五等分の花嫁 家庭教師の二重奏   作:暇人の鑑

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更新です。

今回からは現在のお話となります。

時系列としては、それまでが過去のお話なんですよね。

濃密な出来事なのは間違いありませんが、よく原作の風太郎ははっきり覚えてたなと思います。

それでは、どうぞ!


第62話 現在と未来へのゴール

 カーテンから差し込んできた朝日に照らされ、目を覚ました私が隣を見ると……そこはもぬけの殻だった。

 

 

「……夜遅くまでなんかやってたって事ね」

 

 ひょっとしたら、私が蹴り落としてしまったのかもしれないと床を見るが、やはりいないので………まあ、多分予想通りだろう。

 

 

 眠い目を擦りつつ、メガネをかけながら部屋を出ると……。

 

 

「イッテェ⁉︎」

 

 大きな物音と共に、間の抜けた声が響いた。

 

 

「もう、世話が焼けるんだから……」

 

 

 数分後。

 

 物音がしたところでは、伸びでもして後ろにひっくり返ったらしく、強烈な目覚ましに頭を押さえる同居人の姿があり。

 

「大怪我とかじゃなくてよかったよ……いや、いっその事そのおバカごと治してもらった方がよかったかも」

「素直じゃねえな、おい……折角今日のために、残ってた仕事を片付けたってのに」

 

 朝ご飯を作りながら、何事もなかったことへの安堵を口にした私の隣から、薄情なやつだと言わんばかりのジト目が返ってきた。

 

 

 だが、今日の行事は本当に失敗できないのだ。

「その大事な今日を跨いで、仕事とはいえ徹夜しないの。

 

……まあ、私もたまにやるからこれ以上は言えないけど…」

 

 普段の生活でたまにやりがちなことも白状しつつ、今日はあえて彼に忠告を飛ばした。

 

「……ま、お互い様ってこったな。

 

 俺"は"!今度から気をつけるぜ」

「分かってる。私も気をつけるよ……じゃ、運ぼっか」

 

 そんな、軽口の叩き合いをBGMに、朝ごはんを作り上げた私たちは、テーブルに並べて……。

 

 

 

「「頂きます」」

 

 かつては、姉妹のみんなとしていた挨拶を、今度は私と彼の2人で口にした。

 

 

 これは、私と彼の互いへの鼓舞。

 

 なんといっても、今日は2人して一日中動くハードスケジュールにして………とても、喜ばしい日。

 

 

 今日は、私達共通の友人である「上杉風太郎」と。

 

 

 私の姉の1人である「中野三玖」の結婚式なのだから。

 

 

side一花

 

「んー、やっと着いたー!」

 伸びをして、体をほぐしながら空港内を歩いていると、ケータイが着信を知らせた。

 

 そろそろ空港に着くけど、寝坊してないよね?

 

 その内容は、若干失礼だが。

「もー…流石に侮りすぎだよ」

 

 いくら朝が弱い私でも、流石にこんな大事な日にそんなやらかしはしない。

 

 日頃の行いの大切さを、不本意なところから再認識していると、周りにいる人たちの格好が帰ってきた事をヒシヒシと感じさせた。

 

 

 つい、数日前にも見たはずなのに……やはり、住み慣れた国と外国を行き来したとなれば、見える景色は違ってくるものだ。

 

 

……よし。

 

「この国も変わらないわね……帰ってきたわ、日本」

 

 

 ちょっと帰国子女っぽいセリフを言って、それっぽい気分になっていると。

 

 

「旅行行ってただけでしょ」

「寝言は寝てから言うもんさ」

 

 聞き馴染みのある2つの声が、私の世界を現実に戻した。

 

 

 この声は………

 

 

 

「あ、五月ちゃんにソージ君。

 

 お迎えありがと〜」

 

「わっ、ゆ、有名人なんだから! こっそりこっそり!」

「お前がもうちょいこっそりしてくれ………まあ、野次馬に勘づかれる前に、さっさとずらかろうぜ」

 

 

 私の妹の1人である「中野五月」と、義弟の「町谷奏二」だった。

 

 

side奏二

 

 普段の休日よりも、少し早めに起きた俺と五月は。

 

 零奈さんや奏一さんの墓に風太郎たちのことを報告に行った後、海外での仕事から帰国した一花を、迎えに行っていた。

 

 

「いやー、朝早くからありがとね」

「気にすんなって。時差ぼけでなんか事故られたら不味いしな。で、旅行はどうだった?」

 

 運転席に座る俺は後部座席に座る一花に、視線を前に向けたまま話を振る。

 

 なんと、コイツはつい昨日まで海外に旅行に行ってたのだ。

 

 自由というか、馬鹿というべきか……

 

「旅行じゃなくて一応仕事だって!まあ、観光はしたけどさ…」

 そんな俺にバックミラー越しに抗議の視線が向けられた。

 

 

「あはは……で、どう?手応えの方は」

 

 そんな一花を宥めるように、助手席の五月は苦笑していたが。

 

「うーん、まだイントネーションだけが不安かな」

「イント↓ネー↑ション→」

 

 

 一花の発音のミスを訂正していた。

「あちゃー、厳しいな」

 

 そう、なんたって今の五月は……

 

 

「一応、先生だからね」

 

 晴れて、高校の教師となり一クラスの担任をやっている。

 

 

 で、俺はそんなコイツと事実婚状態であり、現在同棲中と言うわけだ。

 

 

……まあ、そんな話は後にしておこう。

 

 

「……五月ちゃん先生、そろそろ着くから二乃達に連絡頼むわ」

「うん……って、なんで私の学校での呼ばれ方知ってるの⁉︎」

 

 

 そろそろ目的地に着く頃合いだしな。

 

 

 

side二乃

「いらっしゃいませー……って、なんだアンタたちか」

 

 ドアに取り付けてあるベルの音がなり、お客さんかと思ったら、アメリカから帰ってきた一花と、そのお迎えに行っていた五月と町谷だった。

 

「一花、久しぶり……あと、五月とソージもご苦労様」

「おう……あと、この度は結婚おめでとうございます。今後とも是非ご贔屓に…」

 

 3人の姿に微笑む三玖に、町谷は立派な箱に包まれた菓子折りを渡してくるが………

 

「なんか、ソージに敬語使われるのも変な感じだね」

「心外だな……これでも一応経営者だぜ?必要とあらば敬語も使うさ」

「分かってるわよ……いつもありがとね」

 

 自然な形で敬語を使う姿が似合わず、なんか可笑しくて。

 

 私たちが笑うと、町谷は馬鹿にするなとそっぽを向いた。

 

 だが……社会に出て、経営を始めた今は、出会った頃からそれをやっていたコイツの凄さに驚かされるばかりである。

 

 そして、この店を作る時から色々と手を回してくれたのもあって、頭が上がらないものだ。

 

「………やっぱ、お前に素直に感謝されるのは、なんか気味悪いな」

「何ですって⁉︎」

 

 まあ、この減らず口に関しては話は別だが。

 

 と、そんな私たちを見ていた一花は満足そうにしながら。

 

 

「うんうん、みんな元気そうでよかった……それに、お店も大繁盛のようで」

「……アメリカかぶれはジョークがお上手なようね」

 

 狙ってか、素なのかは知らないが、中々のジョークを飛ばしてくれるものだ。

 

 

「まあ、今は朝早いし仕方ないよ……でも、折角だからなんか食べてく?」

 そんな空気を読んでか読まずか、三玖が聞くと頷く一花の隣で、五月が嬉しそうに。

「うん、お願いしようかな……流石にちょっとお腹空いちゃってて」

「やったー!」

「……まあ、式中に腹の虫鳴らされるよりはいいか」

「ん?」

「なんでもございません……俺もコーヒーだけもらえるか?ブラックで」

「いいよ、3人ともちょっと待っててね」

 さっきまでの落ち着いた感じは何処へやら、ワクワクしたような様子を見せた。

 

………町谷の台詞から察するに、どうやらもう既に朝食は食べてるらしいが。

 

 

「ふんっ、アメリカのあんな気取ったカフェに行ってる人の口に合うかしら」

「あれ?私が行ったこと教えたっけ?」

 言われっぱなしではいられずに出た言葉に、一花は首を傾げて……あ!

 

「二乃、いつも一花のインスタ見張ってるから」

「三玖!言うんじゃないわよ!」

「お前、調子に乗るとヘマ率上がるんだから変なことすんなって」

 なんか恥ずかしいので、慌てて誤魔化そうとしたが三玖にバラされてしまった。

……町谷がまた失礼なことを言ってくるが、今まさにそうなったので何とも言えないのが歯痒いものだ。

 

「素直じゃないなあ、二乃は……でも、それならそのお礼にこのお店も紹介しちゃって……」

 熱くなった頬を手で煽って冷やしていると、一花が慣れた手つきでスマホを操作しようとして。

 

「待って」

 

 三玖に待ったをかけられていた。

 

 

side三玖

 

「確かに、一花の人気にあやかればお客さんも絶対増える」

 

 そう、今目の前にいるのは私の姉にして、今をときめく若手女優の一花で、その一押しとなればお客さんは絶対増える。

 

 商売をしている以上、売上が増えるに越したことはない。

 

 

 でも……安易にそれに頼るのは、なんか違う気がした。

 

「でも、遠慮しとく。

 

 最近、ようやく常連さんも増えてきたんだ……」

 最近、やっと自分達の力を認めてくれる人たちが出来たから。

 

「それに、こんな設備の整った場所を用意してくれた人たちのためにも、もう少し自分達の力だけでやってみたい」

 

 

 この店には、場所を提供してくれたフータローのお義父さんに、そこを築き上げてくれたお義母さん。

 

 設備を整えてくれたお父さんなど、さまざまな人たちの想いを背負って、私達は今この店を運営しているのだ。

 

 

 その想いを背負ってやってきたこれまでが、「一花の人気に乗っかっただけ」と霞んでしまうのは、なんかモヤモヤしてしまうのだ。

 

 

 何とも面倒臭いことを言い出した私だが、一花はそれでこそと言わんばかりに。

 

 

「うーん、自慢の妹!

 

 どこに出しても恥ずかしくないね」

「わわっ、一花⁉︎」

「また、私が体調崩しちゃった時はよろしく」

「そ、それは流石にヤダ…」

 

 抱きつきながら、怖いことを言い出したので何とか離れようとするが。

 

 

「冗談だよ。お互い頑張ろうね」

「うん」

 

 今をときめく女優にして、私達の自慢の姉からの激励に、そんな気持ちはなりを潜めていった。

 

 

「アンタが売れなくなったら、働かせてあげてもいいわよ」

「あっちは可愛くないなー」

「あれはあれで可愛い」

 

 あんなふうに強がってはいるが、きっと一花もここで働くとなったら大喜びしそうなのを思い浮かべながら、幾つになっても変わらない二乃を眺めていると、来客を告げる鈴の音が鳴り。

 

 

「いやー、皆さんお揃いで」

 

 なぜか、汗だくになっている四葉がやってきた。

 

 

「これで、姉妹全員集合だけど……」

「何でお前汗まみれなんだ?今日はそこまで熱くねえと思うんだが…」

 

 五月が困惑し、ソージが恐らくこの場の全員が思ったであろう疑問を投げかけると、四葉は照れ臭そうに。

 

「なんかじっとしていられなくて、ウチから自転車で走ってきたんだ」

「マグロかお前は⁉︎」

「アンタね……大事な式の前に何してんのよ」

 

 お子様みたいなことを言い出して、ソージと二乃からのツッコミを受けていた。

 

……まあ、四葉らしいと言えばらしいけど。

 

 で、そんな四葉に苦笑していた一花は、表情をまじめなものに変え。

 

「……じゃあ、みんな揃ったことだしやろうよ。ある程度ならした方が良いし」

 

 それに釣られるように、みんなの空気が少しだけ締まる。

 

 今日は私とフータローの結婚式の当日だが、こうして姉妹で集まったのはこれが理由だ。

 

 

「……んじゃ、俺は先に式場に行ってるぜ。遅刻すんなよ?」

「うん……私たちもすぐ行くよ。道中気をつけてね」

 

 ヘルメットを持ったソージが五月に見送られながら店を出るのと同時に、一花がバッグから小さな箱を取り出す。

 

「改めて、これが私たちからの結婚祝いよ」

 

 それは……

「お母さんの形見のピアス……でも、こういうのって開けてすぐにつけて良いの?」

 

 あまりものを持たなかったお母さんが、唯一遺してくれたピアス。

 

 決して高いものじゃないけれど……これには値段になんか変えられない価値がある。

 

 本当なら、お母さん自身に祝ってほしいという思いもあるけど……残念ながらそれだけは叶わない。

 

 とは言っても、今までこんなものをつけたことがなかったので……色々と不安だ。

 

「どのみち今日開けないと間に合わないわよ……覚悟はいいわね?」

 だが、二乃の念押しするような問いに、もう逃げ場はないと悟る。

 

 

「うん……お願いします」

 

 そして、私は大人の階段を、痛みと共に一段登る事になった。

 

 

 

side奏二

 

式場にやってきた俺は、早速今日の為に用意していた神父服に袖を通していた。

 

 これは、あの5人にとっての零奈さんのピアスと同じ意味を持つもの……要するに、ファーザーの形見である。

 

 

 そう、よくある「なんたらを誓いますか」的なのを言うのが、今日の俺の仕事というわけだ。

 

 本来着るべきなのはこれじゃなくて、プロテスタントの牧師服なんだろうが……まあ、そもそもここ最近の結婚式ではガチモンの牧師じゃなくて、外国人のアルバイトだったりすることもあり。

 

 俺みたいなジャパニーズ似非神父がやるパターンも存在するため、服装が違っていても、もはや今更だな。

 

 多分、本場の敬虔な皆様がこの有様を聞いたら大激怒間違いなしである。

「つくづくいい加減な国だよな……」

 

 「真面目で勤勉」ステレオタイプなイメージは、案外役に立たないもんだ。

 

 そんなことを思い浮かべながら式場を歩き回っていると。

 

 

「あ、奏二さん!」

 

 そんな元気な声と共に、らいはちゃんがやってきていた。

 

 

sideらいは

「すごいな〜ここ……お城みたい」

「まあ、三玖の事だから、袴と白無垢での和式の結婚式を推すと思ってたんだけどな………」

「でも、ウェディングドレスは女の子の憧れだよ」

 

 お父さんと共に式場にやってきた私は、お兄ちゃんに指輪を渡しに行こうとした所で、神父服に身を包んだ奏二さんに出会った。

 

 私が漏らした感想に、苦笑で返しながら感慨深げに見渡す姿は、すごく大人びた印象だ。

……まあ、お兄ちゃんと同い年だから大人ではあるんだけど、そっちは指輪を忘れると言う、新郎にあるまじき失態を犯したのをもあってか、余計にそう見えるのかもしれない。

 

「私も結婚する時は、こんなところがいいな〜…」

「その時には是非当店をご贔屓に、ってね」

「いよっ、商売上手!」

 そうして、たわいもない世間話に花を咲かせていた私達は、新郎の待機部屋に着く。

 

 

 そこには、机に突っ伏しているお兄ちゃんの姿があった。

 

 

 

「あーいたいた。こんなところで何やって」

 かすかに開いてた扉から部屋に入り、近くに寄ってみるが……

 

 

「コイツ、寝てやがる…」

「はぁ……今日が特別な日ってわかってるのかな」

「特別な日にポカをやらかすのは、今に始まった話じゃないさ」

「うーん、そう言えば…でも、今から結婚するんだよ?

 

 まあ、お兄ちゃんは超現実主義だからなぁ。そう言うの気にしてないのかも………」

 

 

 規則正しい息遣いから、どうやら居眠り中のようだった。

 

 奏二さんといっしょに呆れたような目線を向けていた私だが。

 

 

「……これ、まだ持ってたんだ」

「ミサンガか……」

 

 

 腕から見えたミサンガに、お兄ちゃんはお兄ちゃんであると、しみじみと感じてしまった。

 

 どれだけ時が流れても、その腕にあり続けたように……お兄ちゃんは、この先もきっとお兄ちゃんなのだろう。

 

 理屈っぽくて、シスコンで、変なところで抜けているけれど……それでも、私の大好きな家族のお兄ちゃんだ。

 

 

 だから、私は。

 

「結婚おめでとう、お兄ちゃん」

 

 改めて、ゴールインを迎えたお兄ちゃんに、おめでとうを伝えた。

 

side奏二

 

 

 式場の扉を開くと、観客席の空気がいくらか引き締まったような感じがした。

……牧師の入場は式の始まりを意味するわけだから、当然と言えば当然だが。

 

 

 そうして、牧師が真ん中を通るわけにはいかないので、横の壁沿いを回っていくと、参列者の一部が驚いた顔をする。

 

 まあ、このタイプの結婚式で神父服を着た日本人で、しかもかなりの年若がこの結婚式の音頭を取ると知れば、そりゃびっくりもするか。

 

 

 俺の中のエンターテイナーが、その驚きの視線で疼いてしまっていると、招待されていた武田とコラ助、そしてお腹を大きくしていた松井が。

 

「……この場所でのその格好とは、やはり度肝を抜かれるね。

 

 恐れる心がないのかい?」

「まあいいじゃねえかコラ。俺の式の時もだけど、かなり様になってるんだぜコイツ…」

「うんうん、カッコいいよね……今回もしっかりね」

 

 ようやるわと言った視線と、頑張れと鼓舞する声をくれてきた。

 

 

 そんな連中にサムズアップで答え、やがて出入り口と向かい合わせの位置に立つ。

 

 

 そして、その場にいる全員に軽く目配せをした後。

 

 

「皆様、この度は大変おめでとうございます。

 

 

 それでは、新郎新婦の入場となりますので、皆様静粛にお願いいたします

 

 

 

それでは………"新郎"入場!」

 

 

 今ここに、風太郎と三玖の結婚式の開幕を宣言した。

 

 

 

 

side風太郎

 

 奏二のアナウンスで式場に入場した俺は、定位置に着くとアイコンタクトを送る。

 

 

「新婦、入場」

 

 

 それを受け取った奏二のアナウンスと共に扉が開かれた、扉の先には……この世のものとは思えないほど、神々しい景色があった。

 

 

 近づくにつれてより輝きを増すようなその姿に、しばらく呆気に取られてはいたが……こんな所でポカをやらかすわけにはいかず、なんとか落ち着きを取り戻し。

 

 

 

「………三玖」

 

 

 その神々しさの源にして、俺の妻の名前を呼んだ。

 

 

 すると、彼女は艶やかな笑みを浮かべて。

「フータロー……行こう」

 

 白い手袋越しでもわかるほど、繊細さが窺える右手を俺に向ける。

 

 

 その手が望むのは………

 

「……ああ」

 

 俺はその手に自分の左手を差し出すと……ゆったりと、二つの手は一つに交わる。

 

 

 それまでに手を繋いだことはあれど……これほどまでに心音がうるさくなったことはなかった。

 

 この胸の高鳴りは……これからの未来への際限のない希望なんだろう。

 

 

 そうして俺達は、鼓動を伝え合うように手をしっかりと繋いで。

 

 

「……二人でゴールインだね」

「おう」

 

 教壇の前に並び立った。

 

 

 ここから……俺と三玖の物語が始まる。

 

 

 




いかがでしたか?

風太郎の結婚式の前編となりました。

次回は後編にして、原作の最終回までいけたらなと思います。

奏二の結婚式はその後に書いていければと思いますので、まずは結婚式について調べなければ……

そんな訳でラストまで駆け抜けていきますので、お楽しみに!
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