傷だらけだった艦娘を保護した玲美と電
玲美は艦娘の事が気になって仕方がないようで……
玲美「…」
レミリア…もとい玲美は入渠ドックの入り口の前に立っていた、昨日見つけた大怪我をした艦娘が気になって仕方がなかったのだ
電「司令官さん、もう来てたのです?」
そこへ彼女の初期艦である電が現れる
玲美「あぁ…、昨日の艦娘が気になって」
電「司令官さんも…ですか」
玲美「電も気になってたの?」
電「当然なのです、電も艦娘なのです」ぷんすか!
電は頬を膨らませ怒る
玲美「すまんすまん、しかしまだ終わらないのか?」
電「酷い怪我だったのです、艤装の損傷もですけどあれほど酷い怪我をする艦娘は見たこと無いのです…」
玲美「…心配だな、入ってみるか」
電「了解なのです、電もお供するのです」
そう言うと二人は戸を開け脱衣所を通りドック内に入る
ガラッ
艦娘「…っ!?」ビクッ
敷居戸を開けると既に艦娘は意識を取り戻しており、怯えた表情でこちらを見ていた
玲美「なんだ、起きてたのか」ホッ
電「良かったのです!心配だったのです…」
艦娘が起きていたことに安堵する二人に対し艦娘は二人に怯えた様子だった
艦娘「ご、ごめんなさい…、今すぐ出ていきますからどうか…」ブルブル
玲美「? 何を言ってるんだ?」
艦娘の態度を見て玲美は疑問を抱く
玲美「なぁ電。なんであの艦娘、あんなにビクビクしてるんだ?」ボソボソ
電「わからないのです…」ボソボソ
艦娘「…」ウツムキ
玲美「…?」ボソボソ
電「司令官さん、もしかしたら怖がっているのかもしれないのです、少し話しかけてみてください」ボソボソ
玲美「わかった」ボソッ
あの艦娘は自分達に怯えているのかもしれない、そう思った電に頼まれ、玲美は艦娘に話しかけた
玲美「なぁ、少しいいか?」
艦娘「っ!? は、はい…何でしょうか…」
玲美「そんなに怯えないで、別に危害を加えるつもりはないよ」
艦娘「…ほ、本当ですか?」
電「本当なのです、司令官さんも電もあなたには何もしないのです」
電が私達は敵意はないと伝えると艦娘は少し安心したのか怯えていた様子が少し収まった
玲美「単刀直入に聞くんだが、あなたは誰なんだ?」
艦娘「…」
玲美「おっと、相手に名前を聞くときは先にこっちが名乗らないとな。私は紅玲美、この鎮守府の提督だ」
電「秘書艦の電です」
二人が自己紹介をすると艦娘もポツリポツリと話し始めた
古鷹「私は古鷹といいます…、古鷹型重巡洋艦の一番艦です…」
玲美「古鷹…か」
電「わかったのです、ではもう一つ質問してもいいですか?」
古鷹「…はい」
電「古鷹さんはどこの鎮守府に所属しているのです?保護したことを伝えないといけないのです」
古鷹「……!!!」
玲美「(なんだ?急に様子が…)」
古鷹「…で」ボソッ
電「はにゃ?」
古鷹「やめてくださいっ!?」ジャキッ!!
突然古鷹が左腕の艤装を動かし電に向けて攻撃姿勢を取った!
玲美「なっ!?」
電「はにゃっ!?」
これには二人も驚きを隠せず一瞬動きが止まってしまう
古鷹「嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ…!彼処にはもう帰りたく…!あれ…?」
壊れた機械のように叫んでいた古鷹が何かに気づいたようで動きを止める
電「…ハッ! 司令官さん!」
玲美「電!?」
その隙に状況を理解した電が玲美の前に立ち艤装を展開、主砲を古鷹へ向ける
古鷹「ない…私の右腕…私の左目…無い…無い…ナイ…ドウシテ…!?」ゾゾゾッ
玲美「(身体が白くっ!?)」
自分の右腕も左目も無いことに気づいた古鷹は再び狂ったように叫び、そしてその身体は白く変色し始めていた
古鷹「嫌だ…沈みたくナイ…死二たくナい…!!」ガクブル
玲美「こいつ…正気を失ってる…!!」
電「怖いのです…!」
玲美「おい!怖いなら…」
電「でも司令官さんは守るのです!!」
玲美「電…」
余りの恐怖に震えながらも玲美の前に立ち古鷹から守ろうとする電、それを見て玲美は感銘をうける
古鷹「あアァぁあぁあぁああア!?」ブンブン
狂ったように叫び腕を振り回す古鷹
電「司令官さん!砲の許可を!!このままじゃ危険なのです!」
玲美「駄目だ!!まだ撃つな!」
玲美「(だが不味い…このままじゃ周りに被害が…!それに状況が状況とはいえ電に艦娘を撃たせたくはない…なんとか落ち着かせないと…)」キョロキョロ
玲美は何か武器になるような物を探して辺りを見回す、すると戸の近くに一本の鉄パイプがあった
玲美「…仕方がない!悪く思うなよっ!!」ガシッ
電「司令官さんっ!?」
玲美はその鉄パイプに近づきそれを拾い上げ、握り締めると一気に古鷹に接近、そして
玲美「オラッ!!」ブンッ!
ギンッ!!!
古鷹「ぁ…」ガクッ
振り下ろされた鉄パイプは古鷹の後頭部を直撃、鈍い音と共に古鷹は気絶し、余程物凄い力で殴り付けたのか鉄パイプは曲がっていた
電「司令官さん、すごい力なのです…」
電は折れ曲がった鉄パイプを見て呆れながら言った
電「本当に人間なのです?人間とは思えない力なのです」(¬_¬)ジトー
玲美「か、火事場の馬鹿力ってやつだ」
電「…そういうことにしておくのです」
玲美はその場を誤魔化し気絶している古鷹へ目を向けた
玲美「…とりあえず落ち着いたか」
電「司令官さん…それは落ち着かせるじゃなくて気絶させてるだけなのです…」
落ち着き(物理)により古鷹は後頭部に大きなたんこぶを一つ携えていたが他に大きな怪我は無いようだった
玲美「この鉄パイプが曲がるくらいの力で殴り付けたのにたんこぶ一つですむとは、艦娘は頑丈だな…」
電「司令官さん…トドメ刺したりしてないですよね…?」
玲美「多分…大丈夫」ヒヤアセ
古鷹「…」ムクリ
玲美と電が喋っている間に古鷹は再び顔をあげた、気づくと身体の色も元の肌色に戻っていた
玲美「あ…起きた…」
古鷹「あれ…?ここは…」
玲美「だ、大丈夫か…?殴り付けておいて言うのもあれだが…」
古鷹「貴女達は…?あれ、なんで後頭部が痛いんだろ…」
玲美「あ、あはは…なんでだろうね(苦笑)」コソッ
電「な、なのです…(苦笑)」
意識が戻った古鷹だが、さっきとはうって変わって落ち着いていた
玲美「…なぁ電、一応さっきの質問した方がいいよな」
電「な、なのです」
二人は冷や汗を書きながらさっきと同じ質問をした、すると
古鷹「? 私の鎮守府?いきなりどうして?」キョトン
玲美「いや、お前の鎮守府に連絡して迎えに来てもらわないと」
古鷹「わからないです、そもそも貴女達は誰なんですか?そしてここは?何がどうなって…?」
古鷹は頭に?を浮かべて言った
玲美「は?さっきあんなに動揺して叫んでたじゃないか、やめてくれって…」
古鷹「何を言ってるんですか、私と貴女達は今初めて会ったんじゃないですか」
電「え…?」
玲美「(!)そ、そうだったな。すまない」
電「司令官さん!?」
玲美の唐突な肯定に電は驚く
玲美「(とりあえず話を合わせよう、多分さっきの鉄パイプクラッシュで少し前の記憶がぶっ飛んだんだろう)」ボソボソ
電「(何やらかしてるのです!!)」ボソボソ
玲美「(仕方がなかったんだよ!あの状況だとああするしかなかったの!!)」ボソッ
電「(あぁもう!仕方ないのです!)」ボソッ
古鷹「あの…」
玲美「すまんすまん。えっと…ここは…どこだっけ?」
電「そういえばまだ鎮守府の名前決めてなかったのです」
古鷹「えぇ…」
玲美「うーん…、どうしたものか」
電「そもそもここ何処なのです?」
玲美「まずそれだな、わからない」
古鷹「だ、大丈夫なんですか?」
玲美「そもそも始動してから間もないからなぁ…」
電「とりあえず即席で決めちゃいましょう」
玲美「うーん…出店があったから人がいる、つまり港湾はある」
電「人がいるってことは電気やガスもあるのです」
玲美「…えーいめんどくせぇ!!この鎮守府どこか古くさいしボロ鎮守府でいいだろ」
電「それは嫌なのです…」
玲美「そ、そうか…。じゃあどうするか…」
頭を悩ませる二人、そこへ
古鷹「あの…一つ提案なんですが…、ボロじゃなくて幌はどうです?」
玲美「幌?」
古鷹「はい、幌が車を雨や風などから守るみたいに深海棲艦からこの地を守る…みたいな」
玲美「…採用」
電「異議なし」
古鷹「(本当に大丈夫なんでしょうか…)」
まさかの古鷹からの意見を即座に採用した二人、それを見て古鷹は少し心配になった
玲美「えーと、では改めて。ここは幌鎮守府、そして私がこの鎮守府の提督の玲美だ」
電「秘書艦の電なのです!」
古鷹「え、えーと…古鷹です…」
玲美「うむ、それで君は何処の鎮守府所属なんだ?」
古鷹「私の鎮守府ですか?えっと……あれ、何処でしたっけ…」
玲美「え?」
電「へ?」
古鷹「あれ…?すみません、思い出せません」
玲美「……まさか」アセダク
電「間違いなく司令官さんの鉄パイプクラッシュのせいなのです」ジトメ
古鷹「鉄パイプクラッシュ…?」
玲美「な、何でもない!!そうか!思い出せないのか!じゃあ仕方がないね!!」
電「司令官さん、目が泳いでるのです」
玲美「うるさい!」
古鷹「何がなんなのかわかりませんが…面白い人ですね」クスッ
大慌ての玲美とそれに呆れる電を見て古鷹は笑った
古鷹「…あ!す、すみません!(汗)」
電「大丈夫なのです、むしろ笑ってあげてほしいのです」
玲美「あ、あはは…」
結局古鷹が記憶を取り戻すまで鎮守府で様子を見ることになった、電が一応大本営に艦娘の捜索願いが出てないか聞いてみたものの無かったらしい
古鷹「暫くの間ですが…よろしくお願いいたします」ペコリ
玲美「いやいや、頭を上げてください。寧ろこちらこそ申し訳ございません…」ドゲザー
古鷹「えぇっ!?」
電「気にしないでくださいなのです」ペコリ
古鷹「は、はぁ…」
玲美「では…これで」
そう言うと玲美と電はドックを後にし、建物の入り口まで出てきた
玲美「はぁ…疲れた」
電「司令官さん…やらかしちゃいましたね」
玲美「まったくだ、何て言えばいいのやら……」
電「とりあえず今日は休みましょう。空が暗くなり始めてるのです」
玲美「そうだな…星がでてらぁ」
そこで玲美の意識は途絶えた
レミリア「…もう驚かんぞ」
意識が戻り、いつもの部屋にいることを確認したレミリア。そのままパソコンの電源を落とし壁にかかっているカレンダーに目を向けた
レミリア「…明日は宴会か」
大きく丸がついている日にちを確認し、レミリアはベッドに横になる
レミリア「…」
電『司令官さん!!』
レミリア「…あれがゲームか、外の世界の進歩は凄いな…」
レミリアは電の顔を思い浮かべながら眠りについたのだった
変な特技を身に付けてしまったお嬢様、今後活かされることはなさそうな技ですがどうするつもりなのやら
鎮守府の名前…少し適当すぎたかな…?