トウカイテイオー転生もの   作:ふらんそすきぃ

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趣味

 あのあとまたリギルに行ってみたが次は誰かと勝負するなんてことは無く、普通に見学させてもらった。

 良いチームだと思うが1つしか見ないで決めてしまうにはまだ時期も早いし、選抜レースまで時間もあるので保留にさせてもらった。

 

 練習では覚醒モードのときのことを練習し始めた。

 ちなみに覚醒モードっていうのは、その名の通りのあの状態に入ったときのことで、名前は、さっき適当に付けた。

 成果は少し真似したときの速度が速くなった程度にしか現れていないが、一度だけ使えたときがある。

 それはある模擬レースのときだ。

 

 

 その時の模擬レースは3000mだった。

 このレースで気が付いたが、僕は燃費があまり良くない。

 その燃費の悪さを補うスタミナが足りていない。

 僕と同じ程度の総合力の持ち主が戦ったら、1800〜2400mでは僕が勝てるだろう。

 有記念の2500mぐらいでもギリギリどうにかなるかもしれない。

 しかし、3000mを越えるとおそらく厳しい。

 だから頭で考えている速度の一段階落としてスタミナ消費を軽くして走らないとスタミナ切れでスパートに入る前に落ちていってしまう。

 

 つまりこのとき、そのことに全く気が付いていなかった。

 そんなスタミナ切れで身体が重く、前にいけない僕を引っ張ってくれるように、(トウカイテイオー)は直線に入ってすぐ()を覚醒モードに引きずり込み、身体を構成するもの全て駆使してどうにか勝ってくれた。

 ちなみにゴールしたあと、僕は反動で倒れて動けなくなり、救護班に保健室に運ばれた。

 しばらく休んだら動けるようになったが、次の日は全身が痛くてまともに動けなかった。

 

 このときの屈辱からプールでスタミナを鍛えはじめた。ちょっとずつでも今から始めていれば、たぶんクラシック唯一の長距離レースの菊花賞には間に合うだろう。

 三冠への道は遠い。

 

 そんなこんなで走ったり、プールで泳いだり、はちみーを舐めていたりしたら、いつの間にか夏休みに入っていた。

 走ることには変わらないが授業が無い分暇だ。

 課題は適当に終わらせてある。だから、本当に走ることしかやることが無い。

 

 両親に家に帰ってきたほうがいいか聞いたら、『無理に帰って来なくていいわよ、学校の友達と仲良くしてなさい。一人ぐらい出来たでしょ?』と、母親から来たのだが、その優しさで僕は傷ついた。

 マヤノはいつも何処かで誰かとふらついていたりして居ないし、会長もなんかいつもより忙しそうだったからかまってほしいなんて言えない。

 

 つまり、僕はどうあがいても暇なのだ。

 友達がいない弊害がここに来て明確に現れた。

 辛い……

 

 

 そんなわけで趣味を見つけることにした。

 一人で出来て楽しいもの。

 前にマヤノにも言われたのだ。走ってばっかで趣味とか無いの〜?って。

 大きなお世話だとその時は思っていたが、一日に走れる量にも限度がある。

 しかも日本の夏は暑すぎて、長時間走るといつか死にそうだ。だから、何か趣味を見つけてみよう、と思ったわけだ。

 

 手軽に始められそうなのはやっぱりスマホゲームかな。いつでも出来るところが魅力的だ。

 前世でスマホを初めて触ったときに少しやったきりやっていないが、何かやってみよう。

 そう思って家族と連絡取るために入れたLANE以外初期から何も変わらないスマホを開く。

 

 

 お金ならお小遣い兼生活費として両親から毎月中学生に送る額か?って量が送られてきているが、主な出費が朝夕のはちみーとたまに買うキャンディ以外無いのである程度の額が溜まっている。

 たぶん年頃の女の子としてオシャレとかに使ってほしい思いもあるだろう。

 だが残念かな。制服と体操着、ジャージ以外で今のところ出掛ける予定は無いので、一切買っていない。

 とんだ親不孝者の僕を許して下さい。

 

 アプリストアを見てみると、課金で強くなれる感じのゲームが蔓延っていることがなんとなく分かった。

 そんなに課金しなくても遊べそうな音ゲーで評価が高いものをインストールした。

 ダウンロードが終わりアプリを起動する。

 画面表示が横向きに切り替わったので両手に持ち変える。おっと、データのダウンロードがあるようだ。

 

 しばらく経つとダウンロードが終わったようで画面が切り替わる。

 チュートリアルか、上からノーツというのものが降ってくるので親指で押して、どうすればいいか学ぶ。

 それが終わるとストーリーが流れて始めて終わるとスタート画面に戻った。

 

 これから自由に出来るようだ。

 取り敢えずプレイを押して曲選択に移る。

 何も知らない初心者なので取り敢えず一番最初の一番簡単な難易度をプレイする。

 

 うん、思ったより出来た。

 チュートリアルの説明通りやったら、どうやらフルコンボがとれたらしい。

 難易度を一つ上げてプレイしてみる。

 前より難しいがまたフルコンボできた。

 もう一つ上げてその曲の最高難易度でやってみると、流石にフルコンボは無理だったが2ミスだ。

 

 これは結構楽しい。

 他の曲もやっていく。

 新しい曲が追加されたと思いやろうと思ったが説明が出てくる。

 どうやら曲を新しく解放するには課金で完全版にする必要があるらしい。

 価格は240円とはちみーより安いので、まぁこれだけ楽しめているから払っても良いだろう。

 午後の走りに行くときに帰りにコンビニでプリペイドカードを買うことにして、ゲームを閉じて食堂に昼ご飯を食べに行った。

 

 

 

 

 いつもよりちょっと早く走り終えた後、コンビニによって1500円分のカードを買い、毎度おなじみはちみーも買って部屋に戻る。

 

「テイオーちゃんおかえり!」

 

 マヤノがいつもどおり僕におかえりと言ってくるので、ただいまと返す。

 マヤノはベッドでスマホを見ていたようだ。

 只今絶賛趣味探し中の僕は、普段は気にしていないが何を見ているか聞いてみることにした。

 

「マヤノは何見てるの?」

 

「マヤはね〜今ウマスタグラム見てるの! ほらほら見てみて! 

 大人なウマ娘さんたちがこうやってオシャレな自撮りとか上げてるんだよ〜。

 はぁ〜、マヤもこんなふうになりたいなぁ〜」

 

 どうやらSNSを見ていたようだ。

 

「マヤノはSNSやってるの?」

 

「もっちろーん! ねぇねぇ、テイオーちゃんも始めよーよー!」

 

「……考えておくよ」

 

「ぶ~ぶ~、まーたそうやって逃げるつもりなんだね! マヤ分かってるもん!」

 

 いつものように適当に返したら、これまでの共同生活の中で学ばれてバレていたようだ。

 

 ま〜ま〜やるからやるから、と言いつつ買ってきたプリペイドカードの裏を十円玉を財布から取り出し削ってコードを打ち込んでいく。

 

「テイオーちゃんがプリペイドカード買ってる……! 大丈夫、テイオーちゃん? なにか騙されて無い?」

 

「大丈夫だって、僕が使うから」

 

「あのはちみつドリンクしか買わないことで有名なテイオーちゃんが……あわわわ……

 明日はいきなり雪が降ってくるかも……」

 

「今は夏だから流石に……」

 

「そういうことじゃなくてっ!

 も〜例えだって〜!」

 

 頭が固いよ〜と、マヤノに遠回しに悪口を言われている気がするが気にしない。

 上手く入金できたようだ。ゲームを起動しゲーム内で完全版を購入する。

 

「テイオーちゃん、ゲーム始めたの?」

 

「うん、音ゲーね」

 

「ふーん……マヤ分かっちゃった! 

 テイオーちゃん誰も遊ぶ人がいなかったから暇だったんでしょ? 

 しょうがないなぁ〜、テイオーちゃん! 

 今度マヤと一緒に遊びに行こっ!」

 

「え、別に行かなくてもいいんだけど……」

 

「も〜テイオーちゃん! そんな感じだから友達増えないんだよ! 

 ほらほらマヤと2人でカフェとかショッピングとか行くよ! 

 マヤ知ってるんだからねっ。テイオーちゃん部屋着以外の私服何も持ってないこと」

 

 ぎくっ……

 マヤノから放たれる言葉の槍がグサグサ刺さる。

 

「わ、分かった……行くよ」

 

「やった〜! 約束したからね! 

 じゃあね、じゃあね、うーん……。

 今週末の日曜とかどう?」

 

 まぁ、何時何時(いつなんどき)でも走ることしか予定が無いので、僕は行ける。

 

「いいよ。ってマヤノ僕が走ることしか予定に無いこと知ってるでしょ?」

 

「ふ〜んだ! マヤそんなこと知らないもん!」

 

 これは何時も僕が塩対応していることへの可愛い反撃だろう。

 

「予定はね〜まずは服買いに行くよ! テイオーちゃん制服しか外に出歩ける服無いでしょ? 

 そこで服買ってそのままカフェとか回ろうね!」

 

 無言で頷く。

 僕はこういうことはなんにも分からないので、もう全てマヤノに任せてしまおう。

 

「じゃあマヤはお風呂行ってくるね!」

 

 話にキリがつくと勢いよく部屋を飛び出して行った。

 全く人騒がせなやつだ。

 まぁそういうところがマヤノの良いところだろう。

 

 僕はというと風呂は空いてる時間帯に行きたいので入るのはかなり後だ。

 マヤノが戻ってきたらいつもどおりに、食堂で晩ご飯を食べてそのまま風呂に向おう。

 それまで音ゲーを楽しむとするか。

 

 そうして音ゲーを楽しんでいるとマヤノが帰ってきた。

 

「たっだいま〜!」

 

「おかえり」

 

 プレイ中なので適当に返事する。

 プレイしてなくても適当だが。

 

「わぁ〜! テイオーちゃんのその顔、走ってるとき以外で初めて見た! 

 少ししか顔に出てない、楽しそうな顔! 

 前から思ってたけど、テイオーちゃんは表情が固いけど、感情は豊かだよね〜」

 

 どうやら僕が思っている以上に楽しんでいたようだ。

 コツを掴んで上手くなっていくのは、ゲームに限らず何でも達成感があって良い。

 

「よし、AP(オールパーフェクト)

 

「テイオーちゃん、すっかりはまってるね! 

 走ること以外で楽しそうなテイオーちゃんが見れるなんて、マヤびっくりしたよ!」

 

「マヤノ……はぁ、まぁ良いや。

 じゃあ、僕は行ってくるね」

 

「はーい、いってらっしゃ~い!」

 

 ゲームのキリが良いので切り上げて、着替えとタオルをバッグに詰めて、食堂に向かう。

 

 食堂には、まだたくさん人がいた。

 そのほとんどは、既に食べ終わったり、風呂から出てきたりして、皆で仲良くお喋りしてる人たちだ。

 この時間帯は、殆どのウマ娘たちは今ここで話しているか、誰かの部屋に集まるなど、自由に過ごしている。

 僕はそんな人々を避けるように隅の方に座って、いつも一人で黙々と食べる。

 そして、食べ終わると食器を返却口に持っていき、そのまま大浴場に向かう。

 

 大浴場に人は今日はもういないようだ。

 たまにいるがいても一人か二人だ。

 

 だだっ広いところに僕一人。

 貸し切り感があって少し優越感が出てきそうでもあるが、人を避けて行動する悲しき存在の成れの果てなのでそんな気持ちは出てこない。

 

 身体を洗ったあと、一人で湯船に浸かってぼけーっと壁を眺める。

 学校と寮の生活にも慣れてきた。

 少しずつ目標も決まってきて、うじうじ悩んでいた頃とは大違いだ。

 友達は相変わらず少ないが。

 

 それに趣味も探し始めた。

 今までの僕なら考えられないことだ。

 トレセン学園に来て良かったなぁと母に感謝する。

 おっと……誰か来たようだ。

 そろそろ上がるとするか。

 

 新しく入って来た子と目が合うがすぐにそらして大浴場を後にする。

 脱衣場で新しい体操着に着替えてから、ドライヤーで髪を乾かして部屋に戻る。

 

「ただいま」

 

 返事が無い。

 どうやら電気を付けたまま、マヤノは寝てしまったようだ。

 マヤノは寝るのが基本的には早いし、起きるのはいつも遅い。

 

 マヤノを起こさないように気を使いながら荷物を整頓して僕も寝る準備を進める。

 スマホに充電器のコードを挿して、誰から来るはずも無いメッセージアプリを確認する。

 まぁ、当たり前のように何もない。

 両親からメッセージは来ない。

 来るときはいつも電話だ。

 僕の声を聞かないと安心出来ないとか言っているが、流石に心配性が過ぎるのでは無いだろうか……? 

 

 スマホに今まで無かったアイコンが増えていることに少し違和感と成長を感じつつ、スマホの電源を切って、部屋の電気も消す。

 

 布団に入り、寝るのに最適なポジションを探る。

 そして見つけた最適なポジで、僕は意識を落とした。

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