モンハン世界に成り行きで転生した中身おっさん   作:びびんば

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ギルド受付嬢、ハイビスの視点です。
今回で一応終わりです。長かった……。


97ある受付嬢の話⑦

ガーグァ車に揺られて、二日。

だんだんと、この振動にも慣れてきました。

 

ガーグァ車に乗る時、護衛も見張りも雇わないと聞いて唖然としましたが、今では納得です。

モンスターが、全く寄ってこないんです。

少なくともこの二日間、影も形もありません。

 

セツヒトさんのおかげですね……。

ソウジさんとお話ししているのを聞いた限りだと、殺気を放つとか何とか言っていました。

そんな芸当、人間に可能なのかと思いましたが……さすがG級ハンターさんは違いますね。

 

ソウジさんでさえ、驚いていました。

いや、あなたのそのギフトの力も大概ですけどね。

突っ込むのはやめておきましょう。不毛な気が致します。

 

この旅の間、私は一つの大きな出会いをしました。

 

この車を引いてくれている、ガーグァの2頭です。

 

もう……なんというかですね……可愛いんです!

素直に従順に、一生懸命に頑張る姿。なのにどこか抜けた顔。

可愛いんですよ……本当に癒されます。

 

旅の間、可愛がらせていただくことにしました。

名前は、ガーちゃんグーちゃん。

まんまですが、これぐらいストレートな方が言いやすいですし、愛着も湧きますよね。

 

一度御者の方に、この2頭の名前をソウジさんが聞いたら、こんなことをおっしゃってました。

 

 

「名前?そんなもん、つけねえよ。」

「え?そうなんですか?」

「おう、なんせ衰えたら食肉に毛皮に羽に、余すとこなく有効活用ってな!まぁこいつらはこれからが働き時、稼いでもらうぜぇ!」

「……。」

 

 

……生きとし生けるもの、その命をいただいております。

御者の方も、ただ生きるため、この2頭を飼っているに過ぎないんです。

この世界の摂理、命の上に私たちは立っているんですよね。

 

……でもそれはそれ。

ガーちゃん、グーちゃん、一緒にいる間だけでも、精一杯可愛がらせてくださいね!

 

 

* * * * * *

 

 

旅自体は、非常に快適でした。

 

ソウジさんに荷物を持っていただいていますし、そこから取り出されるご飯もホカホカ。

不思議な力ですよねぇ……大変ありがたいです。

 

そして、何気に一番気にしていた、セツヒトさんとの生活。

初めは怖かったんですけど……一緒に過ごしていけば、そんな垣根も無くなってしまいました。

 

セツヒトさん、ハンターさんをやられる時は、それはもう恐ろしいぐらいにお強いんですけど……。

私生活はとにかく抜けてらっしゃいました。

 

特に寝起き。すごいんです。

……ぬ、脱ぐんです。

下着一丁です。

 

初めてテントでご一緒した日の夜。

その下着姿のまま抱きしめられて、それはもう驚きました。

力強く裸で抱きしめてくるんです……華奢でスタイルも素敵な大人の女性に抱きしめられて。

私、もう自分がよくわからなくなるぐらいには、ドキドキしてしまいました。

 

見張りの交代でソウジさんが来てくださらなかったら、一体どうなっていたんでしょう……。

 

 

「ん〜……ねむーい……。」

「せ、セツヒトさん、もう朝ですよ……起きてください。」

「はぁーい……。」

 

 

モゾモゾ。

 

 

シュル……シュツ……。

 

 

何でしょう。

目の前で着替える女性……はぁ……スタイルいいですねぇ……。

 

 

「……ハイビスちゃーん?もしもーし?」

「……は、はいぃ!!」

「だいじょーぶ?もうちょっとねるー?」

「すみません!……だ、大丈夫です!」

「そーお?」

 

 

いけませんいけません!

魅入ってしまいました!

ていうかハイビスちゃんって!ちゃんって!

 

 

「じゃー出るからねー。」

 

 

ヒラヒラ。

 

 

手の平を振りながら、颯爽とテントから出ていくセツヒトさん。

……これは、女性のファンが多いのも頷けますね……。

 

…………よし、気を改めましょう。

しかし、これから数日、こんな感じが続くんでしょうか……。

 

…………不安です…………!

 

 

* * * * * *

 

 

もうすぐタオカカ村、というところで。

事件が起きました。

ジンオウガに襲われたのです。

 

 

覚悟はしていたんですが、モンスターに急襲されるなんて初めての経験です。

 

恐怖で足が震えます、声も出ません。

冷静に頭が働きません。

 

ソウジさんとセツヒトさんは冷静です。

段取りをして、御者の方に指示を出しています。流石ハンターさんですね。

 

お二人で対応するから、先に行っておいてほしいと言われました。

……正直、私、何の力にもなれません。

 

お二人がその指示を出すと。

 

 

「……わかった!二人を信じる!……嬢ちゃん!」

「は、はい!!」

「二人になったら、こいつらを励ましてやってくれ!!あんたが声をかけると、安心するみたいだ!」

「は……はい!わかりました!お任せください!」

「あぁ、頼んだぞ!」

 

 

御者の方が、私に指示を下さいました。

ありがたいです、私にもできることがありました。

 

ソウジさんとセツヒトさんが車から降りて行きます。

武運を祈る他、ありません。

 

 

「くっ!!」

 

 

御者の方が苦しい声を上げました。

見ると、ガーちゃんもグーちゃんも、どこか慌てているように見えます。

 

 

「大丈夫ですよ!ガーちゃん!グーちゃん!後ろにいるのは、とんでもなく強いお二人です!安心してください!」

「ガー!」

「グァー!」

「そうです!上手ですよ!」

 

 

声掛けなんて、どうやったらいいのかも分かりませんが……励ましてみました。

 

 

「お……すげぇや嬢ちゃん……一気に落ち着いたぜ。……愛って伝わるもんだなぁ……。」

「そ、そうですか?」

 

 

確かに……心無しか、表情も落ち着いたように見えます。

 

 

「さぁ!急ぐぞ嬢ちゃん!タオカカに報告だ!」

「は、はい!ガーちゃん!グーちゃん!ファイトですよ!」

「「グアーー!」」

 

 

まるで返事でもするかのように、声を上げる2頭。

何ともたくましい姿です。

 

 

ソウジさんもセツヒトさんも、ガーちゃんグーちゃんも、御者の方も……頑張ってください!

私もできることを頑張ります!

 

 

* * * * * *

 

 

「ソウジさん!セツヒトさん!」

「あー、ハイビスちゃーん。おまたせー。」

「お、お怪我はありませんか!?あぁ、ソウジさん!やっぱり怪我しています!!す、すぐに医務室へ!」

「だ、大丈夫ですよ、ハイビスさん。そこまでの怪我ではないです……。」

「だ、だって!ジンオウガですよ!?ジンオウガ!!雷狼竜なんて言ったら私、扱ったことさえ無いような……あぁ、そんなことはいいです!早くこちらへ!」

 

 

お二人は無事でした。

いや、ソウジさんは怪我をされてましたけど……平気な顔をしていらっしゃいます。

ハンターさんってどうしてこう、御自分を顧みない方が多いんでしょうか。

無理矢理にでも腕を掴んで、医務室まで引っ張りました。

 

診察の結果は、大きな怪我などではないようでした。

安心です……。

 

 

…………ところが、安心していたのも束の間。

次なる事件が。

いや、事件というより、私のミスが発覚しました。

 

私がタオカカで急いで取った宿。

二部屋しか取れてなかったんです。

 

え?……私、3部屋でって言いましたよね!?

 

部屋割りで揉めてしまいました。

揉めた……とは違います。

流れとしては……。

 

セツヒトさんがソウジさんと同じ部屋に泊まると、提案。

→いやいやいや。

→私とソウジさんが、同じ部屋で。

→いやいやいや!

→私とセツヒトさんが同じ部屋、ただし何もしないという保証は無い。

→……いやいやいやいや!

 

 

ただでさえ野宿のときドキドキした思い出が消えないんです!

セツヒトさんがそちらの人だったら……もう大変です!

私はどうにかされてしまうのではと、そのときは思い込んでしまい……。

 

 

「んじゃーやっぱりー、私と一緒に寝るー?しょーがないねーハイビスちゃーん……今夜はー……寝かさないよー?」

「わ……わた……私!一部屋いただきます!!」

 

 

一目散に部屋の一つに逃げ込んでしまいました。

私どうなっちゃうのって、逃げちゃいました……。

 

すぐ後にセツヒトさんが謝りに来ました。

からかわれてたんですね……私。

結局その日、私とセツヒトさんは、一緒の部屋で寝ることで落ち着きました。

 

 

「……ハイビスちゃーん……起きてるー?」

「あ……はい。どうかされましたか?」

 

 

ベッドに入り、眠りにつこうかというところ。

隣のセツヒトさんが話しかけてきました。

 

 

「さっきはごめんねー……ハイビスちゃん、可愛いんもんでー。」

「か、かわ……!」

「あーごめんごめん……変な意味じゃなくてさー。」

「す、すみません。」

 

 

色々あったから、可愛いなんて言われたら……私も警戒してしまいます。

 

 

「安心してよー。私、本当にノーマルだからさー。」

「は、はい。」

「うーん……ハイビスちゃんさー……。」

「はい?」

 

 

すっかり私はちゃん付けです。

仲良くなりましたね。

 

 

「…………ソウジのこと、好きー?」

「ブーーーー!」

「わー。つば飛んだー。」

「す、すみません!」

 

 

いきなりなんてこと聞くんですか!

驚いて吹き出してしまいましたよ!

 

 

「せ、セツヒトさん?いきなり何を―――」

「私は……本気だよー?」

「…………え?」

「…………だからー……本気ー。」

 

 

とってもストレートに話すセツヒトさん。

心の中では、さっきよりも驚いています。

 

 

「なんにも知らないのにさー、一生懸命で、自分の力をガッツリ使えば絶対楽して生きられるのに……絶対強くなってやるって、気持ちがさー。」

「…………。」

「……かっこいいんだよねー。そりゃまだ、私にはかなわないけどさー?」

「…………はい。」

「…………おー?ハイビスちゃんも、認める感じー?」

 

 

ここまで言ってくださったんですから……私もお伝えしましょうか。

私の本音を。

 

 

「……はい、認めます。あの方は……ソウジさんは、素敵な方です。最初はもう……本当に頼りなくて、よくわからなくて……気になるだけの方でしたけど。……まっすぐ前を向いて、自分の力をひけらかさずに、コツコツと頑張っていらっしゃいます……そんな姿を見続けていたら……もういつの間にか、ですね。」

「…………おー。言ったねー。」

「…………ふふ、はい。言っちゃいました。」

 

 

言ってしまいました。

明言はしてませんけど……恥ずかしいですし。

 

でも……何でしょう。

 

遠く、伝説の方だと思っていたセツヒトさんでしたけど。

一緒に生活してみたら、1つどころか2つも3つも4つ抜けているところがあって。

人間味もあって。

 

何より同じ人を……って。

 

 

「ふ、ふふふ。」

「んー……気恥ずかしいねー……。」

 

 

同じベッドの中で。

笑い合ってしまいました。

 

 

「……ホントー……あんなにぶちんのどこがいいんだろうねー……。」

「そうですよね……私、結構頑張ってアピールしているつもりなんですけど……。」

「あー、無理無理ー。私もグイグイやってるけど、こんな顔するよー?」

「えっ……ぷっ、あはははは!その顔!その顔します!」

「『え?何か言いました?』」

「あ、似てます!その言い方!イラッとしますよね!」

「伝わってないんかーい!みたいなねー。」

 

 

夜も更けていきます。

タオカカの夜はやたら冷え込みますが……私たちは暑いぐらいでした。

超至近距離でのガールズトークは大盛り上がり。

 

とっても大きな共通の話題があったから、でしょうね。

とてもとても楽しくて。

 

セツヒトさんとは、いいお友達になれそうです。

 

 

「あーそうなんだー。じゃーハイビスちゃん、同い年ぐらいだねー。」

「……えぇぇぇぇ!?」

 

 

一つ、意外な事実も判明しましたが……。

 

これからの冬山での生活が、楽しみになりました。

 

 

* * * * * *

 

 

ミヨシでの生活は、多忙を極めます。

臨時ギルド。

先輩から聞いていた話は本当でした。

 

これ物凄い仕事です。

 

依頼されるクエストの量は、まぁワサドラよりは少ないです。

問題は、業務と人手。

ギルドのクエスト依頼から完了までの流れに、無駄が多すぎるんです。

 

一つのクエストの処理にかかる時間が長すぎます。

ただでさえ人手が少ないのに、この辺を効率良く行わないと、ギルドそのものが潰れてしまいます。

 

これは他の街からいらしたヘルプの職員も感じていたらしく。

 

私はすぐさま、ギルドの長であり尊重も兼任されているアワキさんに進言しました。

そしたら、「ハイビスさんの好きになさってください!」と言われました。

 

……丸投げですね……。

いいです、なんとかしてやりましょう。

 

臨時ギルドとして使われているこの集会所。

急場しのぎで作られた場所ということで、作りは完全にただの事務所。

これはいけません。ギルドはあくまでハンターさんが働きやすくするためのお手伝いの機関なんです。

 

ソウジさん達が、一日一狩りのペースで頑張ってらっしゃいますし。

 

ギルドマスターから仰せつかった業務の一つでもありますし。

私、頑張ります!

 

 

* * * * * *

 

 

一ヶ月ほど経ちました。

 

この臨時ギルドも、他の職員さんのお手伝いもあり、働きやすくなってきたと思います。

 

それぞれが専門とする仕事があったのに、やってきた当初はそれが分けられていませんでした。

私も初めてやる仕事も多くてんてこ舞い。

いい経験にはなりましたね。

 

とは言っても、その細分化と効率化は急務。

 

急いで村長さんに振り分けをお願いしました。

……結果は上々でした。

それぞれがそれぞれ、詳しく知る部門に振り分けられたことで、業務の処理速度が格段に上がりました。

 

村長さん、こういう差配がお得意なんですね。

流石、ギルドマスターの元で管理職をやっていただけはあります。

 

おかげで増え続けるハンターさんの受け入れもスムーズに進みました。

よかったです。

 

 

そして、ソウジさんはと言うと……。

 

 

「『……以下……特例として、下位ハンター……ソウジを……上位に認定するものである……ミヨシ村村長……アワキ……確認済み』……っと。……よし。」

 

 

慎重に文を書きます。

 

内容は、セツヒトさんと村長の承諾の元、上位認定を仮に認める、というものです。

今更感はありますが……。

 

 

そうなんです。

ソウジさんとセツヒトさんは今、とある大型モンスターの狩猟に向かっています。

 

相手は、雪鬼獣ゴシャハギ。

タオカカとつながる唯一の街道に居座って、流通も滞ってしょうがないといいます。

調べたところ、恐ろしく力の強い、名前負けしないモンスターであるとか。

間違いなく、上位……それもトップクラスのモンスターです。

 

……ソウジさんは大丈夫なのかと心配にはなりましたが……まぁセツヒトさんもいますし、大事に至るなんてことはないでしょう。

 

それほどまでに、ソウジさんはレベルアップされています。

雪山のモンスターなんて話にしか聞いたことないですが、そんな凶悪なモンスターたちを次々に屠ってきたんです。

 

ソウジさんが。

 

ほぼソロで。

 

本人は自覚がないですが……これって、ものすごいことですよね……。

 

だって、ちょっと前まで新人にも満たないような、ただの男性でしたのに。

…………恐るべきは、あの吸収力ですね。

 

マショルクさん、そしてセツヒトさんと、次元の違うお二人に直接指導を受けられてきたんです。

音も上げず。

コツコツと。

 

……かっこいいですよねぇ……。

 

…………いけませんいけません、私情は置いておきましょう……。

 

私はとにかく、お帰りを待つのみです。

どうか、ご無事に。

 

 

* * * * * *

 

 

夕方。

お二人は何事もなかったかのように帰ってきました。

 

雪鬼獣ゴシャハギは、無事捕獲。

強烈なモンスターがわんさか増えるこの周辺でも、ここまでの大物はなかなか無いということで。

 

宴会が開かれることになりました。

 

 

「「「乾杯!!!」」」

 

 

参加者は、ソウジさん達はもちろん、村の関係者やハンターさんたち。

見たことのない村人までいました。

どうやら、ソウジさんやセツヒトさんを称える……というよりも、村の方々の日ごろの労をねぎらう意味合いが強いようです。

村長さんの狙いはそこみたいですね。

 

それに、私見たんです。

ソウジさん達がクエストに向かった後、こっそり酒を用意する村長さんを。

 

村の一大事に悲観していたはずなのですが……もしかしてあれは演技だったのでしょうか。

 

 

「いやー!セツヒトさんにソウジさん!今日は村の奢りですから!飲んでいってくださいよ!」

 

 

愉快そうに笑いながら、お酒を進めるアワキ村長。

…………お腹もそうですけど……結構な大物さんですね……この方。

 

そしてそして、やはり驚かされたのはソウジさん。

セツヒトさんと二人で捕獲したと思っていたのですが……なんと驚き、全てソロでやりきったというのです。

 

この辺、お二人が嘘を付く性格でも無いことからも、本当のようです。

観測班からの報告とも一致しますし……。

 

ソウジさん……ついにあなたも化け物クラスに足を踏み込んだんですね。

 

 

とにかくおめでたいことだらけです。

私も、明日の仕事に差し障りのない程度に飲むことにしました。

……お酒大好き!

 

 

…………。

 

 

しばらく後。

 

私はやっぱりソウジさんが気になってしまって。

その行動を目で追ってしまっていました。

 

 

「ハイビスさん……お仲間さん、女性に絡まれているのが気になるの?」

「えっ!?い、いや!すみません!」

 

 

私は、ギルドにヘルプでやってきた受付嬢の先輩と飲んでいたんですが。

チラチラと見ている私に気づいたんでしょう、声をかけてきました。

 

 

「行っといでよ……あんないい男、すーぐ肉食な子に取られちゃうよ?」

「……に、肉食……。」

 

 

思い当たるフシは……ありますねぇ……。

主にセツヒトさんですが。

肉食かどうかはともかく、あの方が本気を出したら……ソウジさんなんてパクっと食べられてしまうでしょうね……。

 

そのセツヒトさんが、ソウジさんのところに行きました。

あれは……何をしているんでしょう。

何か棒のようなものを作ってらっしゃいますが……。

 

 

「行ってきなって。こっち、気にしないからさ。」

「は、はい!ありがとうございます!」

 

 

気を遣って頂いて、私はソウジさんのところに向かうことにしました。

 

 

…………。

 

 

人混みの中、ソウジさんのところにたどり着きました。

セツヒトさんは、何やらソウジさんと仲良くされていた女性ハンターさんと一騎打ちを始めていました。

そしてすぐ終わりました。

 

……やっぱりすごい人ですね……一瞬でしたよ。一瞬。

何が起きたのか、もうさっぱりでした。

 

ソウジさんがその女性を介抱したタイミングで、私も話しかけます。

 

 

トントン。

 

 

「ん……あっ。」

「探しました、ソウジさん。お隣よろしいですか?」

「え、えぇどうぞ。」

「ソウジさん?飲んでます?」

「あぁ、はい。まぁボチボチ。」

「主賓なんですから、もっと飲まなきゃですね。これ、どうぞ。」

「あ、どうも。」

 

 

手に持ってきていたビールをお渡しします。

 

 

「いや、ありがとうございます。本格的に飲もうとしても中々話がこんでしまって。」

「チラチラソウジさんを見てましたけど……熱心にハンターさんとお話されてたので。あんまり飲んでないのかなー、と。…………ソウジさんの周りには女性が多いですね……。」

「え?」

「い、いえいえ、こちらの話です。……こんなにすぐ次の方を……しかも可愛いし……気をつけないと……!!」

「?」

 

 

本当に……すぐ新しい女性の方と仲良くなるんですから……。

私もここはお酒の力を借りて……大胆に距離を詰めます。

アピールアピール!

 

 

「……流石ですね……。」

「えぇ、本当にあの人は……追いつける気がしないです。」

 

 

セツヒトさんを見ながら、二人で話します。

…………ソウジさん、あのゴシャハギを倒したというのに、どこか自信なさげですね。

 

 

「ソウジさんは……いつか追いつけますよ。」

「どうでしょうね……。でも、目標にはしますよ。憧れます、あの強さ。」

「私は……ハンターさんじゃありません。……でも、受付嬢という、ハンターさんを支える自分の仕事に、誇りを持っています……いえ、そんなに誇りはもってなかったんですけど……ソウジさんに出会えて、本当にそう思えるようになりました。」

「は、はい。」

 

 

もっとお酒の力を借りて……!

本音を話しましょう!

……ソウジさん。あなたのせいで……あなたのおかげで、私、とっても前向きになれたんですから!

 

 

「……感謝しています。ソウジさん……あなたはいつも一生懸命で、だから目が離せなくて……こんなところまで来ちゃいました。」

「……はい……。」

「私をこんな風に仕事熱心にしちゃったんですから……責任、取って下さい。」

「せ、責任?」

「……えぇ……私が専属で受け待つハンターさんは、きっとセツヒトさんよりもすごい人になるんです……初め見たときは……正直全然頼りなかったですけど……ソウジさんはすごい人になるって……予感がしたんです。」

「は、はい。」

「予感……というよりも確信したんです!だから……そ……その!ソウジさん!」

「は、はい!」

「…………絶対!ぜったい!!この大陸に名を馳せるようなハンターさんになって下さいね!…………いつも近くで見ていた私が、これからもずっと、応援しますから!!…………や、や、やや約束!……ですよ?」

 

 

言っちゃいました。

告白しちゃいました。

……好きとかどうとか、そんなんじゃなくなりましたけど……。

 

あなたをこれだけ思っている私がいるって……伝えられたでしょうか。

 

 

「ハイビスさん。」

「は、はい!」

 

 

何でしょう!?

私、もう顔が真っ赤ですね!

恥ずかしいですけど……お返事を聞きます!

 

 

「感謝します。……目が覚めた……いや、もう一度やる気になりました。」

「…………それは……ふふっ、良かったです。」

「……はい。」

 

 

一緒にいたいって……ちゃんと言えたら、どんな返事をもらえてたんでしょうか。

 

……でも、今日のところは、このお返事で十分です。

ソウジさんの、こういうところが私……。

 

好きになっちゃったんですから。

 

 

「行ってきます……無様でも何でも、あの人に少しでも足掻いてみます!!」

「……ふふ……はいっ!ご武運を!!」

 

 

そう言って、ソウジさんは堂々と、セツヒトさんのところに向かいました。

 

見送ります。

いつの間にかとても大きくなった、その背中を見ながら。

 

……ソウジさんの専属受付嬢として。

 

 

* * * * * *

 

 

「さむっ!」

 

 

冬山の朝は寒いです。

昨日は、お酒の勢いで……何だかすごい事まで言っちゃいましたね……。

 

ソウジさんに、少しは思いが伝わったでしょうか。

 

銀世界の中、臨時ギルドの集会所に向かいます。

 

 

とっても冷たくて、息も凍りそうなほど冷えるこの村で。

 

私は何だかポカポカした気分で、歩みを進めました。

 

 

「さーて……今日も頑張りましょうね!」

 

 

自分を鼓舞しながら、雪を踏みしめます。

 

昨日のあの方の背中を思い出しながら。

大切に、大切に思い出しながら。

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