saoから”ログアウト”できたプレイヤー   作:土ラグーン

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こんにちは!アズマオウです!

今回は、ロックァ君が突然ゲームから落ちた経緯を優子視点から書いていきます!ではどうぞ!


襲撃

「あ~あ、つまんないなあ・・」

 私、青島優子は学校の机でそう呟いていた。今日は、彼氏である石田翔悟がずる休みしたのだった。一応先生には、風邪で欠席ということにしておいたが、実をいうと彼はレポートを仕上げるために休んでいる。私と今日放課後デートに行くと約束してくれたが、彼がいない学校などつまらなかった。私も休めばよかったなぁと思いながら、うるさい教室に一人、机に突っ伏した。

「あー彼氏さんいないとつらいねえ~」

「石田のヤツ飽きちゃったのか?」

 などという冷やかしの声が聞こえるがすべて無視した。私には友達がいつもできなかったのだ。引っ込み思案なところがあり、人と距離をとっているからだ。だからこんな私でも彼氏ができるとは思ってもいなかった。けれど今この場にはいない。結構寂しいな・・

 翔悟の場合は友達は何人かできたらしいけど、そこまで仲がいい訳じゃないと笑って話してくれた。やはり私たちは、誰かに寄り添いたいという気持ちから生まれたのかなと思わざるを得ないこの頃である。

「はぁ・・」

 私はもう一度ため息をつき、授業開始のチャイムを、いまだいまだと待ち続けていた。

 

 その後何とかすべての授業を乗り越え、私は飛び出すように教室を出た。先生から、翔悟にプリントを届けるよういわれたからである。私は丁寧にファイルにプリントを入れて、たたたっと走っていった。なぜこんな急いでいるかというと、やはり早くあいたいからだろう。ならば思いっきり抱きしめられよう。今日の、一人でいる辛さを散々ぶちまけてやろう。そう思うと、足の速度が速くなっていく。

 やがて大宮に着くと、自転車を急いでこいで、石田家にいく。遊びに行ったことなどないので(翔悟が来させない)、今日がはじめてである。とりあえず、私はチャイムを鳴らした。

 しかし反応がない。私は再び押してみる。やはりだめだ。寝ているのかな?と思い、ドアノブまで近づいてドアを開けようとする。

「あいてる・・?」

 私は不思議に思った。翔悟は、結構戸締まりに関してはまめな性格である。まさか泥棒!?などと思って私は、玄関へと上がる。

「お、おじゃましまぁす・・」

 私はおそるおそる囁き、その後、なぜか忍び足で先に進んだ。私は階段まで進むと、ある音に気づく。それは、床がきしむ音だった。

(誰かいるの!?)

 私は怖くなり、近くにある傘を手に取った。そして2階へと行く。そっと階段を上り、廊下に着く。すり足で廊下を滑り、無機質に翔悟の部屋とかかれている部屋を見つけて開けた。何かいやな予感がした。完全に閉めっきりだ。

 

 私が部屋を空けてみた光景は・・知らない男の人が、ベッドで寝ている翔悟に覆い被さっていたのだ。ニット帽を頭に被っていて、黒いコートを羽織っている。顔はサングラスをしているためよく分からなかった。しかも右手には・・・・注射器!すでにもう針が翔悟の真っ白い胸に刺さろうとしている。私は反射的に飛び出して、手に持った傘で頭を殴った。男の持つ注射器の針は腕に刺さってしまったが、中にある液体が全て入ったわけではなかったようだ。男は私を鬼の形相でにらみ、注射器を掲げて襲いかかる。私は、その注射器めがけて傘を振り下ろし、注射器を落とした。男はそれに飛びつくが、私は注射器を足でふみ、後ろに滑らせた。そして、前屈みになっている男を蹴り飛ばした。男は、窓に近づき、逃げようとする。私は注射器を手にとって、男を殺そうと近づいた。翔悟を殺そうとする人は誰であろうと許さない。私は足に力を込めて、男の首筋をねらう。しかし男の方が早く、あらかじめあけておいたらしい窓から飛び降りていった。私は、しばらく麻痺になったような感じで立ち止まっていたが、翔悟を見て、すぐに抱きついた。

「大丈夫!?起きて!!おきてよお!」

 翔悟に反応はないが息はありそうだ。私はすぐに携帯を取りだして、救急車を呼んだ。

「もしもし!?」

「すいません!倒れているんです!私の彼氏がぁ!!」

「わかりました!場所はどこですか!?」

「場所は・・」

 私は翔悟の家の住所のメモを取りだしていった。

「わかりました!5分くらいでつきますので、少々お待ちください!」

 プツンと電話が切れる。私は必死に彼を抱いていた。

「死なないよね・・!?私一人おいて死なないよね!?」

『死なないよ』

 かつて、あの鉄の城(アインクラッド)での彼はそう言ってくれた。あの言葉があれば、私は信じることができた。けれど、今現実で苦しそうに横たわっている彼は、なにも答えてくれない。私は涙があふれて止まらなかった。彼を襲った注射器の薬品はまだ残っている。これを差し出して、助かるか聞いてみよう。もし助からなかったら、わたしも、彼の後を追おう。そう決意し、彼の家から紙コップをくすねておき、少しだけ入れた。そして、救急車のサイレンが私の耳にうるさくなり響いた。

 鍵が開いているということに気づいたらしく、だだだっと階段を上がっていく。私は、彼に抱きつきながら、到着を待った。

「大丈夫ですか!?おい、担架は!?」

「あります!運びましょう!」

「了解!1,2,3!」

 屈強な救急隊員は軽々と翔悟の体を持ち上げ、担架へと乗せる。そして担架がすばらしいスピードで移動していった。私もその後に続き、外にでる。

「あなたはどうしますか?いきますか?」

「もちろんです!あと・・彼はきっとこの薬を盛られたと思います。」

 私は注射器を差しだした。すぐに救急隊員は、「症状を確認しろ!」と叫び、薬の性質を調べ始める。すると、救急隊員は青ざめた表情をした。

「これは・・劇薬のサクシニルコリンです。死ぬ確率は高いですが、静脈注射さえされていなければ、助かる余地はあります!どこに刺されていましたか?」

「・・ええと、腕のあたりです。血管の通っていないところです!」

 私は混乱している頭をどうにか押さえて、そう答えた。救急隊員は、ほっとした表情で、私を見て、すぐにほかの隊員に指示をとばす。

「全員至急彼を搬送し、大宮中央総合病院へ行け!」

「了解!」

 彼の体は救急車の中へと運ばれていく。私も後に続いた。私はずっと翔悟の手を握り続けた。私にはなにもできることはないが、せめてそばにいてあげたいと感じた。

 サイレンが鳴る救急車が、真っ暗な夜を駆けていった。私の心臓の鼓動も、徐々に早くなっていた。そして、大きな敷地にある病院が見えた。急いで、翔悟は緊急治療室へと運ばれていった。私も後に続く。ロビーまで来たところで、救急隊員が私に叫ぶ。

「あなたはここで待っててください!緊急治療室へははいれません!」

「・・っわかりました・・」

 私は、何も出来ない無力な自分を恨み、下を向く。そばにいることすら出来ないなんて・・。私の何かが引きちぎられるような音がした。私はふっと力が抜け、近くにあるベンチに座り込んだ。そして、たくさんの涙があふれてきた。暗いロビーで一人、私は泣き続けた。どうして彼がこんな目に・・?どうして・・どうして・・ドウシテドウシテドウシテ・・

 私は気が狂っていくのを感じた。声にならない絶叫をあげていた。もう、いやだ・・!

 そのまま、涙がかれるまで、泣き続けた。翔悟のご両親が来たのは、私が泣きやんでから10分後、つまり、翔悟が襲われてから30分後だった。

 

「翔悟・・翔悟はどうなんですか?」

 翔悟のお母さんが叫んでいる。医師は、一瞬黙るが、すぐに答えた。

「翔悟君は、劇薬サクシニルコリンを打たれましたが、幸いなことに、量が致死量を超えていなかったこと、迅速な搬送、そして、静脈注射されていなかったことで、命に別状はありません。ですが、しばらく意識は覚醒しないので、2週間の入院は必要です。」

 とりあえず、私の中に響いた言葉は、よかったというものだけだった。生きててよかった・・!私は思わずその場にへたれ込み、涙を流す。それを翔悟のお母さんが支えた。

「きちんと治療すれば、浄化できるはずですので、ご安心ください。」

「ありがとう・・ございます!」

 私は頭を下げる。同時に、翔悟のご両親も頭を下げた。

「では、私はそろそろ行きます。明日から面会が出来ますので、是非訪ねてください」

「はい・・ありがとうございました!」

 わたしはぺこぺこと頭を下げていた。そして病院を後にした。

 

「本当にありがとう。君のおかげであいつが助かった。」

 翔悟のお父さんが私にお礼を言った。

「そんな・・わたしなんか・・」

 私は頭に手を置き、頭を下げる。

「しかし、あの子にはもったいない彼女ね。まあ、もし結婚するなら認めるわ。問題はあなたのご両親ね。」

 ニヤッと翔悟のお母さんが笑う。

「そ、そんなわたしなんて・・そ、それにまだ結婚なんて・・!」

「初々しいわね。翔悟の奴を思いきりひっぱたきなさい。あの子はあなたにこんなに心配かけたんだから。あのバカは」

 翔悟のお母さんは、あきれ顔で言った。

「・・そうですね!たっぷり言っておきます!あのバカに!」

 私はにっこり笑いながら涙を流す。そう、明日言ってやろう。そしてひっぱたいて、そして抱きしめられよう。私が世界一愛するあのバカな男に。一人で勝手に行っちゃうあのバカに。

 その後、私は2人の元を離れた。そして、家へと戻り、明日の見舞いを楽しみにした。

 

 

 

 

「どうだったか?殺れたか?」

 男の携帯電話から、仲間の声が聞こえる。

「後少しで殺れたが、女がじゃまにはいった。顔は・・たぶん見られている。サングラス姿だがな。」

 殴られた頭をさすりながら答える。 

「まじかよ・・お前、どうするか?」

「決まっている。あの女も殺る。だが先にあの女を殺るか・・まあそれは後で考えよう。」

「いや、先にあの女を殺そう。一人でいるところを襲うか?」

 すると仲間は、うーんとあまり賛成していない声を上げる。

「いや、実は俺、顔知られているんだよ。ロックァにあったときだ。一緒にいたんだよ。」

「なら二人で襲うのは無理か・・どうやってやろうか・・」

「じゃあまた薬を盛るのはどうだ?確かロックァと同じゲームやってると思うから。ゲーマーの彼女だ、やらねえわけねえよ。まあロックァの場合FSOにコンバートしているが、アミュスフィアユーザーなのは変わらねえ」

 にやにやしながら、仲間が言う。しかし、男は疑問を抱いた。

「でもよ、襲撃タイミングはどうするんだ?」

「家に張ってればいいんだよ。俺、小型偵察機持ってるからさ。」

「いい趣味じゃねえな?」

 男がかすかに笑う。

「おまえこそな」

 仲間もかすかに笑う。そして男たちは、とうとう派手に笑い始めた。軍配があがったような、そんな気分だった。

 




原作では、サクシニルコリンは本当にやばいものですが、サクシニルコリンって静脈さえ入らなければ大したことはないらしいです。もちろん、応急措置が間に合わなければやばいですが。ほかの毒薬使おっかなって思ったんですけど、なかなか見つからないので、これにしました。

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