インフィニット・ストラトス ~原子力艦隊の父~ 作:Bradford
深夜0時の生徒会室で、2人の少女が手元の資料に目を通していた。
彼女達は『更識』。日本政府直属の、対暗部用暗部。諜報任務を受け持つ他、各国からのスパイへのカウンターを担う者たちの集まりである。
彼女達が見ているのは、部下達に調べさせた対象に関する報告書だ。
『デリック・レイ・メイナードの所属機関『イリュージョンアームズ』に関する報告書』
正式名称はイリュージョンアームズ・テックカンパニー。
元は戦術機の開発を行っていた中小企業が合併した複合体であり、新たに名前を変え、新しい大企業として設立された。女尊男卑の風潮の煽りを受け、不当な扱いを受けた技術者やエンジニアなどを取り込み、新型規格の機体である『MCEE』の開発を行った。
開発のバックアップにはメイナード家の他にノースロップ・グラマン、レイセオン・テクノロジーズ、ロッキード・マーティン等の大規模な軍事産業に力を入れる企業からの支援を受けている。
合併と設立による創業者は初代メイナード家の当主であるジョン・デヴィッド・メイナード。現在は死去しており、メイナード家の3代目当主のデリック・レイ・メイナードが実質的な後継者として扱われている。
合併前の戦術機のテストパイロットのほか、数名の新規パイロットが雇われている。
兵器開発などは部門別に分けられているが、開発する物の制限はなく、殆どが他企業や別部門との協力によって生み出される。
デリック・レイ・メイナードの使用する『MCEE』の開発には彼の協力無しでは開発できなかったといわれている。
『イリュージョンアームズの設立を補助した『メイナード家』について』
初代メイナード家の当主はジョン・デヴィッド・メイナードであり、軍事産業や民間軍事会社の経営の補助や設立の為の投資などを行っている。
メイナード家のほとんどは謎に包まれており、初代当主の時代から仕える従者も当時から現在まで何ら変わらずに仕えているため、様々な噂が流れている。
個人的な私兵部隊も保持しており、従者、私兵部隊の隊員共にメイナード家に対する強く忠誠心と、メイナード家のためであれば躊躇いなく犯罪を犯す事でも知られている。
『イリュージョンアームズ開発の『MCEE』について』
正式名称、機動戦闘強化外骨格(Mobile Combat Enhanced Exoskeleton)の略称。
ハードウェア、ソフトウェア、アビオニクス等は全て新規開発された新技術で構成されており、MCEEに関する情報は全て厳重なセキュリティが施されている。
ISや戦術機よりも優れており、メイナード家の私兵部隊やイリュージョンアームズの特殊作戦、警備部門に優先的に配備されている。国外には配備されることはなく、アメリカ国内のごく限られた基地等にしか配備されていない。
様々な個体が製造されているものの、その全てが10機以下であり、情報なども全く公開されていない。
デリック・レイ・メイナード専用機であるトライシードには本来の力を制限するための機体を拘束していると呼んでも過言ではない程の強力なリミッターが施されており、EMFキャリバー、VSキャリバーの出力は9割以上に下げられている。トライシードに関する兵器、武装のデータは通常のデータベースには存在せず、アメリカ国家安全保障局のフィフス・エシュロンのデータベースに存在した。
現在確認されているMCEEの種類
・トライシード:デリック・レイ・メイナード専用機。生産数1機
・エクスシード:特殊作戦仕様。生産数8機。IA機関特殊作戦部門に配備。
・グランシード:ステルス仕様。生産数6機。メイナード家私兵部隊に配備。
・カクタス:四足歩行型変形機。生産数3機。IA機関特殊警備部門に配備。
・ブロウカクタス:履帯走行型特殊機。生産数2機。IA機関特殊警護部門に配備。
現在確認されている兵器、艦船
・デリック・R・メイナード:大型原子力空母。第9艦隊旗艦。生産数1隻。
・ハイマン・G・リッコーヴァー:原子力軽空母。第9艦隊所属。生産数3隻。
・ベインブリッジ:原子力駆逐艦、イージス艦:第9艦隊所属。生産数2隻。
・ヴェラ・ガルフ:原子力巡洋艦:第9艦隊所属。生産数4隻。
・ジョン・D・メイナード:大型原子力補助艦:第9艦隊所属。生産数1隻。
・トーマス・トラクスタン:艦種不明:第9艦隊所属。生産数1隻。
存在が未確認のMECC、兵器
・ビリオンソード:用途不明。生産数不明。配備先不明。開発状況不明。
・ユーリ:用途不明。生産数不明。配備先不明。開発状況不明。
・バイタルフォートレス:特殊潜水艦。生産数不明。配備先不明。開発状況不明。
・アームドウィング:超大型潜水艦(推定)生産数1(現在)配備先不明。
・タロス、ネオス:用途不明。生産数不明。配備先不明。開発状況不明。
・ドレッドノート:潜水空母(推定)生産数不明。配備先不明。開発状況不明。
更識「…恐ろしいものね」
???「…はい。拘束していると呼んでも過言ではない程の強力なリミッターに出力が9割以上も落とされたEMFキャリバーにVSキャリバー…本来の力を発揮してしまったら…いったいどうなるんでしょうか…」
更識「…そうね…でも不思議なのは、本来の力を9割以上抑えた状態で持たせたことと、フィフス・エシュロンのデータベースにその専用機のデータが存在したこと。その理由は何故なのかって事ね」
しかし彼女らが掴んだトライシードのデータは偽物であり、本来のデータはIA機関のデータベースに"当たり前"のように存在していたのだ。
???「もう少し探りを入れますか?」
更識「…いえ、これ以上は探らないで。あくまでも勘だけど、これ以上詮索するのは良くないわ。
しばらくは『観察』を続けて。どうするかは私が決めるわ」
???「かしこまりました」
これ以上下手なことをすれば、IA機関が動くかもしれない。だが、それから得られるものと犯すリスクを考えれば、これ以上探るべきではない。
更識「………貴方は一体何者なの?何が目的なの?」
トライシードのデータにあった一文を見ながらこの場には存在しない1人の男に向けて呟いた。
『
まるで情報が盗まれることを見越したような言葉に私は生まれて初めて、得体の知れない恐怖を感じた。