よろしくお願いします!
組み合いに着いた私は休憩する二人と別れ依頼を探していた。先程女神官から貰ったメモのお陰で文字はどうにかなりそうだ。依頼を眺めているとやはり白磁の私が受けられるものはそう多く無い様だ。そして何故か下水道関連の依頼が多い。
冒険者になったばかりの者にこれは不味いのではないだろうか?下水道はかなり危険な場所だと思うのだが、この街の下水道も話に聞いた通りであればやはり白磁ではかなり難しい場所だと思われる。
そして基本的に夢見がちな白磁の冒険者達はこんな依頼じゃなくもっと冒険者らしいものをと言い身の丈に合わない依頼を受け、死んでいく。中々な悪循環だと思い受付嬢を不憫に思う。彼女達はこんな悪循環を間近で見続けていたのだろうか。警告や注意、危険性の高さを説明してもまともに聞かれず、そのまま帰って来ず次見た時は認識証になって帰って来る。そんな事ばかり起きているとすれば当然心は死んでしまうだろう。私は下水道の依頼を二枚持ち受付に向かった。
受付に行くと私の登録をしてくれた受付嬢のカウンターが空いている様なのでそちらに向かう。
「すまないが今は大丈夫だろうか?依頼を受けたい。」
「はい、大丈夫ですよ。え、二件、ですか?すみませんが、いきなりニ件も受けるのはおすすめできません。白磁の方はまず一件ずつお受けなった方が良いと思います。」
「それは重々承知だ。だが、私は見ての通り武器を振る事しか出来ない者だ。それに一応こういった事には慣れている。すまないが受けさせて貰えないだろうか?」
「・・・かしこまりました。お任せしますが充分気をつけて下さい。」
「忠告、痛み入る。それでは行ってくる。」
私は下水道を目指して組み合いから出た。
「はあ、大丈夫でしょうか。あの人は慣れている様に見えますがやっぱり心配になりますね。」
先程来た登録したばかりの白磁の冒険者の方はなんだか今まで見てきた冒険者の方とは違う様に思い、彼の姿を思い出す。ボロボロの外套を纏った騎士の様に見えましたが、本人は騎士ではないと言っていましたがどうなんでしょうか。それにあの人は英雄に憧れている様には見えないし、富や名声、地位や権力を求めている様にも見えない。私は自然と彼がどのような冒険者になるのかが気になっていた。うんうん唸って考えていると依頼を持った冒険者の方が近付いて来る。私は笑顔を作り、また仕事を始めた。
私は下水道を歩きながら依頼の討伐内容を確認していた。巨大蟲五匹と巨大鼠六匹の討伐なのだが、鼠は分かるが蟲の方の外見が分からない事が問題だと考えていた。受付嬢に聞いてみたのだが「見れば分かりますよ。」と暗い顔をしていたが何故なのだろうか?
暫く歩いていると鳴き声らしきものが聞こえた私は手に持っていた松明を消してファリスの弓を取り出し、音のした方を見る。
私は元からなのか不死人になってからかは記憶が無いので分からないが夜目が利く。なので松明に頼る必要はあまり無いのだが松明は武器になるため持っていた。
だが、私に気付いていないらしく何かに群がっている。ファリスの弓をソウルにしまい杖に持ち替え、見えない体を使用して鼠に近付きつつ観察する。ロードランやドラングレイグ、ロスリックの様な鼠ではなくただ大きいだけの鼠の様だ。ソウルからツヴァイヘンダーを取り出す。
鼠のすぐ後ろを取り、武器を大上段で振り下ろす。見えない体と静かに佇む竜印の指輪を用いた奇襲攻撃に反応できず三匹程叩き潰れ、残りの鼠も何が起こったのか理解できずにいる所に更に振り下ろす。問題無く殺せたことに満足しつつ数を確認する。
「計七匹か。一匹多いがまあ問題は無いだろう。後は巨大蟲だが、どこにいるのか。また歩き周るしかないか?・・・ん?」
残りの巨大蟲をどうするか考えていると聞き慣れない音が聞こえた。キチキチという聞くだけで不快になる音が聞こえた私は後ろを振り返り音の正体を見てしまった。なるほど確かに受付嬢が言っていた見れば分かるというのも頷ける。だがこれは確実にデーモンよりも悍ましい怪物であり決して白磁が相手をするモノでは無いだろう。
私は最速でツヴァイヘンダーをしまい呪術の火を取り出し大火球を投げつけていた。正直な話私は虫の類がかなり苦手なので勘弁して欲しいと思っていたがまさか奴が出て来るとは、目標数駆除した私は足早に下水道から出ていった。
下水道から出た私は人目が無い事を確認し、確認が終わっていない武器を見ようと思い、ソウルから火継ぎの大剣を取り出した。まず触った時に違和感を感じ取った。熱い、今までに戦技を使えば確かに熱を発していたがその時とは別の熱さを感じる。
まさかと思い人気の無い森まで走り、地面に剣を突き刺す。そこに手を翳すが火は灯らない。確かに先程感じていた熱は篝火から感じたものと同じだと断言できるが火は灯らない。理由を考えていた私は篝火を思い出し、違いに気づいた。
「燃料が無いからか?・・・であれば余っている不死の遺骨を周りに敷き詰めてみるか。」
火継ぎの大剣の周りを不死の遺骨を敷き詰め、もう一度手を翳すと火が灯り始めた。私は予想外の成果に満足しつつ篝火に腰を下ろす。
やはり、落ち着く。幾度となく座った篝火の感覚を懐かしく思い私は少し休憩しようと考え、篝火に仕舞ったアイテムがあるか確認しながら時間を忘れた。