トウカイテイオー転生もの   作:ふらんそすきぃ

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切るところが分かんなくなって少し長くなってしまいました



転入生

 冬休みも終わり暫くしたある日

 僕は今、会長に仕事を任せられそうです。

 

 

「えっと、じゃあ明後日のこの時間帯に生徒会室の前で待って、会長に呼ばれたら入って転入生を案内したら良いってことですか?」

 

 

「あぁ、そういうことで合っている」

 

 

 何故か転入生の学校案内をしてくれとのこと。

 しかもその転入生は話を聞く限り先輩だ。

 コミュニケーション弱者に任せる仕事ではない。

 

 

「えっと……これって僕よりも適任者がいると思うんですけど……」

 

 

「テイオー、半年ほど前の友達を作ろうとしていた頃のお前は何処に行った?」

 

 

「うっ……」

 

 

 心に刺さるお言葉だ。

 

 

「何事も練習だ。

 別に上手く行かなくても良いさ。

 ただし……」

 

 

「ただし?」

 

 

「転入生からしてみればこれが学校の第一印象となるだろう。

 責任重大な任務だぞ」

 

 

「は、は〜い」

 

 

 へなちょこな返事をして生徒会室を後にする。

 困った。

 幸い時間は二日はある。

 何処を案内するかは特に言われて無いのでこれから考えていこう。

 確かあんまり気にして無かったけど、リギルの選抜レースもそれくらいにあったっけ? 

 まぁ、今回も見送りで良いだろう。

 リギルに入ったら練習を管理されて、今まで通りの練習量は駄目だと確実に言われるだろう。

 

 今の僕にはまだあの練習量は必要だ。

 おハナさんは凄い人だ。

 メンバー全員が選抜レースで勝ち抜いた元々の強さがあるが、それだけでは無くおハナさんの指導力が無いと最強チームとまでは言われなかっただろう。

 あの人なら分かる筈だ。

 今の僕は明らかにオーバーワークしていると。

 いつ崩れてもおかしくないボロボロの橋を全力疾走しているような状態であることを。

 

 リギルに入るなら当分先になるだろうなと、考えながら校内を歩き回る。

 紹介するところと、そのルート決めだ。

 紹介するところはだいたい限られてくる。

 紹介しなくても聞きたいことがあったら聞いて下さい方式にしたら重要施設だけ紹介するだけで済むのではないだろうか……? 

 ひょっとして僕、天才かも? と思いつつ、どうか話しやすいような落ち着いたウマ娘だと良いなぁ、とまだ名前も顔も知らぬ転入生に思いを馳せる。

 トレセンに来るようなウマ娘は基本的に闘争心が並大抵のウマ娘より高いことが多いので、落ち着いてても勝負となると空気が変わるやつが多いが。

 

 本校舎を紹介してから、周りのプールとかトレーニングコースとか辺りをぐるっと敷地を一周するように紹介するか。

 時間は結構使って良いって会長も言ってたし、次の日いきなり迷子になりました、ってなっても申し訳ないから丁寧に教えよう。

 トレセン学園はどうにも広い。

 新入生が迷子になったって話は毎年少しはあるらしいからね。

 

 それにしても改めて学園内を歩いてみると広い。

 歩いて回ったら流石に時間がかかりすぎるな。

 効率よく、駆け足ぐらいで回るのが丁度良いだろう。

 はぁ、全くこんなに単純なのに大変な仕事だ。

 生徒会の人たちはこういったことを色々やってもっと忙しいのだろう。

 それで自分たちの練習もやって時間はどうなっているんだろう……。

 僕には生徒会は向いてなさそうだ。

 僕は練習したいときに走ってそれ以外でゲームを楽しむような自由な生活が合っている。

 誰かの上に立つのは表彰台とスコアだけでいい。

 

 ________________

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「へぇ、あのテイオーが転入生の案内を」

 

 

「そうなんですよ。

 僕よりももっと良い人選あったと思うんですけどね」

 

 

 トレーニングが終わった後、マックイーンさんと寮に二人で歩いて帰る。

 お互いにヘトヘトの筈だが強がって疲れている様子は見せない。

 因みに僕の右手には、はちみーが標準装備だ。

 

 

「貴女にちゃんとこなせますの?」

 

 

「それは、えっと、まぁ、頑張ります!」

 

 

「威勢だけはありますわね……

 まぁ、貴女のことですし何とかなるでしょう。

 応援しておりますわ」

 

 

「プレッシャーかけるのをやめて下さい」

 

 

 相変わらずマックイーンさんはお嬢様感が強いウマ娘だ。

 僕も別に庶民な訳ではないのだが、前世のことやこの性格も相まってそんな雰囲気は出ない。

 何か話す話題はないだろうかと考えているとリギルの選抜レースのことを思い出した。

 

 

「そういえばマックイーンさんっていつデビューするんですか?」

 

 

「わたくしは来年度にする予定ですわ。

 それにはまずチームかトレーナーを見つけないとですわね」

 

 

 確かにマックイーンさんがチームに入ってたり、専属トレーナーがいたりする話は聞いていない。

 

 

「マックイーンさんぐらい速ければ何処かしらには入れると思いますけどね。

 ほら、もうすぐでリギルの選抜レースがありますけど出ないんですか?」

 

 

 トレーナーたちは自分たちが育成したウマ娘たちの成績で自分の評価も変わる。

 それならトレーナーたちは当然、強いウマ娘の方が欲しい。

 そしてウマ娘たちは実績があるトレーナーと組めば強くなりやすいので、今まで結果を残しているチームの方が新人トレーナーより遥かに人気だ。

 その2つのことから、どんどん二極化していくのが今の問題点だろう。

 強いウマ娘が強いトレーナーと組み、(トレセンにいる時点で強いが相対的に)弱いウマ娘と新人トレーナーが組む。

 新人トレーナーのうち、本当に才能があったり、運が良かったりして何とか結果を残せた者たちだけがチームを作り、その実績を目にしたウマ娘たちが入ってきて段々強くなっていく。

 サブトレーナーというのも一つの指標だ。

 例えば、最強チームのリギルのサブトレーナーだったら、リギルのノウハウがあるかもしれないと選んで貰いやすくなる。

 

 

「わたくしは今回は遠慮しておきますわ。

 まだ暫くは一人で頑張ろうと思いますので」

 

 

「そんなこといって、選抜レースの距離が自分の適性では無くて、負けるのが目に見えてるから出ないんじゃないんですか?」

 

 

 マックイーンさんは少し前に言っていたが、3000m前後が適正距離らしい。

 対して選抜レースは2000mなので、それぐらいが適正のウマ娘に負けちゃう可能性があるから出ないのではないか? と僕は思った。

 

 

「そ、そんなんじゃありませんし、仮に出たとしてもわたくしが一着でゴールするに決まってますわ! 

 

 そ、それを言うならテイオー。

 貴女こそ選抜レースに出ないのですか? 

 貴女の適正にも合ってますし、貴女なら勝てるでしょう?」

 

 

 そうかもしれないが。

 

 

「マックイーンさん、僕はしばらくはチームには入りませんよ」

 

 

「あら、それは何故ですか?」

 

 

「僕も同じですよ。

 トレーナーがいたら練習量を減らされちゃうので」

 

 

「それなら尚更、早くトレーナーを見つけるべきですわ」

 

 

 絶対心配してるんじゃなくて、僕が強くならないで欲しいから言ってそうだ。

 まぁ、一人だと限度があるし、トレーナーが必要なことも分かるから、いつまでもこのままってことはないだろうが。

 

 

「マックイーンさんも早く見つけた方が良いですよ。

 僕と練習量そこまで変わらないはずだから、身体に負荷かかり過ぎて怪我、なんてことはしないで下さいね。

 まぁ、僕は練習のローテを工夫してるんで疲労度は常に一定だから大丈夫なんですけど」

 

 

「あら、心配してくださって有り難う御座いますわ。

 しかし、わたくしにはメジロ家お抱えの優秀な者たちがおりますのでご安心くださいませ」

 

 

 お互いにプライドが高い者同士だから張り合うが、この会話が楽しい。

 今まで僕には無かったことだ。

 そうやって話をしているうちに寮に着いた。

 

 

「じゃあ、また明日」

 

「ええ、また明日」

 

 

 マックイーンさんと玄関で別れ部屋に戻る。

 寮のあちらこちらから賑わった声を聞きながら部屋まで進む。

 

 部屋戻るとマヤノはいなかった。

 マヤノのことだから誰かの部屋に遊びに行ってるんだろう。

 僕のことを気遣っているのか、マヤノは誰も部屋に呼ばない。

 別に一人でゲームしてるから大丈夫だよとは言っているが、それでも呼んだことはないし、正直助かっている自分もいる。

 そのこともマヤノのことだから、()()()()()のかもしれないな。

 

 今日も疲れた。

 晩ご飯早く食べて風呂に入ろう。

 最近は人が少ない時間帯とか余り気にしなくなってきた。

 人が沢山いても気にならなくなった訳ではないが、それよりも最近は疲れて気にする余裕が無くなってきたのが理由だ。

 

 最近は少しスランプ気味だ。

 僕が少しずつ強くなっているのは分かっている。

 スタミナも増えてきた、速度も上がっている。

 でも周りにものさしが無い。

 僕が前にどれだけ進めているのか。

 どれだけ上の世代の人たちに追いつけているのか。

 同級生たちも強くなっていて差が縮められてることだけが分かり、焦る気持ちだけが募る。

 その分、練習だけが増えていく。

 先の見えない暗闇の奥先にあるゴールめがけてがむしゃらに進んでいる。

 まだまだ出口の光は見えない。

 

 

『ならカイチョーと走れば良いんじゃない?』

 

 

 (ボク)か、それはいい考えだけど会長は応じてくれるだろうか? 

 

 

『大丈夫、大丈夫! 

 カイチョーなら絶対聞いてくれるって!』

 

 

 本当? 

 

 

『ホントにホントだってば!』

 

 

 負けちゃうだろうけどゴールの位置は分かるから今の僕には必要なことかもしれない。

 転入生の案内をしたらお願いしてみるとするか。

 (ボク)も走るときは手伝ってくれる? 

 

 

『もっちろーん! 

 ボクだってカイチョーと一緒に走りたいからね!』

 

 

 そうか、それは良かった。

 それなら大丈夫だ。

 

 

『ふーん、何か悪いこと考えて無い?』

 

 

 ないない大丈夫だってば。

 じゃあ晩ご飯食べに行くか。

 

 

『むー、怪しーなー』

 

 

 疑う(ボク)には悪いが、晩ご飯に逃げさせてもらおう。

 そろそろはちみーで耐えていた空腹に耐えきれなくなりそうだから、しょうがない。

 

 

 

 

 

 

 ________________

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 ________

 

 

 

 

 

 

 転入生を案内する時が来た。

 時間通りに生徒会室の前まで来たがまだ中では話している声が聞こえるし、もう少し時間がかかりそうだ。

 癖でポケットに入ったキャンディー取り出して包を取ろうとするが、取る前に流石に今舐めるのはまずいと理性が働き、何とか包は取らなかった。

 特にやることが無いので生徒会室の扉に寄りかかりながら、指の上でキャンディーをくるくると回す。

 どんな先輩なのかな〜と不安でドキドキしていると、何だか会話が終わったようだ。

 そろそろ僕の出番かとキャンディーをしまって心の準備をする。

 

 

「テイオー、入ってこい」

 

 

 合図があったのでノックして扉を開ける。

 

 

「失礼します」

 

 

 転入生と目が合う。

 思ったより話しやすそうなタイプで助かる。

 

 

「スペシャルウィーク、こちらはトウカイテイオーだ。

 今からこの学園内を案内してもらう」

 

 

 名前はスペシャルウィークって言うのか。

 会長の方を見ると、お前からも自己紹介しろと視線で語りかけてくる。

 

 

「どうも案内を担当します、トウカイテイオーです。

 よろしくおねがいします」

 

 

「こんな堅いやつだが仲良くしてやってくれ」

 

 

「よ、よろしくおねがいします!」

 

 

 凄く元気な先輩だな。

 明るすぎて僕は溶けそうだ。

 

 

「それじゃあ、行きましょう」

 

 

 そう催促して生徒会室の扉を開けて待つ。

 転入生さんは席を立ち上がると会長の方を向き、会長に「これからよろしくおねがいします」と礼をしてこっちに来る。

 会長に丁寧な対応をしているのは好感度高い。

 

 

「じゃあ学園内は結構広いので、駆け足で案内しますので、速かったら言ってください」

 

 

「はーい!」

 

 

 そう言って本当に軽いジョグぐらいのペースで走る。

 速かったら言ってとは言ったが、今の時期に転入してくるウマ娘がついてこれないはずも無いので、そこは気にしていない。

 まず向かうのは図書室だ。

 生徒会室から一番近くて、勉強するなら使うので、紹介するべきだろうという判断だ。

 中はめちゃくちゃ静かなので入る前に説明する。

 

 

「ここが図書室です。

 知りたいことがあったらだいたいここで探せばあります」

 

 

 そう言って扉を開けて中に入る。

 

 

「わ〜ぁ! 本がいっぱい!」

 

 

「し、静かにね」

 

 

 中ではそこそこ人が居たので迷惑にならないように言っておく。

 

 

「はーい!」

 

 

 転入生さんも小さな声で返してきた。

 反応があって、話しやすいタイプで助かる。

 それから図書室を一周ぐるっとして出たあと、廊下を駆け足で走りながらジムに向かう。

 僕は余り使わないが使う人も結構いる。

 一応紹介しておいて損は無いだろう。

 

 

「ここがトレーニングジムです。

 肉体強化をしたいときに使われることが多いです」

 

 

「おぉ〜! 色んな器具がいっぱい!」

 

 

 反応があって本当にやりやすいなぁ……。

 こういうウマ娘だって知ってて、会長は僕にやらせたのかもな。

 

 

「使いたいときはあそこで申請したら何時でも使えます」

 

 

「分かりました!」

 

 

 特に僕が使っている訳でもないので、紹介が適当なのはしょうがないだろう。

 僕は余り使わないので詳しいことは受付の人に使うときに教えて貰ってくださいと伝えて、次に行く。

 室内で僕がわざわざ教えるようなものはもう無いので外に出る。

 トレーニングコースかプールに行くか悩んだが取り敢えずプールで良いだろう。

 

 

「ここがプールです」

 

 

「おお〜! 魚とかは……」

 

 

「……流石にいません」

 

 

 転入生さんがプールサイドに近づいて行くが、そんなに近づくと足元濡れてるし滑ると危ないぞ。

 

 

「転入生さん、そんなに近づくと……」

 

 

 制止しようとしたが丁度、思っきし飛び込んで来たウマ娘からの水飛沫を受けていた。

 目の前でズブ濡れになった転入生さんが凄いことになってる。

 冬の時期にこれは流石にまずいんじゃないかな。

 

 

「ちょ、ちょっと待ってて! 

 タオルと替えの服持ってくるから!」

 

 

 えっと、多分ここからなら僕の下駄箱に鞄ごと入れてるタオルとジャージが一番近そうだ。

 前回の反省からギリギリエアグルーヴさんに怒られない程度のスピードで走って鞄を取ってUターンし、2分ちょっとで転入生さんの下へ戻る。

 

 

「はぁ、はぁ、タオルと、着替えのジャージです。

 僕ので、サイズが合うかどうか、分からないんですけど……。

 あと、流石に、下着までは用意出来なかったので、そこはすみません……」

 

 

「あ゛り゛が゛と゛う゛ご゛ざ゛い゛ま゛す゛〜゛」

 

 

 冬ということでプールも温水だが、だんだん温水が冷えてきた寒さでヤバそうだ。

 プールにある更衣室で僕の予備のジャージに着替えてもらって、制服は無駄に高いやつなので防水加工されており、思ったより濡れてなかったので、着替えている間に寮まで走って、少しの間寮の外で天日干しにしておくことにした。

 

 

「何から何まですみません……

 えっと、ジャージは何時返したら良いですか?」

 

 

「寮の浴場の脱衣場の籠の一番端に入れといてもらえれば勝手に取ってくので、今日脱いだものそのまま籠に入れておいてください」

 

 

 寮はさっき確認して同じだということは分かっているからこそできることだ。

 いちいち会うというのも面倒くさいだろう。

 しかし、何がとは言わないがきつそうだな。

 サイズが合ってなくて申し訳ない。

 

 

「そんな、流石に悪いですよ! 

 きちんと洗ってから返しますね!」

 

 

「ありがとうございます。

 それじゃあ、次に行きますか」

 

 

「はい!」

 

 

 わざわざ律儀なウマ娘だな、と思いつつも、人の厚意は拒絶するものでも無いので素直に諒解する。

 プールから出てトレーニングコースに向かって走る。

 トレーニングコースの外周にある小高い丘まで来て説明を始める。

 

 

「ここがトレーニングコースです。

 東京レース場と似たような作りになってます。

 今は授業が終わって熱心なウマ娘や、チームで練習をしているウマ娘が沢山いますね」

 

 

「えっと、チームって何ですか?」

 

 

 まだ授業とかで教えて貰って無いのかな。

 なら、僕が教えてあげるとするか。

 

 

「レースに出るためにはチームに入るか専属トレーナーが必要なんです。

 例えば、えっと、ほら、あそこでアップしてるのが学園最強のリギル。

 あれはアンタレスで、そこにいるのはベテルギウス、あっちはえっと、何だったかな……」

 

 

 この一年で色々なチームを見たので、だいたいのチームは分かる。

 

 

「確かあのチーm……「あの! サイレンススズカさんのチームってわかりますか!?」……サイレンススズカさん?」

 

 

「はい!」

 

 

 満面の笑みで質問してくる。

 どっかで聞いた名前だ。

 えっと、そう! あれだ。

 あのストーカーのトレーナー( 沖野 )さんにつけられてたウマ娘。

 あの先輩なんか有名になったのかな。

 

 

「サイレンススズカさんはチームリギルに所属してるはずです。

 因みにチームリギルには会長も所属してます」

 

 

 僕の会長贔屓が少し入った紹介をする。

 

 

「リギルってさっき言ってた学園最強の……」

 

 

「そのリギルですね」

 

 

「私っ! リギルに入りたいです! 

 どうやったら入ることが出来ますか?」

 

 

 おぉ、凄い決断力。

 僕には真似できないことだ。

 僕はどうしても慎重になってしまう。

 

 

「リギルは定期的な選抜レースがあって、そこで一着になると入部出来ます」

 

 

「それって、いつあるんですか?」

 

 

「確か明日か、明後日ぐらいにやるはずですね。

 選抜レースはいつも放課後に行われるので、明日の朝に確認しておくと良いと思いますよ」

 

 

 近々あるとは耳にしているが正確な時間は知らないので確認することを勧めておく。

 

 

「えっとトウカイテイオーさんでしたよね……」

 

 

「テイオーで良いですよ」

 

 

「はい! テイオーさんはチームに入ってないんですか?」

 

 

 先輩にさん付けされるのは何かムズムズする。

 しかし、その質問がきたか。

 

 

「僕は何処にも入って無いですよ」

 

 

「そうなんですか……色々詳しいのでチームでいっぱい活動してるのかと思いました……」

 

 

「そんなこと無いですよ。

 それに、これぐらいなら学園にいたら誰でも分かるようになります。

 僕は速くないので沢山練習する必要があるんです。

 目標があって、それをするにはチームに入って練習を管理されたくないから入ってないんです。

 身勝手ですよね?」

 

 

 あんまりにも真っ直ぐとした瞳で見られているので僕のことまで話してしまったが、こんなに話すことも無かったと後悔する。

 

 

「そんなことありません! 

 テイオーさんは自分の目標を定めて頑張っているんだから立派だと思います!」

 

 

「…あ、ありがとうございます。

 それで転入生さんも夢とか目標とか無いんですか?」

 

 

 とっても真っ直ぐだ。

 めっちゃいい人すぎる。

 マックイーンさんなんて今まで話してて、褒めるのにも少し棘があるし、こんな素直に褒めてくることなんて無かったぞ。

 だが、僕だけ喋ったのは少し不公平な気がするので転入生さんにも話させよう。

 

 

「あります! 

 私の夢は日本一のウマ娘になることです!」

 

 

 凄くビッグな夢だ……。

 でも僕の目標も負けてはいない。

 

 

「お母ちゃんと約束したんです。

 立派な日本一のウマ娘になるって!」

 

 

「なら、僕のライバルですね。

 じゃあ、転入生さんそろそろ次に行きましょう」

 

 

「それってどういう……

 あっ! ちょっと待って下さーい!」

 

 

 転入生さんの夢が日本一のウマ娘になることなら、僕はそれの上を行かないとね。

 僕はウマ娘の頂点になるんだから。

 

 その後も学園内を回り、色んなチームの部室があるところや、大穴の開いたトレセン名物の悔しい気持ちを叫ぶ謎の切り株など紹介して回った。

 

 

「今日は案内ありがとうございました! 

 ジャージ出来るだけ早く洗って返しますね!」

 

 

「こちらこそありがとうございます。

 ジャージに関してはあんまり急がなくてもいいので……」

 

 

「いえ! すぐに綺麗にして渡しますから! 

 本当にありがとうございました!」

 

 

 めちゃくちゃ感謝されて案内の仕事は終わった。

 とっても良いウマ娘だった。

 ちょっとドジなところはありそうだが元気で夢に真っ直ぐでキラキラしてた。

 新たな繋がりが出来たことに会長へ感謝しつつ、今日も練習に向かいますか。

 

 それにしても予備のジャージが役に立って良かった。

 普段は雨が急に降ってきた時に屋内で着るために持ってきていたが、こんな時に役立つとは想像もしてなかった。

 新しい刺激も感じながら練習に励み、帰りにははちみーを舐めながらマックイーンさんと帰った。

 

 

 因みに転入生さんは案内した翌々日の朝に、僕が朝練に行く前に玄関でジャージを返してくれた。

 なんでこの時間帯だって分かったのか聞いたところ寮長に教えて貰ったらしい。

 こんな早朝から凄いですね! と褒められたのが少し恥ずかしかった。




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