saoから”ログアウト”できたプレイヤー   作:土ラグーン

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こんにちは!アズマオウデス!
テストなんて怖くないさっ♪

ではどうぞ!


決闘にすらならない決闘

 俺は、何とか病室までたどり着き、ベッドに横たわってナーヴギアを被る。先ほどまで俺の家にいた優子と一緒に話をしたのだ。俺の、内に残るつらい過去を。だけれども、彼女が勇気をくれた。俺が過去と立ち向かえる勇気をくれた。だからその勇気を無駄にはしない。できない。俺は、口の動きだけでそう呟く。俺は目線だけを時計に移し、時刻を確認した。後2時間後に、ナースが来る。余裕はありそうだ。俺は、視線を真っ白な天井に移し、起動コマンドを口にした。優子もログインすると、先ほどメールが来た。

「リンク・スタート!」

 

 

 俺は再び《センターソウルシティ》にいた

まだユウコはいないようだ。俺は、周りをきょろきょろと見渡す。すると、よく知っている顔の人間が、5メートル先にいた。トーガだ。トーガはこちらを認識したが、笑顔を見せなかった。顔は笑っているが、憎しみが入り交じっている。俺も、笑顔を見せず、厳しい顔で見つめていた。おそらくトーガは知っているのだろう。トーガの父親を俺が殺してしまったということを。

「久しぶりだね、ロックァ」

「まあな。何とか()()()()?」

 すると、僅かにトーガの眉がぴくっと動いた。俺はそれを見逃さなかった。

「治った?何があったんだい?」

「・・ぶっちゃけて話そうぜ?おまえは知ってるんだろ?俺が、トーガの親父を殺したってこと。そしておまえと、もう一人の奴で、毒を俺に盛ったことも」

 瞬間、トーガの顔が憎悪の色に染まったのを俺はみた。やはりなと確信したと同時に、親友にそんな顔をさせてしまった自分が嫌になる。

「・・ああ、知っているよ・・!あの人に聞いたんだよ!父さんが、殺されたってな!!しかも、知らない人じゃない!ロックァにやられたって!!信じたくなかった!最悪だった!けど、あの人も僕の知り合いだったし・・どっちを信じればいいかわからなかった!!」

 トーガが大きな声で俺に叫んだ。心からの叫びだろうと俺は思うが、ポーカーフェイスを保つ。

「・・キャラネームは何だっていってた?」

「・・パリス」

 殺気をにじませている目でそういった。

「・・すまない。俺が殺した。憎悪に任せて俺を倒してもかまわない。けど、俺はかつては仲良くしてたんだ。本当に、友達になれると思ってたんだ」

 俺は真剣な声音でいった。しかし、顔が激しくゆがんでいるトーガには、届かなかった。

「やはりそうなのか・・!お前を少し信じていた俺がバカだったよ!!」

 涙混じりの絶叫をほとばしらせた。俺は、ぐっとこらえる。

「・・いくらおまえが友達だって、俺はおまえを許すことは許されない。もう、絶交だ。これからは敵だ」

「・・すまなかった。いくら謝ったって許されないことはわかっているよ。だが、俺にだって理由というものはあったんだ!」

 俺はついに我慢していた激流が溢れた。間違っているとわかっていても。絶対に理解してもらえないとわかっていても。

「・・なら聞くよ。何で殺した?」

 冷ややかな声でトーガは問う。

「トーガ、俺の姉ちゃん知っているだろ?」

 俺は、じっとトーガの、憎しみのこもった目を見た。

ーー力を貸してくれ、姉ちゃん。

「ああ、茜さんか。優しかったよな。今はいないけど」

 トーガは少しだけ表情を綻ぶ。

「・・何で死んだか、知ってるか?」

 俺は落ち着いた声で、問う。

「さあね。」

 トーガは鼻を鳴らして、首を振った。

「なら教えてやる。これで2人目だ。姉ちゃんの死因を知っているのは。簡単さ。・・犯されたんだよ。知らない奴に。」

「・・なんだと?」

 トーガの顔が驚きに支配されたが、すぐに戻る。

「そして姉ちゃんは赤ちゃんを孕まされた。だから、自殺したんだ。俺以外の誰にもいえずにさ」

 俺は今でも、涙がにじむ。しかし、トーガは何も表情を変えなかった。

「・・それとなにが関係あるんだ?まさか僕の親父がそれをやったからとでも言うのか?」

「・・いや、違う」

「ならなぜ・・!?」

 トーガの顔が怒りに染まる。俺は下をうつむきたくなるがこらえる。

「なぜ俺がおまえの親父を殺したか。それは・・俺の姉ちゃんが、無様に犯されていく話を笑いながら聞いてたんだ!その笑いの裏には、どれだけ苦しんだか、そんなことも知らないくせにな!!」

 俺も眉間にしわを寄せて、キレた。トーガにキレる理由などないはずなのに。

「・・そうだったのか。そんなことで親父は殺されたのかよ・まだ、親父が犯したから殺したんだったらわかるけどよ・・部外者まで巻き込むなんて・・この、殺人鬼が!!」

「・・っ」

 俺は、胸がぐっと締め付けられた。

「・・だけどもういいよ。僕の復讐劇も終わりそうだからね。ここでロックァを足止めして、あの女を殺す。そしておまえを殺せば完了だ」

「・・俺に毒を盛ったのは、お前か?それとも、おまえの仲間か?」

 俺の問いに、トーガはにやっとした。

「そうだよ。俺が仮想世界でおびき出して、そして誰もいないお前の部屋を、襲撃したんだ。不幸にも、彼女がいたから、おまえを殺し損ねたけどね。だけど次は殺すよ?」

 くしゃっと顔がゆがんでいた。

「どうせいま、俺の家にに向かっているんだろ?もう一人の奴が」

 俺は、ポーカーフェイスでいった。

「まあね。・・おっと、君の彼女は、君のことをかまっている余裕はないと思うよ?」

「・・なに?」

 俺はぴくっと眉を動かす。一滴の仮想の汗が流れるのを感じた。

「彼女は今頃足止めを食らっているはずだよ。知子さんに」

「な・・!そんなばかな・・!」

 俺は衝撃を受けたと同時に、俺たちの予想を裏切ったのだ。知子さんとは、俺の家に仕えている、お手伝いさんだ。以前紹介したあのうざいメイドのことである。しかし、いくら俺のことが嫌いだといっても、石田家につかえているのだ。よもや俺の味方にはならなくても、敵にはならないと思っていたのだが。

 とにかく今そいつがユウコを襲っているということになる。早く助けに・・いや、それはできない。いま、トーガにとおせんぼされているも同然なのだ。ログアウトすればいいじゃないか、といわれても、それはできないのだ。なぜなら、このゲームは、町の圏内でも自由に攻撃ができるからだ。ログアウト中に攻撃されると、中断されてしまう。つまり今の俺にゲームから離脱する手段はいっさいないのだ。

 ならどうするか。戦って勝って、あいつを行動不能にしなくてはいけないのだ。俺の中には戦いたくないという声が響く。だが、その一方で、戦うしかないと言い聞かせている自分がいる。ぎりぎりのせめぎ合いの末、俺は両足を前後に開いて、右腕を前に突き出す。それをトーガは、戦闘へのかまえと認識した。

「戦うんだな。いっておくけどこのゲームの経験は俺の方が上だ。それでもか?」

 挑発的な笑みを浮かべて、トーガはいう。

「・・戦うしかない。やるしかない!」

 俺は、自分に言い聞かせるために叫んだ。

「そうかい!なら楽しませてくれ!!」

 笑いながら、トーガは後ろに大きく跳ぶ。そして俺と同じ構えをした。

「なんだ?デュエルか?」

「掛け金とかやってんの?」

 俺とトーガを人だかりが囲む。

ーー違う。これはデュエルなんていう遊びじゃない。互いの命運がかかった大事な戦いだ。そう、これは単純な戦いだ。

 徐々に俺の体の血流の流れが速くなっていくのを感じた。加速が始まっているのだろう。かつてない集中力。ベストだ。俺はコンクリートで敷かれた固い地面を思い切り踏み込む。そして、体重を傾けて・・ばっと踏み込んだ。

「おおおおっ!!」

 俺は、低くかがんだ上半身を懐まで潜り込ませて、がら空きの腹へと、拳を吸い込ませる。その挙動を読んだトーガは、右腕を立てて、俺の拳を受ける。空気が震えるようなエフェクトが巻き起こり、気分を高揚させていく。俺は、瞬時に拳を引き戻し、同時に、左拳を突き入れるが、ガードされる。俺はいったん後ろに跳んで、構え直す。

 それをみたトーガは、次は自分の番だと言いたげに、俺に接近する。トーガの拳が赤く光り、赤い帯を引いて迫ってくるが、俺にとっては早くない。俺は最小限の動作だけで躱し、体術スキル《旋風》を発動させた。赤く光った拳が与えた隙を逃さずに、がら空きになった腹を回転蹴りした。この世界では、アインクラッドで使われた技の名前と同じであるので、困らなくてすんだ。トーガの体がわずかにのけぞり、間合いが取れる。その間合いを生かして、俺は体術スキル《閃打》を発動する。はっきりと拳の形が見えないくらいの素早さでジャブを打ち込まれたトーガはさらに後ろにのけぞる。そして俺は、胸板に向かって思い切り蹴りつけた。ついにトーガがしりもちをついた。しかし、後ろに転がってすぐに立ち上がる。

「おおおおぁああああああああああっ!!!!」

 トーガが怒りの声を上げる。父を殺された怒りか、あるいは、自分が無様に転げたからか。どちらにしても、俺に対してキレているのは確実だ。猛然とつっこむ姿は、鬼神のようだ。俺は一瞬ひるむが、すぐに息を深く吸い、落ち着かせた。トーガは、両手を光らせていた。おそらく次に発動するのは、体術スキル《竜武拳》という5連撃技だろう。案の定、最初の一撃目である、左ジャブを放ってきた。俺は、一撃が強力なスキル《破裂焦帝》を放った。たった1撃だけで、発動も遅いが、俺はあらかじめ準備しておいたので、そこの点はクリアされた。あとは、体重と加速による威力ブーストをするだけだ。そして俺の、破壊的な威力を持つ拳が、トーガのしっかりとした腹筋に当たる。奴の素早いジャブが当たる前に。

「ゴハァッ!!」

 衝撃の渦に吹き飛ばされて、トーガは吹き飛んだ。何とか両手を地面について、地面衝突だけは避けたが、ダメージはすごいらしく、可視モードになっているHPバーをみると、4割削れている。対して俺は1割も減っていない。業を煮やしたトーガは、俺に再び突っかかってきた。

「うわあああああああああっっ!!」

 こんどは、完全に自我を失っている。目を見ると、何かに取り憑かれている目だ。トーガがトーガじゃない。やがて俺はなぜか哀れむような気持ちになってしまった。

「・・」

 俺は、むやみに迫ってくるトーガに、体術スキル《地焼波》を放つ。地を灼くような衝撃が眼前に迫るトーガを吹き飛ばしていった。トーガは今度は受け身はとれなかったようで、転倒していった。しかし再び立ち上がる。

 このような応酬が何度も続いた。俺は、作業をしている気分になった。もはや、死闘という気分は完全に消え失せていた。弱すぎる。決闘をするにあたって全くふさわしくない強さだ。これなら攻略組でなかったユウコの方が強いのではと思ってしまうほどに。

「・・この程度か?」

 俺は本心からぽろっとでた。以前俺と一緒に対戦したときは、初見のゲームですら、俺と同等に渡り合えるくらいの強さだった。しかし経験者であるはずのトーガの方が俺よりも弱い。しかも、戦意を喪失させるくらいに。

「・・なわけ・・ないだろ・・!!」

 犬歯をむき出しにして、俺に吠える。

「ならもっと楽しませろ。決闘なんていうレベルじゃないぜ?ただのバトルですらない」

 俺のその屈辱的な台詞を聞いたトーガは、歯をカチカチならす。

「だまれ・・黙れ黙れ黙れ黙れ黙れダマレェーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」

 機械人形のように叫んだトーガは、再び飛びかかる。しかし、なにも変わらなかった。俺は何のためらいもなく、攻撃を打ち続けた。トーガのHPは、もう後1割だ。俺はとどめを刺そうと、もう何度目になるかわからないくらい吹き飛ばしたトーガを見る。トーガは再びよろよろと立ち上がる。

「とうさん・・トウサントウサントウサントウサントウサントウサン・・・!!」

俺はもうなにもいえなかった。トーガは気が狂っている。体はわなわなとふるえ、目は精一杯開かれ、ふーふーと荒い息をはいている。

ーーもう、終わりにしよう。

 俺は、ゆっくりと歩み寄って、首元を左手でつかみあげる。そして右手の指をそろえて、発光させる。そして、体術スキル《エンブレイザー》で、貫手の要領で、心臓のあたりを貫いた。その一撃で、残り1割となったHPが全損した。

「ロックァ・・許さない・・今度は俺が殺す・・!」

 俺は、何もいわずに無様に倒れるトーガを見下ろしていた。そして奴が、ふっとフェードアウトした。これがこの世界における死だろう。なんてあっけなかったのだろう。だが、今はそんな気分に浸っている気分ではない。

 俺はとりあえず、ウィンドウを開いて、ログアウトボタンを操作する。トーガがいうには、いま、俺の家には、優子が襲われているという状況だ。まずは優子の無事を確認する。その後は、優子と合流し、トーガこと富田大河と話をしなくてはいけない。俺はそう思ってログアウトしたのだった。

 

 しかし、現実で、俺は史上最大の戦いを強いられることとなった。トーガの、憎しみの力が現実で俺に襲いかかるとは知らなかった。




あとそうですね・・3話程度で終了しますねw
次の話は、現実世界での戦いです!!こっちに力を入れていきたいと思います!

では、感想、指摘、お気に入り登録、評価、等々お待ちしております!

それと、アンケート4(≧∇≦)bを載せましたので、是非ご回答お願いします!
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