こうなったら、そうなれたら   作:月島柊

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第6話 殺人犯

 俺は自分の寮の部屋に全員を集め、犯人の逃走範囲を割り出した。

 

「今で、逃走からおよそ30分とみられる。犯人は車ではなく、走っているか歩いていると考える」

「待ってくれ、どうして車はあり得ないんだ」

 

仲間の1人が言った。

 

「近くにタイヤ痕は無かったし、入口の反対側は崖。表にしか停められないんだよ」

「なるほど」

 

俺はコンピューターに、時速15kmとして円を拡大していくように入力した。

 

「半径約7500m。殺害現場から裏に逃げることは難しいから、東の方向に7500m。西以外の方角に半径7500mだから、結構広いぞ」

「絞れない?」

 

鈴が俺のことをじっと見つめた。これは、どうにかして絞らないといけないよな。

 

「……今俺たちがいる場所は殺害現場から東に150m。つまり、東には7350mほどでいい」

 

形的には、パックマンを少し潰した感じ。範囲はまだ広い。

 

「6人でまとまって行動する。1番居やすいのは円の端。そこを探そう」

「おーっ!」

 

みんなが手を上げて言った。

 

 俺は6人まとまって、居る確率が高い場所に向かった。もちろん周辺にいなかったが、俺たちは別の方向へ歩いていた。

 

俺は鈴と一緒に後ろを歩いていた。少し話したかったし。

 

「ね、結婚、する気ある?」

「今はない」

「そーなんだ」

 

鈴はぶっきらぼうに返した。全く、結婚なんて考えたことすらないってのに。

 

 

 俺がそんなことを思っていると、後ろの鈴が付いてきていないことに気付いた。鈴は俺の真後ろにぺったりくっついていたはず。それが急に居なくなった。

 

その鈴は、後ろに10mほどのところに倒れていた。

 

「鈴!」

 

俺は鈴のことを叫んで呼び、走って鈴に駆け寄った。その瞬間、遠くへ行く足音が聞こえた。北だ。

 

「如月さん!」

「北だ!北に追え!」

「はい!」

 

1チームが北へ犯人を追いかける。俺と残った1チームは鈴の意識を戻そうと奮闘していた。

 

「鈴……!」

「救急呼ぶ!」

 

違うチームの内1人が救急を呼んだ。それまでにある程度は……!

 

「鈴……お前馬鹿じゃねぇんだからよ、分かるだろ、今することは……」

 

俺は泣きながら言った。鈴は俺の言葉にピクリとも反応しない。もう……

 

10分後、救急が来て、鈴は病院へ搬送された。犯人は、追いかけたチームが捕獲したらしく、俺たちはその場所に向かった。

 

「如月さん、犯人です」

「あぁ……」

 

俺はナイフを取り出し、犯人の首に近づけた。

 

「おい、何したか分かってんだろうな」

「知らねぇよ!誤認だろ!」

「……ほざくんじゃねぇよ、殺人鬼が」

 

他のチームの1人が犯人の写真を見せる。

 

「どう考えても、お前だろうが」

「……」

「何だよ、なんか言ってみろよ」

 

犯人はしゃべることなく黙っていた。

 

「おい、言ってみろって」

 

俺は犯人の首にナイフを当てた。

 

「すいません……!」

「この世界よ、謝って済む世界じゃねぇんだよ。償えねぇんだよ。お前のしたことは」

 

連続殺傷。知っている範囲で3人死亡、1人意識不明だ。

 

「もういい。牢獄に飛ばせ」

「うん」

 

牢獄へ犯人は飛ばされた。ただ、それより鈴の状態が心配だ。もしかしたら、もう手遅れかもしれない。

 

「鈴……」

「如月さん、心配してるのか?」

「あぁ」

 

鈴は、俺が最もしっくりきた相手でもあった。いないと、俺の何かが欠けてしまいそうな。そんな人だった。

 

「ごめん、行ってもいいかな」

「うん。いってらっしゃい」

 

俺は鈴が運ばれた病院に向かった。

 

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