気付いたら究極の男になってた件について   作:藤崎風花

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……三週間ぶりの投稿です。ア、イタイナグラナイデ

一応HR編とCS編は大体プロット出来たので投稿は早くなる筈……早くなると良いなぁ(願望)


思わぬ邂逅

『~~~~~~』

 

 

『――!~~』

 

 

 薄っすらと揺らめく意識に、声が聞こえてくる。

 視界は薄くぼやけ、身体の感覚もないに等しく漠然とする。

 だが、次第に開けてきた視界が俺にここの存在を認識させた。

 

 

(………ここは……夢か?)

 

 

 言葉にするならば、全てが真っ白な空間だろうか。

 そんな空間の中で佇む俺の視界の中を、まるでスライドショーのように様々なサッカーの試合が流れていく。現実では有り得ない技術なのだから、夢と判断するのに時間は掛からなかった。

 

 

「ようやく起きたか」

 

 

「――!?」

 

 

 周りを見渡していると、突如俺にかなり似たような(・・・・・・・・・・)声が響く。

 聞こえてきた方に視線を向けると、そこには鏡で散々見てきた銀髪の少年の姿があった。

 

 

「なっ!――白、竜……?」

 

 

 俺と同じ姿をした少年の姿が、そこにはあった。

 

 こちらを睨む彼の姿は、原作の白竜を彷彿とさせる。冷淡で、その瞳はこちらの全てを貫くかのような、そんな印象を与えられる。

 

 

「……なんで俺の名前を知って――いや、これを聞くのは無駄か」

 

 

 彼はそう言うと、手に抱えていたボールをこちらへと投げてくる。

 無意識にキャッチしたは良いものの、趣旨が理解できないでいると、見かねたように白竜が語りかけてきた。

 

 

「……サッカー、やるぞ」

 

 

 ああ、そういう事か。

 言葉が足りなそうな彼の事だ。GO2やGO3では多少は丸くなっていたが、現状ではその性格は変わらないらしい。

 

 

「基本は1VS1。詳しいルールは……分かるよな?」

 

 

「ん、俺の知ってるルールが合ってればだけどね」

 

 

「結構。……最初から全力で行かせてもらおう」

 

 

 そう白竜が言葉にすると、背後には黄金の聖獣の姿が現れる。

 頭の中で何度でも描いた聖獣が、今対峙している少年の背後にいる。そんな異端な光景に笑みすら浮かべてしまう。

 

 ……化身、ね。こうも最初から来られると負け確にしか思えないけども。

 化身を覚醒できていない(・・・・・・・・・・・)俺が、目の前にいる彼に勝てる訳がない。

 まあ、彼なりの理由があるのだろう。そう思って、こんな負け確のゲームに臨むのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あらゆる点を総合して考えれば、このゲームは大敗だった。

 何故そんな回りくどく結論付けたのかは、結果だけ見れば引き分けにすぎなかったからだ。約15分もの間白竜に翻弄され、最終的に0-0で終了した。

 

 ……彼の思考が分からない。原作での彼を思い出してみると、大量に点を取っているイメージしかない。ここにいる彼が本物の白竜だとするならば、その全く違う印象に混乱してしまうのは必然的ではないだろうか。

 

 そんな感じで自分の負けを正当化していると、最後の方で飛んで行ったボールを追いかけていた白竜が戻ってきた。

 

 

「お前のホワイトハリケーン、まるで様になっていないな」

 

 

 戻ってきて最初に言う言葉がそれですか。

 もっと労いの言葉をくれ。こちとらただの一般人だが?

 

 

「ちゃんと威力自体は出ていたのに芦矢に止められた。それは疑問に思っているんだろう?」

 

 

 それを耳にした瞬間、自分の中で彼に対する警戒心が一気に溢れた。

 何故あの試合を知っているのか、何故そんな細々と覚えているのか。有り得ても観測者の立場でしかないであろう彼が、何故これらの事を知っているのか。

 

 

「……何でそれを知っている」

 

 

「何でって、俺はお前だからに決まっているだろ」

 

 

 その言葉の違和感に、何かが引っかかる。

 そう。彼が言葉足らずである事を差し引いても尚、その言葉が意味するもの。

 もしかして彼は……。

 

 

「……そろそろ時間か」

 

 

 俺の思考を遮るように白竜が言葉を紡ぐ。

 彼の向いてる方向を見てみると、何もない世界が崩壊しかかっていた。

 

 

「……また、会えるかな?」

 

 

 思わずそう言葉にしてしまう。

 そう思えてしまう程に、先までの彼との練習は有意義なものだった。自分がどんどん成長していっている事を実感出来たから。

 

 

「会えるさ。……お前自身が、自分の化身を信じる事が出来たならな」

 

 

 崩壊する世界の中で、彼はそう言葉を紡いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――っ!」

 

 

 瞼を開き、飛び起きる。

 先程までいた彼の姿は見当たらず、空間も元の部屋――もう見慣れ始めてきた自分の部屋へと戻っている。

 

 どうやら、あの夢から目が覚めたようだ。恐ろしく冷静な自分に恐怖さえ感じる。

 

 

「……自分の化身、か」

 

 

 起きてすぐに浮かんできた疑問は、夢が覚める前に彼が言った言葉。

 その言葉から察するに、俺の中には自分だけの化身が眠っている。……のだろうか。

 白竜の持つ聖獣とは全く違う、そんな化身が。

 

 ――考えれば考える程、頭が痛い。

 

 それに、夢に現れた彼の――白竜と思われる存在の事も疑問に残る。

 

 まず最初に考えられるものとしては、この身体の元々の持ち主。

 彼がオリジナルの――原作の白竜だとしたら、同じ精神故に〈シャイニングドラゴン〉は発動できるし、あの化け物染みた身体能力や必殺技にも、その身体を使いこなせていると考えれば説明がつく。夢の中だから出来るという事も考えられるが、それならこの疑問全てが無と帰る為一旦置いておこう。

 

 でも、それだとやはり新たな疑問が生まれてしまう。

 身体を――人生を奪ってしまった俺の事を何故恨まないのか。普通ならば、今回のように夢で会えたら真っ先にコテンパンにするだろう。なのに何故彼は特訓紛いな事をしたのだろうか。彼にその考えは無かったのかもしれないが、あの1vs1のミニゲームで俺が成長できたのは事実に違いはない。そういう言葉があるのかは分からないが、“仇を恩で返す”が一番しっくりくる状況だった。

 それに、『俺はお前だからに決まっているだろ』という言葉。多分その意図は解釈によって違うだろうが、俺の存在を認めているという事がまず可笑しいと感じてしまう。その点においても、彼が原作の白竜と同じ存在とは思えないのだ。

 

 かといって他に思いつくものもなく、彼の存在はまったく分からない。まあ、知った所でというのはあるけども。

 

 ただ、あのように夢に現れたという事は何らかの目的が彼には有ったという事だ。最初の邂逅の時の口調から、あれは偶然引き起こされたものではないだろう。

 ……ではそこから考えられる、彼の目的と呼べるものは――。

 

 

「――起きたのか。白竜」

 

 

「うぉわぁ!?」

 

 

 突如野太い声が部屋に響き、それに驚いてベットから思いっきり転げ落ちる。

 

 

「何をやっているのだ。貴様は」

 

 

「牙山教官……?」

 

 

 痛む腰を擦りながら声が聞こえた方に顔を向けると、そこには大熊…ゲフンゲフン。牙山教官の姿があった。

 呆れたような表情で佇むその姿を見ていると、何故か無性に腹が立ってくる。胡散臭い人を見ると腹が立つというのは本当らしい。

 

 

「……起きたのならば、さっさと練習に行け。この前の試合は酷かったぞ」

 

 

 ん? と、牙山教官の言葉に違和感を感じる俺。一見何も可笑しくもないように聞こえるが、この違和感は何なのだろうか。

 ああ、そういう事か。

 

 

「俺ってどれぐらい寝てたんですか?」

 

 

「ん? ああ、丁度三日間ぐらいだな」

 

 

 成程。道理でこんなにも喉が渇いている訳だ。

 それに気づいてからというもの、喉の痛みは増していくばかり。食堂で水を飲んでから練習に行こう。

 

 

「……ああ、そうだ。貴様、この前の試合の事をどこまで覚えている?」

 

 

 何故かユニフォームを着ていたままだった為、また小言を言われる前に部屋を出ようとしていたのだが、玄関の前で牙山教官の紡いだ言葉に阻まれる。

 それにしても、どこまで覚えている? か。ここまで牙山教官の言葉に違和感を感じるのは可笑しいと思っていたけど、まず大前提であるお互いの記憶。その違いが生んでいたとは。

 依然としてその意図は分からないが、取り敢えず本当の事を伝えておこう。下手に改竄してごちゃ混ぜになってしまっては目も当てられない。

 

 

「蛇野が俺の事を庇った所ぐらいまでですかね」

 

 

 シュウの〈魔王の斧〉が蛇野に当たって、その後すぐに俺の視界も暗転した。少し靄がかかったような感じだからその記憶に確証は持てないが、多分その通りに事が進んだんだろうと思う。

 

 当事者の情報を得て満足したのか、ニヤリと笑う牙山教官。普通に気持ち悪いから辞めて欲しい。

 ……でも、これでもゴットエデンの管理者とも言える人物だ。化身については熟知しているだろう。

 

 

「……教官は、誰もが有り得ないと切り捨てるであろうものを、信じる気にはなれますか?」

 

 

 だからこそ、どんな情報でも良いからその知恵を貸してほしかった。

 こんな回りくどい聞き方でも、与えられる情報はそれに見合わない程大きなものだろうから。

 

 

「信じるさ。詳細はあまり言えないが、そういうのには既に身をもって実感している」

 

 

 そう即答する牙山教官。

 既に実感している……SSC(セカンドステージチルドレン)の事か。そりゃそうか。アスレイ・ルーンがSSCについて彼に教えたから、ゴットエデンでの教育がここまで過酷になったのだから。

 まあ、信じてくれるなら本当にありがたい。変に怪しまれるよりは全然良い。

 

 

「それなら、同じ人物が複数の化身を出せると言われて、信じますか?」

 

 

 俺が本来の白竜ではない事を隠しながら訊かないといけなかったから。だからこんなにも回りくどくなってしまったが、今の疑問を解決するには必要な事だ。

 俺のこの言葉を聞いて困惑したのか、そのような表情を浮かべながら牙山教官は口を開く。

 

 

「……まあ、そうだな。まだそれを証明出来ていないのだから否定はできまい。それに――」

 

 

 そこで牙山教官は一拍置き、再度こちらを見て、

 

 

「――いや、なんでもない。どうやら貴様は覚えていないようだからな」

 

 

「……なんですか、それ」

 

 

 ガクッと、その言葉通りに俺の身体は崩れ落ちる。

 散々期待させておいて、いくら何でもこれはないだろう。あまりに酷く、無責任な応答だ。

 

 ……まあ、人生はそんなに上手くいかないものだ。

 未来の心配をするんじゃなくて、今生き残る道を見つけないといけない。イナイレ世界なら尚更だ。

 その為にも練習。ずっと寝込んでいたのだから、今まで以上に練習しないといけない。

 そう思い、俺は皆が練習してるであろう屋内グラウンドへと足を進めるのだった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――視界に広がる景色は、数多の練習で見慣れた屋内グラウンドとは別物の、大自然に囲まれた森のような場所だった。

 

 ……可笑しい。入ってきたドアもいつの間にか消えているし、まず養成施設の周りにこんな森なんてない。まさしく超次元な状況に、興奮を通り越して呆れさえ出て来る。

 まあ、少なくとも現在の技術では無理な話だ。GO3のように宇宙の技術を使う以外に、現在こんな状況を作り出す技術なんてないのだから。

 

 

「キミが僕のご先祖様だね? 白竜クン?」

 

 

 ああ、やっぱりそうか。最悪だ。

 声が聞こえた方に視線を向ける。大自然に聳え立つ大樹の太い枝に座っている、少年の姿が視界に入った。

 

 小柄な体格で、顔の大部分が銀色の仮面で覆われている。そして見る者全てに恐怖を与える、そんな無機質な瞳。

 ゲームでは黒岩流星に召喚されていた、グランドチルドレンの一人。

 

――ハッシュ・シルヴァンの姿がそこには有った。

 




・白竜(転生者の方)

 夢でボコされて、牙山となんか話して、挙句の果てに狂暴な子孫を与えられるとかいう悲惨ムーヴ。やっぱ主人公には受難を与えないとね!(白目)
 あと流石に化身発動までは覚えて無かった模様。


・白竜(夢に出てきた方)

 なんか出しゃばって謎を残していった人。因みに必殺技やら化身は結構使いこなしている模様。


・牙山

 イケオジ(大嘘)
 白竜が自身の化身の事を覚えて無かったようなので伝える情報は最低限だけ。でも対雷門で使えそうだと睨んでいる。


・ハッシュ・シルヴァン

 白竜のご子孫。多分デッキ派とハッシュ派がいると思うんですけど、技も化身も一致してるこっちにしてみました。
 なんだか少しお怒りの様子。良いぞー!白竜をボコせー!(作者の屑)
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