トウカイテイオー転生もの   作:ふらんそすきぃ

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 大変おまたせしました。


弁当販売

「ゴルシちゃん特製、謎弁当だぞ〜。

 中身は開けるまでのお楽しみ! お一ついかが〜」

「……いかが〜」

 

 日本ダービー当日の昼。何故かボクはゴルシに付き合わされて弁当販売をしております。

 

「ちょっとすみません、何が入ってるんですか?」

 

 欲しいのだろうか? ボクに内容物を聞いてくる。

 この弁当を買うというのは、あまり良い選択では無いぞ。

 

「カレーやたこ焼き、海鮮丼、カツ丼などなどです」

「などなど……?」

 

 そりゃあ、反応もそうなる。他にも、()()唐揚げ弁当や日の丸弁当もある。

 因みにゴルシの決めたお値段は低めに設定されている。儲けより娯楽寄りなのだろう。

 ……安くてもこんなに怪しいやつ買う人居るのか?

 

「因みに何が欲しいですか?」

「えっと、カツ丼です」

 

 ゴルシにバレないように裏取り引きだ。売上が出るなら良いことだろう。

 それじゃあ、カツ丼か。じゃあ……多分これかな。

 入れ物を揃え、外見を完全に一致させるのは、コスト削減とガチャ要素を高めるのに大いに貢献している。

 

「どうぞ、恐らくカツ丼です」

 

 かごの中から一つ一つ探ってお目当てのものを渡す。

 殆ど直感に等しいが、9割ぐらい合っているはずだ。何故か最近、()()には優れている。

 

「開けて確認して……じゃなかった。開ける前にお駄賃頂くのが一応決まりでして……」

 

 そう言うとお客さんは財布から百円玉を3枚取り出し、ボクが受け取ったので開けても大丈夫ですとアイコンタクトで伝える。

 開けるとそこにはちゃんとカツ丼が有った。良かった。

 しかも湯気が立ってる。どういう技術だ? 

 中身を確認してお客さんは嬉しそうな顔で食べ始めた。美味しそうに食べていたと後でゴルシに伝えておくか。

 

「すみません! 僕にも一つ」

 

 その様子を見ていたのか声をかけてくれる人がいた。そっちに駆け足で行き、注文を聞き、探し当てる。

 何が入っているかは謎だが、味は美味しいし、安いので中身が知れるとなると飛ぶように売れた。

 

 ……本当に何故普通に売らないのだろうか。

 

 □ □ □ □

 

 完売したのでスピカのメンバーの下に戻ってきた。

 

「ただいま〜」

「お疲れ様ですわ」

 

「げ、テイオーまさか、あの闇弁当を完売させちまったのか?」

「やるじゃない! 全然売れないかと思ってたら案外売れるものなのね……」

 

 褒められまくって自己顕示欲がどんどん満たされる。

 

「おっ、テイオー、ゴルシの手伝いは終わったのか? 

 ……って売り切っちまったのか。いやー余ってたら頂こうと思っていたんだが、これは失敬失敬」

 

 ボクも完売できるとは思ってなかったよ……。多分この感じだとトレーナー、今日の昼売れ残りで済ませようとしてたな。

 ここ最近のお財布都合はあまりよろしく無いのだろう。パーティーとかを自腹で全て済ませようとしてるから厳しくなっているに違いない。

 多分、今日もこの後スペちゃんが勝つことを予想してお金を用意しているのでカツカツなので、こうして売れ残りを頂こうとしてたと思われる。

 

 流石にゴルシの方も売り切れたなんてことは無いだろうし、お昼ごはんにはありつけないことは無い気がする。

 

 ────────────

 ────────

 ────

 

「テイオー! どうだった!? 

 アタシは売り切ったぜ!」

 

 売 り 切 れ て ま し た。

 あのートレーナーさん。口からキャンディー落ちましたよ。開いた口が塞がらないとはこういうことなのだと実感できる開きっぷりだ。放心状態で閉まる様子がない。

 

「あの、トレーナーさん。良かったらどうぞ」

 

 そんなトレーナーに思わぬ所から助け舟が来た。スズカさんがボクとゴルシがさっきまで売りさばいてたあの外見の箱を持っていた。

 そういえばボクから一番最初に買ってくれたのはスズカさんだったな。

 

「スペちゃんの気持ちを理解しようと思って2つ買ったんですけど、一つでお腹いっぱいになったので良かったら……」

「恩に着る! スズカ!」

「ひゃいっ!」

 

 物凄い勢いで弁当と箸をスズカから受け取り、蓋が開けられるとそこには見覚えのある海鮮丼があった。

 

「お、あれはテイオースペシャル海鮮丼じゃねぇか!」

「ゴルシ、言わなくて良いから!」

 

 ボクなりに精一杯やったんだぞ。形は少し歪でも、素材が美味いから多分美味しいはず……はずさ! 

 

 トレーナーはというと、頂きますと一言言うと、弁当に貪りついていた。

 自分が作ったものを食べてもらえるのはちょっと言葉にしにくい感情だな。こう……嬉しいような、恥ずかしいような、少し怖い気持ちもある。

 

「へぇ……テイオーが作ったんですの。中々上手ですね」

「マックイーン、そう思うだろ? 

 でもな、テイオーのやつ最初はほんとに全然ダメダメで、指切り落とすんじゃないかってヒヤヒヤしたんだぜ」

「あー!! 言わなくて良い! 言わなくて良いから!」

「まぁ、結局怪我せず終われて良かったじゃねーか」

 

 それはそうだが……。実際ボクが一人で全部やったわけではなく、ゴルシが付きっきりで教えてくれた。

 そもそも料理は前世でも全くやったことが無いし、転生してからも触れてない。本当に調理実習ぐらいでしか包丁を持ったことのない初心者の中の初心者だ。

 慣れるのが早いタイプなので教えてもらう中で少しずつ様になっていって、どうにか形となった。

 

 とはいっても商品にしても良いのか? と思い、質問したが、ゴルシに「元々何入ってるか分かんねーしへーきへーき」と言われてしまったので5個交ぜて貰った。

 ある意味激レアだ。

 

「いやー、それにしてもテイオー。売れたのはお前のおかげだな。アタシのやつを買ってくれたやつ、お前が売ってたのと同じやつか? って質問してきたからな。

 

 おい、────ひょっとして、中身明かして無いよな? 

 

 耳元で囁かれて背筋がゾッとする。

 

「そ、そんなわけ、無いじゃん……。ボクとゴルシの約束だよ? 

 だ、だいたいボクが中身分かる訳無いじゃん。ゴルシも分からないでしょ?」

「いや、分かるぞ。テイオーも分かったんじゃ無いのか?」

「え?」

 

 なんのことやら……。あのブラックボックスに違いなんてあったのか。

 

「スズカ食べ終わったやつくれねぇか?」

「良いけど……」

 

 ゴルシがスズカさんから受け取った中身の無いブラックボックス(食べ終わった弁当箱)を見せてきて、底に指をさす。

 

「ほら、ここ。点があるだろ? これの数で何か分かるようにしてるんだよ」

 

 それ気づいてもどれが何個なのか知らないんだよね……。

 

「あれ? ほんとに知らなかったのか?」

「え、そうだけど……」

「マジか……疑ったアタシが悪かった。すまん」

 

 ……なんだろう、この罪悪感は。

 実際にその見分け方は知らなかったんだが、約束を破ってたのはボクなんだよね。それなのに頭を下げられて謝られているこの状況、違和感も罪悪感もそれはもう込み上げてくる。

 

「えーと、ゴルシ……実はね……?」

「あ、さっき言った見分け方は嘘だぞ」

「……え?」

 

 これってもしかして誘導尋問に嵌められる寸前だったのでは? 

 ……セーフ、なんとか助かった。

 

「アタシが適当に言った冗談だっつってるの。

 もしかしてあれか? 渡す前に中身確認したわけじゃねーよな? もしそうだったら……」

「もしそうだったら?」

「今日のスペの祝賀会は、テイオーに全部片付けをやってもらうことになるぜ」

 

 地味にキツイ。いや、地味どこかかなりきついぞ。

 スピカも結構大所帯になったし、何より今日のお祝いをすることになるならば祝うのはあのスペちゃんだ。

 しかもマックイーンも結構食べる。自腹で払うかもしれないトレーナーが、こんなに節約しているのも無理もない状況だ。

 

「中身は確認してないよ」

「中身()確認してねーのか。

 ────命拾いしたな

「ぴぇっ」

 

 耳元で囁かれて、変な声が出てしまった。腰が抜けて後ろに倒れそうになると、マックイーンが支えてくれた。

 

「ほら、テイオー。そんな悪い人の近くじゃなくてこっちにおいで下さい」

「マックイーン……お母さん……?」

 

 ふと優しい顔をするマックイーンを見てそう思う。

 

「誰がお母さんみたいですか!」

「確かにマックイーンの胸じゃ、ママは無理だな」

「そういうことではありません!」

 

 マックイーンのボディは相変わらずスラーと……えっと、スレンダーな体型でかっこいい……かっこいい? です。いや、やっぱり可愛いです。

 

「マックイーン……気にするな。いつかおっきくなるもんな」

「そんな哀れみの目を向けないでくださいまし。それを言ったらテイオーだって……」

「ボクはまだまだ成長期だから……」

「私だってそうですわ」

 

 不毛な争いが一瞬始まろうとしていた。戦いの火種になりそうであったゴルシはデカい。それはそれは。

 ボクとマックイーンの争いなんてレベルが低すぎるぐらいには違った。

 この話は止めよう。

 

「あー、スペちゃん大丈夫かな……?」

 

 ふと思考を変えようとレース場の方を見ると不安が募ってきた。もうちょっとしたらパドックにダービーの出走バたちが集まる。

 それから出走するまでも、ある程度時間はある。

 早く結果が知りたいという気持ちと、永遠に結果が知りたくないという矛盾がせめぎ合う。

 

「おいおい、まだまだ時間はあるぜ。そんなんで大丈夫かよ?」

「やれることはやったんだし、私達は応援するだけよ」

「ウオッカとスカーレットの言うとおりだぞ、テイオー。

 後、俺たちに出来ることは、日頃の練習の成果を見届けるだけだ」

 

 とても良いことを言っているトレーナーだが、弁当を食べながらそう言う姿はなんとも締まらない。

 だが、あんまりにも美味しそうに食べるので料理した者としてはとても嬉しい。

 

「トレーナー、美味(うめ)えか? それ」

「おう」

「だってよテイオー、良かったじゃねぇか」

「……良かった」

 

 作ったものを良かったと伝えられることは、作って良かった一番実感できる瞬間だと思った。

 でも自分から感想を求めるのはちょっとハードルが高い。コミュニケーション強者なら出来るのかな? 

 

「そーだ! スペのやつにちょっと会いに行こうぜ!」

 

 何の脈略もないいきなりの提案がゴルシからなされる。

 

「ちょっと! さっきここで見守りましょうってなったじゃない!」

「分かってねーな。こういうのはちゃんと近くから伝えることに意味があるんだっつーの。

 つべこべ言わずさっさと行くぞっ! 善は急げ! 

 てことで、スズカに続けぇ〜〜!」

「えっ、私?」

「何ボケ〜ってしてるんだ、行くぞっ、スズカっ!」

「え、えぇ……」

 

 半ば強制的だったがスズカさんを仲間に引き込み、スピカの皆で行くぞという流れになる。

 

「じゃ、トレーナー位置取り頼んだぜ!」

「しょーがねーな……レースが始まるまでにはもどってこいよ」

 

 ──ただし、トレーナーはお留守番だが。

 

 




 感想、評価、誤字報告ありがとうございます
 不自然なところで終わってすみません……。
 次は一週間以内に投稿したいです。

 あと、アンケートよろしくおねがいします。
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