『――こちら五層二十四区より統合本部、超高圧電流トラップにより実験機“量産型”三機の強制初期化に成功! 一時的な封印処理に成功しましたが、残り六機は隔壁を“切断爆砕”して突破した模様! 』
――スピーカーから聞こえる音声は肉声と聞き間違えそうな程にクリアだ。ノイズなど混じっていない。これもまた、開発班の技術力の一端を示す物である。
『こちら五層メインシャフト前の五層臨時指揮所です! 隔壁が次々に突破されており、そう長くは持ちません! 諸々の装置を片っ端から起動させてますが、五層の防衛線ではそう長くは保たないかと思われます。なもんで今現在最終バリケードが破られた場合連動して発動するトラップを設置中です!! 我々は設置が終わり次第退避しますが、右舷のサブシャフト経由で必ず合流するのでご心配なく!』
「――こちら統合本部、了解した。合流するなら四・五層に行ってくれ。機動兵器はともかく、あり合わせで防衛システムを造っているから人手が足りないそうだ」
『了解。それでは』
「――ふぅう、ちょいとやべぇな。こいつぁよ」
◆
薄暗い室内。天井に明かりがあるにはあるのだが、今は消されている。
しかし、壁の一方に取り付けられた巨大なモニターや、統合部員が扱う端末の整然と並んだ明かりがあるため作業が出来ない程ではない。
開発班統合部第一司令室。四層にある五十メートル四方の立方体という巨大な空間では、多くの人員がせわしなく移動している。階段状になった室内の中にあって一段高くなった席で、一人の男が頭をかいていた。
身長は百五十程度で、髪は短めに切りそろえられた紺。細い身体に幼さの残る顔立ちも相まって女性……というか女の子に間違えられることも多い。
彼は開発班統合部の部長と本部長補佐を兼任する重要人物、多岐宗介(タキ・ソウスケ)である。
本部長補佐というのは本部長である朴木の一つ下であり、開発班全体でも三人しかいない役職である。
偉いし強い、開発班の実力者だ。
しかし、一部には男の娘と呼ばれたりする。それが嫌で統合部に引きこもっているのだが。
「でも俺、もう四十なんだがなぁ」
そう、彼はもう四十である。葉巻が好きだし、酒もたしなむ程度に飲む。結婚はしていない。でも、男の娘扱いは昔から変わらない。
彼は何かの血を引いている訳ではない。
関東呪術協会には妖物などの血を引いていたり先祖返りで実際より若く見える者がかなりいるが、彼の場合は三十を超えた辺りで議論を呼び、かなり大がかりな調査を行ったので間違いなく普通の人間である。
当時はその結果に大いに揉めたが、結局は“生命の神秘”で落ち着いた。
「……突然どうなさったので? 誕生日の催促ですか、部長」
「違うっつうの。それよかぁこれからどうするかだよ。全部で九機だったっけ?」
「そのようです。資料、出しますか?」
部下の言葉に、おうと短く答える。彼は、自分の前の空間投影モニターに映し出された資料に眉を歪める。
「おい、こりゃああれだろ。麻帆良にいるヤツ。なんだってぇこんなもん造ったんだよ」
「報告では、どうも本部長が持ち帰った映像資料にあったのを一部の班長が再現しようとしたのだとか。何でも『本物は無理だがパロディにすればイケる!』とか」
「馬っ鹿だなぁ、意味わかんねぇ」
一刀両断。同じ開発班でありながら弁護のかけらもなく切って捨てる。
幼い見た目でこそあるが、彼は関東の発足以前から朴木に引き抜かれて開発班の前身となる組織に身を置いていた。
当時は石呼壬の保護下にいたわけだが、そのころから無茶苦茶だった古参のマッド達を脱線しない程度にまとめてきたのが彼なのだ。
朴木は本当にまずいときしか介入しなかったので、気づいたときには自然と彼はそのポジションにいた。
彼は当時のことを回想する。今では本部長補佐や大班長など偉いどころになってしまった当時の仲間達。
薬学や生物学に長けた奴らが自分を無理矢理成長させようと変な液体薬を造って、それを飲まされたこともあった。実験は成功して身長百八十オーバーの理想の身体を手に入れたがすぐに戻った上、反動で三日は寝込んだ。
そういえば当時の仲間に今の実弾砲派の頭目みたいなヤツがいて、彼女は国内で列車砲を造ろうとして皆で止めたものだった。
最近見ないが、どうしているのだろう。まさか二十年越しに、今頃――
「部長、五層のメインシャフト付近でトラップが発動しました」
「お? おう、どうなった?」
過去に意識がいっていた多岐は、生返事で聞き返す。今は集中するべき事があるということを忘れていた。統合部の部長がコレではいけない。また小さいからしかたないとか言われる。それは嫌だ。
「五層メインシャフト装甲壁が突破された模様です。五層の班員が仕掛けたトラップの影響でカメラが動きませんが、メインシャフト内のカメラで確認できるのは五機。現在メインシャフトを上昇しているようで、多重装甲隔壁を展開していますがいつまで保つか……」
その報告を聞きしばし思案していた多岐だったが、
「それ、開けちまおう」
「は?」
少しの間、司令室の空気が凍り、誰もが司令官の椅子に座るこの部屋の主、多岐を見る。
「三層より上の隔壁閉鎖は続行しろ。出口を塞げ。代わりに四・五層まで道を開けて、引き込んで一気に潰そう。あそこが一番広いし人と兵器が充実してる。……ああ、閉め切るまでに一度爆雷を投下して様子を見るのも忘れるなよ。で、あとは現場担当者に任せようや」
「は、はぁ……」
「ほら急げ。四・五層のメインシャフトのゲートも開けてさ。データ見た限りAIがまだ未発達で不完全だからたぶんひっかかるだろう。実験機で良かったな」
「了解しました」
多岐の命令で、オペレーター達が端末を操作し、隔壁を開くように指示を出す。
その様子を満足そうに眺めた多岐は懐から長方形のケースを取り出し、そこから細い葉巻を一つとってその先を切り落とす。同じく懐から取り出したマッチで火を付ける。
軽く煙りを吸い込み、満足げにはき出した。
「さぁてと、機動兵器の性能や如何に……ってな」
と、格好を付けた多岐だったが、椅子に座った多岐の背後からすっと手が伸び、葉巻をひょいととりあげる。
「んむ?」
「……禁煙ですよ、部長」
「せちがらいなぁ……」
◆
「これがお前のところの自信作か?」
「おうよ。機動兵器『不継』(ふつぎ)だ。なかなかだろう?」
「名前が何か不吉だなぁおい」
「それは言わないお約束だろうよ。まぁ他に『夜行』にしようって案もあって、そっちも結構根強かったのは認めるけどな」
四・五層。そこにはいつもの白衣の男とツナギの男が灰色の巨体を見上げていた。
開発班製人型機動兵器、不継。
ツナギの男を始め開発メンバーが機能美を追求するタイプのメンバーだったため、全体的に直線的なデザイン目立ち見る者に無骨な印象を抱かせた。
通信、索敵、情報処理など頭部の機能を全て胴体に修めたことで頭部そのものを廃しており、搭載されたスラスターも跳躍補助と姿勢制御を想定しての物で、飛行は不可能である。
ただし、機能を限定したことにより高性能のままの小型化に成功しており、また出力自体は余裕があることから追加装備で長時間の飛行を可能としたりと拡張性は高い。
事実、白衣の男は首のない見た目と雰囲気から建機のようだという感想を持った。
現在の武装は急だったため各機の装備は空力の弾頭射出機と一丁と盾のみ。ミサイルなども装備によっては搭載が可能である。
それが、全部で七機。横一列に並んで、メインシャフトに向けてライフルを構えている。
「良い機体だな。どれくらい出せる?」
「まぁこのままと同じくらいか。追加装備を付ければまた違うが、基本的に陸戦用だからな、こいつは。あくまで基本は頑丈な万能機がコンセプト、必要に応じて後々装備を足しゃあいいさ。何とか本番に間に合わせねぇと」
「ヘタをするとぶっつけ本番になるのか……しかし、壮観だな」
「班長連に加えて、俺ら搭載機部門の現状動かせる全戦力だからな」
メインシャフトから三百メートルほど離れた箇所に、数多の兵器と、それを操る開発班員にテストパイロット、班長連がいた。
『不継』の他にも、不継よりやや大型の機動兵器で鎧武者を模した『古白』(ふるしろ)が三機、砲戦特化の大型機『重霧』(しげきり)が一機。いずれも全高で最大六メートルほど。本体のみなら四メートルくらい。
更に試作品の野戦砲サイズのレールカノンや、採用されなかった収束魔導砲などが並べられ、果ては昔造った高速巡航戦車まである。無限軌道と長砲身の組み合わせは浪漫。
それに加えて班長連がいる。
班長連。彼らの多くは自作の銃砲火器で武装しているが、一部にはパワードスーツのような形で小型の機動兵器を操る者もいる。
本来は理論こそ完成していれど、動力であったり、フレーム強度の問題などから実現せず、表の世界では開発を断念し暗い段ボールの中へ諸々まとめてしまわざるを得なかった失敗作。そういったものが裏の知識……魔力による動力、ルーンや術式による強度強化などによって実現した発明品。この場はそういった“曰く付き”の代物の博覧会とも言って良い。
ドォン……
「おっ……?」
「揺れた、な……」
ドドォォン……
『――こちら統括部長の多岐だ。あと約三分でそちらに対象が到着する。多少の損害はかまわんから、思いっきりやってくれ』
「多岐さーん、光学兵器は駄目ですかー?」
スピーカーから響く多岐の声。それに、集団の中から一人の女性が出てきて問いを発した。
『却下。周りを巻き込みかねん。メインシャフトに穴が開いて基幹フレームに歪みが出るとかありそうだよな。なぁ、三城那三(ミシロ・ナミ)大班長』
「そんなことー、ないでーすよー?」
『そこで疑問型な辺りが信用できね―んだよ!』
「えー」
三城那三。緑のジャージに汚れた白衣、黒縁眼鏡がトレードマークの化粧と無縁な残念美人である。
『別に使わんでも、ソレがあれば十分戦えるだろーが』
「それはそれでー、これはこれー。なるべく早く涼暮月の改修に取りかかりたいんでー」
ガツン、と拳を自分の豊かな胸の前で打ち合わせる。
……ガツン。ちなみに、金属音である。まかりまちがっても女性の拳が出す音ではない。
彼女の自作の得物で、機械手甲という。特別な名前はない。そう呼ばれているだけだ。
要は肘から先を覆う化け物みたいな機械椀で、左右にそれぞれ特殊装甲板やら抗呪紋処理やらを施し、掌と拳骨に光学兵器を仕込んだうえ、機動力強化にバーニアを四つずつ搭載した両腕だけの機動兵器みたいなシロモノである。
『とにかく駄目だ。頑張れ』
「めーんどーいぃー」
『そんなこと言ってていいのか? もう来るぞ、“量産機”』
「―――!」
すぐさま、那三は両手を引いた構えをとって、開かれたメインシャフトのゲートを見やる。
いくらネタ用に造られたとはいえ、自分と同じ開発班大班長が開発途中のメイドロボの技術を応用して造りあげた試作量産機。どんなびっくり機能が備わっているかわかった物では無い。
注意深く、全神経を集中してゲートの奥を見やる。
やがて――それは、否、それらは、スゥと闇から浮かび上がるように姿を表した。人の形を模した姿が五つ。
――見た目は、まさしく少女のようだった。
病的なまでに白い肌と、絹糸のような美しい白い髪。
それに加えて白のワンピースを纏った白一色の姿。
だが、それだけではない。
手に持つ槍と同様に、瞳が血のように赤いのだ。
それは、三日月のように弧を描く口も同様で。
那三はーーその場にいた開発班は身震いする。誰かは知らないが、いつの間にか自分の同僚はこんな“化け物”を造り出していたのか、と。
そしてこうも思う。
――ああ、なんてすばらしい、と。
「すばらしいーなー。こーれがぁ――」
那三もまた、唇をニィとつり上げ、笑う。
「コレがー、今回の騒動の原因…ネタ用兵器試製量産型・タイプエヴァンジェリン―――量産型エヴァかー!!」
量産型エヴァンジェリン。
それは、かつて朴木が持ち帰った異世界の映像資料を基に、他の班長二人が入院中で暇をもてあましたメイドロボ担当の班長の残りの一人が造り出したネタとロマンの結晶。なお、紫や赤、蒼は造らなかったそうだ。
そして、彼女の機械手甲のバーニアにも火が灯る。
「そーれじゃー行ってみよーかなー?」
「ちょ、那三さん! 先に突っ込まれた砲撃できない……!」
「よーし行ってみよー!」
キィーーーーー……ッドォン!!
加速。
左右合わせて八機のバーニアが火を噴き、音を置き去りにして一瞬で三百メートルの距離を詰める。
そして接触する直前に、両の拳を前に突き出す。
衝撃音とともに、一番前にいた量産型エヴァが吹き飛ばされ、メインシャフトの壁面に叩きつけられた。
「あらー?」
しかし、量産型エヴァはまだ原型を留めていた。那三は胴を貫いて真っ二つにするつもりだったのだがそうはならず、壁にめり込み機能を停止した程度で済んでいる。
主電源が落ち既にその瞳に光はないが、浮かべられていた笑みもそのままだ。
一瞬のうちに一機を無効化したわけだが、すっきりしない。予想と結果が狂うのは、那三科クラスの学者としては許せることではない。
原因として推測できるのは、直前に展開された……
「八角形の、障壁?」
自分の拳が届く寸前に展開された、オレンジ色の八角形の障壁。
那三も件の映像は見ており、オリジナルの絶対的な防御力も知っている。心がどうとか拒絶がどうとかで、再現は不可能という結論が出ていたはずだが、担当者が可能な限りで似たものを造っていたことに内心賞賛を送る。
「とゆーことはー、これもー?」
深紅の槍。これも資料映像ではずいぶんな威力を発揮していたが、やはりレプリカなのだろうか? そう思い手にとってみると、予想よりもずっと軽いことに驚く。
見た感じだと抗魔法処理が施されているようなので、魔法使いの障壁突破に重点を置いたモノなのだろう。
レプリカにしては上等だ。
「これ良いなー。本部長に開発者の昇格推薦してみよーか」
ひゅんひゅんと軽く槍を振り回す。長さはニメートル弱といったところだが、本当に軽い。まるでプラスチック製のおもちゃでも持っているようだ。
振り回しているとなんだか楽しくなってきたので、なんとなくでたらめに舞を舞ってみたりする。
「おー、以外と出来る?」
汚れた白衣に緑のジャージ、自分のウエストより太い機械の腕に紅い槍。
何もかもがミスマッチ。だが、だからこそ自由にできて楽しいのか。
「那三大班長――、手伝ってくださいよーーー!!」
ぴたり、とでたらめな舞を辞める。
「……何をー?」
駆け寄ってきたのは、涼暮月の件で招集した班長の一人だった。
「何って、アレですよ!!」
班長が指さした方を見る。
そちらでは、更に一機減って三機の白い少女が笑みを浮かべたまま赤い槍を振るい、自分以外の開発班と戦っていた。
情勢はやや開発班が押しているようだが、おそらくは機動力に翻弄されたのであろう砲撃特化型で足の遅い『重霧』がたったまま火を噴いていたり、量産型エヴァもやられてばかりでもないらしい。
「うわぁーおー。派手だねー、というか重霧って足が遅い分正面装甲厚くしたはずなのに……ぶち抜くかー。へーほーふーん」
『みぃーーしぃーーろぉーーーー!! なぁに遊んでんだーー!』
「うおぁー!?」
那三の目の前に突如現れるウィンドウ。至近距離幼い顔で怒鳴られたことに驚く。
『とっとと次行け次! さ ぼ る な ボケっ!!』
「わかりまーしたよー。いーきますよー」
◆
「ったく、まじめにやりゃー強ぇーんだからよー、最初っから行けっての」
司令室の三次元投影モニターには、一機、また一機と班長と機動兵器によって機能停止に追い込まれていく量産型エヴァが映し出されていた。
そして、ついには最後の一機が『不継』に撃墜されたのを見て、室内にほっとしたような吐息が幾つも漏れた。
機械とはいえ見た目は少女、それがぶっ飛ばされるのは余り精神的に良い映像ではない。
それでも、やはり兵器は兵器だ。人が作った以上、人に最後まで面倒を見る責任がある。
「あーー……終わった。よっしゃ喫煙室いこう。後で報告書だすように連絡いれといてくれや。最悪三本吸い潰すまで戻ってこないから」
「天乃五環を通常シフトに戻しますか?」
「四・五層にいる五機全部が完全に停止してるの確認できたらな」
「了解しました。……現場から報告きました。メインシャフト及び四層以下の隔壁を解放します」
その時だった。
「……部長!! 五層から高速飛翔体がメインシャフトを上昇開始!! 大きさから量産機だと思われます!!」
「なんだと!?」
すぐさま自分の席の端末に飛びつき確認する。四・五層より上のメインシャフトは全くの無傷であり、当然カメラも稼働している。
そこに映ったのは、スピードが出ているからか像がぶれている物の、白い髪と爛々と光る真っ赤な目。
「……どうなってる! 全部で九機だったんじゃないのか!?」
「おそらくは、五層のメインシャフト前で消えた機体かと」
「今まで回収していなかったのか!? 五層の連中は何を……いや、それよりなぜ今動き出した?」
「五層はトラップによる一部崩落で人が入れなかったので確認できていませんでした。それと、おそらくは機体同士で情報の共有が行われていたのではないかと……」
「くそっ、機械が“死んだふり”とはやってくれるじゃねえか。……いや、実際に死(機能停止)の情報を得たからこそ機を見たのか……? とにかく四・五層の連中に連絡、シャフトに床を出して追撃を」
「無理です! 既にメインシャフト二層付近を通過、エレベーターの移動も隔壁の再封鎖も間に合いません!! 戦力を集中したせいで長距離狙撃の可能な装備の展開も……」
「……しくじった!!」
小さな拳を、コンソールの脇に叩きつけた。
◆
夜空。
雲は少なく、まだ寒い時期なので空気も澄んでいる。
周りに明かりはなく、どこまでも広がる黒の地平。
空には星と丸い月。
ひとりになった機械の少女は、天乃五環を抜け空に浮いていた。
初めて見る夜の空。
輝く星に蒼い月、暗い空から白い自分を照らしてくれる。
量産型エヴァ……少女は、再び移動を開始する。自分に刻まれたプログラムに導かれるままに。
目指すは彼の地、麻帆良。
本当は九機皆で行くはずだった。
でも今は一機。それでも行く。
今日を逃せば、きっとながいこと動けなくなるだろうから。
紅い槍を手に、飛ぶ。
“彼女”に会いに。
今夜は、満月だ。