今回は一花と二乃に焦点を当てました。
ぜひ、最後まで読んでいただけたら幸いです。
奏二の秘密
白い服を着ると調子が狂うので、制服のワイシャツはグレー。
みなさんこんにちは、中野一花です。
………誰に挨拶してるんだろ、私?
まあ、朝の挨拶は大事ってことでここは一つ……それよりも、私が仕事に行っている間に、面白そうな事が発生したようだ。
家にお父さんと武田君がやってきて、彼を新しい家庭教師にしようとして。
それに対してフータロー君が、全国模試で10位以内を取ると宣言したんだとか。
そんなこんなで、全国模試に向けて頑張るフータロー君に、一花お姉さんからコーヒーを差し入れようと待ち構えていると。
「おっはーフータロー君。前見ないと危ないよ?」
赤本っていうんだっけ……?
とにかく、参考書を鬼気迫る様子で読み込んでいたフータロー君を、独り占めすることに成功した。
「一花か。
不自然なほどお前とは登校時に会うよな。
他の姉妹は一緒じゃないのか?」
意外と昔のことも覚えているフータロー君にヒヤリとさせられた私は慌てて誤魔化す。
「い、いやー、そうかな?
ほら、この近くの喫茶店で朝限定のこのドリンクが売ってるからね!
それをよく買いにくるんだよ!だからこれはただの偶然………そうだ!」
そのついでに、フータロー君への印象もあげようと、コーヒーを差し入れしたのだが。
「わるい、俺コーヒーは苦くて飲めない……奏二にやったら喜ぶんじゃないか?」
「そ、そっかー!
でも、ぬるいもの渡されてもソージ君困るだろうし、これは私が飲んじゃおー」
フータロー君に、申し訳なさそうな顔で断られてしまった。
「はあ……兎に角遅刻する前に行こうぜ」
そうして役に立たなくなってしまったコーヒーを処理しながら、「貢ぎ物作戦」が失敗したことを悟った。
「……熱っ!」
「お前、熱いのを一気に飲もうとするなよ……大丈夫か?」
「あはは……」
とは言え、フータロー君にこうして心配してもらえるなら、無駄じゃあなかったのかもね♪
今の私に、二乃みたいな直球勝負は恥ずかしくてできない。
だから、こうしてわずかな時間でも一緒にいて、アプローチできたらと思って、眠いのを我慢している。
……この時間の私だけが独り占めできる、彼の隣と言うポジションを、他の誰にも譲りたくないから。
そうして歩いている間の会話だけど……やはり話題はつい昨日のことになった。
「みんなから聞いたよ?
お父さんとまた一悶着あったみたいじゃん」
「まぁな……家庭教師をやめるやめないって話もこれで何度目だ」
どうやら、成績が落ちてきたフータロー君の代わりに、武田君を新しい家庭教師にしようと言うことらしく、それに対して「全国模試で10位以内」を目指すと宣言したらしいのだ。
フータロー君なら一位を取るとか言い出しそうなのに、自信がないのか……はたまた、みんなが止めたのか。
まあ…それはどうでもいいか。
「しかも、相手はあの武田君なんでしょ?」
「知ってるのか?」
私が武田君について話すと、フータロー君は興味を持ったように目線をこっちに向けてきた。
そんな期待に応えようと、私は記憶をたどる。
彼は……そう。
「2年の時に同じクラスだったからね。
あの時からザ・好青年!って感じだったなぁ」
まあ、あれはあれでストレス溜まりそうだけど。
私がそう締めくくると、フータロー君はなるほどなと一息ついて。
「………だが、誰が相手だろうが負けるつもりは毛頭ない。
これから月末の試験まで勉強漬けだから、覚悟しろよ」
「わ、私達もか……」
私達も、昔よりは勉強の必要性を理解していると思う。
だけど、まだフータロー君ほどのモチベーションはない。
それに、フータロー君には悪いけど、私にとってはもうすぐあるフータロー君の誕生日について話したかったのに、話しづらくなってしまったではないか。
そんな、なんとかタイミングを掴もうとしていた私に、フータロー君が。
「でもまあ……
他の姉妹と違って、学年末試験の頃から働きながら勉強してきたお前だ。
何も心配はしてないがな」
さらっと、私を舞い上がらせるような事を言ってくれた。
我ながらチョロいと思うけど、嬉しいんだから仕方ない。
「むふふ〜♪乙女の扱いがお上手になりましたねぇ」
「ん?お前眼鏡とかしてたっけ?」
「今更⁉︎」
頬の緩みを抑えようと、照れ隠しをしてみたら、今更私の眼鏡に気がついたように驚きの表情を見せた。
……前言撤回。
やっぱフータロー君は鈍チンだ。
でも、だからこそ不意打ちで嬉しいこと言ってくれるのなら、このままでも良いのかな……?
「もっと早く気づいてほしいけど……まあ、良いか。
どうかなフータロー君?少しは知的に見えるんじゃない?」
そんなモヤモヤを抱えながらも、フータロー君に伊達眼鏡のことを教える。
この伊達眼鏡がないと……こうして普通の女の子としてフータロー君と一緒に登校できないからね。
「ほら、昨日私が出た映画の完成試写会があって……。
そこそこテレビとかで取り上げられたみたいだしさ………」
そう、今の私は駆け出しとは言え女優。
「お、覚えてる……?
あの時の映画なんだけど………」
否応なく認知度は高まってしまう。
そうなると、変装でもしてないと………ん?
「くくく………声かけられないように変装してたのか?
これは大女優様だな、おい」
「もー!恥ずかしいから言わないで!」
震えているフータロー君に目を向けると、もう堪えきれないと笑いだしたので待ったをかける。
なんというか、余計なことに関しては鋭いんだから……!
そうして、話題は変装についてに変わると、フータロー君から驚くべき言葉が飛び出した。
なんと、私たちの中で最も変装が得意な三玖のソレを、ノーヒントで見破ったと言うのだ。
それについて詳しく聞こうとすると、フータロー君は階段の下に目を向ける。
「どうしたの?」
「あれ、お前の妹じゃねえか?」
そう言われて私も下を見ると、確かにそこには私の妹達が。
「追いついたみたいだな……そうだ、お前の笑える勘違いを教えてやろうぜ」
そんな妹達に視線を切り替えたフータロー君の隣で、私は………
「おいおい、五月の奴……まーたなんか食ってやがる。
四葉の声うるせえし」
フータロー君の言葉に耳を塞ぎたかった。
フータロー君の口から、他の子の名前が出るのが……最近どうにも嫌になっている。
「二乃がうちのバイトに入った時は驚いたが……。
三玖が向かいのパン屋で働きだしたと聞いた時は、もっと驚いたな。
なぜか、ライバル店の客向きが減ったと、うちの店長が喜んでたが……」
たとえその子が……私の大事な妹達だったとしても。
「待って」
私は………。
「……なんだよ」
私だけを………。
「ねえ。このまま二人でサボっちゃおうよ」
私だけを見てほしい。
そんな想いを込めた私の誘いは………。
「ダメっしょ」
にこやかに却下された。
数十分後。
「お前が駄々捏ねるから、遅刻寸前じゃねーか!」
「フータロー君こそ真面目すぎ!」
体育の授業など、彼が嫌いそうな物を武器に、なんとかサボらせようとした私だったが、結局遅刻寸前の今、教室に小走りで向かっていた。
そんな中で。
「ただでさえお前は昨日の勉強会サボってんだから、しっかりしてくれ……」
フータロー君のため息混じりの言葉に、私は少しムッとした。
サボっていると言うが、私は私で仕事をしていたのだ。
そもそも、昨日の話にしたって、私抜きで進んでたのを少し気にしてるのに……!
色々とうまくいかないなと、内心頭を抱えながらも教室の扉を開けると。
「一花さん、朝のニュース見たよ!」
「女優ってマジー⁉︎」
朝のニュースを見たらしいクラスメイト達が、興奮した様子で群がってきた。
「びっくりしたよな!」
「同じクラスに、こんなスターがいるなんて!」
でも……そんなみんなの賞賛よりも。
「そんなにでかい映画だったのか……。
でもまあ、オーディション受けてよかったな。
もう、立派な嘘つきだ」
フータロー君が、私を気にかけてくれていたこの事実が胸に響いてしまうんだ。
我ながら単純だなと苦笑しながらも、私はフータロー君の言葉を胸に噛み締めていた。
そんな、一花が女優であることが発覚した日の放課後。
「………どう言うつもりだ?三玖………いや、一花」
三玖の格好をした一花に、奏二は警戒の視線を送っていた。
それは……ほんの少し前に遡る。
「あれっ」
「どっち行った?」
放課後となり、先に図書室へ向かった四葉と三玖の後を追いかけようとした私は、野次馬となったクラスメイト達に纏われ。
三玖の真似をしてそんな子たちの追求を振り切っていると……フータロー君がやってきた。
「お前、まだここにいたのか?
早く行こうぜ、三玖」
……まあ、三玖の格好をした私を三玖と間違えているけど。
朝に言ってた発言は見栄だったんじゃないかと思いつつ、正体を明かそうとするがそれより早く。
「あ、ごめん。私……「もう公開とか早ぇーよな」
「え?何が?」
「一花の映画の話。
……お前が昨日教えてくれたんだろ」
私の映画の話を、三玖から教えられていた事が明かされる。
その事実に、私の中で朝に浮かんでいたあの気持ちがより強く頭に浮かぶ。
アレから色々あって……そんな中で、きっとフータロー君は私とだけじゃくて皆んなとも関係性を築いている。
少なくとも……私の事だけなんて、そうそううまくいかないだろう。
でも……それなら。
「お好きにどうぞ、負けないから」
三玖が好きにアプローチをするように、私だって好きにやらせてもらう。
「蹴落としてでも叶えたい。……そう、思っちゃうわ」
二乃の言う通り、他のみんなを蹴落としてでも………私は彼に、私の事だけを見てほしい。
「一花だけ我慢しないで………
したい事をしてほしい……かな!」
もう、我慢なんてしない………誰にも取られたくないから。
"どんな手を使ってでも"。
「フータローく………フータロー」
だから、私は。
「なんだ?」
「フータロー…………教えてあげる」
自分の培ってきたものを使って。
「一花、フータローの事好きだよ」
「⁉︎」
そんな私の言葉に、驚きの表情を見せるフータロー君。
その表情に、この嘘がバレてないかヒヤヒヤするが、もう戻れない。
ならば………突き進むのみだ。
「すごくお似合いだと思う。
私、応援するね」
「嘘………だろ………?」
「嘘じゃないよ」
何かを言おうとしたフータロー君に、それ以上言わせまいと私は念押ししておく。
そう。嘘じゃない。
君への想い"は"……嘘なんかじゃないから。
そんな私に、一応は納得したのか、はたまた今その話題は後回しということにしたのか。
フータロー君が、図書室への道を再び歩きだしたのをついて行こうとした時。
「どう言うつもりだ?三玖。
………いや、一花!」
「………なーんで君がそこにいるのかな?」
いつのまにか後ろにいたソージ君が、警戒の目と共に問いかけてきた。
side奏二
「私、三玖の変装には自信あったのになー…」
「アイツのカーディガンは青だ。そして……お前はタイツを履いてない」
用を足した俺が教室に戻ろうとすると、廊下に風太郎と三玖の格好をした一花がいたのだが………驚くべきはその会話の内容と、一花の雰囲気だ。
三玖の真似をして、風太郎と一花をお似合いだから応援すると言い出し。
その顔は………なんというか。
何か………暴走と呼んで、差し支えない物を感じた。
少なくとも嘘によって、ライバルといえども姉妹を嵌めるような手段を使う事を躊躇ってなかったくらいには。
「まあ、ここにきたのは偶然だけどな。
それより……随分な変化球で攻めてきたな」
どこか黒いものを感じつつも弁明すると。
「……………君だって言ってたじゃん。自分を抑えるなって」
どこか言い訳じみた事を言い出したが………こいつは何かを勘違いしている。
「別に、お前のやり方を責めるつもりはない」
「………そうなの?」
「ああ。………むしろ、ゼロサムゲームでみんな仲良くなんて、できるわけがないぜ」
いま、一花と二乃、三玖に四葉が風太郎に好意を抱いている。
そんな、一人の異性に複数の同性が好意を抱いたとなれば、その同性同士での争いが起こるのは避けられない。
そして………そんな戦いに仁義なんてない。
なんせ、その争いにはたった一人の勝者と、その他大勢の敗者しか生まれないのだから。
そんな中でみんな仲良くなんて言ってたら、真っ先に使い捨ての道具にされるのがオチである。
「なーんだ、びっくりさせないでよ。
ほら、行こ?」
「ああ……」
だが……あくまでこれは俺の考えであり。
そのやり方を良しとしないやつは必ずいる事や………嘘を積み重ねても、それで出来た物は脆く。
それで壊れたものは、決して元通りにはならない事を。
「覚悟はできてるんだろうな?」
「………できてなきゃ、あんな嘘つかないよ」
side風太郎
「少し休憩にしよう」
「だな…」
図書室で勉強をしていた俺たちはしばしの休息をとっていた。
ちなみにメンバーは俺、奏二、一花、三玖、四葉だ。
「二乃は買い物してから来るって言ってたけど……五月ちゃんは?」
「用事があるから、今日は無理だとさ」
二乃と五月はそれぞれ用事があってこれないらしいが……まあ、たまにはそういう日もある。
それよりも俺は………ん?
「上杉さん、この問題ですが………あれ、上杉さん?」
「………おい、大丈夫かよお前」
どうやら、四葉と奏二が心配そうな顔をしているあたり、ぼーっとしていたようだ。
「………悪い。ちょっと外の空気吸ってくるわ」
こんなんではダメだと、一旦外で休もうと歩きながらも……俺の思考はもうすぐに控えている全国模試にあった。
現状、もう少し教えておけばあの5人の点数は元に戻るだろう。
だが……奏二がいるとはいえ、任せっきりにして自分の模試勉強に集中するわけにもいかない。
………いや、そんな言い訳に意味はない。
俺は両立させる。
アイツらが帰った後……一人で勉強すれば良い。
アイツらの自学にもかかっているが……きっとやってくれる。
アイツらは足枷なんかじゃない!
そうして自分を奮起させていると、三玖がこちらにやってきた。
「フータロー?」
「三玖………」
そうだ。昨日のことについても少しコイツに聞いておきたいことがあったんだ。
「昨日のことだけど」
「明後日のことだけど」
気分転換に聞こうとしたら、三玖は似たような話題の振り方をしてきた。
「………なんだ?」
「フータローこそ………」
それなら先に三玖からの話を聞こうと促そうとすると、またタイミングが被る。
これはどうしたもんかと考えていると。
「二人してなにを話してるの?」
と、一花から声がかかってきた。
正直、今コイツと顔を合わせるのは避けたかった。
……どう話せば良いのかわからないからだ。
一花が俺の事を好きで、それを応援すると三玖は言った。
だが……これまでを思い返してみれば、むしろ俺に好意を抱いていたのは三玖の方じゃないだろうか?
自意識過剰かもしれないが……流石の俺も、あれだけの行動を見せられたらわかる。
とは言え、それを一花のいる前で聞くのも憚られるので。
「ん?」
「な、なんでも良いだろ」
この話題を断ち切って、その場から立ち去ることにした。
side一花
「フータロー、大丈夫かな……」
三玖がフータロー君に心配そうな目を向ける隣で、私は密かに安堵していた。
あそこでのフータロー君と三玖の会話によっては、私の嘘がバレちゃうため、会話を断ち切っておく必要があったのだ。
……ついでに、私のことを意識してくれているみたいだしね。
「大丈夫だよ。
私達にできるのは、少しでも負担を軽くする事だけ。
………だから、誕生日のことは一旦忘れよ?
ね?」
「…………うん」
念には念を入れて、三玖に誕生日の話題を出させないようにするが………その無理矢理納得したような返事に、自分の中の良心が痛みを訴えてきた。
でも………私は、こう戦うと決めたんだ。
自分のした事を後悔しない………私はこの手で彼を掴む。
全員に釘を刺した今、私だけがプレゼントを贈るのだ。
「随分と居心地が悪そうじゃないか?」
「……まさか」
いつの間にかそこにいたソージ君に短く返し、あらためて迷ってる余裕なんてないと、良心を奥に引っ込めていると。
「あ〜、迷ってたら遅れちゃった」
浮かれた様子で何かを抱えた二乃が、そんな声と共にやってきた。
side二乃
「クーポンありがとね。おかげで安く買えたわ」
「俺が持ってても、無用の長物だったしな。役に立って良かったぜ」
フー君へのプレゼントを手に、図書室にやってきた私が町谷と話をしていると、一花は驚いたような顔をしながら。
「に………二乃?
それ………何?」
プレゼントを指さして聞いてきたので。
「え?これ?
疲労回復効果のアロマよ。もうアイツの誕生日だし………」
と、ここまで言ってここにはフー君がいる事を思い出した。
せっかくサプライズで買ってきたのに、露見しては意味がないのだ。
「おっと、危うく当日前にネタバレしちゃうところだったわ」
そうして周りをうかがっていると、一花が。
「あの…昨日のメッセージ見た?」
呆れたように言ってきた。
「ああ……あれね」
たしかに、昨日「フータロー君の負荷にならないように、誕生日の件は白紙にしよう」と言う提案はあったけど………
「でも、あげたいものはあげたいわ」
そんなもので私は止められない。
と言うか………これはもしや。
「ちょっと待って……と、言うことは私一人だけってことかしら?
……これは効果絶大ね!」
みんなあげないなら、私だけ一人勝ちができると言うことでは⁉︎
と、思ったけれども………一花がそれにこだわると言うことは。
「それで?」
「え?何が?」
私は、一花の制服のポケットを指差し。
「あんたも用意してるんでしょ?………プレゼント」
恐らく持っているであろうプレゼントについて聞いてみると。
「………」
一花は白状するように、ギフトカードを取り出した。
side一花
ギフトカードを取り出した私に、二乃はやっぱりと言う顔で。
「一つだけハッキリさせなきゃいけないわね。
春の旅行の最終日………私はあんたにパパの足止めを頼んだはず。
それなのに、待ち合わせ場所にパパは現れたし、町谷もあんたは見なかったって言ってたわ。
何か弁明はある?」
少し前のことについて、思い出したかのように問い詰めてきた。
あの日、自分の本心に基づいての行動の始まりとして、二乃の頼みを蹴ったことに関して、少しは申し訳ないと思っている。
でも……そんなに大事なら、初めから全部自分の手で行うべきだったのだ。
ある意味で狡い二乃に、私は話題を変えるべく。
「私達、五つ子なのに好みはバラバラだよね」
好みについて話題に出すと、何かに気付いたのか。
「………そうね。おかげでご飯作る時、毎回困ってるわ」
どこか皮肉気味に返してきた。
そう、私たちはそれぞれ味の好みは違うけど……珍しく、姉妹のほとんどが共通して好きなものがある。
それは………
「ねえ、二乃。
二乃は、フータロー君好き?」
「何を今更………大好きよ」
「奇遇だね、私もだよ」
それは、上杉風太郎という一人の男の子だ。
……五月ちゃんはソージ君にゾッコンだけど。
でも、だからこそ………私は改めて誓おう。
「だから……譲るつもりはないから」
「姉ってだけで、随分と上からね」
どんな手を使っても、フータロー君を勝ち取る事を………!
「そもそもアロマって男の子にあげるものじゃないでしょ」
「はぁ⁉︎あんたのギフトカードだって大概だわ」
「いいじゃん。これなら本当に好きなものが買えるんだし」
「おまえら、こんなところでキャットファイト繰り広げるんじゃねえよ………風太郎にバレるぞ」
いかがでしたか?
次回は9巻のラストまでいけたらなとおもっておりますので、よろしくお願いします。
それではお楽しみに。