五等分の花嫁 家庭教師の二重奏   作:暇人の鑑

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お久しぶりです。

いろいろ構造を練ってたら時間がかかってしまいました。


クオリティに自信がありませんがぜひご覧になってくれると幸いです。


奏二の秘密
花粉症持ち。


第29話 決着、そして新たな決戦へ

「………お前ら、ひっでぇ顔してやがんな」

 

 姉妹間でいろんな小競り合いはあったものの、遂に全国模試の当日。

 

 

 いつも通りしっかりと寝た俺が出会った風太郎や五つ子達は………なんともひでぇ顔をしてやがった。

 

 

 

「おはようございます………それは、ここ毎日夜遅くまで勉強してたらこうもなりますよ。

 

 むしろ、あなたがいつも通りなことに私はびっくりです……」

 五月の言う通り、全員が例外なく目に隈を浮かべているのだ。

 

「……町谷さん、自信満々ですねえ」

「あんた、よくも言ってくれたわね。後で覚えてなさいよ……」

「ソージ、油断大敵だよ」

 

 苦笑いしたり、物騒な事を言ったり、忠告したりしてくる3人に軽く詫びながら。

「悪い、でも……そんなにやって試験中に居眠りはシャレにならねえだろ?その対策も兼ねてるのさ」

「あはは……まあ、お姉さんもだけど睡魔の管理は大事だよね」

 

 

 それに、俺は今回の模試にはそこまで大きな物はかかってない。

 俺は今回の模試において、風太郎みたいな目標値はないし……そもそも大学に進学する気がないから、この試験に熱中する意味はないのだ。

 

 だから……まあ、親父さんにクビを言われない程度に点を取れればと、割と気楽に考えながら風太郎に話しかける。

 

 

 

「おう風太郎、ノルマ達成はいけるか?」

「勿論だ。お前は?」

「まあ、気楽に高スコアでも狙うさ」

「お前な……」

 

 そんな、どこか呆れたような目をしてくるが、俺の適当とマイペースはスタイルなのだから許してほしい。

「あの5人ですら真面目にやってるんだぞ?」

「ですらってお前……大体、普段からしっかりやってればそんな風にはならないし、遊びが無い糸は、長持ちしないんだぜ?」

「だとしても、ここは張るべき時だろうに……気を緩めすぎて油断すんなよ?」

「へーいへいっと」

 

 そうして学校へ続く階段を上ろうとすると。

 

 

 

「はーっはっはっは‼︎」

 

 朝っぱらからテンションの高い高笑いが聞こえてきたので、何事かと上を向くと。

 

 

「出た………」

「上杉君!逃げずにここに来たことを、ひとまず褒めておこう!」

 

 

 げんなりした三玖が言うように、そこには残念メッキこと武田が階段の上からこちらを見下ろしていた。

 

 

「どうやら、やる気満々みたいですね……」

「王座防衛に必死なんだろ?」

 

 疲れているからか、アホ毛にハリがない五月と俺のジト目には意に介さず、武田は続ける。

 

 

 

「だがしかし、君は後悔することになるだろう!

 

 

 あの時逃げておけばよかったと!」

 

 

「朝からうるさいわね……」

「上杉さんは負けません‼︎」

「君たちには話していない‼︎」

 

 

 日頃の好青年っぷりは何処へやら、もはや風太郎しか眼中にないようで。

「こんな人でしたっけ……」

 

 更には五月の言う通り、かなりお鼻が高くなっているようだ。

 

 

「上杉君、ここが僕と君との最終決戦だ。

 

 一騎討ちで雌雄を決し………」

 

 だが、その風太郎は武田の横をすり抜けて。

 

 

「お前ら急げ。

 

 

 まだ開始まで時間がある。

 

 

 少しでも悪あがきするぞ」

 

 

 俺達にもそう促し、それを受けて俺たちも後をついていく。

 

 

 

 そして。

 

「悪いが、生憎一騎討ちじゃないんだ。

 

 

 こっちは7人いるからな」

 

 この戦いにおいて、風太郎は一人じゃない事を理解していた。

 

「ふふふ………それが君の弱さだ」

 

 それなら、仲間のうちの一人として応えてやるとしますか。

 

 

 

「へっ、知らねえのか?

 

いいか?戦いは棍棒を多く持った方が勝つんだぜ?」

「………聞こえなかったのかな?君とも話していないんだが」

 

 

 

 俺は、頬を引き攣らせる武田を一瞥だけして。

 

 

「驕れる者は久しからず、噛ませ犬程よく吠える……この世の常を説いてるだけさ」

 

 そんな言葉を残して、俺も後へと続くのであった。

 

 

 

 

「……どうした?」

「………ふと、昔を思い出しまして…」

 

 

 なぜか、古傷が痛んだような顔をする四葉には困惑を隠せなかったが。

 そんな困惑はさておき、教室について少しした後。

 

 

「全国統一模試を、これより開始します」

 

 

 「新訳 川中島」とも言うべき決戦が、人知れず始まるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 1教科目の国語が終わり、テストの難易度に嘆く声がちらほら聞こえている中で、俺と五月は目の前に広がる景色に釘付けになっていた。

 

 

「おい、アイツ顔色悪くねえか?」

「そうですね……」

 

 前の方の席にいる風太郎が、どうにも具合が悪そうだったからだ。

「フータロー君、顔色悪くない?」

「気………気にすんな」

 

 

 それは、一花の問いかけに覇気のない声で応えていることから一目瞭然だろう。

 

 

 

 

 

 だが………今朝に通学路で合流した時はなんともなかったはず。

 つまり、時間差でやばくなる事をその前にしたってことになるわけで。

「俺が合流する前、何かやってなかったか?」

「えーと……」

 

 とりあえず、何か手がかりがあるかもと五月に聞いてみると。

 

 

 

 

 思い出したかのようにぼやいた。

「…………そう言えば、パックの牛乳を飲んでいましたね」

 

その単語に、俺は上杉家の家庭事情を思い出す。

 

 要は………

「……………消費期限切れにでも当たったか」

「ええ⁉︎よりにもよってこんな時に………」

 

 風太郎の親父さんは、自称「鉄の胃袋」を持っているらしく、消費期限が切れた牛乳を飲んでも大した影響がないんだとか。

 

 そんな胃袋は風太郎にも受け継がれ、三玖の奇天烈料理やドクロチョコを食べても平気だが………流石に親父さんがおかしいだけで、普通は傷んだ牛乳には勝てないわな。

 

 つまり、その牛乳で腹を下したという事だ………意外な伏兵がいたものである。

 

 

「ストッパねえんだよな、今……」

「薬局って近くにありませんでしたっけ?」

 なんというか、何かしらのハプニングがないと事が進まないのかと、先行きが危うくなってきた事を感じながら、俺は次の教科に備えていくのであった。

 

 

 

 

 

そこから数時間後。

 

 

 国語、数学、英語の試験が終わり、昼休みを迎えたが、俺は男子トイレにいた。

 

 

「おいおい、お前やべえんじゃねえのか?」

「全くだ。こんな時になんて不運………!」

 

 

 やはり腐った牛乳が当たったらしく、個室に篭り切った風太郎に付き添うためだ。

 

「再試験があれば保健室に連行するけど、ないんじゃそうもいかねえか」

「ああ……てか、今日を越したら覚えたことが抜け落ちていきそうだ」

 一夜漬けした奴みたいな事を言い出す風太郎に、どこからしくなさを感じていると。

 

 

 

「やあ、二人とも随分と長居だね」

 

 風太郎が個室から出てきたと時を同じくして、武田がやってきた。

 

「お前、俺ら探してスタンバッてたのか……若干気持ち悪いぜ?」

「そんな事して時間潰すなよ………復習の一つでもしとけ」

 

 少し引いている俺と、どこか諦めたような顔の風太郎の言葉に、鼻を鳴らして。

 

 

 

「………そんなもの、必要ないさ」

 便箋を俺らに見せてきた。

 

「………これさえあれば、確実に君達に勝てる」

 

 さらに自慢げな付け足しで、その中に入っているものを俺は理解した。

 

「……全国模試の模範解答だな」

「な、なんでそんなもんが」

 

 それは、おそらく全国模試の模範解答。

 

 そして……

 同時に風太郎は残りの教科において、全て満点を取る事を迫られたのと同義だ。

 

 

 コイツの今の最悪なコンディションで、できるかと言われたら無理だと俺は答えるし、風太郎自身もなんとなくわかっているのか、冷や汗を流していると。

 

 

 

 

「「……………は?」」

 

 

 なんと、武田は何を思ったのかその便箋を真っ二つに裂いた。

 

 

 

 呆気にとられる俺達の前で、その便箋を破り続け。

 

 

 

「安心してくれ。前半の教科でもこれは使っていない。

 

 1時間目の後、父に渡されたが………こんなもの、クソ喰らえさ」

「おい、それ詰まるんじゃ…」

 

 個室の便器に投げ捨てたかと思えば、その答案を水で流してしまった。

 

 

 

 なんとか言葉を発した俺の隣で、荒い息を吐いた風太郎が困惑しながらも続けて。

 

 

「お、お前……なんで」

 

 武田の返答を待っていると。

 

 

 

 

「上杉君に町谷君………僕はね。

 

 

 

 宇宙飛行士になりたいんだ」

 

 

 

 

 

………………

 

 

 

「「は?」」

 またもや唐突すぎる内容に、本日2度目のポカンとした反応を見せる俺達。

 

 

 

「えっと……どういう事だ?」

 

 風太郎が、困惑の極みにいる中でなんとか絞り出した問いかけに、武田はよくぞ聞いてくれたと。

「地面も空も……空気さえもないあの空間に憧れているんだ。

 

 

 全てがないからこそ………あそこには全てがある!」

「分かった。分かったからその辺で説明はストップだ」

 

 捲し立ててきてので慌てて止める。

 

 

 すると、流石に度が過ぎたと咳払いしながら。

 

 

「だが………その道は無論険しい。

 

 

 なにせ、この地球で一握りの選ばれた者しか、宇宙へ行くことはできないからね。

 

 

 

 世界中の人間がライバルさ」

 

 と、いつものメッキ臭いオーラではなく、心の底からの思いを語る奴が持つ、輝きみたいなものを纏いながら。

 

 

 

「だから僕は………こんな小さな国の、こんな小さな学校で負けるわけにはいかない。

 

 

………夢があるから」

 

 風太郎をまっすぐに見据えて。

 

 

「実力で君を倒す!

 

 

 あんな物を使っての結果なんて、何の意味も持たない!」

 

 

 改めて、宣戦布告をしてきた。

 

 

 

 

 それに対して、我らが上杉風太郎は…………

 

 

 

 

 

 

 

「ウッ⁉︎」

「お前、この流れでそりゃねえぜ⁉︎」

「うるせえよ、生理現象に無茶言うな!」

 

 

 またも腹痛がやってきたのか、再び個室へと駆け込んだ。

 

 

 

 

 だが………どうやらそれだけではなく。

 

 

 

「武田…………

 

 

 受けて立ってやるよ」

 

 

 今度こそ、風太郎が武田を「二位以下」ではなく、「武田祐輔」と言うライバルとして認めた瞬間でもあった。

 

 

「ははは!何を今更!

 

 

 当たり前さ……僕らは永遠のライバルなのだからね!」

「やーい、永遠の2番手」

「今は1番だ!」

 

 

 

 

 そして俺も。

「武田………お前、頑固で根性あるじゃねえか。見直したぜ」

「………お褒めに預かり光栄だね、町谷君」

 

 

 今までより少しだけ、武田への印象が良くなった気がした。

 

 

 

 

 

 

 数週間後。

 

 全国模試の結果が返ってくる頃となったある日の昼下がり。

 

 

「いやー、あのコンディションでその順位は大したもんだぜ」

「全くだ。見事と言う他ないね。

 

 

 君が十位以内に入ったとしても、勝つつもりで挑んだ全国統一模試。

 

 

 八位と言うのは願ってもない好成績だが……まさかのその上をいくとは。

 

 

 全国第三位おめでとう。

 

 もうすぐ修学旅行だけど……」

 

 ブランコが揺れる音をBGMに、武田がそこまで言ったところで。

 

 

 

 

「ちょっと待て。

 

 何故俺は、こんな昼間からお前とブランコを漕いでるんだ」

 

 ようやくというか、我慢できないと言った体で風太郎がツッコミを入れた。

 

 

 確かに、大の野郎3人が真っ昼間からガキどもに混じってブランコを占領しているのは、中々に場違いな光景だ。

 

「ははっ。

 

 昨日の敵は今日の友と言うものさ。

 

 これも青春なのかもしれないね」

「まあ、下手なツッコミは野暮ってもんだな」

 

 囲いに座っている俺が諌めると、風太郎はため息ひとつついて帰ろうとするが。

 

 

 

「おいおい、忘れたのかい?

 

 僕らは呼び出されたんだ。そう焦るんじゃない」

「………そして、主役のお出ましだ」

 

 

 公園の入り口に、見慣れたリムジンが止まり………中から親父さんが出てきた。

 

 

 

 

 無邪気に遊ぶ子供達を眺めながら、風太郎達3人はベンチに腰掛けていた。

………俺は座れるところがなかったため、街灯に背を預けているが、今回の話の当事者は俺以外の3人なので問題はない。

 

 

 

「待たせてすまないね。

 

 まずは武田君………全国八位おめでとう。

 

 

 出来のいい息子を持てて、お父さんも鼻が高いだろう。

 

 

 医師を目指していると聞いたが………どうかな。

 

 君のような優秀な人材ならば、僕の病院に………」

 

 と、親父さんが祝福と誘いをかけてきたが、武田は申し訳なさそうにしながらもキッパリと。

 

 

「申し訳ございません。

 

 大変光栄な話ではありますが、僕の進路についてはもう少し考えたいと思っています」

「そうかい。いい返事を期待しているよ」

 

 

 そして親父さんは風太郎に。

 

 

「上杉君。

 

 

………君に家庭教師の仕事を再度頼みたい。

 

 

 報酬は相場の5倍で、アットホームで楽しい職場だ」

「よーく知ってます」

 ブラック企業の求人みたいな誘い文句を言い出す親父さんに、風太郎が何を今更と言わんばかりに返す。

 

 

 

「また君に依頼するのは正直不本意だ。

 

 

 本来ならば、プロでさえ手に余る仕事らしいが…………君にしかできないらしい。

 

 やるかい?」

 

 そして、多量にツンデレじみた打診をする親父さんに、風太郎は勿論と言わんばかりに表情を明るくした。

 

「勿論!

 

 

 言われなくてもやるつもりだったんだ、給料を貰えるのなら願ったり叶ったりですよ」

「銭ゲバ丸出しにしなければ、いいセリフだったのによ……」

「まあ、彼の家庭状況を鑑みればわからない話じゃないけどね」

 

 一言多い風太郎に武田と共にジト目を向けていると、親父さんは。

 

 

「それは良かった。

 

 では、当初の予定通り町谷君と共に卒業まで……」

 

 と、俺を見ながら内容を確認しようとするが、そこに風太郎が待ったをかけた。

 

 

「あ、その事で一つお伝えしたいことがあります。

 

 

 成績だけで言えば、アイツらはもう卒業までいける力をつけてますが………

 

 

 五月と武田の話を聞いて思い直しました。

 

 

 次の道を見つけてこその卒業という事で、俺はアイツらの夢を見つけてやりたい」

 

 と、少し前までなら絶対出ないような計画を提案してきた。

 

「上杉君……」

「これ、そんなジーンとする話か?」

 願いや夢なんてのは自分で叶えるものであり、少なくとも俺にとっては大きなお世話だ。

 

 

 武田がよく言ったと言わんばかりに目を輝かせる隣で困惑していると、さすがの親父さんも少しの間を置いて。

 

 

 

「随分な代わりようだ。

 

 

 就任直後の、流されるまま嫌々とこなしていた君とはね」

「し、知っていたんですか………」

 

 

 そして、間違いない念押しを込め。

 

 

「どのような方針を取ろうが自由だ。

 

 

 間違っているとは思わないしね。

 

 

 

 

 

………だが、忘れないでほしい。

 

 

 君達はあくまで家庭教師とその補佐………娘達には紳士的に接してくれると信じているよ」

 

 中々の圧をかけてきたので、俺たちは必死に了承するのであった。

「も、勿論ひいてますよ!俺はね!」

「言うまでもねえな。信用問題に発展すんのはごめんだ」

 

 

……まあ、誰も人の惚れた腫れたに口出しは出来ないと思うが、そこは言わないお約束って事で。

 

 

 

 

side五月

 

「隠し事の臭いがします」

 

上杉君が、お父さんから改めて家庭教師として雇われた事をお祝いしたかったのに、私………いや、皆んなを避けているような気がして。

 

 一緒にいた町谷君を置いて、いそいそと部屋から出ていった上杉君に、私は問い詰めていた。

「なんだよ五月、別にお菓子とかは持ってねえぞ」

「そう言う意味じゃありません!」

 

 私が腹ペコキャラ認定されているのは仕方ないとしても、流石に自宅にいるのに来客からお菓子をもらおうとするほど卑しくはない。

 

 

「ピンと来ましたが、あなた私に何か隠していませんか?

 

 

………ひょっとして、お父さんに何か言われましたか?」

「違ぇーよ」

 

 一瞬浮かんだ可能性を告げてみるも、それは違うとのこと。

 

 

 何か隠してるような感じはあるのに、それを引っ張り出す手が………

 

 

 こうなったら仕方ない。

 

 

「では、こうしましょう。

 

 あなたの隠し事を話してくれたら、私も一つお話ししましょう!」

 

 

 

 ここは恥ずかしいけど、少し大胆に行こうとしたら………

 

 

「………お前の隠し事なんて聞きたくもないが、まあいい。

 

 

 

………俺、モテ期が来たかもしれん」

「うわぁ………」

 

 

 

 また、反応に困る隠し事がやってきた。

 

 

 

 

 side奏二

 

「いや、最近色々あってな?モテ期が来たような気がするんだ……。

 

 

 ちなみに相手は二乃と一花な」

「ね?何だかおかしくなってしまって……」

「お、おう………」

 大慌ての五月に連れてこられた玄関先にて。

 俺は、風太郎の口から出たとは思えない言葉に、固まっていた。

 

 いや、あの二人が風太郎に好意を抱いているのは知ってるし、一花が何かをしでかすつもりでいるのも何となく感じている。

 

 二乃に関しては、熱すぎる手のひら返しが如く攻めの恋を展開している故にわかりやすいし、一花は姉妹達の姿を使って自分に目を向けさせようとしているので、そう行き着いてもおかしくはないが………

 

 

 

 風太郎の口から実際に出ると、なんというかミスマッチすぎて変な感じがするのだ。

 

 

「少し疲れていませんか?

 

 休養を取ることをお勧めします……」

「流石に失礼だぜ?五月さんよ」

 引いた顔をしている五月にツッコミを入れていると、五月はふと怪訝な顔をして。

 

 

「……でも、二乃と一花ですか?三玖じゃなくて……」

「いや、アイツじゃねえよ……三玖と四葉は応援するとか言いやがる」

 

 三玖の事を出したが、それに対しては困惑気味に首を振る。

 

 

 

 恐らくその三玖はあの放課後に見た、一花の変装だろう。

 

 で、その内容は「一花が風太郎を好きであり、三玖は応援する」といったところか。

 

 だが……三玖本人は、ある程度好意を示すような行動を風太郎にとっている。

 

 

 そこの矛盾が、混乱の要因……ってかんじか。

 

 

 そんな事を考えていると、風太郎にお前も話せと詰め寄られた五月は焦った顔をして。

 

 

 

「す、すみません!またの機会に!」

「お、おい!

 

 俺は言ったのにフェアじゃねえぞ!」

 やがて、四葉がやってきた隙を見て、話を放棄して家の中に入っていった。

 

 

 

「アイツ、人呼んでおいて置いてくなよな……」

「どうやらお邪魔しちゃったみたいですね…」

「まあ、その隠し事も想像つくけどな………

 

 

 

 お前ら、有名レビュワー「M・A・Y」って知ってるか?」

 

 

 

 

side二乃

 

「フータローには、とっておきの舞台で食べてもらう」

 

 四葉が外で何か騒いでいたので、様子を伺いに行くと、そこではどうやら三玖が作ったパンを食べているようだ。

 

 

「ところで、とっておきって?」

「ほら、京都の………」

 そして……そのとっておきの舞台といえば、やはり京都の修学旅行。

 

 

 恐らく、三玖はそのパンでフー君にアプローチをかけに行くつもりなのだろう。

 

 

 また………そこで何かを仕掛けてくるのは恐らく三玖だけじゃない。

 

 

 何かいいものを得たと上機嫌な一花、物憂げな表情の五月………それぞれがそれぞれの思惑をこの修学旅行に抱いている。

 

 

 それなら……上等だ。

 

 

「ここで決着をつけてやるわ」

 

 

 私は、誰もいない調理場で自分に宣言した。

 

 

 




いかがでしたか?

次回から10巻のストーリーとなります。


ここからかなりストーリーを変えるか、ストーリー通りに行くかなどを悩むことになるので、かなり時間がかかってしまいそうですが、待っていただけると幸いです。


 それでは、次回もお楽しみに!
感想などがありましたらさいわいです。


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