五等分の花嫁 家庭教師の二重奏   作:暇人の鑑

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更新です。
ちょっとした報告になるのですが、14話の一部を改変いたしました。

というのも、原作の終盤の方をあんまり読み込んでいなかったもので、五月本人のみによるものとしてしまいましたので、そこを修正しました。

その辺りの解説は後書きで行いたいと思います。


奏二の秘密

イメージCVは関俊彦さん。

 それでは本編へどうぞ。


第27話 井の中の風太郎、大海を知る

「失礼するよ」

 

 その一言と共に入ってきた親父さんに、俺、奏二、一花以外の五つ子は面食らった顔をしていた。

 

 

 それはそうだろう。

 

 普段この親父さんは娘達のことには放任主義なところがある為、こんな風に予告なしで来る事は想像しにくいからだ。

 

 

 そんな中、なんとか持ち直した二乃が。

 

「どうしたのよ急に………と言うかこの家………」

「もうすぐ全国模試と聞いてね」

 

 用件を聞くと、親父さんは短く答えたかと思えば、なぜか出入り口を見て。

 

 

「彼を紹介しに来たんだ。入りたまえ」

 

 と、誰かを連れて来ていることを明かした。

 

 

 そして、その声に呼応するようにやって来たのは。

 

 

「お邪魔します。

 

 

 

 申し訳ない。

 突然押しかける形になっちゃって」

 

 

 前から妙に突っかかってくる謎の男だった。

 

 

「え……君って……」

「どう言うこと……?」

「わ、私……何が何だか……」

 ソイツの登場に、五つ子達の困惑はさらに深まるが、それと対照的に何か理解したらしい奏二が。

 

 

「………風太郎の後任か!」

「町谷君、それは一体……」

 発した言葉に、コイツが来た意味を理解した俺。

 

 そうして親父さんも頷いて。

 

「流石に鋭いな……その通りだ。

 

 今日からこの武田君が、君たちの新しい家庭教師だ」

 

 

 と、少し前にコイツと話した内容が伏線だったことを悟るのであった。

 

 

 

 

 

 時は数時間ほど前に遡る。

 

 もはやコイツとの話場所の定番となった男子トイレにて。

「中野さんのお父様から話は聞いたよ。

 

 

 成績不良の五つ子の皆さんを赤点回避させるべく、学年一の成績を持つ君に白羽の矢が立ったとね。そして、その補佐として町谷君を選んだことも……」

 

 なぜか、俺や奏二くらいしか知らない五つ子との関係性がコイツの口から飛び出てきた。

 

 

「なぜお前があの父親と面識があるんだ」

 

 なんだか寒気みたいなものを感じつつも聞いてみると。

 

「僕の父がこの学校の理事長でね。

 

 

 お父様とは、かねてより懇意にさせていただいているのさ」

 

 ボンボン故のコミュニティの広さを見せつけて来た。

 

 

 だが……それよりも俺が聞きたいのは。

 

「お前が俺らの関係性を知ってることと、その理由はわかった。

 

 

 だが……それを代わるとはどう言うことだ?」

 

 

 

 コイツは「代わってもいい」と言い出したのだ。

 

 

 どういう風の吹き回しか、どう言う意味かもわからないが……なんだか横取りされそうな気がして腹が立つので、少し語気を強めると。

 

 

「なあに、そんな事はどうでもいい。

 

 

 君は他でもバイトをしているみたいじゃないか。

 

 

 それに加えて家庭教師とは、さすがに大変だろうと思ってね」

 

 

 と、なんと言うか拍子抜けなことを言い出す。

 

 

 見ず知らずの相手にそこまでの気を回すとは、コイツは一体……

 

 

 だが、コイツがどれだけ気を回そうとも。

 

 

「今俺を雇っているのは、アイツら5人だ。俺が決めることじゃねえ」

 

 今親父さんが直接雇っているのは奏二だけなのでそれを代わると言うなら五つ子達に話をしないと……

 

 

 と、考えていると。

「へえ……

 

 

 確信しているんだね。中野さんたちが君を手放さないと」

「うっ……」

 

 

 と、何処か当たり前に思ってしまっていたことを指摘された。

 

 確かに、よくよく考えてみればそんな確証はどこにもねえなと、少し思い上がりに恥ずかしくなっていると。

 

 

「しかし……君はこんなことをしている場合じゃないだろう。

 

 

 もっとやるべきことがあるはずだ」

 

 と、どこか咎めるような口調になった。

 

「……なんのことだ?」

 

 

意味がわからず、内容を話すように促すと、そんなこともわからなくなったのかと言う失望を隠すことなく。

 

 

「……そんなこともわからなくなったような、腑抜けた君に用はない。

 

 

 それでは失礼」

 

 

 と、トイレから出ていったのだが……まさか、それがここに繋がってくるとは。

 

 

 そんなことを考えていると、それを受けた娘達の反応は正に寝耳に水と言ったものだった。

 

 

 

 

side奏二

 

「はあ⁉︎」

「どう言うことでしょう?説明してください!」

 

 突然やって来て、新しい家庭教師として武田を紹介した親父さんに、二乃と五月が食ってかかると、親父さんは風太郎を見て。

 

 

「上杉君に町谷君。

 

 

 先の試験での君達の功績は大きい。

 

 成績不良で手を焼いていた娘達が、優秀な同級生に教わると言うことで、一定の効果を生むと君達は教えてくれたからね」

 

 と、なんとも客観的な言葉を発すると、そこに三玖が待ったをかけた。

 

 

「それならフータロー達を変える必要なんてない」

 

 だが……その隣で何かに気付いたのか、話を聞いていた二乃が顔を少し青ざめさせた。

 

「………あ、でもフー君は!」

「………どうやら二乃君も勘づいたようだね。

 

 そうだ。彼等が未だ優秀ならば変える必要はなかったんだが………。

 

 

 

 町谷君は兎も角、上杉君はどの科目も点数を落とし、順位を落としている」

 

「だからその代わりに、新たに学年主席の座についたコイツにやらせようってわけだな」

「そう言うことさ……つまり、家庭教師にふさわしいのは彼だろう」

 

 親父さんのこの判断は、確かに間違っちゃいない。

 

 間違っちゃいないんだが………四葉と五月は兎も角、二乃と三玖が苦虫を噛み潰したような顔をしているのには、気付いているんだろうか。

 

 

 と、親父さんがそこまで説明を終えると、武田はもう抑えきれない様子で、込み上げた笑いを爆発させた。

 

 

 

「ヤッター‼︎

 

 

 勝った!勝ったぞー!

 

 

 イエス!

 

 

 オーイエス‼︎

 

 

 イエスイエスイエス‼︎」

 

 その突然の言動に、若干引いた視線を送る女子勢だが、武田はそれに構いもせず、勝ち誇ったように。

 

 

「上杉君!

 

 長きにわたる僕らのライバル関係も、今日で終止符が打たれた!

 

 

 

 ついに僕は君を超えた!

 

 

 この家庭教師も僕がやってあげよう!」

 

 

 

「ねえ、なんかあの人……」

「有頂天だね」

「よっぽど嬉しかったんでしょうね」

 

 二乃、三玖、五月がどこか冷めた目で武田を見ている隣で、当の風太郎は過去話を始めた武田に。

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、お前誰だよ」

 

 

 冷や水どころか液体窒素をぶっかけるようなレベルの発言をぶっ込んできた。

 

 

「……………ッ‼︎」

 そのあまりの展開に、笑いを堪えるのに必死になっている俺の前では、武田が必死に自己紹介をするが、それでようやく合点がいったのか。

 

 

「今まで満点以外しか取ったことなかったから、

 

 

 2位以下は気にしたことなかったわ」

「に、2位………以下………⁉︎」

 

 顔色を変えずにとどめを刺しにいっていた。

 

 

「そういやお前、一位なのは分かってるから、順位なんて見るだけ時間の無駄とか言ってたもんな……!」

「町谷、笑いすぎよ……にしても、憐れね」

 その光景に笑い転がる俺に、二乃が咎めながらも憐れむような視線を武田に送る。

 

……地味にその行動も俺の腹筋をいじめにきてるので、やめて欲しいと思っていると、五月が。

 

 

「分かりました。

 

 

 

 学年で一番優秀な生徒が、家庭教師にふさわしいと言うのなら構いませんが……

 

 

 おそらくそれだけが理由ではないのでしょう。

 

 

 しかし、それなら私にも考えがあります。

 

 

 

 

………私が3年生で1番の成績を取ります‼︎」

 

 

 何を考えたのか、とんでもない事を言い出し。

 

 

「「「「「え」」」」」

「なぜ、みんなしてその反応なんですか⁉︎」

 俺、二乃、三玖、四葉、風太郎が素っ頓狂な声をあげたが。

 

「ふむ……いいだろう」

 親父さんだけは、その動かない表情で了承しようとしたところで、三玖が待ったをかける。

 

 

「ちょっと待って!

 

 お父さんに何を言われても関係ない。

 

 少なくともフータローは私たちが雇っているんだもん」

 

 そこに二乃が乗っかり、今更なんだと言った顔で。

 

「そうよ!

 

 大体、ずっとほったらかしにして来たくせに、今になって………」

 

 親父さんへの鬱憤を爆発させようとしたところで、武田が。

 

「いい加減気づいてくれ。

 

 

 上杉君が家庭教師を辞めると言うことは、他ならぬ上杉君のためだ!

 

 

 君達のせいだ………君達が上杉君を凡人にした!」

 

 

 と、何故か五つ子達を糾弾し始めるが、それを見てなんとなくわかった。

 

 

 要は、コイツは自分のライバルがライバルじゃなくなっていくのが許せなかったんだな。

 

 だから、その原因をなんとかして取り除き、再び風太郎をライバルにしようという事だろう。

 

 だが……コイツはそもそも大きな勘違いをしているんだがな。

 

 そんな俺が言葉を発する機会を窺っていると、親父さんが。

 

 

「彼には彼の人生がある。

 

 解放してあげたらどうだい?」

「………ッ」

「でもっ…」

 嫌っていると言う本心を、オブラートに包んできて、二乃達は何も言えなくなってしまったので。

 

 

 

 

 

 

 

「やれやれ……勘違いもここまでくると笑いもんだぜ!」

 

 ここからは俺のターンに入らせてもらうことにした。

 

 

「勘違いとは……どう言うことかな?町谷君」

 

 親父さんがこちらに視線を向けて話を振って来たので、まずは武田に視線を送る。

 

 

「風太郎のレベルが下がったとしても、この残念メッキのレベルが上がったわけじゃない。

 

 家庭教師としての仕事によるハンデを半年ももらってないと、風太郎に勝てないレベルの奴だ……それが風太郎のレベルを越すほどに上がったとは考えにくい」

「随分な物言いだが……中々痛いところをついてくれるね……あと、その残念メッキと言うのは…」

 メッキめいた笑みを引き攣らせている武田に。

 

 

「ふむ……それで?」

「そんなコイツが一位になったからって任せちまうのは、ちょっと考えが浅いんじゃねえか?

 

 コイツと五つ子たちで、今からの良好な関係性の構築には、えらい時間がかかる。……勉強させることができるようになるまで、俺ら二人で半年かかったんだ。コイツ一人ならそれ以上かかるだろう。

 そんなハンデを負わせれば、自分の勉強に集中できるようになった風太郎には速攻で負けるだろうし………なんなら俺にも負けるかもしれない。

 

 所詮はその程度のやつを囲うために、実績があるやつを追い出すのは変な話じゃねえか?」

 

 一瞥だけして親父さんへとぶちまけた俺に、親父さんは娘達を見るが………四葉は困惑顔で、二乃と三玖、五月は臨戦態勢に入っていた。

 

 

 そりゃそうだ。

 そもそも親父さんの意向に逆らって今この生活をしているんだし、この提案を素直に呑むわけがないのは分かり切っている。

 

 

 そんな状況に、親父さんはため息を一つ吐き。

「どうやら、僕は随分と警戒されているようだね。

 

 それに、君の言うことにも一理ある。

 

 ならば……こうしよう。

 

 今日君には、家庭教師補佐の仕事の解消を伝えに来たんだが………武田君のサポートに町谷君がついてくれ。

 

 これなら彼の学力の低下の恐れや、娘達と彼の衝突を低減できるし、君の成績の更なる向上にもなる。

 

 これならどうだろうか」

 繰り出して来た妥協案に、俺は一つ頷き。

「その話に関しては考えさせてもらうぜ。

 

 

……風太郎が何か言いたそうだしな」

「お前、本当妙に鋭いよな……」

「お生憎様、鈍感に元探偵助手は務まらないんでね」

 

 風太郎に話を振ることにした。

 

 

 

 

side風太郎

 

 

「……まずは、その通りだな」

 武田や親父さんに言われたことは、自分でも薄々わかっていた。

 

 最近、この五つ子とのやりとりで、勉強が疎かになってきているのを。

 

 そして、コイツはそんな俺を凡人になってしまったと……昔の俺を非凡だと評価したが……全くその通りだと思う。

 

「上杉さん……」

「お前が俺を過剰に評価してんのはわかった。お前が言ってることも間違いじゃないんだろう。

 

 

  でも、今だからわかる。俺に必要なのは、お前の言う凡人になる事なんだって」

「なんだって……?」

 

 顔を曇らせる武田だけじゃなく、不安そうな顔で見守る二乃、三玖、四葉、五月。

 

 そして……こちらに矢のような視線を向ける親父さんと、ことの成り行きを楽しんでる様子の奏二に。

 

 

「もし、この仕事を受けてなければ………俺は凡人にもなれてない。

 

奏二曰く、「勉強しかできない大馬鹿野郎」のままだっただろうよ」

 

 

 これまでの人生の総括として、俺自身にも言い聞かせるように話し出した。

 

 

 

「そういや昔言ったな……」

「忘れてんなよ……俺は、教科書を最初から最後まで覚えただけで、俺は全部を知った気になってた」

 みんなの視線が向いた奏二が、思い出したかのように笑う。

 

 俺にとってその言葉は大きな問題提起になったのに、この男ときたらすっかり忘れてやがったとは。

 

 本当、適当なんだか真面目なんだかわからない奴だ。

 

 

 

 

 

 まあ、それは置いておくとして……その言葉とは、奏二に勉強する理由を聞かれて、答えた時に言われた言葉。

「勉強さえできれば、それで全てが上手くいくと思ったら………大間違いだぜ?

 

………それがわからねえんじゃ、お前はどこまで行っても井の中の蛙。

 

 勉強しかできねえ大馬鹿野郎さ」

 

 当時は、ただの戯言として聞きながしていたつもりでも、その言葉は俺の中でずっと引っかかっていた。

 

 

 

 

 そして、その答えに行き着き始めたのは……去年の夏休みが明けてから。

 

 

「俺は知らなかったんだ。

 

 世の中にはあれ程の馬鹿どもがいるって事を………

 

 

 俺もまたコイツらに負けず劣らずの馬鹿だった事も」

 

 

 ここにいる四人と一花を含めた5人の家庭教師を始めてから……俺は幾度となく予想外の事態に直面して来て……その時に、教科書の知識なんて対して役に立ちやしないことを学んだ。

 

 

 対して役に立ちもしないことを一生懸命になって学び、それで全て分かった気になって………まさに、井の中の蛙であり、勉強しかできない大馬鹿野郎だったと言うわけだ。

 

 

「それで、何が言いたいのかな?」

 本題に入れと親父さんに促されたので、俺は親父さんを見据えて。

 

「コイツらが望む限り、俺は付き合いますよ。

 

 

 解放なんてしてもらわなくても結構」

 

 初めて、この人に正面からはっきりと拒絶を口にした。

 

 

 

「君の変化に娘達が関わっているのは理解した。

 

 

 しかし…そこまでする義理はないだろう」

 

 親父さんは、またも正論をぶつけてくる。

 

 確かに、いくら恩があるからと言えど、成績を落としてまでやることじゃない。

 

 

 

 だが……義理はなくとも。

「義理はありませんが………

 

 

 

 

 

 

 この仕事の手綱は、俺にしか握れない自負がある‼︎」

 

 

 勉強の虫とまで評されるほどに、がむしゃらに勉強をして………常にトップの成績を叩き出して来た俺にしかできないと言う自負が。

 

 それ以外にも大事なものがあるとしても……俺にとっての最大の武器はやはりこの「勉強」なのだから。

 

 

 

「コイツらの成績を2度と落とすことはしません。

 

 

 

 

 俺の成績が落ちてしまったことに関してはご心配をおかけしました。

 

 

 そして………俺はなって見せましょう。

 

 

 そいつに勝ち、学年一位………いや、今からなら全国模試の方が近いし、全国模試一位に!」

 

 

 だから、この直近の模試で証明してみせる。

 

 

 

 俺の最大の武器は、決して衰えてなんていないことを………2度と、この仕事を代わってあげようなんて言わせないために。

 

 

「そして…」

 

 

 続きを言おうとしたところで、突然俺の口は塞がれ、中野家の4姉妹にもみくちゃにされる。

 

 

「う、上杉さん!」

「なんだよ!」

 

 何を無茶なことをと言わんばかりの四葉に言い返そうとするが、そこに五月と三玖も。

 

 

「全国は無茶ですって!」

「フータロー、もう少し現実的に……」

 

 大変失礼なことを言い出した。

 

「あ⁉︎

 

 学校内で一位だけじゃ、今までと変わんないだろ!」

「いいから!」

 

 これくらいでないとこの親父さんを納得させられないだろうと、大きな目標を掲げたのに、二乃まで文句をつけて来て………結果。

 

 

 

「全国で十位以内!」

 

「これでどうですか⁉︎」

 

 だいぶ日和った内容に変更されてしまった。

 

 

 

 

「おい!離せ!」

 

 

 

 

 

 

side奏二

 風太郎(?)から飛び出して来た全国模試10位以内という目標。

 

 

 本人は不服そうにしてはいるが……まあ、今の成績の落ちた風太郎ではこの四人が焦るのも無理はない。

 

 

 現に、勉強事情に関しては4姉妹よりもはるかに精通している武田も冷や汗を流し。

 

 

「…………大きく出たね。

 

 

 だが……そんなの無理に決まってる。

 5人も教えながらなんて」

「おいおい、家庭教師補佐の俺の存在を忘れてんじゃねえのか?」

 

 そこに待ったをかけると、すまないと一言だけ挟み。

「……しかし!君がいたとしても、今の上杉君では」

 

 不安と期待が入り混じったような目を風太郎に向けていた。

 

 

 たしかに、上手くいかないかもしれない………だが、上手くいくかもしれない。

 

 無茶であり、妄言かもしれないが……要は上手くいくかいかないかだから、確率は50%だ。

 

「五分五分の賭けなら上手くいく方に賭けるもんだぜ。

 

 少なくとも、あの五女の妄言よかよっぽど現実的だ」

「全く君は……でもまあ、その考えは嫌いじゃないよ」

 

 

 

 そんな俺の言葉に武田はため息をつきながらもその顔は、どこか期待しているようであり。

 

 

 

 4人とワイワイしている風太郎を見ていた親父さんはため息と共に。

 

 

「分かったよ。

 

 

 もし、この全国模試でそのノルマをクリアできたのなら、改めて君が娘達に相応しいと認めよう。

 

 

 

………せいぜい励みたまえよ」

 

 

 了承という、風太郎と五つ子への挑戦状を叩きつけて来た。




後書きですね。

 今回は風太郎と奏二の主人公達をメインに話を進めさせていただきました。
 風太郎にとって奏二は、自分の未熟さを教えてくれた恩人ですが、奏二にはそれほどのことをしたという自覚がありません。
「自分がうっかり落とした種を、知らないうちに誰かが大きな花に育てていた」くらいのものでしょう。

 かつて「お手本とはしたい奴が勝手にすれば良いものであり、それになろうとするものではない」みたいなことを彼のモノローグで書いた気がするのですが、それが体現できたような気がします。



 そして、14話の改変箇所の五月に関してです。

 四葉の心情を汲み取った上で零奈として振る舞ったことで、自分の本心を自分で壊そうとしてしまっている四葉。

 四葉に頼まれ、自身も風太郎を元気付けたかったとは言え、それを引き受けてしまった自分。

 そして、勉強をする理由として存在していた初恋の子に別れを告げられてしまう風太郎。

 この誰も救われない状況と、それを止められなかった自分への情けなさで泣く寸前までおいこまれていたところで、なんとなくそれを察した奏二の気休めと決意を現した言葉が刺さってしまい、彼の背中に縋り、泣き出したと言うことになります。


 その前の二乃とのいざこざなども彼女の精神に何らかの負担をかけていたのかもしれませんが……そのあたりの想像は読んだみなさんにお任せします。
 
 ただ、私としてはこちらの方が改変前よりも深みが出るかなー?と思って書き換えました。



 さて、それでは次回はこの全国模試と、この辺りから出てくる闇落ち一花さんについて触れていければと思います。


 それではお楽しみに!

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