モンハン世界に成り行きで転生した中身おっさん   作:びびんば

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20スパルタ教育に身をゆだねましょう。

「ほらっ、回復薬グレートだ!飲んだら、次に患部にすり付けてみるといい!」

「あ、ありがとうございます……。」

 

 

骨でも折れたんじゃないかと思うほどの痛みがあったのだが。

 

一応は痛みはひき、腫れていた右腕も次第に治っていく。

すごいなこの薬……。

 

 

「しばし休憩だ!10分後、次の訓練を再開する!」

「じ、10分!?」

「ああ!ある程度痛みが残っているまま行う!実践ではそんなこと、日常茶飯事だからな!」

「は、はいぃ。」

 

 

うへぇ、と声を漏らす。

 

教官は、隣で何か薬と液体を混ぜたかと思うと、一定の速度でかき混ぜていく。

10秒ほどでできたのは、先程もらった回復薬グレートというものだった。

 

 

「……よし!患部にすりつけるといい!」

「いや!先程もらいましたから!」

 

 

天然なのかこの人。

 

 

「そうか!ではこれは私が頂こう!」

「貰うんかい!」

「ちなみに、今のが回復薬グレートの作り方だ!覚えたかな!?」

「それも訓練だったんかい!休憩中ちゃうんか!!」

 

 

もはやボケとツッコミである。

 

マショルク教官は、赤と黒がベースカラーの重装備だ。

肩や腰にはトゲトゲがついていて非常に厳つく、怖かった。

だが、俺が怪我をした瞬間、この薬を出して介抱してくれた。

 

優しいのか厳しいのか全くわからん。

アメとムチしかない教育方針なのかもしれない。

 

 

もしくは……天然さんの可能性がある。

 

 

「しかしソウジ君には驚かされっばなしだぞ!ここまで私の連撃を避けたハンターはいなかったな!誇っていい!」

「あ、ありがとうございます。」

 

 

アメか?アメなのか!?

褒め言葉も、純粋に受け取っていいのか、よくわからなくなってしまう。

 

 

「君はどこかでハンターをしていたのかな!」

「い、いえ、全くの素人であります!」

 

 

だめだ、マショルク教官の口調に合わせると、完全に軍隊の答え方になってしまう!

なるようになれ!もうこの人の前ではこの口調でいいや!

 

 

「そうか!だが、身のこなしは相当なものだな!これからが楽しみで仕方がない!」

 

 

そう言うと教官は俺に木剣を二本差し出しさてきた。

 

 

「第二関門も合格とする!言うことは特にない!」

「えっ!この講習、終わりですか!?」

「ああ!今日の分はな!今君が口にした『先を読む』ということ。私の重心や動作、目線を読む力、感服だ!後は実践でいいだろう!」

「よ、良かったぁ……。」

 

 

とりあえずあの痛い思いは、もうしたくない。

 

 

「この剣を手に取るんだ!次の場所に移動する!」

「りょ、了解であります!」

 

 

ヤバい。

この口調に慣れたら、もう戻れない気がする。

 

 

* * * * * *

 

 

「次はここだ!」

 

 

やってきたのは、周りを岩山と滝に囲まれた場所。

ギルドの奥にこんな場所があるとは思わなかった。

 

よく見ると岩山のそこかしこに足場が見える。

あそこまでどうやって移動するんだろうか。

 

そして何より異様なのが、中央に鎮座する、一匹の蛙。

……のようなからくり?ロボット?

 

疑問が尽きない中、教官が岩山の奥にある歯車を回し始める。

ある程度勢いがついたところで、今度は滝にある水車の留め具を外した。

 

その途端、「ギギギ………」と音を立てて、中央のカエルが動き始める。

 

 

「これは<からくり蛙>という!非常に丈夫な作りになっているので、攻撃の練習にはもってこいだ!」

 

 

そう言うと、教官はからくり蛙に納刀のまま構えをとる。

やはり美しい。

何というか、構えが次の動作に向けて一番自然になっているというか、無駄が全く無い。

 

そう思っていると、教官は目にも留まらぬ速さで剣を振り抜いた。

 

 

「凄い………。」

 

 

人ってあんなに速く動けるのか……。

 

攻撃を受けた蛙はビクともしなかった。

だが、教官は止まらない。

 

斬り上げに続けて回転斬り、その後突きを連続でおこなって……あぁ、もう目で追うことができない。

まるで舞っているようだった。

 

 

すると、からくり蛙が「ガガッ」と音を立てて動かなくなった。

 

 

「このように、短時間に一定のダメージを与えると止まる仕組みになっている!」

「なるほど。」

「ようし、やってみろ!」

「できるかぁ!」

 

 

脊髄反射で突っ込んだ。

 

 

「なに!?まずはやってみなくては始まらないではないか!」

「たしかにそうですが!何かコツとかやり方のアドバイスは無いんですか!」

「うむ!確かに!」

「あと!訓練に見通しがほしいです!今日行う訓練はこれだけですか?」

 

 

そう、実はもうすぐ夕方、日が暮れる。

さらに言えば、全身疲れていて、満足に動けるかわからない。

 

 

「ようし!では、考えている訓練を伝える!心して聞くように、」

「サーイエッサー!」

 

 

疲れているんだな、俺。

ノリがよく分からなくなってきたぞ。

 

 

「まずは攻撃!モンスターを前にして、一定のダメージを与える!これをしなければ、大型モンスターを屠るなど夢のまた夢だ!」

「サーイエッサー!」

「また、並行して岩山を登る訓練を行う!コツをつかめば簡単だぞ!エリアの移動には必ず必要になるスキルだ!」

「さ、サーイエッサー!」

「更に!休憩時間を利用してアイテムの調合や罠の仕掛け方と言った、ハンターに必須のスキルを習得する!」

「さ、サーイエっ」

「そしてそして!訓練後は宿で筋トレと素振り、調合などの自主練を行ってもらう!毎日宿題として、私がその出来を確認する!」

「………サー………」

「こんなところだ!異存は無いかな!」

「……………。」

「ようし!沈黙は肯定とみなす!最後に!君に仮免許を渡し、最終試験の大型モンスター討伐を行ってもらう!そうすれば、免許皆伝だ!」

「………サーイエッサアアァァァァァ!!!」

 

 

 

 

講習会と聞いて、こんなスパルタ教育が待っていたとは。

 

誰も予想できないですよねそうですよね。

 

 

その後狂ったように双剣を振るった俺は、力尽きるように倒れたのだった。

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