最近はここ好き機能でみんながどんなところが好きなのか知るのが趣味です。
それでは本編どうぞ。
ー追記ー
投稿時に有り得ないミスをしていました。
ご報告ありがとうございます。
「あら、お久しぶりですわね、トウカイテイオーさん」
「うっ、悪かったってば……」
スズカさんと会えた翌日、ボクはいつも通りの生活に戻るべく登校していた。
学園内の木々は葉を落とし、ボクたちは反対に厚着になっている。
「チームの皆も貴女のことも心配してましたわ。
スズカさんのことでヒリヒリしているのですから、ちゃんと大丈夫なのであれば元気であることをアピールしてくださいまし」
「……分かったよ。皆に迷惑かけちゃったもんな」
はぁ……とため息がこぼれる。
昨日、寮に帰ったときのことを思い出す。
□ □ □ □
それまではマヤノと会わないように可能な限り遅く帰っていたが、心が少しスッキリして何も考えず"スズカさんと会えて良かったなー"と思いながら寮に帰った。
ガチャッという音を立てて部屋の中に入ると、
「あっ!!! テイオーちゃん!!
どこ行ってたの!?」
と、元気いっぱい……ではないか、怒りに満ち溢れたマヤノに迎え入れられ、床に座らせられる。
「何かマヤに言っておくべきこととかないの?」
「えっ……と、ごめんなさい?」
「そんな気持ちの籠ってないごめんなさいはいらないもん!
ねぇ、テイオーちゃん? 朝起きても寝る前にもいなくて、マヤがどれだけ心配したか分かる?」
「……ないです」
「テイオーちゃんのそういう素直なところは尊敬出来るけど、今はそうじゃないでしょ!」
マヤノからの純粋な心配の気持ちが伝わってきて胸が苦しい。
「じゃあテイオーちゃんには、今日マヤが寝るときの抱き枕になってもらいまーす☆」
「えっ」
「それじゃあまずは抱き枕が汚かったらやだから、一緒にお風呂入ろ!」
「えっっ」
「そうと決まったら行くよっ!
混んでるところテイオーちゃんあんまり好きじゃないでしょ?」
「そうだけど……」
早く行こ! っていう目で床に伏せる臣下を見つめる女王様に、しょうがないな……と生意気な思考をしながら立ち上がって期待に応えようと準備を始める。
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「……イオ―、テイオー?」
ちょっと昨日のことを思い出しているとマックイーンが心配そうに見てきた。
「あ、ごめん。
ちょっと昨日のこと思い出してて……」
けっこう大変だったのだ。
お風呂でもみくちゃにされ、夜も抱き枕にされこっちは中々寝付けず、朝は逆にマヤノが起きず全力で起こさないといけなかった。
でもそれがいつも通りでは無いのに、どこか日常に戻ってきた気がした。
「全く……ぼんやりし過ぎてると危ないですわよ」
「そんなに心配しなくて大丈夫だって、ばっ──と。
……気を付けます」
気を付けろと言われたそばから普段は躓かないような軽い段差で躓いた。
自分で思っているよりも今のボクは不安定なのかもしれない。
「そんな様子で授業は大丈夫ですの?」
「何言ってるの、マックイーン。
授業は前から寝てるよ」
自信満々にそう言うボクにマックイーンはジト目でこちらを見てくる。
なんだよ、いつものことなのに。
「まぁ今に始まったことではないですがある程度真面目に受けてくださいまし」
「善処します」
そんなつもりはないけれど。
マックイーンもそれは分かっているだろう。
□ □ □ □
「おや、テイオー。久しぶりだな」
「か、カイチョー……。お久しぶりです」
授業を睡眠で乗り越え、ボクが真っ先に教室を出て向かった先は生徒会室だった。
スピカの練習の前に誰に顔を見せておくかと考えた時に、パッと思い浮かんだのがカイチョーだったからだ。
かといって特に何も考えずに来たため、何を話せば良いのか分からない。
そんな部屋に入ってから何も話さないようなボクに、取り敢えず座ったらどうだとカイチョーに勧められたので素直に従った。
「私からテイオーに言うことは特にはない。
テイオーの人生だ。悩み、迷い、一歩一歩前に進めば良い。
今回の行動はあまり褒められたことではないかもしれないが、私は仲間のことを大切にしているのだなと感じ、少しほっとしたよ」
「別に学園に来ていなかったことは怒っていないさ。
こんなことを生徒会長として言うのはよろしくないが、テイオーの成績ならテストさえ受ければ教師たちも目をつぶってくれるだろう。
私としてはそれよりも誰にも見つからないように行動している方が心配だった。
入学当初の頃のテイオーが思い出されてな。
どこかへ消えていってしまうのではないか……とな」
カイチョーからも純度100%の心配の言葉をうけ、胸が締め付けられる。
少しだけ甘えて弱音を吐こうとする。
コンコンコン。
ノックの音が鳴り響く。
……が、ボクが口に出そうとした言葉はのどを通ることは無く、すっと胸の奥に戻っていった。
扉が開いて出てきたのは副会長のエアグルーヴだった。
「失礼します。
……すまない、テイオー邪魔したか?」
「大丈夫、大丈夫!
何でもないから、ボクは昼食食べて来るね。
じゃあね、カイチョー!」
「あ、あぁ。
またいつものように遊びに来るといい」
そう言われボクは逃げるようにソファーから立ち上がり、勢い良くエアグルーヴの横をくぐり抜けて、生徒会室を出ていった。
逃げ適性が少し増えている気がした。
□ □ □ □
「トレーナー」
「テイオーか。
……どうだ調子は?」
「平気平気……ってほどでは無いけど大丈夫だよ」
「そうか……なら良かった」
昼飯を食堂で食べ、スピカの部室に行くと丁度トレーナーと会った。
トレーナーの顔はげっそりとしていたが、ボクを見ると安心したように微笑んでくれた。
「その……ごめんなさい。
迷惑かけて」
「謝らなくていいんだ。
精神的にきてたのはお前だけじゃない。
スぺを筆頭にチームの奴ら全員きていたさ。
……もちろん俺もな」
それは言葉以上にトレーナーの目が語っていた。
トレーナーのことだ。
怪我したのは俺のせいだ、と考えていたのだろう。
でもあんなに絶好調だったのだ。
実際
どう考えても誰もがあんなことになるとは予想出来るわけがない。
シーンと音が聞こえるほど静かな部屋だったが、いきなりドカンと大きな音を立ててドアが開かれた。
「おーっす、テイオー。練習いこーぜー」
「ちょっとゴールドシップさん! 今、トレーナーとテイオーが話してるみたいだから入るのは少し待ってからにしろ、って言ったのはなんですの!」
「別に良いだろ? どうせ会話ももうすぐ終わるとこだったんだ。
この空気読みマスターのゴルシ様が言うんだから間違いねーはずだ」
しんみりとした空気感が漂う部室に騒がしい風が流れてくる。
「あのなぁゴールドシップ。
……ま、それもそれでいっか。
早く
どうせ、ここ数日走ってないんだ。
たっぷりしごいてやれ」
「合点承知! マックイーンも手伝ってくれるよな?」
「もちろんですとも。
ビシバシと、たとえテイオーの心が折れそうになったとしても
ボク抜きでどんどん話が進んでいき、このままではマズいと勘が告げている。
ひっそりと逃げようと、ゴルシが勢い良く開けたため若干開いているドアを音をたてないように慎重に開けていく。
「おい、なに勝手に逃げようとしてるんだ……?」
「私から逃げようなんて100万年早いですわ。
さあ練習しますわよ」
後ろから声が聞こえたと思ったら、身体が浮遊感に包まれる。
下を見て状況確認をするとゴルシがボクの身体を持ち上げていた。
「相変わらずかっるいなーお前。
ちゃんと食ってるか?」
「……食べてるよ。マックイーンほどでは無いけど」
完全に逃げることを諦め、なすがままにされるがマックイーンに些細な弄りを入れる。
「テイオー……。
私と貴女、どっちの方が多く食べていますって?
毎日のようにはちみーを摂取している貴女と、泣く泣くスイーツを我慢して体重維持に努めている私のどちらが食べているかなんて……。
比べるまでもありませんこと?」
しかしその弄りは想像を絶するほど簡単にマックイーンを沸点まで加熱した。
やばい。しかもさっきより。
「おい、テイオー。マックのやつ滅茶苦茶怒ってるぞ」
「言われなくても分かるってば」
ボクを持ち上げていたゴルシはボクを降ろして、耳打ちしてくる。
「えーっと、ゴルシちゃんはこれで失礼しまーす」
流石空気読みマスター。逃げるタイミングが完璧だ。
ボクという足手まといは置いてさっさと逃げるつもりだ。ずるい。
「ゴールドシップさん? 貴女もテイオーの練習に付き合って貰いますわよ」
だが、そこにいる鬼は許さなかった。
テイオーすまん、と一言だけ言って後ろからボクの肩を掴んだ。
「ま、マックイーン?
話せば伝わるとボクは思うんだ。
この前みたいにゆっくり話そう?」
「いいえ。まずは芝2000mを20周して来てから話しましょう。
そうしたら反省する気が湧くのでは?」
ほぼフルマラソンじゃん……! と戦慄し、助けを求めるがゴルシは逃げない方がマシだと伝えてくるし、トレーナーは意外と合理的だなと感心して助ける気はないようだ。
「安心してください。
私も一緒に走りますのでペースが落ちてきたりしたら何時でも教えてあげますわ」
「……」
そうじゃないだろ。ボクはとてもそう言いたかった。
ゴルシもついでに走らされていた。不憫だ。
因みに帰ってからへとへとすぎて、この日もマヤノとお風呂に入ったとさ。
次も一週間後ぐらいに出します。