saoから”ログアウト”できたプレイヤー 作:土ラグーン
ではどうぞ!
俺は病院で入院している。そして、その病室で俺が今コンバートしている《FSO》にダイブするために、優子を俺の家に遣わせて、ナーヴギアをここに持ってこさせるのだが、優子が快く引き受けてくれた後に気づいたのだった。俺の部屋は、パンドラの箱だということを。
どういう意味か?そこは察してくれといいたい。が、あえて説明するなら、絶対に
俺が辞世の句を考え始めてから40分後、ドアがガチャリと開く。俺がびくっと体をふるわせているのを、来客者はクスッと笑うだけで流す。間違いなく来客者は、死刑宣告をするであろう青島優子だ。手にはちゃんとぼろぼろになったナーヴギアがある。
「や、やあはやかったな」
「そうでもないよ?だれかさんの部屋をじろじろみてたからさ」
ーー終わった。俺の脳内をその言葉が支配した。
「へ、へえ・・どんな部屋だったんだ?」
「うーんとね、たっくさんエッチなゲームとか、グロい奴とかさ~あったな~」
「・・」
もう俺は打ちのめされた。どうすればいいの神様?
「・・はあ」
ため息が漏れた。完全にあきれているのだろう。俺は、なんといったらわからない。女の子はああいう部屋をみるとどう思うだろうか、俺は分からなかったからだ。
「・・私だけじゃなかったの?」
「は・・?」
いきなりの予想外な質問に俺は驚いてしまった。すると優子は顔を紅潮させてさけぶ。
「ああいうかわいい子とか、その・・胸が大きい人とエッチしてるんでしょ!?ゲームで!私じゃだめなの・・?」
・・なるほどな。彼女には2次元への逃避という考えがなかったんだな。そう思った。2次元の逃避というのはすなわち、かつての俺みたいに彼女が出来ず、ソロプレイヤーな方々が疑似的な出会いなどを求め、そういう誰かが作り出した美少女に夢中になって、その女の子とつきあっていると錯覚するということだ。俺などはしょっちゅうそういうエロゲーなどをやっていたから、気持ちは分かる。
ただ、今となってはそういうゲームには手出しはしていない。なぜなら俺には目の前の彼女の方がずっと大好きだからだ。俺はその旨を伝えた。
「ほんとに・・?」
「ああ、ほんとだ。俺はマジでああいうゲームはSAOから還ってきてからやっていない」
これは真実だ。信じてくれとしかいえない。
「・・わかった。今は信じるとする」
「・・ふう。あんがと」
俺は彼女を抱き寄せた。そして、彼女の髪のにおいを感じながらしばらく俺たちは動かなかった。
俺は彼女を抱き解き、再び俺はベッドに横たわる。そして、俺は携帯電話を取り出し、俺の家にいるうざい召使いに電話した。呼び出し音が鳴り止み、抑揚のない声でもしもしと来た。俺は優子が俺の家にくるということを伝えて、早急に電話を切る。何がうざいかというと、冷徹なところだ。今年の9月、つまり3ヶ月前に来たのだが、つまりSAO事件が終結してからきたのだが、もはやメイドではないというくらい、不親切で暗い。俺のことをお坊ちゃまというこそすれ、実際はじゃまだと思ってるだろう。
まあとにかく、電話を切った俺は優子に向き直り、FSOについて、いろいろおしえなくちゃなと口を開く。
「《ファイティングソウル・オンライン》は、格闘ゲームだけど、2D格闘ゲームとはやや違うんだ。まあSAOの剣がないバージョンだ。しかも体術スキルだけは引き継ぎできるから、ある程度強くなっている。たぶん俺をねらった奴もいると思うけど、むやみに手を出さない方がいいだろうな。俺が優子を迎えに行くから、待っていてくれ。最初のところでな。」
「わかった!」
俺は、忘れたい過去のことを話そうか迷った。だが、今はまだそのときではない。俺はナーヴギアをかぶり、彼女に俺の家へ行けといった。俺の家なら、あのうざいメイドでも彼女のことは守ってくれるだろうと思った。俺は彼女のおでこにキスをして、見送った。優子は恥ずかしげに部屋を出ていった。
そして誰もいない部屋に変わった。後4時間後にナースは来るが、十分に時間はある。俺は起動コマンドを口にした。
「リンク・スタート!」
男は、携帯電話をならす。ピッと音が鳴り、相手が電話にでた。
「よう、監視はどうだ?」
「アミュスフィアかぶった様子なんてないぜ。きっとネカフェとかだろうな。」
「そうか・・まあいい。今日は、俺がインする。おまえはステージづくりしてろ」
「そうか・・わかった」
男は電話を切った。そして、男が部屋でゴロッと寝ころんだときに、再び携帯がなる。苛立ちながら、男は携帯を取る。先ほどとは別の人物だ。女だが、冷徹な声である。
「・・もしもし」
「見つけたわ。ターゲット」
「なるほどな・・やはり転がり込んだな。ずっと前からねっていた計画だが、ようやく効をなした。だが・・今日は殺るなよ?」
「なぜ?」
「絶望と屈辱を与えるからだ。ビデオ撮影をする。殺したシーンをな。」
「・・なるほど。妙案ね」
「では切るぞ。丁重にもてなせよ」
そういって男は切った。そして、勝利の笑みを浮かべて、アミュスフィアをかぶる。
「リンク・スタート」
俺は、《FSO》の首都、《センターソウルシティ》にいた。そこで俺は彼女を待つ。待つこと3分、いかにも
「君は・・もしかして、ユウコさんですか?」
「へ?アンタ誰だよ?」
ーーやばい・・!
「ナンパすんのかよ?調子ノってんじゃねえぞコラ!」
「あ、ああ人違いでした!すいません!」
俺はささっと逃げ出して、その場から離脱した。
「とと・・やべえやべえ」
俺は、いつまでもにらみつけている怖い少女をちらちら身ながら逃走する。すると、また誰かに遭遇した。しかも今度は、激突というシチュエーションで。
「ギャッ!」
「きゃあっ!?」
俺とぶつかった相手は衝突してこけた。俺が頭をさすりながら、倒れた少女に声をかける。
「大丈夫か?」
ぶつかった少女も、頭をさすっている。そして、首をコクンと振った。
「そうか・・俺も気をつけるよ。悪かった」
彼女の装備をみると、初期装備だ。もしかして・・
「はい・・大丈夫です。すみませんでした」
彼女がぺこっと頭を下げるが、俺はその挙動を見ずにあることを口にした。
「・・なああんた。もしかして・・ユウコですか?」
「え?うん・・ユウコだけど・・あっ!!」
少女が口を押さえる。
「あなた・・しょう・・じゃなかった、ロックァ!?」
「ああそうだよ・・まじか・・」
まさかリアルでは、恋人同士なのにバーチャルでは全く知らない人として認識していたとは・・驚くことである。ただ、気づかないのも理由があるのだ。バーチャル空間の場合、現実の肉声とアバターのそれは違うので声での識別はできないし、当然顔も違うので、判別不可能である。だから、なかなかリアルで会う人同士で遭遇するのはかなり困難だ。ユウコの顔は、普段のピュア系女子ではなく、凛とした戦士顔だが、声のイントネーションが普段の優しいものなので、どうも似合わない。
「さっきまで他人扱いしてたね・・バカみたいだね、私たち」
「ホントだよな・・全くどうして気づけないんだろうな~」
俺たちは笑いあった。俺たちのバカさに。けれど、バカだろうとなんだろうと、どうでもいい。2人でいれれば。そう、ふと感じた。
「さてと・・早速装備調達だが・・露出多いな・・」
俺は目をそらした。女性の初期装備ほど男性の目を引くものはない。腹は露出していて、貧相な胸当てがあるだけ。生足もきちんと見えるし、ヒップもくっきりでてしまう。だからそういった女性を装備破壊してPKするという悪質な奴らもいる。さっきの女性が俺に警戒したのは、きっとそういった理由だろう。
「み、みないで・・」
「ほれ、これでも装備してろ」
俺はウィンドウを操作して、少しは露出度を抑えられる服をあげた。
「しょ、翔悟君がそれでいいっていうなら・・いいよ?」
ユウコがちらちらとこっちを見てきたが、システムというか、ゲーム関係上、それは許さなかった。
「そっか・・」
少しだけ残念そうだった。女というのはよくわからない。ユウコは俺のあげたぼろコートを着た。
「それで・・これからどうするの?」
ユウコが俺の顔をのぞき込む。俺は顎に手を添えて考えた。
「まずは、トーガを探す。トーガに俺が倒れたことを聞けばいい」
トーガなら、俺が倒れたときの状況を知っているかもしれない。そう思ったのだ。そしてフレンドリストを確認すると、果たしてその名前があった。現在インしていないようだ。どうしたんだろうと思いつつ、ユウコをみると、またのあたりを押さえている。
「ごめん・・トイレいきたい」
苦しそうに悶えているので俺はOKした。そして、ユウコが落ちるのを確認して、ふうっと一息つく。するとーーーー
「よお・・ロックァ。世話になったな。
重くのしかかる響きのあるトーンで声をかけられた。しかも、それは、どこかで聞いたことのある声だった。俺の記憶の片隅に、かすかに、しかし確かにこびりついている記憶が今くっきりと頭で映し出されていく。もちろん声は違うが、しゃべり方が同一だ。
俺はこの男を知っている。かつて、
「のんきにここまでくるとはな・・人殺しが」
黒いコートを羽織って、怪しい雰囲気を醸し出している男はそう吐き出した。
ーー人殺し。
俺は、完全に記憶が覚醒した。俺は息を詰め、硬直した。たしかに、そう呼ばれてもおかしくはなかった。俺は人を殺していた。
あの城でもっとも俺が思い出したくない過去が今、蘇っていた。
次回は、アインクラッドでの黒歴史をお話しします!
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