病院に辿り着くと、俺は息を切らしながら病室に入った。鈴は起き上がっていて、俺が入ると、名前を呼んだ。
「柊くん!」
「鈴!」
俺は鈴の手を握った。
「よかった……生きてたな」
「もう、死んでると思ったの?」
俺は首を横に振った。
「すごい心配してた」
鈴は「そっか」と言って、俺の頭を撫でた。
こうされるの、かなり久しぶりだった。撫でられたのなんて、多分小さい頃以来。
「柊くん、犯人、捕まえた?」
「あぁ。捕まえたよ」
「よかった。解決したんだね」
鈴は少し笑顔になって言った。どこか痛みでもあるんだろうか。
「鈴、どこか痛いところあるか」
「ううん。ただ、パートナーってこういう感じなんだって」
言われてみれば、確かにそう思う。前のパートナーはこういうこと無かったし。
「私、前に一回コンビを組んでたことがあるの」
鈴はそう言うと、昔話のように話した。
「その相手は、組んでから5ヶ月くらいして交通事故に遭っちゃって」
「待て、それ聞いたことがある。商店街の交差点で……」
俺がそこまで言うと、鈴は頷いた。
「そう。そこで亡くなった」
結構有名な話だった。信号無視した車に轢かれて亡くなった。それが鈴の元パートナーだったなんて……
「鈴のパートナーは、もうずっと俺だから」
「え?」
「鈴のパートナーは、俺だから。解散なんてしない。ずっと鈴のパートナーとして居る」
鈴の目が潤ってきたと思うと、鈴は涙を流した。俺の言葉、響いてくれたかな。
「柊くん……っ」
鈴は俺の身体に顔を押しつけた。その中で、鈴は俺の名前を呼びながら泣き出す。
「柊くん……っ!」
ますます泣き出す。過呼吸になるほど泣いていて、俺は鈴の背中をさすった。
「いっぱい泣いていいよ。好きなだけ泣け」
俺がそう言うと、鈴は声をあげて泣き出した。
それから数十分、泣き声に気付いた看護師が慌てて俺たちのところに来たが、状況を察して静かにドアを閉め、入るのをやめた。
「柊くん、来て」
俺は鈴の横に座った。
「どうした」
「近くがよかったから」
鈴はそう言っただけで、ずっと黙っていた。
「柊くん、退院したら、どこか遊びに行こ?」
「いいよ。どこ行きたい?」
「遊園地!」
鈴はわくわくしながら言った。鈴と一緒にいると面白いな。
俺がそう思っていると、電話が鳴った。
「もしもし」
《如月柊君、きみのBクラス昇格が決まったから電話した》
「あの、もう一度いいですか」
俺はスピーカーをONにして、鈴にも聞こえるようにした。
《君たちの、Bクラス昇格が決まったから電話した》
鈴は小声で驚いていた。俺は話を続けた。
「そうなんですか。鈴、喜んでますよ」
《そうかい。君たち6人一斉に昇格となったからね。本当によくやってくれた。次の登校日、Cクラスの前で待っていてくれ》
「はい、分かりました」
電話は切れた。
『Bクラス!』
俺が言うタイミングと、鈴が言うタイミングが合った。