灰と四方世界   作:楽しく遊びたい一般不死人

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投稿遅れてすみません!この最近また忙しくなり始めたのでちょっと投稿出来るか怪しいです。


第十話 小鬼退治

最初の目的地に向かう途中で私が使える奇跡を話した所どうやらこの世界は奇跡も勝手が違うようだ。女神官は日に三回しか使えないらしいが、彼女が使える奇跡は小癒と聖壁と聖光が使えるらしい。効果を聞いた所どれも優秀そうだ。目眩しや敵の封じ込め、上手く使えば場を制圧できるだろう。攻撃にも防御にも使えるものは戦いにおいてとても重要だと私は考えているため今回の小鬼退治で使えると思い作戦を考える。

 

「考えてる所悪いんだが、俺もそろそろいいか?」

 

「ああ、すまない。それで確か、洞窟などでの戦闘だったか?」

 

「そうだ。正直下水で慣れたと思ってたんだが上手く戦えなかったからな。」

 

「まず貴公の場合は直剣と盾を見直す方が良いかもしれん。直剣はもう少し短い物にし、盾を体が隠れる大きさに替える。それだけでも変わると思うが後は、武器を振るのでは無く突きを主体にし、盾で殴りつけるなどはどうだ?」

 

「なるほどな、そういやあんまり突きはしたこと無かったな。にしても盾で殴るか。ちょっと練習が必要だな。」

 

その後も私の独自の戦闘法や考え等を話しつつ時折り注意点を伝える。すると目的地の村が見えて来たので話を切り上げつつ村長にゴブリンについて質問をする。

 

いつ来るのか、数はどの程度なのか。武装はしているのか、どの方角からどの方角に帰るのか。聞いた所近くに洞窟がある方向に帰る様なのでそこが恐らく巣になっているのだろう。私は二人にすぐに向かうことを伝えて三人で洞窟を探す。

 

「なあ、あれじゃないか?」

 

そう言われて騎士が指を指している方を見ると洞窟らしきものが見える。

 

「そのようだな。隊列は私が先頭で次に神官、殿は騎士で大丈夫か?」

 

「はい。私は特に異論はありません。」

 

「俺も特に無いな。じゃあよろしく頼むぜ。」

 

隊列を組み洞窟に入る。暫く歩くとシャーマンのトーテムが見え、足を止める。

 

「周りの岩陰を確認する。警戒を怠るな。」

 

「分かった。神官は俺の近くに来い。すぐ後ろに下がれるように準備をしておいてくれ。」

 

「はい。」

 

近くの岩陰を見るとやはり横穴があった。そこではゴブリンが四匹程集まっていた。

 

私は傭兵の双刀を持ち走りだす。幻視の指輪と静かに眠る龍印の指輪の効果で奇襲が成功し、急に現れた私に驚いたのかゴブリンは慌てて武器を持とうとしているがそれより早く二匹の首を刎ねる。残りの二匹が声を上げようとしていることに気づいて双刀を二本とも投げると頭に突き刺さる。

 

隠れている者がいないことを確認し二人の元に帰る。

 

「中にいたのは全て片付けたがそちらは大丈夫だったか?」

 

「大丈夫だ。あんたが声を上げさせなかったから気づかなかったみたいだな。」

 

「そうか。ならばこのまま進むとしよう。」

 

松明を持ちながら前進する。この洞窟は奥に行くとそこそこ広いようだ。武器を持ち替えようか考えていると奥から焚き火の光と騒がしい声が聞こえてくることに気づき屈みながら中を確認する。

 

一番奥にシャーマンがおりホブが二匹、残りは弓持ちが一匹と棍棒持ちが五匹の計九匹。少し数が多いがこちらにも策があるため上手く行くだろう。

 

「数が些か多いが手筈通り行くぞ。準備は出来ているか?」

 

「はい。奇跡の準備は出来ています。」

 

「俺もいつでも行けるぞ。」

 

「では、先に行くぞ。」

 

武器を幽鬼のジャベリンとヴァローハートに替え、シャーマンの喉元に向かってジャベリンを投擲し、ヴァローハートに持ち替え迎撃体制に移る。

 

こちらに気づいたゴブリンが次々と走ってくる。

 

「聖光を頼む。」

 

「はい!」

 

女神官の聖光によりゴブリンたちの視界が奪われ、足を止めるものや転ぶものが出てくるのを狙いその隙を狩る。

 

「やるぞ。」

 

「了解だ。」

 

騎士と共に隙だらけのゴブリンを始末する。剣で斬りつけ盾で殴りつける。これだけで死んでいく。

 

やはりゴブリンは脆い。故に慢心することになるのだろう。楽勝だったと、弱かったと、そう言って侮りゴブリンだからと油断する。そして死ぬ。まったくもってどうしようもない。人間は痛い目に合ってから認識を改める者が多い。特に夢見がちな駆け出しの冒険者はその傾向が強い。だが冒険者の場合は痛い目に合ってからでは遅過ぎる。一歩間違えれば死が待っている。そんな環境で油断や慢心をして良い筈がない。

 

棍棒持ちが全て死に、残りはまだ目を閉じている弓持ちとホブの二匹。ホブは距離を取りつつこちらを伺っているが弓持ちは先に片付けるべきだろう。ホブの前まで走り出し振り上げた棍棒を避けて弓持ちを切り裂く。騎士は既にホブと戦闘を始めており、私は騎士の反対側で戦い始める。

 

振り下ろされる棍棒を盾でそらし、腹に剣を突き刺す。刺した剣を抉るように動かし、傷口をより酷くする。喧しい叫びを上げながら棍棒を振り回す。ローリングで避けつつ騎士の方を見ると危ない所は無く冷静に立ち回っているようだ。安堵した私はこちらを睨み付けているホブに向かって戦技を使い獅子の咆哮で怯ませ、体勢を崩した所を狙い首元に剣を突き立てる。死んだ事を確認し、騎士を見ると今まさに止めを刺している所だった。少し怪我をしているが女神官が既に詠唱をしているためすぐに治るだろう。

 

シャーマンに近付き、ジャベリンを顔に突き立てる。死んだふりをしていたシャーマンが叫び声を上げながら絶命した。

 

二人が息を整えている間に辺りを確認しているとゴブリンを見つけた。産まれたばかりのゴブリンだ。この時の私は殺すことが最善だと理解した。ゴブリンの目には憎悪が宿っていた。ここで逃がせばまたどこかで誰かを殺すだろう。もしかすると私を殺すために街まで追いかけてくるかもしれない。ジャベリンを握り直し、刺し殺していく。何かを訴えているが私は刺し続ける。こうして私の頭目としての初めてのゴブリン退治は終わりを告げた。

 

「万器使いさんは大丈夫でしたか?」

 

「大丈夫だ。特に怪我も無い。騎士は大丈夫か?」

 

「おう。少し怪我したが神官が治してくれたからな。もう平気だ。」

 

「なら次の依頼に向かうとしよう。」

 

「はい。」

 

「了解だ。」

 

その後は二件の依頼を片付けたが特に危ない所も無く無事に終わった。帰りには二人とも疲れていたが今回で良く成長していた。

 

「報告は私がしておくが二人は先に休むと良い。今日は疲れただろう?」

 

「そう、だな。俺は先に休ませてもらうか。助かったぜ。」

 

「私もそうさせて頂きます。今日はありがとうございました。」

 

「また機会があれば頼む。」

 

報告を終わらせてから私は宿に戻らずに篝火で休息し、今日起きた事を思い出しながら夜を越した。




戦闘描写がキツいのでサクサク描いてしまいました。申し訳ないです。

赤頭巾さん 誤字報告ありがとうございます。ありがたい限りです。

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