とかそういう感じ分からなかったら、大変なことになっていた……。」

「いや、ホンマに……。修羅場無くせて良かったです。」

 

 

旅行だと思ってついていって、そしたら俺は完璧に100%仕事モードでした、なんてなったら……。

うーん。不機嫌セツヒトさんの一丁上がり、だったろう。

 

安心した。

 

 

「ドールちゃーん、聞いてよー。ソウジがさー……どうしてもって言うからねー?明後日から首都に行ってくるねー。」

「あ、セツヒトさんも行くんだ。人探し。」

「そーそー人をー…………人探しー?」

 

 

あ、やばい。

ドールに先に伝えていたんだった。

 

 

「うん。あれ?ソウジさん、お仕事だって言ってたよ?」

「んー?あー、仕事もあるってー言って…………んん?」

 

 

…………あれ?

何か二人の話の流れが……えーっと。

 

……やばくないか!?

 

 

「…………まーいーやー!とりあえず!行ってきます!」

「う、うん。気をつけて行ってきてね。……セツヒトさん、飲みすぎだよ?」

「だいじょーぶー。まだ序の口ー。」

 

 

…………ホッ。

あっぶねえぇぇぇぇぇぇ!

 

緊急回避であった。

お酒の力は偉大だぜ。

仕事の部分は、後で帰ったらそれとなく話しておこう。

酔いが覚めたセツヒトさんになら、まぁ冷静に話せば大丈夫だろう。

 

よし、問題はなさそうだ。

 

問題は何も……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バターン!!

 

 

「いやぁ!!久しぶりのワサドラは気持ちがいいな!!今帰ってきたぞ!!」

「……………………………………は?」

「おや!ソウジ君にセツヒトに……全員勢ぞろいではないか!!」

「…………うわぁ、アンタくたばってかなったのー?」

「ははははは!!冗談を!!ケイさん!イシザキ!土産を持ってきたぞ!受け取ってくれ!!」

 

 

えっ。

 

えっ。

 

 

「あらあらあらあら!!!マショルクさんじゃないかい!!もうずっといなくて心配して……もうっ!来るなら来るって言ってちょうだいよ!今日は貸し切りだよ!?」

「何っ!?ははははは!すまない!どうしても挨拶がしたくてな!!」

「…………久しぶりだから、座っていけばー?」

「おお!セツヒト!いいのか!?」

「…………ソウジがいいならー、だけど。」

 

 

えっ。

 

 

教官。

教官が、帰ってきた……………………帰ってきたぁ!?

 

 

ま、待て待て待て。

落ち着け、俺。今こそ落ち着け。

冷静に。冷静に、だ。

 

とりあえず今、教官がここに来た。

そして、一緒に飲んでいいかと、俺に委ねられた。

 

 

「…………も、もちろんです。きょ、教官……。」

「なんだ!!ソウジ君、久しぶりだというのに元気がないな!」

「さ、サーイエッサー!!……ど、どうぞ飲んでいきましょう!!」

「はっはっはっはっはっ!!ありがとう!!」

 

 

さすが教官。

そこからは場が一気に、更に明るくなり。

飲み会のボルテージも最高潮。

久しぶりの人がやってきて、そりゃもうみんな大歓迎。

 

俺ももちろん嬉しいんだけど。

その……。

 

 

ど、どうしよう……。

 

 

「ご主人さま……。」

「ショウコ……俺、セツヒトさんに何て言えば……。」

「………………ドンマイですっ!!」

「相棒!?」

 

 

ピューっと俺の前から消えたショウコ。

俺の肩をつかんで、飲め飲めと騒ぐ教官。

 

 

 

あっれぇ!?

………………どうしよう!?

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