トウカイテイオー転生もの   作:ふらんそすきぃ

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才能(レベル上限)

 

「スペとテイオー。

 スタートの合図は手を振り下ろしたらだ。

 良いな? 

 よしゃっ! じゃあ、位置につけ!」

 

 

 その声に、僕とスペシャルウィークさんはスタートの位置につき、構えをとる。

 

 

「よーい……」

 

 

 よーいでゴールドシップと呼ばれていたヒトが手を振り上げる。

 神経を研ぎ澄まして対応出来るようにする。

 

 

「どんっ!」

 

 

 そして、振り下ろした……っ! 

 思いっ切り加速するが、流石は先輩。

 スタートで出遅れることなく競い合う。

 駄目だ、ここでこれ以上のスピードを出して前をとっても、スタミナがゴール前には尽きる。

 このまま戦ってても無駄だと判断し、少し下がって、いつでも仕掛けられるよう先輩の右後ろにつける。

 しばらくは、ここで様子を窺おう。

 

 ペースが乱れるのを待つ。

 遅くなれば抜かせば良い。

 早くなれば垂れてきたところを差せば良い。

 

 そうならなかったら、よろしく頼むよ。

 

『任せて!』

 

 そうならないようになって欲しいな。

 僕だけの力が何処まで通用するか試してみたい。

 これは目標では無く、悪夢(前世)の続きだ。

 

 

 △△△

 

 

「スペ先輩、完全にマークされちまってるじゃねーか! 

 大丈夫か?」

 

 

 スペには、まずい展開になった。

 後ろを気にしながらとても走りづらそうに走っているが、それとは対照的にテイオーはとても馴れたように走る。

 スペがペースを崩さなければ良いが、崩されても仕方が無い。

 

 

「ちっ……、テイオーのやつ。

 ちゃんと、勝ちを狙いにきてやがる」

 

 

 そう悪態をついてしまうのも仕方ない。

 スペに経験が無いってことは、俺の発言でバレている。

 その経験を積むためにやるとも言っていたから、それにちゃんと乗っかってくれたのは嬉しいが、なんせ練度が違う。

 だいぶ不利な状況だが、テンポを乱さないように祈る。

 その祈りが通じたのか、2コーナーを抜け、向正面も抜け、3コーナーに入ったが、スペは普段通り走れている。

 その影響か、テイオーは常にスペが振り返るとすぐ見える位置から動きは無い。

 ひとまず安心する。

 

 

「このままいけば、最終直線勝負になるぞ」

 

 

「トレーナーの読み通りね!」

 

 

「あぁ、この様子だと4コーナー終盤までにテイオーが仕掛けなくても、スペは動くだろう。

 それに、スペに先に仕掛けられたらテイオーは間違いなく不利になる」

 

 

 そうだ。

 テイオーの末脚も凄いが、スペの後半の伸びは天才的だ。

 先手を取ってしっかり全力が出せるならスペが負けるとは考えにくい。

 

 

「スペのやつ、ペースあげやがった! 

 ちょっと早くねーか!?」

 

 

 さっき戻ってきたゴールドシップの声に意識を引き戻される。

 ここで速度を上げるにはまだ早い。

 ギリギリ持つか持たないか、まだ勝負は分からない。

 テイオーのやつは……冷静だ。

 しっかりと自分のタイミングでスパートし始めた。

 

 

 ▽▽▽

 

 

 先輩の後ろに張り付く。

 ここまでプレッシャーを送ってきたが、向正面をすぎてもペースを崩しては無い。

 うーん、これだけ圧かけてたら今までの模擬レースでは周りはひよってくれたが、流石に経験が無いと言っても先輩だ。

 そうやすやすと勝たせてはくれないか。

 スパートをかけるのはいつもと同じ、4コーナーに入ったあとだ。

 スタミナがあればもっと早く仕掛けられるが、あいにく僕にはスタミナがあまり無い。

 

 3コーナーに入ってからのことだった。

 後ろにずっと付かれるのに耐えかねたのか、先輩がペースを上げた。

 仕掛けたい。

 今からでも追いかけたい。

 差が広がる。

 

 でも、まだ待て。

 人間は全力を出し続けられる距離に限りがある。

 それはウマ娘にとっても当然同じだ。

 しかもあと800mほど残っている。

 当然スタミナはここまでである程度削られている。

 冷静になれ。

 ここで仕掛けても僕には走りきれない。

 最後の最後で垂れて来るはずだ。

 そこで差す。

 

 広がる差を感じながら、落ち着いてその時を待つ。

 まだ、まだだ。

 

 まだ、まだだよな……? 

 焦る気持ちが募ってくる。

 焦りは禁物、そう分かっていてもどうしても焦ってしまう。

 

 後少し……ここっ! 

 僕が今まで走ってきた経験で、スタミナが完全にゼロになった瞬間に走り終わるタイミングで飛び出す。

 先輩との差は3馬身。

 この差をゴールまでに取り戻す。

 

 さぁ、行くぞ。

 

 僕が駄目だったその時は分かってるよね(準備は良い)? 

 

『もっちろんっ!』

 

 

 △△△

 

 

 テイオーがスパートに入った。

 あいつがあのタイミングで入るってことは、あいつの中の最適解があそこなのだろう。

 だが、スペとの差は歴然だ。

 テイオーも速度を上げたため差は広がらなくなったが、依然としてスペが大きくリードしている。

 このままスペの体力が持てば勝てるだろう。

 

 

「「スペ先輩、ファイトー!」」

 

 

 だが何故かまだ、勝利を確信出来ない。

 テイオーが追い詰められているところを見たことが無いって言うのもあるだろう。

 しかし、それだけじゃない。

 

 何故かわからないが()()()があるのだ。

 こんな展開にはテイオーは今まで一度もなっていないはずだ。

 追い詰められたことなんて見たことが無い。

 それなのに何故……

 

 いや、有った。

 そして、何故確信が持てないか、その答えも分かった。

 思い出した。

 そして、これから嫌というほど思い起こされるだろう。

 

 

「おい、テイオー……

 お前まさか……

 いや、でもそれなら」

 

 

「どうしたんだ、トレーナー? 

 まさか逆転出来る方法があんのかっ!?」

 

 

「いや、まさかこの状況だったら流石のテイオーでも勝つのは難しいんじゃない?」

 

 

 お前らは知らないかも知れない。

 俺も実際見たのはあの一回きりだ。

 それにあいつは前に使えないとも言っていたはずだ。

 

 

「お前ら、ちゃんとテイオーを見ていろ。

 それが来るのは直線に入ってすぐのはずだ。

 それが、あいつが無敗でいる理由。

 あいつが練習による努力だけで強くなった訳では無いと言える切り札(JOKER)

 ()()の塊でもあることの証明。

 恐らく、有り得ない、考えられないことだが、スペは()()()

 

 

 

 

 ▽▽▽

 

 

 

 スパートに入る。

 

 前へ前へ、力を出せ。

 

 直線だ。

 

 最終直線までにもっと距離を詰めろ。

 

 ()には才能が無いって分かっているはずなのに、心では認めたくない。

 

 才能が無くても努力で差を埋めることは出来るって、そう思いたかった。

 

 

「くそっ、届かない……っ! 

 結局、私は駄目だったんだ……っ!」

 

 

 ちっとも詰まらない差に才能を嘆く。

 努力したはずだ。

 そこそこ強くもなれた。

 

 

 でも、才能(レベル上限)だ。

 僕はレベルが止まった。

 この身体にはまだ、上があることが分かるのに。

 僕では引き出せない。

 私には無理だった。

 

 だから、頼んだよ。

 

 

『分かったよ、()

 

 

 あぁ、そして学ばせてくれ。

 私が辿り着けなかった才能の向こう側を……っ! 

 

 

「『……っ! 行くよっ!』」

 

 

 ボクの合図で走り方が変わる。

 教えてくれ、その走り方全てを。

 

 脚の使い方、重心の位置、呼吸の仕方、腕の振り方、ピッチの速さ、ストライドの長さ、足の着く場所…………そして、()()()()()()()()()! 

 

 さぁ、答え合わせだ。

 今まで何が足りてなかったかの。

 次のレベルに行く方法を。

 

 

 

 △△△

 

 

「おいおい、何言ってんだトレーナー。

 あの状況からスペ先輩が負ける訳無いだ……ろ…………?」

 

 

「ウオッカの言うとおりよ。

 スペ先輩が何処からどう見ても有利じゃな……い…………」

 

 

 皆、テイオーの異常事態に声を失う。

 やっぱりだ。

 あいつの走り方が直線に入った瞬間、一瞬で切り替わった。

 スピードが上がる。

 そうすると開いていた差が目に見えて詰まり始めた。

 周りで見ていた他のウマ娘たちからもどよめきが起こる。

 詰める詰める、3馬身あった差が、どんどん詰まって行く。

 それはあまりにも残酷で、実力の差を物語っていた。

 そして、分かった。

 あれが皇帝の再来、帝王(トウカイテイオー)だと。

 

 

 

 ▽▽▽

 

 

 こんなにも違うものなのか。

 今まで気がついていなかったことが分かる。

 これが()()()の走り。

 僕はまだ結局のところ、生まれ変わっても()()の範疇に留まっていたようだ。

 この走り方は、人間では無理だ。

 

 身体を前に倒し、倒れながら進み、地面に倒れないように足で前に身体を押し出す。

 よく前世で巫山戯て言っているやつがいた

 “水面に足が沈む前に次の足を出して、その足が沈む前にその次の足を出せば水面を走れる”理論と同じだ。

 

 この走り方も人間では到底不可能な足の動かし方をしている。

 いや、そもそも他のウマ娘でも出来ないかも知れない。

 この身体の異様な柔らかさを余すところなく使い、バネのようにしなやかに跳ね、全てを前に進む推進力にしている。

 

 これを支えてるのは驚異的な体幹だ。

 どれだけ強い一歩を踏み出しても身体の重心はぶれない。

 僕も助けられてきたが、ここまで活用出来たのか……。

 才能の違いを感じる。

 身体のリソースの使い方が違う。

 

 でも、これで良いお手本を貰った。

 今、ボクだけが走っているが、僕も走りを重ねる。

 微力だけど、手伝うよ。

 

『っ! ……まったく……一緒に行くよっ!』

 

 更に一段階加速する。

 もう先輩との差は僅かだ。

 グラスワンダー先輩と戦ったときとは違う。

 今度こそ勝利をもぎ取ってやる。

 

 走ってみて分かる。

 (ウマソウル)をこの走りをしているとはっきり感じる。

 魂に刻まれた、この身体に最適化された、トウカイテイオーの走り。

 これなら行ける、次のステップへ。

 

 一歩、また一歩。

 踏み込む度に前へ進める。

 走ることが楽しい! 

 速くなれることが嬉しい! 

 進め、進め! 

 ゴールまであと100m! 

 

 そのまま先輩を勢いよく躱して、僕が先にゴールラインを通りすぎた。

 

 

 △△△

 

 

「テイオーが勝った……?」

 

 

「何よ、あれ……? 

 ちょっと、トレーナー! 

 あれが何なのか説明しなさい!」

 

 

 スカーレットに説明を求められるが、俺にも分からない。

 そもそも当の本人もあまり分かっていなさそうだった。

 

 

「俺にもよく分からん。

 ……が、あれがあいつの強さだってことだ。

 ますます、うちのチームに欲しいな」

 

 

 対戦していたテイオーとスペは息を二人とも整えた後、何か話をしているようだ。

 戦って芽生える絆ってところか? 

 それにしても、テイオーもあんな満足げな顔するんだな。

 今まで勝っても表情を変えないので、勝って当たり前って考えてるやつかと思っていたがそうでも無いらしい。

 多分それはあいつが前使えない、後一歩で掴めると言っていた走りを完成させて、それを使って勝ったのだからだろう。

 

 あいつらで話が終わったのか、最後に握手して、テイオーがこっちにやってくる。

 

 

「沖野さん、今日は勝負を用意してくれてありがとうございます」

 

 

 そう律儀に礼をしながら言ってくるもんだから、なんだか申し訳ない気分になってくる。

 

 

「お、おう、こちらこそ今日はありがとな。

 ……と、言っても特に俺が用意したものがあるわけでも無いが」

 

 

「でも、お陰様で次のステップへ行けたので」

 

 

 そう語るその目には確かに次が視えていた。

 その後、テイオーは疲れたので栄養補給してきますと告げてコースを後にした。

 レース前とは雰囲気が変わっていて、俺を見ているようで視ていなかったから、勧誘する気も引き止める気にもなれなかった。

 

 俺とテイオーの話が終わったのを見たのかスペが戻ってきた。

 

 

「うぅ〜、スズカさん、トレーナーさん、負けちゃいました……」

 

 

「スペちゃん、もうちょっとだったわね」

 

 

「いやぁ、惜しかったぞスペ。

 お前がスパートに入るタイミングは少し早かったが結果的にはあれぐらいで正解だったな。

 だが今回は、相手も強かったな。

 しかし、色々学べただろ? 

 マークずっとされてどうだった?」

 

 

「とっっっても、走りにくかったです!」

 

 

「だろ? 

 だからといって対策は出来ないんだけどな。

 対処と言えば今日のお前の中盤までの対応はとても良かった。

 マークされても怯まず、ペースを崩さず自分の走りに専念した上で力で勝利する。

 それが、思ったより難しいんだがな」

 

 

 今日のスペは結果的には悪い走りはしていなかった。

 マークされるのは馴れても走りにくいことが多い。

 それでも、ちゃんと途中までいつもと同じ走りを出来ていたスペはよく耐えたと言えるだろう。

 たが、今日のテイオーの走りは異常だった。

 

 

「そうなんですか……

 あっ、スズカさんならいつもどんなことを意識してますか?」

 

 

「えっと……私は、ただ先頭を走り続ければいいから、周りを気にしてないから……

 うぅ……ごめんなさい、何も良いアドバイスが出来なくて」

 

 

「いえいえ! とんでもないです!」

 

 

 スペが手を大きく振りながらスズカに自分は大丈夫だと伝えている。

 スズカみたいな独特な感性の持ち主は、アドバイスするには向いてないな。

 スペの質問に答えられなくてシュンとしているスズカを見てそう思う。

 

 

「テイオーさん強かったな〜。

 そういえばさっき、テイオーさんと約束したんですよ! 

 今度また走ろうって! 

 次こそは強くなって負けませんよっ!」

 

 

「そうかっ! 

 じゃあ、これから頑張っていくぞ! 

 スペはまずは、次の弥生賞に向けてだな。

 ウオッカとスカーレットはデビューに向けて、頑張っていくぞ!」

 

 

「「「おー!」」」

 

 

 チームも纏まったことで今日のチームとしての練習は解散とした。

 

 俺の右手に握られていたストップウォッチには2.01.4と刻まれていた。

 

 

 

 

 _________________________

 _________________

 ___________

 

 

 

 

 

 校外ではちみーを買い、校内のベンチで休憩していると、マックイーンさんが近寄ってきて、僕の隣に座った。

 

 

「テイオー、お疲れさまです。

 さっきの勝負、とても良かったですね」

 

 

「マックイーンも観てたんだ。

 ボク、ホントにギリギリだったから、勝てて嬉しかったよ。

 スペちゃん強かったな……」

 

 

 まぁ、あれだけやっていれば観ているだろう。

 しかし、本当にギリギリの戦いだった。

 垂れてくると思ったが、結局垂れてはこなかった。

 最初は僕だけでどれだけ行けるか試してみたが、やっぱり駄目だった。

 ()には、才能が足りなかった。

 でも、(ボクたち)にはある。

 そして、今回で掴めた。

 ボク()だけで出来るはずだ、(ボク)の補助無しでも行けるようになれる。

 これで、次のステップへ踏み出せる。

 

 

「……テイオー? 

 熱でもあるんですか?」

 

 

 マックイーンさんが顔を覗き込んで来るので、少し後ずさる。

 

 

「ど、どうしたんですか、マックイーンさん? 

 別になんともないですけど……」

 

 

「い、いえ……。

 何でも無いですわ」

 

 

 マックイーンさんの様子が少し変だが、まぁ気にしない。

 

 あぁ、才能が欲しかった。

 だが、手に入れれなかった。

 だけど、才能が有ったときに辿り着くゴールは分かった。

 まだ天才になれずとも、秀才にはなれる。

 僕を縛っていたレベル上限が1つ取り払われた。

 

 口元から鈍い乾いた音がした。

 どうやら舐めていたはちみーがいつの間にか切れていたようだ。

 

 

「マックイーンさん、ボクは練習に行きますね」

 

 

「あんなに走った後なのですから、少しは休んだらどうですの?」

 

 

「さっき掴んだ感覚を確かめたい、忘れないうちに走っておきたいんですよ」

 

 

 そんなことを言っているが、もう絶対に忘れない。

 情報は魂に刻まれている。

 それを引き出せるようになれば、自然と使えるはずだ。

 

 

「ま、テイオーならそう言うと思っていましたわ。

 貴女の走りを観てわたくしも頑張らないと、と思っていたので頑張るとしますわ」

 

 

 そう言って、二人でベンチから立ってトレーニングコースに戻る。

 

 

「ところでテイオー。

 ずっと気になってたんですけど、貴女って勉強しなくて大丈夫ですの? 

 いつも走ってて、それ以外でもゲームしかしていないような気がするんですけど」

 

 

 歩いていると質問が来た。

 ここは真面目に答えておこう。

 

 

「ふっふっふっ……マックイーンさん。

 僕はレースの才能は足りなくとも、勉強など走ること以外に関しては天才なんですよ。

 勉強なんてしなくても授業をうければ、学年トップなんて余裕ですね」

 

 

 どや顔で言うが、殆ど嘘である。

 確かに才能はあるが流石にそれだけでは学年トップにはなれない。

 そこに前世の知識と前世と少し違う歴史の勉強を加えれば最強だ。

 

 

「ふふっ、良かった。

 いつものテイオーですわね。

 あまり辛気臭い顔しないでください。

 考えこみすぎると視えるものも視えてこなくなりますわ」

 

 

 マックイーンさんは、僕のことを心配しててくれたのか。

 とても嬉しい。

 こんな友達がいて軽く感動してしまう。

 

 

「……でも、テイオー。

 貴女、授業態度は最悪だって噂で聞きましたよ。

 何でもずっと寝ているんだとか……

 そんな貴女が授業を受けるって変な話じゃありません?」

 

 

「え、えぇーっと……」

 

 

 前言撤回だ。

 何でそんなことを知っているんだよ……っ! 

 はっ……! 

 出会ったときの相手の印象は何だったか思い出せ。

 このヒトは、元ストーカーだ。

 いやそもそもストーカーでも無いのだが、僕の中での印象が強すぎる。

 

 

「テイオー? 何とか言ったらどうですの?」

 

 

「し、失礼しまーすっ!」

 

 

 こうなったら逃走だ。

 

 

「ちょっと待ちなさいテイオー! 

 逃げてはぐらかそうとは良い度胸ですねっ! 

 疲れているのに逃げ切れると考えるとは、何が走ること以外は天才ですかっ!」

 

 

 トレセン学園アスファルト∞mの競争がスタートした。

 僕が逃げで、マックイーンさんが差しだ。

 僕は初めて自分の意志でトウカイテイオーの走りを使って逃げた。

 

 勝敗はボクのスタミナ切れでマックイーンさんの勝利だった。

 捕まってしまって勉強はたまに教科書を読んでるだけで、まともにやってるのは歴史(それも少し)だけと正直に答えたら、嘘をつくならもうちょっとマシな嘘をつきなさいと言われてしまった。

 信じて貰えなくて少しショックだった。

 

 

 

 

 因みに次の日に今度はマックイーンさんも一緒にエアグルーヴさんに注意をうけた。

 マックイーンさんがいるおかげか、前回より遥かに短かったので、マックイーンさんに感謝を伝えると、そもそも貴女が逃げなければ……と言われたのが、なんだか出会った頃みたいで少し懐かしかった。

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