灰と四方世界   作:楽しく遊びたい一般不死人

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評価バーに色が着いている!?確認した時に本当に固まってました。読んで下さる皆さんのお陰で楽しく書かせてもらっています。
文才の無い未熟者ですが、まだまだ励んで参りますので宜しければお付き合い下さると嬉しい限りです!



第八話 自由意志

篝火特有の落ち着く感覚を久しぶりに感じた私は篝火に仕舞い込んでいたアイテムや武具、素材やスペルを確認しながら休憩していた。この世界に来てから気を張り続けていたため少し精神的に疲労を感じていたのでちょうど良いタイミングだと思い一時間程度の休息を挟んだ。

 

篝火の熱に当たりながら私はこの先を考えていた。恐らく不死人や火継ぎの無いこの世界に来た私は何をするのか?いや、何をしたいのかを考えなければならない。あの呪われた世界では使命がありそれを果たす事だけを考え、行動に移していた時とは違い今は何も無い。新たに立てた使命とは違う、自分の人間性を保つ為の人の真似事を見つけなければならない。

 

私は自分の事を人とは思っていない。初めの頃はまだ人だと、自分は亡者ではないと思っていたが次第に自分は既に亡者であって、自分の中の何かがギリギリの所で繋ぎ止めているのではないかと考える様になっていた。その頃から私は趣味や他の不死人達との会話の時間を増やしていた。私はこの「人らしさ」に固執する様になっていた。そして時間が経つに連れて最初の人に繋ぎ止めるという所から亡者にならない為の工夫になっていった。

 

物思いに耽っていると既に一時間は過ぎている事に気付き慌ててギルドに走り出す。ただの休憩の筈が昔を思い出してしまっていたせいでかなり時間を使ってしまった。あまり思い出したくなかった記憶まで思い出してしまったが私は叶う筈の無い夢を思い出した。多くの人を助け不幸な思いをしている人を少しでも減らしたいという、今となっては私の夢なのかあの旅路で出会った誰かの夢なのか、はたまた殺して糧にした誰かの夢なのか判らないが私は小さな目標を見つけた。

 

 

 

 

ギルドの扉を抜け、受付に向かって行く。声を掛けると驚いた様に書類から私に目を向ける。

 

「すまない。休息を挟んでいたせいで少し遅れたが依頼が終わったので報告に来た。」

 

「え、早いですね。では報告と討伐証をお願いします。」

 

「ああ、それと文字の資料はあるだろうか。文字の読み書きは出来た方が手間が省ける。あるなら少し借りたいのだが、大丈夫だろうか?」

 

「はい。少々お待ちください。えっと、この棚に・・・はい!こちらになります。でも珍しいですね、気にしない方も多いので、」

 

「そうなのか?読み書きが出来た方が何かと役に立つと思うのだが、一党の中で読み書きが出来る者が休んでいる時は余計な手間が増えると思うが、」

 

「え、普通は一人休んだら依頼には行かないと思うんですけど、万器使いさんの所は欠けてても依頼に行くんですか?」

 

「ああ、そうだな。私の故郷は補助が出来る者が多くいた。他にもその場で対応する柔軟な者もいたが、大抵は全員で補ったりしていた。まあ、中には構わず進んで行く者やそういった状況に慣れて一人でどうにかする歴戦の強者もいるが私にあれはできんな。」

 

あんな一対四の状況を覆す闇霊やホストはどんな思考をしているのか私には理解出来ない。何度か聞いて実践したが私には真似出来なかった。今日はよく昔を思い出すと考えていると受付嬢が目を白黒させて驚いていた。

 

「万器使いさんは凄い所から来たんですね。私はそんな話全然知りませんでした。」

 

「私の故郷はだいぶ遠いからな、知らなくて当然だろう。私は登録の時にも話したが転移の魔法の事故で飛んで来たからな。特に思い残した事も無いから構わないが。」

 

その後も軽い雑談をし、資料の料金を支払い酒場で休憩していた騎士と女神官に合流するため酒場を見渡すとこちらに気付いたのか手を振って場所を教えてくれた。

 

「もう依頼終わったのか?凄え早いな。二時間くらい・・・か?」

 

「そうですね。でも、万器使いさんなら納得しちゃいますね。」

 

どうやら思ったより時間は経っていなかったらしい。二人が食事に誘ってくれたので騎士の隣に座り適当に注文する。正直私は食事の必要が無いので遠慮したかったが二人の厚意を無下には出来ない。

 

二分程だろうか。直ぐに料理が運ばれて来た。エールとソテーを見て久しぶりの料理に懐かしさを思い出す。あまり眺めていると不審に思われると考え食べ始める。口に入れ、咀嚼して嚥下する。

 

最初に感じたのは驚き、今まで食べていた物とは比較にならない程美味い。次に感じたのは喜びだった。私はまだ味覚が残っていた事に喜んでいた。ジークの酒は彼が特殊な製法で作っているため味を感じるものかと思っていた上に苔玉なぞ食べられた物ではない。気付くと直ぐに食べ終わっていた。そんな私を二人は笑顔で見ていた。

 

「やっぱり早めに飯にしとけば良かったな。良い食いっぷりだったぜ。あんたの話を聞いた感じまともな飯は久しぶりなんじゃないかと思っていたが当たりだったな。」

 

「ふふ、万器使いさんの珍しい姿かもしれませんね。やっぱりここの料理は美味しいですよね。値段も安いですし私たちみたいな駆け出しにも嬉しい限りです。」

 

その後は二人に礼を言い、宿を取り文字の資料を読み耽っていたら朝が来ていた。睡眠が必要無い私は一晩でかなり文字が読める様になっていたが、少し心配なのでもう少し練習をしてからギルドに行く事を決めた。




会話の文章量を増やしてみました。難しいですね。もっと上手く書きたいなあと考えていますが中々上達しなくて四苦八苦してます。

良ければ感想聞かせて欲しいです。そして皆さんの感想をいつも嬉しく思っています。ありがとうございます!


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