モンハン世界に成り行きで転生した中身おっさん   作:びびんば

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43狩猟を行いましょう。

草原に着いた。

 

「じゃあな、兄ちゃん、アイルーの嬢ちゃん。頑張れよ。」と言い残し、去る御者のおじさん。

……前回もあの人じゃなかったっけ?

うーん、ダンディ。

 

 

「よし、そしたらショウコ。これから狩猟を始めるが、一つだけ、俺が大事にしていることを伝える。」

「はい!何ですか!?」

「絶対に、無理はしない。生きて帰ることを最優先にすることだ。『生きて帰ることが、最もハンターに重要な資質だ』。俺の尊敬する教官の言葉だけどな。そこは必ず、大事にしてくれ。」

「……はいっ!ウチ、その考え好きです。絶対に守ります。」

「うん、まぁ、無理はしないってことだな。よろしく頼む。」

 

 

ショウコに大事なことを伝えた上で今回のクエストについて、進め方の打ち合わせを行う。

 

 

「じゃあ今回のクエストの話だ。と言っても、やることは単純だ。俺が見つけて、二人で戦う。以上だ。」

「索敵はウチがしなくてええんですか?」

「あぁ、これもギフトの力なんだが……俺はモンスターのいる場所が分かる。」

「……えぇ!?」

「と言っても、ハンターになってまだ新米だ。討伐自体にはまだ不安も残る。ショウコ、おかしなところがあったら遠慮なく教えてくれ。直していきたい。」

「……そんな力があったら、ご主人様強いし、バギィぐらい余裕やと思うんですけど……。」

「尚更だな。存分に力を発揮しているか、油断していないか、クエストの進行に間違いはないか。そういったところは経験がものをいう。頼りにしているぞ、ショウコ。ここではショウコが先輩だ。」

「は、はいっ!ウチ頑張ります!」

「よし、じゃあ出発だ。南東の岩山の向こう、4匹いるぞ。」

「え!?早っ!?」

 

 

走りながら武器の最終確認を行う。ショウコも「動きながらその準備ができるのはええですね!」とほめてくれている。

教官に何度も言われてきたからな。常に動きながら何かを行うこと。死ぬ確率がぐんと減る、と。

 

 

最初の群れを発見。

小型モンスターらしく、大きさはショウコと同じくらい。小学生高学年の子どもぐらいか?

ギャッギャッと仲間と鳴きながら、周囲の警戒をしている。

 

 

「うわぁ、ホンマにおった。ご主人様すごい……。」

「ショウコ、まずは俺だけで行っていいか?」

「はい、ご主人様なら大丈夫かと思います。気を付けてくださいね!」

「あぁ、眠らされたら、その時は頼む。」

「はい!」

 

 

慎重に身を低くしながら近づく。

草原は、そのまま草が生い茂るだだっ広い平野だ。

そこかしこに大きい岩山が見えるが、バギィたちがいるのは生い茂った草むらの中。

隠れるには恰好の条件が揃っている。

 

 

バギィの見た目は、ちっこい恐竜のような感じ。 

薄紫の鱗が鈍く光り、遠目からでも視認しやすいが、曇天ならわかりにくいかも知れない。

大きそうな個体は居ない。警戒の目を向けているのが、この4体のリーダーか……?

鋭い爪は見えるのだが、催眠効果のあるという体液は、当たり前だがわからない。

口から吐き出すという体液……凶暴で頭もいいらしいから、囲まれたら良くないと思う。

速攻で片付ける必要があるな。少し緊張する。

 

 

息を潜め近づき、警戒の目が反対に向いた瞬間。

俺は走りだした。

 

首めがけて二段切り、返して、車輪切り。

2匹ほどまとめて吹っ飛ばす。

追撃はせず、残りの2匹に狙いを向ける。1匹が今にも遠吠えを上げそうになっている。

仲間を呼ぶ気か!?

がら空きの首を回転斬り、間合いを詰めながら、正確に頭と喉を狙う。

振り切った双剣ににじむ血の色は赤。後で手入れしないとな。

 

その後、起き上がってくるバギィに、もぐら叩きのように追撃を行う。

 

 

「ラストっ!」

 

 

連続技の最後、斬り上げの直後に吹っ飛んだバギィは、しばらく動いた後に静止した。

 

 

「よし、4匹目。周囲には……敵影無し、と。ふぅ……。」

 

 

案外あっけなかったが、気を抜いてはいけない。

油断したら、教官から怒声が飛んできそうだ。

 

 

「……おーい、ショウコ!」

「はい!」

 

 

勢いよくショウコが飛び出してきた。

かなりの速さで俺に近づくと、俺に飛びついてきた。

 

 

「ご主人様!やりましたね!あまりの早業に、ウチ驚きました!」

「お、おぉ。そうか、よかった。」

「はい、文句の付け所がありません!しいて言うなら、私にも出番を下さい!」

「はは、すまん。じゃあ次はショウコと一緒にやろうな。」

「はい!」

 

 

話しながら、バギィの討伐部位である鱗を剥ぎ取る。

死体は重ねておいて、後で回収がしやすいようにまとめておく。

 

 

「ええですね、そうやって後々のことを考えて動くのも、大切なことです。」

「おぉ、ほめられた。そうか、当然だと思っていたが、これも大切なことなんだな。」

 

 

再確認。教官が教えてくれたことが生かされているな。

全く、感謝してもし切れない。

……まぁ、ハンターの制度とかアイルーのこととか、肝心の部分は教えられなかったんだけど。

教官らしいと言えば教官らしい。

 

そう言えばセツヒトさん、元ハンターと言っていたけど、どれだけの方だったんだろう。

聞いてもはぐらかされそうだが、帰ったら武具屋によってみよう。

 

そう考えながら双剣を研いでおく。こればかりは立ち止まって行うしかない。

集中していないと、剣をダメにしてしまいそうで、最低限の周囲の警戒をしながら行う。

 

 

「ご主人様、周囲の警戒はウチがやりますよ?」

「あぁそうか。そういう方法もあるな。……ショウコがいると、クエストが本当に楽に感じるよ。」

 

 

アイルーがいるだけで心持ちがこんなに楽になるなんて。

ショウコと契約して本当に良かったと思った。

 

 

* * * * * *

 

 

「ご主人様!左!」

「よしっ!はぁ!!」

「タイミングばっちりや!ウチ、後方から回り込んで追い込みます!2匹同時、いけますか?」

「あぁ平気だ!」

「じゃ、お任せします!」

 

 

言うや否や、ダッシュして一瞬でバギィたちの後方に回り込むショウコ。

俺にあの瞬発力は無い。

持久力なら負けないのだが、素早さはショウコの圧勝だな。

 

 

「ご主人様っ!」

「あいよ!!鬼人化……!!」

 

 

鬼人化を行い、攻撃力を上げる。

最近鬼人化中に、少しだけ力がみなぎる感覚がつかめるようになってきた。

鬼人化を解いた後はどっと疲れるのだが、体力には自信がある。

さっと終わらせてしまおう。

 

剣を構える。

低い姿勢から、昨夜の訓練を思い出しながら連続技を繰り出す。

斬り応えが無いし、バギィは小さい。

正確に切ることだけ考えよう。

 

 

「これでっ!最後!!」

 

 

回転切りでケリをつける。

吹っ飛ばされたバギィは、その後動かなくなった。

 

これで20匹目だ。

討伐部位をさっと回収する。

 

 

「ご主人様、ナイスでした!」

「いや、ナイスはショウコだよ。俺が戦いやすいように敵を集めてくれて。すごく楽だった。」

「まぁ、それがウチの得意技ですからね!素早さならだれにも負けません!」

「ははは、頼もしいぞ。次もよろしく頼むな。」

「はい!」

 

 

話しながら、バギィたちの体を重ねておくのを忘れない。

部位の数を確認する。20個揃っているな。

 

信号弾を打つ。これで後は帰還するだけだ。

 

 

「ホンマ手際がいいですねぇ。言うことなんかあらへん。こういう基本のところ、大事にしているハンターさんは、やっぱり強い人多いです。ご主人様、すごいです。」

「教官が良かったからな。……うん、よかった。」

 

 

遠い目をして教官を思い出す。

今頃新しいハンターをしごき始めているのだろうか。

その名もない見習いさんに、敬礼を送りたい。がんばれ、と。

 

 

「それじゃ、帰るか。」

「……はい!」

 

 

一応、マップを見てみる。

寄って来る脅威などは無さそうだな……。

 

ショウコは疑心暗鬼になっている。

そりゃ立て続けに、自分が組んだハンターが予期せぬモンスターに襲われているのだ。無理もない。

 

だが、俺のギフトで、そうしたモンスターはいないことを確認済み。

 

 

「……ショウコ。」

「は、はい!!」

 

 

辺りを警戒しているショウコ。

……少し肩の力が入りすぎだ。

 

 

「ショウコ。ストップだ。」

「へ?と、止まるんですか?……まさか、モンス―――」

「落ち着け。」

「えっ。」

 

 

ポンッと頭に手を置く。

 

 

「大丈夫だ。大丈夫。」

「あ……。」

「俺のギフトの話はしたよな?周りに敵なんかいない。」

「…………。」

「信用してくれ、自分だけ頑張るな。俺とショウコは一蓮托生。一緒に、やっていけばいいんだ。」

「……はいっ……。」

 

 

緊張が少しはほぐれたようだ。

………クエストの始めに、先輩として教えてほしいなんて俺が言ったからか。

ショウコを立ててやる気になってもらおうと思ったのが、 逆にプレッシャーになったんだな…………反省。

 

 

「ごめんな、俺が教えてほしいなんていうから、頼りなかったな。」

「えっ!?……いや!ちゃいます!……。ウチは、ウチは……。」

「うん。」

「…………ウチ、嬉しかったんです。ハンターさんが、私を頼ってくれる。今までもそんなんあったけど……ご主人様がそう言ってくれて、頑張ろうって、思えました。」

 

 

目をウルウルさせながら話すショウコ。

 

「招き猫」なんていない。

俺は誓ったのだ。

このショウコの不名誉を、払拭すると。

 

 

「……ショウコ。モンスターは来る気配がないし、俺が周りを警戒するから。」

「はい……。」

「安心してくれ。もうショウコは、『招き猫』じゃないぞ。」

「…………はい!」

 

 

いい笑顔だ。

ショウコに泣き顔は似合わない。

やっぱりこの子は、笑顔でいてほしいな。

 

 

うーん。

我ながら恥ずかしいです!

キザですね。

うん、死にたくなってきた。

 

 

「……よ、よーし!帰還ポイントまでダッシュだ!負けたらスクワット100回!」

「ご主人さま、…………恥ずかしくて、ごまかしてません?」

 

 

クスクスと笑うショウコ。

この笑顔は……ちょっとムカつく。

 

 

「お先!」

「あー!ヒドい!イケズ!!ちょっ、待ってくださいー!」

 

 

* * * * * *

 

 

帰還ポイントについた俺達は、ネコタクを使ってワサドラに帰った。

 

ちなみに、勝負に勝ったのは俺。

ショウコはスクワットで「足が痛いわぁ……!」とかなんとか言っていたので、ヒョイッと抱っこしてネコタクに乗せてやった。

 

ネコタクのアイルーは、前回と一緒の御仁。

「立派にハンターをやっていてうれしいにゃ。」と言われて、ちょっと照れてしまった。

 

ニヤニヤしているショウコに再びイラっとしたので、耳を軽く引っ張っておいた。

笑い合う俺たち。

 

 

やっぱり。ショウコは笑顔が一番だ。

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