五等分の花嫁 家庭教師の二重奏   作:暇人の鑑

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番外編を挟んで、最終章に入っていきます。

あと、ここで一つお礼をば。

毎回誤字・脱字を修正してくださる方がいらっしゃいます。

書き終えてから、脱字などを確認する気力が湧かず、投稿した後に見つかると言うパターンが多い中での修正は非常にありがたいです。

 私も出さないように執筆中から気をつけるようにしますので、それでも出た時にはお世話になるかと思われますので、何卒よろしくお願いします。

 と、なんとも情けない前置きからのスタートです。


 奏二の秘密
 自分の三つ編みを作るのは得意だが、他人の髪を三つ編みするのは苦手。


第36話 夏と水着と変貌と

 風太郎の結婚式の朝。

 

「「………」」

 共同墓地にて、俺と五月は零奈さんの墓に手を合わせていた。

「みんなを代表して、お母さんに報告したい」とのことで、朝早くやってきているのである。

「俺は少し奏一さんの方にも行ってくるぜ」

 ついでに奏一さんの方の墓の方へもお参りに行ったが……今日のメインは零奈さんの方だ。

「うん。……お母さん、五月だよ。

 

今日ね……?」

 なので、五月が零奈さんの墓に語りかけている間に、ささっとお参りと掃除を済ませる。

 

 そうしたら、2人で零奈さんの墓への献花や軽い掃除を終えたら、駐車場へと向かっていく。

 

「んじゃ、行くか……」

「そうだね。一花のお迎えに行かなくちゃ」

 

 この墓地には、俺達を作った「過去」があり。

 

 その過去の積み重ねが、今こうして並んで歩いている「現在」であって。

 

 そして、止めてあった車に乗って……幾つもの「未来」にむけて走るのだ。

 

 

 

 孤独を受け入れるしかなかった俺が。

 

 孤独を恐れた私が。

 

 

 

「あれから4年経ってるんだよな……月日の流れは早いもんだぜ」

「そうだね。私たちもそろそろ……」

「そっちの仕事が落ち着いたらでいいんじゃねえの?」

「うん、まずは今の仕事に慣れなくちゃ」

 こうして、2人で歩いていく。

 

 

 死が俺たちを分かつまで……終わらない。

 

 いや、終わらせない未来を………!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 修学旅行が過ぎると、そろそろ3年生には受験の影がチラついてくる。

 

 そうともなれば、夏休みは基本的に受験勉強がメインとなるわけだ。

 

 俺は卒業したら、本格的に何でも屋に専念するため、受験をする気はさらさらないが。

 

 

 兎も角、高3の夏休みのメインが受験勉強だとしても、ティーンエイジャーたるもの、どこかしらで遊びたいわけで。

 

 

 

「いやー、晴れたな」

「そうだねぇ」

 

 そんなこんなでウチのクラスの面々は、海へとやってきていた。

 

 

「折角なのでみんなで遊ぼう」となって、協議の結果海水浴となったのだ。

 

 だが、ここにいない奴もちらほらいる。

 

「でも五姉妹も、来ればよかったのに……いや、中一は女優なんだし下手に動くわけにも行かないか?」

「あれー?上杉君もきてないんだっけ?」

 

 加藤と安芸の2人が言うように、あの6人が来ていないのだ。

「風太郎は知らんが、あの5人は今日引っ越しらしいぜ」

 

 

 そのおかげか、いつもよりも静かだが……なんか、物足りない感じは拭えないな。

 

 

「まあ、その分俺らが構ってやるから気を落とすんじゃないぞ?」

「へっ!そっちこそ、他の女のケツに靡かねえようにな?」

「うーん、浮気はダメだよー?」

 見透かしたような加藤の発言に、とりあえず軽口で応戦していると。

 

 

 

「あ、奏ニさんだよお兄ちゃん!」

「……さっき武田と前田にも会ったが、これはどう言うことだ?」

 

 困惑顔の風太郎が、らいはちゃんに手を引かれていた。

 

 

 

 

 どうやら、風太郎は武田がメールで送ったと言う今日の予定を見ていなかったらしく。

 

 偶々今日、ここに海水浴に来たんだとか。

 

 

「おかしいなー、なんで五つ子のみなさんに会えないんだろ」

「そう言えば、やけに静かだと思ってたが……アイツらいないのか」

 

 そんな事情を話しながらも、らいはちゃんと風太郎が不思議そうな顔をする。

 

「あれ、お前さん知らねえのか?今日アイツら…」

 

 事前に聞かされていた俺が、理由を教えようとした時。

 

 

「やあ皆んな!

 

 スイカ割りをやるけど参加するかい?」

「するー!」

 

 武田から出たスイカ割りに、らいはちゃんが食いついた為、その理由か話されることはなかった。

 

「……まあ、後で分かるしいいか」

 

 

 今日、あの5人がここにいない理由。

 

 まあ、さっきも言ったが引越しだ。

 

 なんでも、今住んでいるあのボロアパートが近々解体されるんだとか。

 

 

「人生の大半を過ごした場所がなくなるのは寂しい」と、教えてくれた五月は苦笑していたが……老朽化では仕方ない。

 

 

 で、もともと住んでいたあのタワマンへの引っ越しが決まり、その引っ越す日が今日だったって訳だ。

 

 

 そんな訳で、せめて写真くらいはくれてやるかとカメラを構えた先では……

 

 

 

「……何やってんだアイツら」

 

 風太郎のヤツがスイカと間違えて、なぜか埋まっているコラ助の額に一撃を喰らわせていた。

 

 

 

 その日の夕方。

 

「上杉……まだ痛ぇぞ」

「だから、何度も謝っただろ……」

 

「まだメソメソ言ってるの?男らしくない…」

 

 

 疲れて眠ったらいはちゃんを膝に乗っけている風太郎と、額に絆創膏を貼っているコラ助が不毛な争いをしているのを、コラ助の彼女である松井が見咎めていた。

 

「でもまあ、あの時は笑ったぜ?お陰でいい写真が撮れたしな」

「町谷、何撮ってんだよ……」

「でも、大怪我にならなかったし良いじゃないの。

 

 それに……上杉君も楽しそうだったしね」

「え……」

 そして、松井の振りに風太郎がポカンとするが、確かに楽しそうにしていた。

 

 

「……俺、楽しそうにしてたか?」

「うん」

「おう、アイツらへの土産話にはなりそうだぜ」

 

 そう言われて、どこか照れ臭そうにしている風太郎に武田が。

 

 

「この後花火をするそうだが、君はどうだい?」

「いや、俺は帰ることにする。らいはも疲れちまったしな」

 

 花火に誘うが、らいはちゃんをダシにして断っていたが……

 

 

「みんなによろしく伝えといてくれ」

「「「⁉︎」」」

 

 

 意外な続きにその場にいた俺、武田、コラ助の反応が見事に被った。

 

 

 

「……なんだお前ら、そんな驚いた顔して」

「いや、意外だと思ってね。君がクラスに馴染もうとするなんて」

「そうか?元からこうだろ」

「それはない」

「だな。今までを振り返って、それで同じこと言えたら鉄面皮も良いところだ」

 

 俺たち3人の総ツッコミを受けている風太郎に、武田は昔を懐かしむような顔で。

 

「一年の頃と比べたら、驚くべき変貌だ。

 

 

 何が……いや、誰がそうしたかは言うまでもないね」

 

 

 すると、風太郎が観念したようにため息をついて。

 

 

「数年ぶりに海に来て。

 

 お前らやクラスの連中と盛り上がれて楽しかったのは事実だ。

 

 だが……わるいが、どこか物足りなさを感じちまってた」

「分かっているさ。今の君と彼女達といる君を比べればね」

 

 

 と、いつになく素直なことを言い出していた。

 

 

「……変わったな。風太郎」

「そんなしみじみと言うなよ、奏ニ」

「君もそう思うだろ?町谷君」

 

 

 

 

 

 

side五月

 

 少し前にあった修学旅行。

 

 

 そこでは、多少張り詰めた空気や、出し抜きあいこそあったものの、最終的には前よりも仲良くなれたと思う。

 

 

 だが……それと同時に、もう一つの変化も現れ始めてしまう。

 

 

 

 それは……

 

「フータローもここに呼んであげよう。久しぶりに会いたい」

「あら、いいわね」

 

 

 姉妹のみんなが、事あるごとに上杉君のことを話題に出して……その好意を隠していない。

 

 

 現在、上杉君達は私たちに宿題だけ出して、家庭教師は休みにしているのだが………それも、ひょっとしたら上杉君に会いたいと思わせる一因なのかもしれない。

 

 

 更には、少し前に一花も電話越しに家を出ると言い出した。

 

 一花は私たちの中で1番成熟していると感じていたが、どうしてそんなことを………

 

 

 

 受験に向けて色々あるのに、どうして目の前にはこんな懸念事項ばかりなんだろうか。

 

………いや、多分どれもこれも上杉君の所為だ。

 

 

「私はどうしたら……」

「どうしたのよ五月?今からフー君に電話するから静かにしてちょうだい」

 

頭を抱える私に怪訝な顔をした二乃が、上杉君に電話をかけようとしていたので、取り敢えず待ったをかける。

 

「待ってください二乃。

 

 彼も受験を控えて、1人の時間が必要なのでしょう。

 

 で、ですから!

 

 あまり迷惑にならないように……」

 

 

 そうだ、私達のここ最近の問題には大体上杉君が絡んでいた。

 

 

 だからせめて、私にできることはこの平穏を保つこと。

 

「せめて、夏休みの間は会うのを控えましょう!」

「何それ、電話しよ」

「わぁぁぁああ!」

 

 

 その為に、少し会うのを控えようと提案したものの、ものの見事に却下されてしまった。

 

「………」

 

 無慈悲に鳴る呼び出し音。

 

 いつ出てしまうのかと、内心ビクビクしながら待っていると。

 

 

 

「繋がんないや」

 

 どうやら繋がらなかったらしく、私は安堵し………

「フータロー、会いたいな………

 

 

 きっと、今頃1人で寂しくしてるよ……」

 

 たかったが、どうやらまだ気が抜けないようだった。

 

 

 

 

 その夜。

 

「へー、お引越ししてたんだ。

 

 だから海にいなかったんだね」

「ええ、まさからいはちゃん達が来るとは思っておらず、お伝えしないままにしてしまい、すみませんでした」

「らいはちゃん⁉︎

 

 私もお話ししたーい!」

 

 

 

 らいはちゃんと電話していた私は、みんながらいはちゃんとお話したいとの事で、スマホを机の上に置く。

 

 

 

「そういや妹ちゃん、もう中学生だっけ。

 

 おめでとう」

「早いね」

「わー、ありがとう!」

 

 そうして、みんながらいはちゃんと電話越しで話し始めたのを横目に、私は息を吐く。

 

 

「危うく鉢合わせするところでした……危機一髪です」

 

 もし、今日海に行っていたら上杉君と今の彼女達が鉢合わせしてしまう。

 

 そうなってしまったら、どうなるのかなんて予想がつかない……。

 

 

 通話が終わるまで気が抜けずにいると。

 

 

「あー、もしもし俺だが」

 

 

 らいはちゃんから代わってもらったのか、上杉君が出てきた。

 

「う、上杉君⁉︎」

「あんた、なんで携帯見ないのよ」

「フータロー、久しぶり」

 

 びっくりする私の前で二乃が悪態をつくが、その表情は嬉しそうだ。

 

 

 だが、続いて上杉君は聞き捨てならないことを言い出す。

「それよりお前らに………

 

 

て、提案なんだが………」

 

 

 なんと、何か提案があると言い出したのだ。

 

 何が出てくるかはわからないが、今の彼女達を刺激する内容はやめてほしいと願っていると。

 

 

 

「えー、その……

 

 

嫌ならまあ、断ってくれても構わないがな………?

 

 

 

……プールでも行かないか?」

「「「「行く!」」」」

 

 

 なんと、上杉君からプールのお誘いが。

 

 

「…………あ、あなたから誘ってくるんですか⁉︎」

 

 

 みんなが上杉君を誘うことはあっても、逆はないと思っていた矢先のこれに、私はつい叫んでしまうのだった。

 

 

 せ、せっかくの平穏が……!

 

 

 

 翌日。

 

「そんな訳で、由々しき事態なんです!」

「へー」

「な、その反応は何ですか⁉︎」

 

 町谷君の家にやって来た私は、昨日の事を相談したが、帰ってきたのはなんとも気の抜けた返事だった。

 

 

 確かに今日は暑いが、こっちは真剣に話をしているのに……。

 

 そんな私を前に、彼はアイスコーヒーを啜りながら。

「そこまで大事でもないからな。

人付き合いをしなかった頃に比べたら、確かな進歩じゃねーか?」

 と、大したことはないと言わんばかりの顔だ。

「で、でも……やっと平穏が戻ってきたのに……!」

 

 また、修学旅行の時の雰囲気に戻るのなんて、真っ平御免である。

 

「平穏なんざ、退屈の言い換えだ………てか、そんなに心配なら風太郎に目を光らせておけば良いだろ」

 

 そうは言うけど、1人であの4人を制御するには無理があるし、矛盾してるんだろうが、私も好きな人と一緒に行きたいのだ。

 

 修学旅行の時、結局彼と一緒にいられた時間は少なかったし。

 

……あ、そうだ。

「それなら、あなたもきてもらえませんか?あなたも一緒ならみんなも少しは遠慮すると思うので……」

 

 それなら、彼も巻き込めばいいと提案したところ、彼は少し唸り。

「そううまく行くもんかな……まあ、その日は暇だし別に良いぜ。

 

 だがな……」

 

 

 先日塾で受けた模試の結果に視線を向けて。

「どっちかっていうと、こっちの方が由々しき事態じゃねえの?」

 

 と、分かっていたけど目を逸らしたかった現実を突きつけてきた。

 

「うぅ……分かってます」

「じゃ、遊ぶ前にしっかりお勉強だな」

「遊びじゃありません!これは秩序を守るための……」

 まあ、こうして2人きりで勉強できるのなら……おっと、いけないいけない。

 

 

 

 

 

side奏ニ

 

 

 数日後。

 

「お、来たなお嬢さん方」

 

 入り口で待っていた俺は、見えた5人組に声をかける。

「町谷君、お待たせしました」

 

 最初に反応してくれた五月に続いて、後の4人も暑いと愚痴りながらやって来た。

 

 因みに、ここに言い出しっぺの風太郎はいない。

 

「フータロー君は遅れてくるらしいから、みんなで先に入ってよっか?」

 

 用事があるとかで、少し遅れてくるらしいのだ。

「待っても気を遣わせそうだし、それで良いんじゃねえの?」

「決まりね。それじゃあ中に入りましょ」

 

 そんな訳で、俺たちは先に入ることにしたのだが……

 

 

「三玖、行くよー……って、どうしたの?」

 

 三玖が立ち止まっていたので、何事かとみんなでその視線を追うと。

 

 

 

「二乃、大丈夫?」

「やってないわよ」

 

 どうやら、入れ墨やタトゥーお断りの看板を見て、二乃が心配になったようだ。

 

「あはは、二乃はオシャレだからやってそうだよね」

「若気の至りで彼氏の名前入れちゃったり?」

「ありがち」

 

確かに、この5人の中で1番今ドキの女子をやっているのはこいつだが……

 

「あんたら私をどう思ってんのよ!」

 

 

 流石にそこまでバカじゃないらしく、強い口調で否定する。

 

「ま、相手との絆を刻み込むってのもロマンチックだけどね」

 

 まあ、先が不安になる続きがあったが。

 

 

「やっぱり!」

「ダメです!そんなことしたら不良です!」

「五月ちゃんは真面目だなー」

 

 五月が優等生らしい止め方を見せていた。

 だが……それは心配ないと思う。

 

「いや、注射やピアスを怖がってんのに、入れ墨する度胸はねえとおもうぜ?」

「余計なこと言うんじゃないわよ。まあ、痛そうだしやりたくないのは事実だけどね」

 

 前に風太郎から聞いたが、コイツは以前ピアスを開けようとしてチキったらしいのだ。

 

 

 と、二乃からの威嚇を聞き流しつつ、いつの間にか随分な昔に感じた、去年の事に思いを馳せていると。

 

「はぁ……。

 

 上杉君がいない時はこうして平和なんですがね」

「危機感抱くのは良いが、もう少し肩の力を抜きなって」

 

 と、プールに入る前から疲れている五月に、まずはリラックスをする事を提案してみた。

 

 

 

 そんなこんなで水着に着替え、数分後。

 

 

 先に着替え終えた俺が入り口で待っていると、辺りがざわめき始める。

 

 なんとなく心当たりがあるので、視線を向けると……案の定。

 

「……改めて見ると壮観だな」

「うぅ……」

「なんだか視線が落ち着かない……」

「あはは……確かにね」

 

 そこにいたのはやはり中野家の5つ子であり、改めて、コイツらのプロポーションとルックスの凄さを思い知る。

 

 そこにいた女子達のほとんどが物足りなく思える程のレベルの違いに、普通の男どころか、真っ先に声をかけそうなウェイ系達も、自らの小ささをわからせられてるようだった。

 

 

「俺今からアレに声をかけるのか……」

 優越感に浸れば良いのか、嫉みの視線に肩をこらせればいいのか……。

 

 

 いや、変に考えるのは野暮だな。

 

「あ、町谷さんお待たせしました!」

「どう?ソージ君。美少女達の水着姿だよ」

 

 どうやら向こうにも気づかれたようなので、合流する事にした。

 

「……自分で言うな、自分で」

 

 

 

 

 

 合流したは良いものの、こいつら恒例のバラバラな目的により、落ち合う時間を決めて、それまで好きに回ろうと言う事になったので。

 

 

「町谷君!こっちですよ!」

 

 

 俺は、五月の焼きそば購入に付き合っていた。

 

「どんだけ焼きそば食いてえんだよ……止めねえけど、食い過ぎると身体に出るぜ?」

「人前で言わないでください、そんなに食べませんよ!」

 

 軽口にそう答える五月の格好は、赤いビキニみたいな水着だ。

 

 さらに、動きやすくするためかポニーテールにしており……なんか新鮮である。

 

 

「と、ところで…この水着、似合ってますか?

 

 今日のために慌てて買って来たのですが…」

 

 すると、視線に気づいたのか。

 五月が体を両手で隠すようにして聞いてきた。

 

 

「似合ってるぜ。通行人の視線が痛いくらいだ」

「ありがとうございます……じゃ、じゃあ直ぐに買ってくるので少し待ってて下さいね」

 飛んでくる嫉妬の視線に少し疲れた俺がそう返事をすると、照れ臭さと嬉しさ半々と言った顔で焼きそばの列に並んだので、俺は少し離れた所にあるベンチで一休み。

 

 

 焼きそば屋の屋台の看板をぼーっと見ていると。

 

「お、ここにいたか奏二。案外近くにいたな」

 

 思いのほか早く来た風太郎が、こちらに声をかけて来た。

「おう風太郎。今五月のやつが焼きそばを買いに行ってる所さ」

「分かってる。さっきアイツとも話して、ここを教えてもらったんだ」

「成る程ね」

 

 そうして風太郎と2人で五月を待つ事になる。

 

「にしても、お前がプールにアイツらを誘うなんざ、珍しい事もあるもんだな」

「いや、まあ…あれだ。引越しで海に行けなかったアイツらに、楽しんでもらえたらなーって……」

 

 そうして俺から出した今回についての話題に、風太郎は言い訳じみたことを言い出すが、海水浴であんな話をしてたのに今更である。

 

「……アイツらと遊びたかったんだろ?」

「あまり言うなよ、結構恥ずかしいんだから………な?」

 

 

 照れ臭そうにする風太郎だったが、やってきた五月を見て絶句する。

 

 もちろん俺も。

 

 

「お待たせしました……って、どうしたんですか?」

「お前、遂にそこまで……」

「5人前は食いすぎじゃねえか?」

 

 

 

 なぜなら、五月が持っていた透明な袋の中には、パック詰めされた焼きそばが5つ……

 

「違います‼︎

 

 これは姉妹の分も含めてですよ、割り箸がちゃんとあるでしょう⁉︎」

 

 

 とうとう1人で5人分平らげるのかと言う俺たちの引いた声に、五月が顔を真っ赤にして否定する。

 

 まあ、流石にそこまでは行かないか…。

 

 と、安堵のため息をついた。

 

 

 

「大体、私が気に入らないのは2人して私がそこまで食べるかもと考えているところで………」

 

 まあ、そのおかげで五月はお冠なわけだが。

 




いかがでしたか?

次回はプール編の後半と、一花の休学をさわりだけでもかけたらなと思っております。


 そんな訳で、投稿をお楽しみに!
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