五等分の花嫁 家庭教師の二重奏   作:暇人の鑑

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更新でございます。

楽しんでいただければ幸いです。


奏ニの秘密
最近普通二輪の免許を取得したが、バイクを買うお金がないので身分証がわりになっている。


第8話 警戒と追憶と失踪と

「くそー!次、俺な!」

「やけにハイテンションですね…」

「お前たちの家を除けば、外泊なんて小学生以来だ…もう誰も俺を止められないぜ!」

「まあ…もう1時間以上足止め食らってるんですけどね」

 

 林間学校に向かう道中。

 いつになくテンションが高い上杉君に、この場にいる誰もが引いた視線を送っていた。

 

……いや、誰もがというのは語弊がある。

「しっかしすごい雪と渋滞だな……他の奴らも足止め食らってそうだ」

「今から宿の予約をしておいた方がいいかもしれませんな」

「なら、この辺の宿を探しますか………江端さんも人数に入れた方がいいかい?」

「いえ、私は仕事に戻りますので。それより……あなたは皆様と一緒に遊ばなくても良いのですか?」

「いや、なんか風太郎のテンションがおかしいからな。触らぬ神に祟りなしってやつさ」

 

 運転席にいる江端さんと助手席にいる町谷君は、現状とこれからの動向について話し合っていた……流石に、この2人は仕事をしているだけあって冷静だ。

 正直、町谷君には上杉君のブレーキ役をやってもらいたいのだが…。

 

 

 まあそれはともかく、私は改めて気合を入れる。

 

 少し前にあった中間試験で、指導してくれる人の必要性はこれ以上なく痛感したが……上杉君は私の理想とする家庭教師からかけ離れているし、町谷君は家庭教師としては理想的だが、色々と謎が多い。

 

 

 だから……この林間学校で見極めさせてもらいます。

 

「男の人はよく見極めないといけない」と言っていたお母さんのように……そして、みんなを守る為に。

 

 

 

 

 数時間後、車の中で俺が予約した宿になんとか辿り着くことができたが、そこでも新たな問題が発生した。

 

 それは………。

 

「まさか急に団体の客が入って、7人で5人部屋を使うとは………」

「でも、なかなかいい部屋だな!」

「わざとじゃないですよね?」

「ちゃんと俺は2人部屋と5人部屋で予約したぜ!」

 

 なんと、男女で別れて部屋を予約したのに団体客が入ったことで、女子達に用意しておいた5人部屋に7人で泊まる事になったのだ。

 

 

 やけに眼力のこもった視線を送ってくる五月に心外だと抗議していると。

「ねえ、本当にこの部屋に泊まるの?こいつらと同じ部屋なんて、絶対に嫌!」

「団体のお客さんが急に入ったって、旅館の人も言ってたし…仕方ないよニ乃」

「車は⁉︎」

「午後から仕事があるって帰ったぞ……大体、それがあるから近くのここにしたんだぜ?」

「ソージ君、適応するの早すぎない?」

「マイペース…まあ、フータローもだけど」

 四葉が宥めるのを横目に、寝転がって漫画雑誌を読みながら口を出していると、またもテンションの高い風太郎が。

 

「良い旅館だ!

 

 文句言ってないで楽しもうぜ!」

 まだ深夜のテンションみたいな感じでいた。

 あいつ、電池切れでぶっ倒れたしないだろうな…?

 

 

 俺が少し不安になっていると、ニ乃の掛け声で5つ子達が隅っこに集まっていた。

 

「……寂しいじゃねえか。俺も混ぜてくれっと」

 

 俺は三つ編みの中にしまっていた小型の録音機をあいつらの近くに投げ、イヤホンを挿したスマホのレシーバーアプリをこっそり起動する。

 どれどれ……?

 

 

ニ「不本意だけどご覧のありさまよ。

 

 各自、気をつけなさいよ」

四「気をつけるって何を……」

 

ニ「それは…ほら…

 

一晩同じ部屋で過ごす訳だから……アイツらも男でオオカミだってことよ」

 

 オオカミは好きだし、男はオオカミと言うが……流石に仕事相手に手を出すことはしない。

 

五「……そんな事あり得ません」

ニ「上杉もそうだけど……町谷はもっと危険よ。アイツは普通に行動力ありそうだもの」

五「……確かに」

 どう言う意味だコラ。

 

 抗議したくてもできない状況に心の中で歯噛みしていると、風太郎が。

 

「やろうぜ」

 唐突に会話に割り込み、それを受けて5つ子達が慌てふためいていた。

 

「な、何を⁉︎」

「トランプ持ってきたからやろうぜ!」

……この状況だと「ヤろうぜ!」にも聞こえそうだが、健全で何よりだな。

 

「き、気が利くねー。懐かしいなー」

「何やります?」

「七並べっしょ!奏ニもやろうぜ!」

 

 狙ったようなタイミングで俺にも召集がかかったので、俺も参加することにしたのだが………何というか、五月やニ乃からの警戒の視線が飛んできて、どことなくやりづらいのであった。

 

 

 夕食中。

 

 

「すげぇ!タッパーに入れて持ち帰りたい」

「家では腐ってるだろうからやめとけよ。冬の食中毒はシャレにならん」

「こんなの食べちゃってもいいのかな?明日のカレーが見劣りしそうだよ」

 夕食は旅館特有の豪華なもの揃いで、それなりに味にうるさい私でも満足がいくレベルだった……上杉君がタッパーで持ち帰ろうとして止められていたが。

 

 だが四葉の言う通り、初っ端からこんな豪華な食事では明日のカレーが見劣りしそうなのは分かる気がする。

 

「三玖、あんたの班のカレー楽しみにしてるわ」

「うるさい、この前練習したから…」

「黒焦げコロッケの再来はやめてやれよ?下手したらニュースになるぞ」

「そういえば、スケジュール見てなかったかも」

 

 姉妹達と町谷君のやりとりを注意しながら見ていると、一花の思い出したかのような呟きに、上杉君が即座に反応した。

「二日目の主なイベントは…

 

10時 オリエンテーリング

 

16時 飯盒炊爨

 

20時 肝試し

 

三日目は

 

10時から自由参加の登山、スキー、川釣り。

 

そして夜はキャンプファイヤーだ」

「なんでフータロー君暗記してるの?」

「このテンションを見れば分かるだろ?正直、こんなノリノリの風太郎を見るのは初めてだぜ」

 

 どうやら今の上杉君は、町谷君でも見たことのない状態らしい。

 

 それは、もしかしたら町谷君でも押さえきれない……いや、彼も危険なのに、何で彼を頼りにしているんだ私は。

 

 どことなく恥ずかしいので食事に集中しようとすると、四葉が。

 

「あと、キャンプファイヤーの伝説の詳細が分かったんですけど」

「伝説?」

「またその話か」

 キャンプファイヤーの伝説とは、一体………この学校では交友関係があまり広くない私には聞きなれない言葉だ。

 

「関係ないわよ。そんな話したってしょうがないでしょ?

 

 

……どうせこの子達に相手なんていないでしょ」

「お前にもいなかったんだなぁ…」

「多分、誰からも誘われてなかったんだと思う」

「そっか、拗ねてるんだ」

「その憐れむような視線をやめなさい、ブッ飛ばすわよ⁉︎……て言うか三玖に四葉はこっち側でしょ!」

 

 町谷君がまたも軽口を叩いてニ乃に威嚇されているが、それはもういつものことだ。

 それよりも………その話題が出た瞬間に上杉君と一花がどこか変な反応を見せていたのは気になる。

 

 どんな噂かはわからないけど……警戒に越したことはないだろう。

 

 後でその噂について詳しく聞こうと思っていると、話題を逸らすように一花がパンフレットを読み始めたのだが。

 

 

「えっ、混浴……」

「「はあ⁉︎」」

 

 衝撃の事実に、みんながギョッとした。

「温泉があるって言ってたが、混浴……⁉︎」

「こいつらと部屋のみならずお風呂も同じってこと⁉︎」

「言語道断です!」

 

 町谷君が顔色を変えてパンフレットを読み直す隣で私たちは揃って抗議の声を上げた。

 

「いや、混浴でも別のタイミングで入れば同じじゃあ……」

「ニ乃……一緒に入るのが嫌だなんて心外だぜ……。

 

 俺とお前は既に経験済みだろ〜?」

「わざと誤解を招く言い方すんな!」

「に、ニ乃。それどう言う……」

 

 上杉君やニ乃のやり取りに三玖も加わって収拾がつかなくなっていると。

 

「一花……これは混浴じゃなくて温浴な?

 小学生レベルの漢字を間違えるな、なんだか悲しくなってくるぜ」

「あはは……でも、似てるじゃん?」

 

 肩透かしを食らったような顔の町谷君が、疲れたように訂正した。

 

 

 温泉から上がった私たちが部屋に戻ると、町谷君らしき人が驚いたような顔をしていたが……私からすれば町谷君の今の姿にびっくりだった。

 

「お前ら、なんで揃いも揃って同じ髪型?」

「フータロー対策。誰が誰だかわからないなら見破りようがない」

「……なるほどね」

 

 三玖の説明を聞きながらパソコンと睨めっこしている彼は、前にも見た三つ編みを下ろした状態だが……なんというか、本当に女の子と言われても不思議ではなかった。

「ソージは分かる?」

「………4、2、1、5、3」

 

 

 そんな彼に三玖が5つ子クイズを出すが……流石というかなんというか、全問正解だ。

「髪型の細部と目つきで大体わかる…同じ顔パーツでもそこは違うからな」

 こうなると、上杉君よりも町谷君の方が危険なのでは……こんなことをしているのも、獲物を捉えるチャンスを待つ獣のように見えてきてしまう。

 

 改めて町谷君対策をどうしようかと考えていると、町谷君が布団を敷いた部屋を指さした。

「でも……アイツ対策なら心配いらないんじゃないか?

 

もうぐっすりだぜ」

 

 そう言われてみんなが中を覗き込むと、上杉君は確かにぐっすりと眠っていた。

 

 すると、ニ乃が意を結したように。

「……あんたも早く寝なさい。その後に私たちも寝るわ」

「え?俺まだ仕事が……」

「あんたが大人しくならないと私たちが困るのよ!さっさと寝なさい!」

「そりゃ一体どう言う……おい、ひっぱるな!」

 

 町谷君を強引に布団が敷かれてる部屋に連れて行き、眠るように促した。

 

 

 翌朝。

 

「……朝風呂やってるとは、気の利いた旅館だな」

 あの後こっそり起きて昨日できなかった仕事を終わらせた俺は、朝風呂を浴びてさっぱりとした気分で着替えをしたあと、外に出て雪景色をぼんやりと眺めていた。

 

 俺や風太郎がアイツらに何かしでかさないようにするための防衛線として、俺が寝るまで監視でもしていたんだろうが……素直に従ってやるほど利口ではないって事だ。

……大体、寝相が悪すぎて人の浴衣を剥こうとする奴らに、危険だ獣だと言われる筋合いはない。

 

 

 それにしても……

 

「あの髪型……そして同じ顔の5人。

 

 アイツらが、あの時の5人だったのか?」

 

 俺は昨日アイツらがしていた髪型を見て、あることを思い出していた。

 5年前。

 奏一さんに連れられた俺は、とある葬式に参加した……まあ、参列者ではなくお手伝いとしてだが。

 

 その時、たまたま見かけたのが同じ姿をした5人の娘達で、俺と同年代だった。

 

 その中の1人と俺はちょいといざこざを起こしたのだが……そいつらの苗字も………。

 

「中野だったな……たしか、中野零奈だっけ」

「………いないと思ったこんなところにいたんですか」

 

 

 後ろからの声に振り返ると、いつも通りの髪型をした五月がいた。

「……こっそり抜け出してお仕事ですか?」

「これでも仕事熱心なんでね。それに、あのまま寝てたら誰かさんに剥かれてたぜ」

「まあ、あの寝相の悪さは昔からですから」

「開き直るな当事者」

 目を逸らしたのでこっちに向かせようとすると、それから逃げるように。

「……そろそろみんなを起こしにいかなくちゃ!」

「あ、コラ……はあ。

 

 しょうがねえお嬢さんだよ、全く」

 

 元の部屋に走って戻っていった五月に苦笑しながら後を追い……追いついたと思ったら、五月が変な感じで固まっていた。

 

 

「おーい、どうしたんだお前」

「……これは一大事ですよ、町谷君」

「一大事………って、何が」

 何が一大事なのかが分からないので聞き返すと、とんでもないものを見たと言わんばかりの表情を見せた。

 

「……誰かと風太郎がおっぱじめてたとか?朝から元気だな」

「ぶっ飛ばしますよ⁉︎………いやでも、あながち否定しきれないのかも…ど、どうしましょう町谷君!私、どうしたらいいか……」

「落ち着け!俺を揺らしても答えは……」

 

 冗談のつもりがあながち間違ってなかったのか、俺を揺さぶりながら慌てふためく五月を宥めていると。

 

 

「中野に町谷!お前達はこんなところで何やってるんだ」

 

「………え?」

「………先生?」

 

 想定外の人物の登場に、俺と五月が揃って間の抜けた声を上げた。

 

 

 

 結論から言うと、急に入った団体客とは、この旅館で一泊することになったうちの学校の連中だった。

 それで、事情を話して納得してもらったので俺たちもバスに合流することで、いよいよクラスの全員が揃っての林間学校が始まり。

 

 

 五月が見たと言う逢瀬の話は今は置いておくことにした。

 

 

 何故かって?………そこにカレーの材料があるからさ。

 

 

「よーし、こんなもんだろ。ルーの中身はどうなってる?」

「うわ、美味そう……町谷、お前本当になんでもできるよな」

「なんでもできなきゃ、何でも屋はつとまらないんでね」

 

 

 具材を盛り付けてサラダとフルーツヨーグルトを完成させた俺が同じ班の野郎に話を振ると、畏怖を込めた視線を向けながらも指を刺し。

 

「そうか……米はお前がいっぱいやってたのがもうできてるし、ルーの方は中野さんが張り付いてるぞ」

 

「そろそろ煮込めてきたかな」

「待ってください。後3秒で15分です」

「細かすぎない……?」

 

 言われた通りにアイツの方に視線を向けると、他の班よりも大きな鍋を前に、スマホと睨めっこしている五月がいた。

 

 米が多かったり、鍋が大きかったりするのは……うちの班のやつに全ての理由が詰まっている。

 まあ、アレに話しかけても面倒なので任せておこう。

「なら、俺たちはとっとと使ったもん片付けるぞ。後で洗うのがだるいからな」

「お前が洗いながらやってたからあんまりないが……なら、洗い物は俺がやるから町谷は休んでろよ」

「……なら、少しは働いてもらうぜ?」

 

 洗い物を任せたことでやることがなくなった俺は、居眠りと洒落込もうとしたのだが……。

 

「町谷君!ちょっと助けて欲しいんだけど………」

「町谷!そのあとこっちも頼むわ!」

 

 生憎、そうは問屋がおろしてはくれなかった。

 

 いろんなところからのヘルプコールが聞こえてくると、その男は小僧らしい笑みを浮かべるが。

「人気者はつらいな?」

「……なら、お前が行くか?」

「嘘ですごめんなさい!」

 

 速攻で謝らせた俺は、声のする方へと歩いていったのであった。

 

 

「み、三玖ちゃんがカレーにお味噌を入れようとしてるんだけど!」

「隠し味…」

「料理下手の隠し味は失敗するフラグだからやめろ!クラスメイトを葬る気か⁉︎」

「………むぅ」

 

 料理の手伝いや火起こし、さらには劇物製造を未然に食い止めたりした俺が、自分の班に戻ろうとしていると二乃とその班の奴らに会ったのだが……なんだか空気が不穏だ。

 

 

 男子の方は一年の時に同じクラスだったので声をかけてみると。

 

「ちょっと米を焦がしただけなのに、コイツらがうるせえんだよ…」

「やった事ねえから、誰だってこうなるんだよ……奏二もなんとか言ってやってくんね?」

 

 そんな事を言い出す男子達に、女子達が噛み付いた。

「だけって何よ!こっちは最高のカレーを作ったのに!」

「アンタらの所為で台無しよ!それなのに別のクラスのやつに泣きついて、恥ずかしくないの⁉︎」

 

 一触即発の空気を醸し出している男女4人を前に、やたらと静かなニ乃へ話を振ろうとした俺は、思わず後ずさった。

 

「じゃあ私たちでやってみるから、カレーの様子見てて?」

 顔は笑顔だが……かなり頭にきているようで、とんでもない圧を感じる。

 

……男子だけでなく女子達も引いてるし、ここは一肌脱いだほうがいい。

「……俺らの班の米分けてやるから、それで手打ちで頼むわ」

「お、おう……」

「助かった……えっと、町谷君だよね?ありがとう」

 とりあえず、俺は早急に班に戻り米の入った飯盒を一つ持っていくのであった。

 

 あと、二乃をガチギレさせるのはやばいことも覚えた……こんなの覚えたくもなかったが。

 

 

 そんな一幕があって、これ以上手助けするのも疲れた俺は班に戻り。

 

 誰よりも多く食べ、それでも物足りない顔をしていた五月に班のみんなで戦慄して飯盒炊爨は終わり……肝試しとなった。

 

 

 そして、俺は四葉に頼まれてある役をやる事に。

 

 

 それは……

 

 

「死ぬぜぇ………?俺の姿を見たものは……みーんな死んじまうぞぉ‼︎」

「いやあああ!」

 

 気配を消して潜み、道端に置いておいた生首と死体っぽくしたマネキンに驚く奴らを死神として後ろから追いかけ回し。

 

 

「うわああああ‼︎」

 

次に控えているピエロとミイラ……風太郎と四葉がいる場所に誘導すると言うものだった。

 

 

 俺は2人に渡していたトランレシーバーの対応機に話しかけた。

「いやー、お前やけにイキイキしてんな。絶好調じゃねえか」

「クックック……押し付けられた恨みをたっぷりと晴らしてやるぜ」

 昨日のままのテンションの風太郎に、自業自得と言う言葉を送りたいがそれはもう野暮だな。

 

「いつも死んだ眼をした上杉さんの眼に生気を感じますよ!町谷さんにも見せてあげたかったです!」

「そうか、甦れて何よりだよ」

「……そろそろ来るから切るぜ」

 四葉の微妙に失礼な感想を聞いていると、次の人が来そうだったので茂みに隠れて様子を伺うが。

 

 

「わわ、びっくりした……結構凝ってるね」

「うん」

 いたのは一花と三玖で、あんまりいいリアクションは期待できそうにないのでここはスルーする。

 

 あの2人はそうそう驚かないだろうし、一花に至っては弄られそうだ。

 

 次の2人組を待っていると………今度はいい感じに怖がっている。

 

 これは期待できそうだ。ちょっと凝った演出にしてやろう。

 

 

「……ううう、やはり参加するんじゃありませんでした…」

「ちょっと、離れなさい」

「クラスメイトが言ってたのですが、この森は出るらしいのです。

 

 森に入ったきり行方知らずになった人が何人もいるのだとか」

「デマに決まってるじゃない……伝説もそうだけど、信憑性がなさすぎるわ。

 

 こんなチープなオモチャで誰が誰が驚くのよ」

 

 なんか聞き覚えのある声な気がするが……まあ良い。

 

 

 俺は2人が通り過ぎたところで、スマホで女性の悲鳴のサウンドを鳴らす。

 そして、すぐに回収していた生首を道に放り投げた。

 

 

「……え⁉︎」

「………まさか、本当に出るの?」

 

 少ししてから首のないマネキンを押し出して、まさに今殺されたような感じにする。

 

「に、にのぉ……」

「嘘でしょ、すぐに警察を……」

 

 最後に、黒いローブを被り骸骨のお面をつけ、先端を赤く塗った大鎌のおもちゃを持って出てやった。

 

「死ぬぜぇ………俺の姿を見たものは、みーんな死んじまうぞぉ‼︎」

 

「わあああああ⁉︎で、出たああああ‼︎」

「ご、五月待ちなさい!置いていくんじゃないわよ……」

 

 そうして、風太郎たちがいる所へ悲鳴と共に走っていった奴らが見えなくなったところで。

 

 

 

「アイツらだったのか。まあ、これも脅かし役の任務さ……恨みっこ無しだぜ」

 

 次の獲物を見定めようとマネキンや生首を回収し、茂みに隠れようとした時。トランレシーバーから声がした。

 

「奏ニ、大変だ……五月と二乃がコースから外れた所へ行きやがった。四葉に後のことは任せて、お前も探してくれ!」

 

「は?」

 

俺は、風太郎の言葉に間の抜けた返事しか返せなかった。




いかがでしたか?

今回は色々迷った上でのこの結果となりました。


次回もまた迷うかと思いますので気長に待っていただければ幸いです。


それでは感想や評価をお待ちしています。
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