モンハン世界に成り行きで転生した中身おっさん   作:びびんば

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59強襲に対処しましょう。

突然、見たことも無い大型モンスターに強襲された。

間一髪避けられたが、奇跡としか言いようがない。

 

視界の端に、キラリと光るものが見えたのだ。そして、明確な殺意を感じた。

思わず体が動いた。

 

目を相手に合わせたまま、ショウコの様子を見る。

ショウコに怪我は……無さそうだな。

無事でよかった。

 

しかし、なぜ接近に気付かなかったのか。

ロアルドロスの連続狩猟に夢中だったから?いや、敵の確認はした。

マップ上には、さっきまでいなかったはずのモンスターのアイコンが光っている。

 

……油断していたのか。

連続狩猟が見事に成功し、自分の成長に自惚れていたのか。

油断はしないと心に誓っていたはずなのに。自分が情けない。

 

 

切り替えろ。反省は後だ。

生き残ることだけを考えろ。

 

 

まず、俺たちはこいつを狩れそうか?

答えは、否。

……はっきり言って、すごく強そう。

俺たちが万全だとしても、勝てるのかわからない。

何より俺たちは今、少なからず疲弊している。

 

次、俺たちはこいつから逃げられそうか?

……わからない。

だが、あの強靭そうな足腰。先程の攻撃は、目に留まらない程であった。

俺たちより遅いと言うことは、まず無いだろう。

希望的観測は、現状しない方がいい。

 

じゃあ次に考えられるのは……。

うん、一番現実的だな……。

俺たちのどちらかが残り、囮となる。その間片方が救援を要請する。

近くにはそろそろ回収班も来る。

時間的に観測班がこちらを見ているかはわからないが、救援の為、助けにきてくれるハンターもいるかもしれない。

 

考えを一瞬でまとめる。

ここは俺が囮になって、ショウコに助けを呼んでもらう方がいい。

……死ぬつもりはないが、ショウコに呼びにいってもらった方が、間違いなく早いだろう。

 

……よし、覚悟を決めろ。

ショウコに考えを伝え、実行せねばなるまい。

 

 

「ショウコ、目をあいつから離すなよ。今から……ショウコ?」

「あ……うああぁ……。」

「ショウコ……。」

 

 

しまった。

トラウマか。

 

このタイミングでの、明らかな強敵の急襲。

ショウコのトラウマをフラッシュバックさせるには、十分過ぎる。

 

 

「ショウコ、深呼吸だ。落ち着いてくれ。」

 

 

頭を撫でる。背中をさする。

モンスターとの目線は外さないまま。

外した瞬間、攻撃を仕掛けてきそうな気がする。

 

 

「そうだ、大丈夫だ。」

「ふ、ふうううぅ。はああ……。」

「……どうだ?」

 

 

コクン、と頷くショウコ。

 

 

「よし……ショウコ、これからやることを言う。実行してくれ。」

 

 

コクン。

 

 

「……5数えたら、後ろに思いっきり飛び退くぞ。いいか。1、2、3、4……」

「……。」

 

 

カチッ。

 

 

「5ぉっ!!」

 

 

バッ!!

 

 

2人で同時に後ろに跳ぶ。

その瞬間、俺たちに逃げられると思ったのか、相手モンスターが猛スピードで追いかけてきた。

 

 

「そこだ!」

 

 

ザザ!ズドン!!!

 

 

「ギャァァァァァァァァァ!!!」

 

 

モンスターが地面に落ちた。

タネは簡単。ギフトで落とし穴の罠を仕掛けたのだ。

 

超重量の大型モンスターには、効果覿面。

 

 

「ショウコ、時間が無い。聞いてくれ。」

「……(コクンコクン!)。」

「俺がここを引き受ける。助けを呼んできてくれ。」

「……(ブンブンブンブン!!)。」

 

 

首を振るショウコ。

 

いかん、そろそろ罠の効果時間が切れる!!

 

 

「ショウコ!恐らくこれが最も生き残る可能性が高い!いいから行け!!」

 

 

ベキ!!ベキベキィ!!……ズン!!

 

 

「グアァァァォォォ!!!」

「くっ……!復活はええ!ショウコォ!!目を瞑って走れぇ!!」

 

 

ビュン!!

閃光玉を投げる。

 

一瞬の間だけ、猛烈に光るアイテム、閃光玉。

色々と使えるが、こうして一瞬の隙を作るにはちょうどいい。

 

 

「ギャォォォ!!!」

 

 

一瞬のけぞったかと思うと、無闇矢鱈に攻撃を繰り出す恐竜モンスター。

 

一瞬だけ情報画面を見る。

モンスターの名前は……ディノバルド?

 

 

「ショウコ!!こいつの名前はディノバルド!頼んだ!!」

「……はいっ!!」

 

 

ショウコは泣いていた。声が震えていた。

でも、猛スピードでキャンプまで駆けていく。流石の速さだ。

 

そして……。

 

 

「グァァァァ!!!」

「おぉっと!!!」

 

 

尻尾攻撃がご自慢なのか?ケツを向けたと思ったら、こちら目掛けて尻尾を振り下ろしてきた。

挙動は速いが、避けられないことはない。

 

 

「どうした!?簡単に避けーーー」

「ガァァ!!」

「ぐあっ!!!」

 

 

油断した。

連続かよ……もろに食らってしまった。

でも覚えた。尻尾の振り下ろし攻撃は、2回繰り返すことがある。

 

……痛ぇ……死ぬほど痛い。

骨は……いってないか。よし。

防具に感謝。

 

 

「さーて、お前の情報をもう少し見せてくれ……!」

 

 

いわゆる上位クラスのモンスターだろうか。

明らかに雰囲気がやばい。勝てる気がしない。

 

でも……生き残る!俺は、帰らなければならない!

 

 

(<情報画面>、<ハンターノート>、<モンスター情報>……あった。)

 

 

【モンスター名】ディノバルド

【種族】獣竜種

【別名】斬獣

【詳細】

密林や砂漠、火山帯などの高温地域に生息する獣竜種の大型モンスター。肉食性で、性格は至って獰猛。一度狙いを定めた獲物は決して逃さず、執拗に追跡し、多種の大型モンスターと鉢合わせても、積極的に戦いを挑む。濃赤色の鱗と外殻をもち、渦巻く炎のような形状の青い突起が背中に立ち並ぶ。また、全長の半分近くを占める巨大な尻尾が特徴。まるで刀のように尻尾を使って攻撃をすることから、斬竜の異名で呼ばれる。驚異的な運動能力を誇り、重厚な外見とは裏腹に非常に俊敏。素早いステップと踏み込みによって獲物を翻弄しながら、ハンターの身の丈を超えるほどの跳躍とともに攻撃を繰り出す。…………

 

 

飛ばし読みしながら、何となく把握。

2人で逃げていたら、間違いなくどちらもやられていたな……。

残忍かつしつこい性格、しかも攻撃も強烈ときたもんだ。

 

 

「さて……弱点みたいなのはないのか……?」

 

 

教官の言葉を思い出す。

観察、観察、観察。

とにかく、モンスターを見る。特徴を捉える。弱点を見つけるんだ。

 

 

「グラァァァァァ!!!」

「うおっと!!」

 

 

頭ごと突っ込んで来た!

寸でのところで躱す。噛みつき攻撃ってやつか……?

 

予備動作が遅かったので避けられた。

耳には、ディノバルドの牙と牙がかち合う音が残った。

 

 

「グルルルル……。」

「怒るなよ……怖すぎんだ、よっと!!」

 

 

ステップで後退していく。

いかに身体と尻尾が馬鹿でかいとはいえ、射程の外に出れば安全だ。

 

……なんて、浅はかだった。

 

 

「グゥゥゥ……!!ガァ!」

 

 

ボン!ボボボン!!

 

 

「嘘だろ!!??」

 

 

俺が離れたとわかるや否や、今度はあいつ、口から火球を出してきたぞ!!

 

 

「回避する……だけなら!!」

 

 

ディノバルドが発した火球を避ける。

さっきまで俺がいた場所に、火球が着弾した。

 

 

「……?火球……じゃない!?これは……!?やばい!!」

 

 

着弾した火球は霧散すること無く、何故か地面に残っている。

すぐに火球?と距離をとる。

直後、その火球もどきは、爆発した。

 

 

「火球じゃない……これもうほぼ、時限爆弾だ。」

 

 

原理はわからない。だが、奴は口から時間経過で爆発する何かを吐き出すことができる。

その事実がある。

そしてそれは、遠くに離れてもあまり意味はないと言うこと。

 

 

「ガァァ!!」

「跳んだ!!?」

 

 

火球について考える間もない。

離れていたディノバルドが跳んだかと思うと、いきなり反転して尻尾を叩きつけてきた。

 

 

「のおわっ!!!」

 

 

またも間一髪でよける。

 

……命がいくつあっても足りない気がしてきた。

こいつ……一瞬で距離を詰めて、この破壊力の攻撃を繰り出せるのか!?

 

 

防戦一方の俺。執拗に俺を狙ってくるディノバルド。

情報に偽りなし。……こいつ、しつこい……!!

 

 

「グァァグ……!!」

 

 

キン!

 

 

……何だ!?

急にディノバルドが自分の尻尾を咥えた……

 

……あの口で尻尾を噛みながら……火花を起こして……

 

 

「……!!やばい!!」

 

 

気づいた時にはもう遅かった。

 

ディノバルドが口から尻尾を離した瞬間。

とんでもない速さで回転した。

 

思わず飛び退く。目の前に来る刃。

胸を切り裂く寸前、背筋と腹筋を思いっきり使って、スウェーで避ける。

 

ギリギリ、何とか避けられたと思った時。

 

ディノバルドはまた尻尾を咥え直すと。

間髪入れず、もう一度尻尾をぶん回してきた。

 

 

ドガッ!!

ドン!ゴロゴロゴロ……

 

 

「……が!!ぐはっ!!!」

 

 

また、2回来た。

完全に当たってしまった。

 

 

「ぐうう!!……ふぅー!ふぅー!はぁー!!」

 

 

無様に転げる俺。

教官から教わった呼吸法を繰り返す。

 

何故かはわからんが、ディノバルドが止まっている。

回復薬グレートをがぶ飲み。

 

右の胸が……これ、骨イってるな……。

腕、足、イケるか……。

頭は、血が止まらないが、多分大した傷じゃない。

 

出し惜しみはしない。回復薬グレート2本を全身にかける。

 

 

「いってぇ……防具もか……。」

 

 

せっかくセツヒトさんに整備してもらったのに。

防具の腹部は、見事に破けていた。

 

 

「グ……グァァァァァァァァ!!!」

「っ!」

 

 

耳が壊れるかと思うほどの咆哮。

天に向けて吠える姿は、どこか余裕を感じる。

 

ムカつくな。

 

勝利を確信でもしたか?

 

……おあいにくさま。こちらは諦める気など、毛頭無い。

心のどこかで、あいつには敵わないと冷静に分析しているが……だからなんだ。

 

やってやる。

 

 

「悪いが、ギフトをフル活用してでも、勝たせてもらうぞ!!斬竜ディノバルド!!」

 

 

俺は、ポーチに手を触れた。

 

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