モンハン世界に成り行きで転生した中身おっさん   作:びびんば

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76神様世界の近況報告を聞きましょう。

明くる朝。

ガンガンと頭の中で響く、昨晩の痛飲の名残。

 

 

「……っ!!!」

 

 

……急いで毒消しを服用し、何とか落ち着く。

 

この体でも、酒には強くなったと思ったが……昨日は飲みすぎた……。

なぜ酒とは、もう二度と飲むか!と思うのに、また飲まれてしまうのか。

 

不思議なものである。

 

 

「神界の歴史上でも、呑まれすぎた者はたくさんいます。」

「…………。」

「宴会で主神を誘い出す、なんていうお話もあります。……元日本人の双治さんは、ご存知かと思います。」

「……さて、今日はギルドの方に顔を出すか……。ランニングの用意をーーー。」

「おや、こんな所にショウコさんにスリスリされてドキドキしてしまう自分に悶々とする双治さんの独白が。」

「おおおおはようございます!女神さまあ!!」

「はい、おはようございます、双治さん。お元気そうで何よりです。」

 

 

何!?

何なのこの神様!?

プライベートが筒抜けなのは百も承知だけど!!

俺のそういう独白は黙っておいて欲しい!!

 

 

「いきなりの顕現、申し訳ありません。驚かれましたか?」

「驚くわ!!寝起きに枕元に美女がいたらそら心臓止まりそうにもなるわ!!」

「起きてから既に気づかれているのに、自然と私をスルーするもので。」

 

 

起き抜けにベッドの横で女神さまが座っていたら。

想像してみてほしい。

 

心臓止まるかと思った。

 

 

「無視してすみません。その……気分を落ち着けようとしたら、ついいつものルーティンになってしまいました。」

「無視されるのは、存外寂しいものです。」

「す、すみません。」

「気持ちよくもありました。」

「何言ってんのこの神!?」

 

 

なんかこの女神さま、会うたびにダメになっていくような……。

 

 

「あれ?ショウコは?」

「ショウコさんでしたら、つい先程出かけられました。」

「そうですか。」

 

 

どうしたんだろう。

いつも朝が早く、俺を起こしてくれるのだが、今日はいない。

 

 

「なのでそのスキにこちらに来ました。部屋の周囲に人払いのまじないをかけています。ご心配なく。」

「対策はバッチリですね……で、今日はどのような御用で?」

 

 

女神様と会うのは確か……ディノバルド戦で負傷して医務室で眠ろうとした時。

めちゃくちゃ美人がいきなり入ってきて、その時も驚いたものであるが……。

 

今回の登場もまた心臓に悪い。

 

 

「本日は……。」

「本日は……?」

「遊びに来ました。」

「何ですと。」

 

 

意外すぎて普通の返しをしてしまった。

 

 

「案外、驚かれないものですね。普通、神が遊びに来たとなると、もはや宗教のトップのレベルかと。」

「その辺はだいぶ鍛えられていますので。」

「……。」

「……今、『つまらねぇなあ』とか、思ってません?」

「いいえ、思っておりません。」

「なぜ誤魔化すんですか……。」

 

 

女神さまは文字通り神出鬼没。

大体は現状報告をしてくれる。

 

だが今回は何だ、ただ遊びに来ただけなのか。

 

 

「とは言っても、顕現できるのはこの世界で言うところの、30分程です。」

「めっちゃ短いですね……。」

「仕方がありません。この世界の神をだま……交渉して、何とか時間を得ましたので。」

「今めっちゃ不穏な言葉が聞こえましたけど!?」

「酒を入れたら楽勝でした。」

「一服盛ったな……。」

 

 

……この女神さまが破天荒なのは、今に始まったことではない。

俺も本当に、慣れたものである。

 

 

「では本題です。」

「本題?」

「双治さんに関わる、SNSを始めとした話題の量が、安定してきました。」

「あぁ、そっちの話ですね。」

 

 

俺……というより、俺を中心としたこの世界はどうやら、神界で大流行り中らしい。

らしい、というのは、まぁ別に実際に見た訳では無いからだ。

 

願っても行けないだろうし、そんな世界。

 

 

「安定といっても、人気は高い水準を保っています。双治さんの成長を見守りたい層、周囲の方々の固定ファン層、もう何でも良いから萌え萌えしたい層など、あらゆるファン層が絡み合い、もはや私も何が何やらです。」

「最後のファン層は一体……。」

「はい、この何でも良いから〇〇したい層は、今やこのコンテンツに欠かせない大事なファン層です。若者が中心となって、欲望のままに画像や映像を漁っています。」

「完全にやばい奴らじゃ無いですか……。」

「『何でも良いから双治さんとマショルクさんのカップリングが見たいのよ層』は、主婦層が中心です。よかったですね、モテモテです。」

「完全にやばい奴らじゃねえか!!」

 

 

だから、何でこの女神様から聞く神様たちって、こんなに残念なの!?

おっさん同士の絡みのどこに需要があるのというのか!

 

……ありました、奥様方に。

 

 

「なんか気分が悪くなってきました……。」

「二日酔いでしょう。次の報告に参ります。」

「冷たいな!!」

 

 

軽くあしらわれて、今度は女神さまが空中に指を向ける。

四角く空間を切り取るように指を動かすと、いきなり画面が浮き出てきた。

 

 

「おぉぉ……!」

 

 

正しく、近未来。空中に画面が浮かんだ。

その中には、宇宙から見た美しい地球の映像が流れている。

SF映画とかでしか見たことの無いような状況に、思わずため息をつく。

 

 

「前回、スケッチブックも双治さんにご好評いただいたのですが……パクられてしまいましたので、こちらの手法に変更しました。」

「パクられた……あー、あの時。」

 

 

元気を無くしてしまったショウコを説得するために、アンケート結果をスケッチブックに書いたんだが……。

 

あれをパクリなどと言われては困る。

出来に関しては、その辺の小学生が作った方が、よほど上手いと思う。

 

 

「なので、この最新投影機を、ネットで購入しました。」

「神界にもネット販売とかあるんですね……。」

「高かったですが、良い買い物をしたと思います。」

「……別にこんな機械を買わなくても、俺の情報画面に映して見せれば良いんじゃ無いですか?前も確か、そうされてましたよね?」

「……。」

「……。」

「……完全に忘れておりました。」

「えぇ!?」

「双治さんの前に顕現できることの嬉しさに、ちょっとはしゃいで衝動買いしました。」

「どんだけ楽しみにしてるんですか……。」

 

 

人間臭い部分が見え隠れする女神様。

神様なんて、人間の目の前に顕現するなど滅多に無いことなのだろう。

それを2回続けてできるとなれば、はっちゃけちゃうものなのかも知れない。

 

 

「まぁ気を取り直して。こちらの表をご覧下さい。」

「は、はい。」

 

 

顔色ひとつ変えずに、女神さまは何やら操作を始めた。

表が映し出される。

 

 

「セツヒトさんに関するトレンドの勢いが、すごいことになっています。」

「この……検証スレって、何ですか?」

 

 

俺はその中の一つの表題について、疑問を投げかける。

 

 

「はい。私はセツヒトさんの素性について大体を把握しているのですが、情報はきっちり漏らさないようにしております。」

「……セツヒトさんのよく分からないところを、そのままボカして、敢えて検証させているってことですか?」

「はい、相変わらず察しが良くて助かります。……それで、そのようにしましたところ……このような感じに。」

 

 

スッスッ。

 

 

空中に浮かんだタッチパネルを操作するように、指を動かす女神さま。

……心なしかドヤ顔に見えるのは気の所為ではないと思う。

 

見せたかったんだな、これ。

 

 

「こちらです。」

 

 

ネットの掲示板のようなものが映し出される。

 

スレッドタイトル……スレ順……IDに日付に時間……。

……うん、これ完全に◯ちゃんねる的なやつだわ。

 

 

「細部までお見せすることはできませんが、基本的にセツヒトさんの素性を考察している方、それにレスをつける方で二分されています。」

「へぇ……。」

「今のところ、検証の中で有力なのは『実力をつけた孤高のソロハンターが何かしらの大決戦の後、引退。』説です。」

「……まぁ、妥当ですね。」

「その『何かしら』についても検証が多数あり、細分化は難しいです。……また他には『ポッと出の超天才が調子こいた』説、『実は転生者』説、『ギルドの裏切り者』説、色々ございます。」

 

 

よくもまぁ、こんなに暇なことをしている神たちがいたものである。

 

 

「俺にその内容を話してもいいんですか?」

「問題ないかと。あくまで『推察されたもの』であり、事実とは限りません。」

「はあ。」

「大事なのは、このスレのあるコテハンが暴走し、この世界に現界しようと企んだことです。」

「あぶねえなぁ!」

 

 

ちょっと待て。

この世界には干渉しないことがルールだったのでは。

 

 

「ルールは破られるものですから。」

「そのセリフを神様が言っちゃあおしまいでしょう……。」

「ご心配なく。アク禁と神格の凍結、並びに指名手配がかかりましたから。」

「結構キツイな!!」

「はい、それはもう。……アク禁前のこのコテハンと住民のレスバは、見ていて笑えました。」

「止めてくださいよ……。」

「ウチのSNSとは何の関係も無い事ですし。」

 

 

結構ドライである。

 

何にせよ、この世界が平穏に済むなら何よりである。

と言うか、違う神様が首を突っ込むなんて、正直恐ろしいとしか言えない。

 

 

「あとはこの『セツヒトさん観察スレ』は、今のところpart68までいく、人気のスレです。」

「パートスレってやつですね……ん?観察?」

「はい。主に双治さんが朝起こしに行くとき、大変な盛り上がりを見せます。」

「…………つまり?」

「裸が見たいだけ、ですね。」

「もう驚かない自分が怖い。」

 

 

セツヒトさんは、あの伝説の、寝るとき裸族。

普段の様子からあまり分からないかもしれないが、結構なスタイルの良さと、間違いなく美人顔の部類である。

 

……俺だって若干期待してたし!

最近の装備にちょっとドキドキしてるし!

 

 

「ちなみに。このスレの方々は基本的に双治さんに好意的です。」

「え!?何でですか!?」

 

 

自分が好きな人の近くにいる奴なんて、邪魔でしかないと思うのだが。

 

 

「毎回クレクレ厨に裸を見るチャンスを与えてくれる双治さんは、ある意味崇められているんです。」

「……神様たちに?」

「はい。」

「俺が?」

「はい。」

「崇められてる?」

「アホしかいませんね。」

「おっしゃる通りだよチクショウ!」

 

 

…………その後も女神様のSNSよもやま話は続いた。

 

カップリング投票というよく分からん企画では、並みいる組み合わせを抑えて、見事「俺×教官」がトップに。

 

ちなみに2位は「教官×俺」になった辺り、本当に救いがない。

 

また、各ファンクラブの掲示板抗争はヒートアップの一途を辿っているという。

中でもショウコとドールに関してはその勢いが凄まじいとか。

 

 

「◯リコンしかいねぇ!」

「双治さんはご存じないかと思いますが……実はお二人、顔を赤らめながら一緒に寝たことがあります。」

「え?何ですかそれ!?」

「前回私が顕現した時のことです。」

「あ!あの時か……。」

 

 

ドールもショウコも、俺を心配して泣いてくれたあの夜か。

 

 

「どうやら、お二人で、同じベッドに眠ったようです。」

「それは……。」

「その時はもう。ファンの心の叫びが凄まじく。」

「あぁ……なるほど?」

「おかげであんなにいがみ合っていた両者が落ち着いてしまうという、珍事が起きました。」

「二人は仲良しですからね。」

「『俺この光景だけでご飯三杯いける。』『尊すぎワロタ。』『俺この枕に転生して神格失うんだ……。』『ふう……。』など、大変な好評を博しました。」

「やっぱ〇リコンしかいねえよ!!」

 

 

二人の寝顔によって、神界(ネットの)に平和が訪れたとかいういい話かと思ったら。

やっぱり変態話だったよ!!

 

 

「ご心配なく。『ケイさんに挟まれたい』という〇リコンではないファン層も、まだ根強いです。」

「結局変態しかいないよ……。」

「ええ本当に。世も末かと。」

「神の言葉じゃないですソレ。救いなさいよ女神さま。」

 

 

こうして俺は、ランニングが始まるまでの30分間、女神様のとんでも神界話を聞かされる羽目になった。

 

罰当たりな方々だが、罰を与える側が罰当たりなことをしているわけで、もう手に負えない。

 

 

* * * * * *

 

 

「……それでは、そろそろ現界の限界ですので。」

「……まさかそれが言いたいが為に、顕現したわけでは無いですよね?」

「…………。」

「…………。」

「失礼します。双治さん、北の地はモンスターがお強いそうです。お気をつけて。」

「……図星か…………ご忠告ありがとうございます。」

「では……。」

 

 

露骨に話を切ると、スーッと消えていなくなる女神さま。

後には何事もなかったのように、ガランと静まり返る部屋。

 

 

「……気にし過ぎたら負けだ。……ランニング行こう。」

 

 

俺は部屋を出て、一緒にランニングに行くショウコを探し始めた。

 

 

* * * * * *

 

 

「はいソウジさん、召し上がれ。」

 

 

ドールが朝食をテーブルに綺麗に並べる。

ランニングから帰ってきて、いつも通りのドールの食事。

 

今日は洋風。

白いフワフワのパンにバターが添えてあり、野菜がゴロゴロ入ったポトフからは湯気が立ち上る。

黒色でプルプルしたデザートは、ホエールさんお手製のコーヒーゼリーだという。

ミルクをかけていただく。

 

 

「はぁ……おいしい……。」

 

 

以前、二日酔い明けに食べたおかゆも絶品だったが……やわらかいパンにスープも悪くない。

コーヒーゼリーは甘さ控えめで、超俺好み。

ミルクに最高に合う。

 

 

「この毎日の幸せな食卓も、明日からしおばらくお別れなんだよなあ……。」

「だ、大丈夫だよ。また、帰ってきたら食べられるから。」

「……それもそうだな!……存分に今楽しむ!!」

「ふふ……あ、そんなに急いだら……ほら、ゼリーがほっぺに。」

「お、すまん。」

「あーだめだよ、服なんかで拭いたら。ほら。」

 

 

ドールが手拭いで俺のほっぺを拭いてくれる。

……なんかめっちゃ恥ずかしいぞこれ。

 

 

「あ、ありがとう、ドール。」

「う、ううん。……うん、綺麗になったよ。」

 

 

心なしかドールも恥ずかしそう。

 

 

「……私が目の前にいるっていうのに、二人は相変わらずねー!」

「ミヤコさん、朝から元気ですね。」

「そりゃ起き抜けにこんなシーンを見せられたらね。目も覚めます。」

「す、すいません。」

 

 

なぜか謝る俺。

ドールはいじられる空気を察して、水場に引っ込んでしまった。

逃げ足が速い!!

 

 

「まぁいいんだけどね。そんなことよりソウジくん。聞いたわよ?明日にもミヨシ村に出発するんですって?」

「え?あ、あぁはい。ミヤコさんにもちゃんと言わないとと思っていたんですが、タイミングがなく。すみません。」

「いいのよいいのよ、初め聞いたときは少し驚いちゃったけど、春には帰ってくるって話だしね。」

 

 

今朝会えなかったら、ギルドに行くタイミングで伝えようと思っていた。

タイミングが合ってよかった。

 

 

「実は私も、そろそろザキミーユに戻らないといけなくてね……。」

「え?そうなんですか!?」

「そうなの……実はあんまり居心地がいいものだから長くいたんだけど……とっとと帰って来いって上司に通告くらっちゃってね。」

「そうなんですか……。」

「そうなの。ねぇドール?私もソウジ君もいなくなっちゃ、寂しいでしょー?お母さん、ドールがどうしてもっていうならもうちょっとだけいようかなー?」

 

 

ミヤコさんが大声で水場にいるドールに声をかける。

タオルで手を拭きながら、ドールがこちらにやってきた。

 

 

「娘を口実にしないで、お母さん。ちゃんと仕事してきてください。」

「娘が反抗期!?」

 

 

いやいや、反抗期って、あなた。

 

ドールが言うことはごもっともなのだが、まぁミヤコさんがショックを受けるのもうなずける。

ドールは本当に、品行方正な超絶いい子なのだ。

 

 

「お母さん……ち、違うよ?寂しいは寂しいんだけど……ソウジさんもお母さんも頑張っているから、私も頑張ろうって思えるというか……。この宿を、しっかり切り盛りしないといけないから。おじいちゃんと、一緒に。」

「ど、ドール……!」

 

 

あ、ミヤコさんの目がウルウルしている。

 

 

ガバッ!

 

 

「ひゃっ!!」

「もう!どうやったら私とあの人の間にこんなにいい娘が生まれるのかしら!神様ありがとうございますぅ!」

「お、お母さん……。」

 

 

急に抱き着かれたドールは、困りつつも少し嬉しそう。

うんうん、美しき哉、親子愛。

 

……神様に感謝の部分については、いろいろあった俺としては、微妙に同意しかねるが……。

 

 

「ソウジ君!こうなったらもう、ドールのお婿さんになれますチケットの相場は、跳ね上がりよ!」

「何を言ってるんですか急に!?」

「こんないい子を嫁に出す母の気持ち……あぁ!やっぱりドールかわいい!そう簡単にドールは嫁にはあげないわ!どうしてもと言うならまず、ドールを私から奪い取って見せなさい!そしてそのまま熱い口づけを……。」

 

 

暴走ミヤコさん。

こうなったらもう手は付けられない。

 

この人、仕事中はすんごいバリバリキャリアウーマンなのになぁ。今も格好は黒のスーツ姿だし。

プライベートはたまにこうやって暴走超特急になる。

 

そしてこうなると大抵。

この宿の看板娘が、この暴走車両を緊急停止してくれる。

 

 

「お母さん……?」

「へ?ど、ドール!?急に怖い顔してどうしたの!?」

「む、娘を捕まえてソウジさんに奪い取るとか、く、口づけとか……。」

「あ、あらら?……お母さん、またやっちゃった?」

 

 

こっちを向いて確認してくるミヤコさん。

俺はゆっくりと頷く。

はい、またやっちゃいましたね。

 

 

「そ、ソウジ君!こうなったらもう公然の事実を作るのよ!今すぐ抱きしめて奪い取っちゃって!そうしたら私も助かるーーー」

「お母さん?」

「は、はい?な、なあに?ドール?」

 

 

おお、すごい。

完全に蛇に睨まれた蛙。

リオレウスに睨まれたアプトノス。

 

 

「もう知らない。おかあさん。夕飯も抜き。」

「ええぇ!?『も』って何!?朝ごはんは!?朝ごはんーーー」

「当然、ありません。」

「そ、そんな……。」

 

 

チーン。

 

 

真っ白になるミヤコさん。

うんうん。このうまい飯を今日一日もう食えないなんて、そりゃそうなるよな。

 

……まぁ完全に自業自得なので、俺は何も言わずに最後のコーヒーゼリーを口に入れた。

ちなみにこの絶品ゼリーを作ったホエールさんが

 

 

「この愉快なやりとりも、しばらく見られんのー。」

 

 

と、呑気に笑っていた。

うーん、様式美。落ち着くぜ。

 

 

……アホなこと言ってないで、ショウコを探しに行くか。

 

実は朝も、この朝食時も、ショウコとは会えていない。

ランニングもしておらず、少し気になる。

 

 

「ドール、今日は夕飯もお願いできるか?」

「あ、わかった。じゃあ、用意しておくね。……あ、ごめん……ソウジさん、ショウコちゃんから伝言があったんだった。」

「え?そうなのか?」

「うん。今朝早く、宿を出ていく時にね。『ギルドに来てください』って。言ってたよ?」

「そうか……わかった、ありがとう、ドール。」

 

 

ギルドに行けば会えるのか?

うーん、何があるのだろうか。

気になる。とっとと行くか。

 

 

「それじゃ、ドール、ホエールさん。行ってきま……。」

「……。」

「……。」

「……ん。」

「す、すまん。忘れてた。」

 

 

頭を差し出しながら、上目遣いで見つめてくるドール。

断るのも怖いので、撫でさせてもらう。

 

この場にドールの近親者がいるのだが……あまり気にしなくなってきたなぁ。

まぁミヤコさんは真っ白だし、ホエールさんはいつも通りだし、いっか。

 

 

日課の頭ナデナデをしながら、今日一日の無事を祈願する俺であった。

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