神様「特典はまぁ…我慢強いブラウンが合っている」   作:ユフたんマン

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まさかこんなにも…赤評価で一杯になるなんて思いもしてなかった…
張り切って10000文字超えてしまった…

ライナァァァァァァ!!


蹂躙

1:鎧の巨人

さて、今日はオルクス大迷宮に突入や

 

 

2:名無しの巨人

スレ立て乙

 

 

3:名無しの巨人

これまでの出来事

・ライナーありふれた職業で世界最強の世界に転生

・安価で戦争への参加と理由、武器を決める

 

 

4:名無しの巨人

>>3

サンガツ

 

 

5:名無しの巨人

>>3

有能

 

 

6:鎧の巨人

>>3

ありがとうやで

 

 

7:名無しの巨人

>>3

こうしてみるとライナーまだ殆ど何もしてないな

 

 

8:鎧の巨人

>>7

武器を決めてからは特にめぼしいイベントなかったんや

 

 

9:名無しの巨人

イベントがない?たしか原作なら南雲リンチイベントがあったはずだけど…

 

 

10:名無しの巨人

あれ?檜山イベント無いの?

 

 

11:鎧の巨人

リンチ?檜山が南雲に?そんなんなかったと思うで

檜山は南雲のこと嫌ってはいるがそこまでするような馬鹿じゃないぞ、多分

 

 

12:名無しの巨人

普通に原作じゃする馬鹿なんだよなぁ…

 

 

13:名無しの巨人

二次創作じゃそこが檜山アンチの粛清ポイントやぞ

 

 

14:鎧の巨人

うーん…そんなことがあったらワイの耳に入ると思うしワイがおる影響で起きんかったのかも

 

そんなことより安価だ!!

と行きたいところだが情報が足りねえ、助けて有識者ニキ!!

 

 

15:名無しの巨人

他力本願ライナー、安価してほしいから誰か教えたげて!(他力本願)

 

 

16:鼠の巨人

オレッちが説明して進ぜよう

オルクス大迷宮二十階層にて鉱石トラップに引っ掛かり六十五階層に転移

そこに待ち受けるのは現時点最強のベヒモスと大量のトラウムソルジャーとかいう骸骨

勇者一行は応戦するが色々あり、最後の最後で檜山の凶弾にて南雲が崖に落ちる

 

 

17:名無しの巨人

>>16 

ファッ!?アルゴネキ!?

 

 

18:名無しの巨人

>>16 

アルゴネキ前ありふれ知らんって言ってなかったか?完璧やんどこで仕入れたんや?

 

 

19:名無しの巨人

>>16 

これは情報屋の鏡

 

 

20:鼠の巨人

鼠のアルゴをなめんなよ、伊達にアメ公から衛星で監視されてねぇわ

 

 

21:名無しの巨人

>>20 

 

 

22:名無しの巨人

>>20

四人目の監視対象になってて草

 

 

23:鼠の巨人

衛星のせいでストライダムの爺さんに居場所バレて勇次郎に追いかけられてんだわ

ちょっとアメ公潰してくるわ

 

 

24:鎧の巨人

アルゴネキありがとナス

南雲は結局そこからどうなる?ちゃんと助かるのか?

 

 

25:名無しの巨人

助かるで

 

 

26:名無しの巨人

逆にパワーアップして帰ってくる(まあ性格は豹変するけど)

 

 

27:名無しの巨人

逆に助けるとエヒトと解放者との関係、それと南雲が成長する機会が無くなるから物語が詰みかねん

 

 

28:名無しの巨人

ちなみにエヒトほっといたら日本にも来るからハッピーエンドを目指すなら神殺しは必須事項

 

 

29:鎧の巨人

はえー…落ちた方が後々楽々?話が進むってことか…

んー…でもなー…

 

 

30:名無しの巨人

なんや?

 

 

31:鎧の巨人

けどやっぱり助かると分かってても見過ごすのは流石に精神的に辛イナー

助かると言っても性格が変わるほど過酷な過程でだろ?

 

 

32:名無しの巨人

かっけえ!!

 

 

33:名無しの巨人

本当にかっこいいよ

 

 

34:名無しの巨人

これは主人公

 

 

35:名無しの巨人

ライナァァァァァァ!!

 

 

36:鎧の巨人

というわけで安価

 

南雲を助けるかどうか

>>45

 

 

37:名無しの巨人

 

 

38:名無しの巨人

相変わらず唐突で草

 

 

39:名無しの巨人

少しでもかっこいいと思った気持ちを返してくれww

 

 

40:名無しの巨人

よくやったライナー、安価は我々に任されよ

 

 

41:鎧の巨人

正直ワイは優柔不断やからどっちにするか決められん

だから安価をスレ民共に託す、任せたぞ

 

 

42:名無しの巨人

任された

 

 

43:名無しの巨人

いやいやスレ民に託す時点でどうなるか分かってるやろwww

 

 

44:名無しの巨人

助けない

 

 

45:鼠の巨人

助ける

 

 

46:名無しの巨人

助けない

 

 

47:名無しの巨人

助けない

 

 

48:暗黒の巨人

助けない

 

 

49:名無しの巨人

おお!!

 

 

50:名無しの巨人

ファッ!?嘘やろ!?

 

 

51:名無しの巨人

唯一の良心引いてて草

 

 

52:鎧の巨人

>>45

うおおおおおおおおおおおッ!!!(咆哮)やったああああああああああッ!!!

ほんまありがとうアルゴネキ!!

 

 

 

53:名無しの巨人

そんな喜ぶなら安価するな定期

 

 

54:鼠の巨人

気にすんな

 

 

55:名無しの巨人

>>54

女神か?

 

 

56:鎧の巨人

>>54 

女神だ…結婚したい…

 

 

57:鼠の巨人

(終盤に血反吐を吐きながら足掻くライナーが見たいだなんて言えない…)

 

 

58:鎧の巨人

>>57

おい…!

 

 

59:名無しの巨人

>>57 

 

 

60:名無しの巨人

>>57

本性現したね

 

 

61:名無しの巨人

>>57

ドSなアルゴネキいいゾ~これ

 

 

62:名無しの巨人

>>61 

分かるマーンッ!!

強気な女の子の顔を歪ませるの最高だよね同志よ

 

 

63:>>61の巨人

>>62

勝手に同志にすんなボケ

ワイはマゾや

 

 

64:名無しの巨人

>>62

やばい奴湧いてて草

 

 

65:鎧の巨人

まあもともと出来るなら助けたかったから見逃したるわ

覚えとけよ

 

 

66:鼠の巨人

ひえっ

 

 

67:名無しの巨人

ところで前回の立体起動装置どうなったんや?実戦で使えんの?

 

 

68:鎧の巨人

>>67

使えるで

なんか立体起動装置は魔力で動いてるからガスは要らないみたい

 

 

69:名無しの巨人

ええやんけ

 

 

70:名無しの巨人

原作みたいにガス切れで乙ることはなさそうやな

 

 

71:鎧の巨人

>>70

それがあるんだよなぁ

立体起動装置に補充出来る魔力も決められてるし、一度無くなったら魔石で補充や

しかも高純度な魔石じゃないとあんまり補充されへんからかなりコストかかる

 

 

72:名無しの巨人

やっぱりご都合主義ってわけにはいかんのか

 

 

73:名無しの巨人

操作装置はどうなんや?ライナー武器変えてるやろ?

本来ならブレードの柄の部分にあったはずやけどどうしてるん?

 

 

74:鎧の巨人

>>73

なんか同化した

 

 

75:名無しの巨人

は?

 

 

76:名無しの巨人

どういうことだってばよ

 

 

77:鎧の巨人

だから同化したんだって

柄が邪魔だったから繋がってる紐大剣で切ろうとしたらウニョッて同化したんや

クリオネの食事してる時みたいな感じ

 

 

78:名無しの巨人

怖すぎて草

 

 

79:名無しの巨人

一気にご都合主義感が出てきたな

 

 

80:名無しの巨人

神様がライナーが安価するということを分かっていた…ってコト?

 

 

81:名無しの巨人

>>80

な訳ねえだろ

オーマ大戦引き起こした奴転生させた無能がそんなこと想定してるわけないやろ

 

 

82:名無しの巨人

>>81

アルセウスとかいう宇宙を創造する化け物に転生させてる時点で神様って相当やばい奴なんだよなあ

 

 

83:鎧の巨人

そろそろ出発や、しっかり安価達成してくるZOY

 

 

84:名無しの巨人

一番簡単なのは檜山に鉱石を触らせんことや

がんばれ

 

 

85:鎧の巨人

>>84

おけ、鉱石に触らせないやな

じゃあ一旦落ちるわ

ちなみに銃は試作品渡されてるからまた画像上げるわ

 

 

86:名無しの巨人

うっそだろ!?今言うの?

 

 

87:名無しの巨人

>>48

今更だけどちゃっかりDKks安価参加してるじゃねえか

 

 

88:名無しの巨人

>>48

ダークライ死ね

 

 

89:名無しの巨人

>>48

ディケイドニキに追われてるくせに余裕あんなコイツ

 

 

90:名無しの巨人

早くフェライナー上げてクレメンス

 

 

 

 

 

 

 

…………………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

154:鎧の巨人

おいッ!!鉱石トラップってなんや!!隠し部屋入った瞬間に転移したぞ!!

 

 

155:名無しの巨人

ええ…嘘だろ…?

 

 

156:名無しの巨人

檜山のリンチの件といい原作と乖離しすぎじゃない?

 

 

157:名無しの巨人

逃げろよ絶対に

今じゃ確実に死ぬぞ

 

 

158:名無しの巨人

逃げ切れるか?

 

 

159:鼠の巨人

やって見せろよ、ライナー!

 

 

160:名無しの巨人

なんとでもなるはずだ!

 

 

161:名無しの巨人

鎧の巨人だと!?

 

 

162:名無しの巨人

鳴らないフフフンフンフンフンフンフーンフーン♪

 

 

163:名無しの巨人

>>162

楽曲コードが分からないからって鼻歌で歌うな

 

 

164:名無しの巨人

>>162

楽曲コードから逃げるな、神経が苛立つだろ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………………

 

 

 

 

 

 

 

211:鎧の巨人

すまん……安価失敗や…

 

 

222:名無しの巨人

ファッ!!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

—―――---------------------------

 

「おい…どういうことだよ…何なんだよこれ…」

 

そこは地獄だった。

 

一瞬だった。天之河が魔物を倒した際に開けた隠し通路そこに足を踏み入れると同時にメルド達を含めた生徒たちは転移していたのだ。魔道具で騎士がトラップはないと確認したはずだったのだ。なのにどうして…

そして転移されると目の前に現れた絶望、ベヒモス。メルド達が聖絶と呼ばれる結界で魔物の攻撃を防ごうとしたが、その前に背後から奇襲が掛かる。

矢がメルドの腕に突き刺さったのだ。

 

そう、脅威は手前のベヒモスだけじゃない、背後にいる大量のトラウムソルジャー、そしてそれを率いるトラウムサージェント(軍曹)だ。

矢のせいで詠唱が遅れた隙をベヒモスは見逃すはずもなく、その巨体で突進する。

たったそれだけ、突進するだけで前方にいたメルド達をひき肉にしたのだ。死体を…さらに見るも無残にひき肉にされたものなど見たことがあるはずもなく、生徒たちは悲鳴を上げながらパニック状態に陥る。

 

そんな中一人が動いた。

 

「よくも…よくもメルド団長を…ッ!!絶対に許さないッ!!〝限界突破〟!!」

 

天之河だ。メルドが殺されたことに激情し、技能を発動し全ステータスを引き上げベヒモスに肉薄する。

 

「神意よ! 全ての邪悪を滅ぼし光をもたらしたまえ! 神の息吹よ! 全ての暗雲を吹き払い、この世を聖浄で満たしたまえ!神の慈悲よ! この一撃を以て全ての罪科を許したまえ!――〝神威〟!」

 

天之河の持つ聖剣に極光が宿る。詠唱とともに放たれるのは天之河の最大の一撃。

 

しかし無情にもそれがベヒモスに届くことはなかった。

ズシンとベヒモスが足を地面に叩きつけることで軽く揺れる。その揺れに足がもつれた所にベヒモスは体を横回転。強靭な尻尾が天之河の腹部に襲い掛かる。

 

「こひゅっ…」

 

天之河はまるでよく跳ねるボールのように床をバウンドしながら生徒たちの目の前に吹き飛ばされる。

 

 

 

いやああああああああああああああッ!!!!

 

 

 

一人の女子が悲鳴を上げて逃げ出すのが始まりだった。

それを皮切りに殆どの生徒たちが逃げるために背後の上層への階段を目指すが、それを阻むのはトラウムソルジャーとトラウムサージェント。トラウムサージェントが指示を出すと、数体のトラウムソルジャーが動いた。逃げようとする女子に襲い掛かる。

女子は勿論対抗したが、パニック状態では数体で連携をとるトラウムソルジャーには敵わない。

 

 

ザシュッ!!

 

 

女子の腕が宙を舞った。

 

「あああああああああああああああああああああっ!!!!」

 

悲鳴、絶叫。その衝撃的な光景に、女子に続いて逃げようとしていた生徒たちの足が止まる。

 

痛みに蹲る女子にトラウムソルジャーの持つ剣が突き刺されるその瞬間、ゴッと床に何かを叩きつける音が聞こえ、トラウムソルジャーの動きが止まった。

何事か、と音が鳴った方に顔を向ける。場所は…ベヒモスの背後、今いる石橋を渡り切った広間。そこにある骨で出来た玉座に座る骸骨から発せられたものだった。

名はトラウムプレジデント(総統)、全てのトラウム族を従える総統だ。

トラウムプレジデントはニヤリと嗤う。表情がないはずなのに生徒たちにはありありと奴の嗤い顔が想像できた。トラウムソルジャーがカタカタと音を鳴らしながら、絶叫しながら蹲る女子を生徒たちがいる方へ蹴とばした。

それを我に返った白崎が天之河と一緒に治療する。

 

そしてカタカタカタカタと全ての骸骨たちが音を鳴らす。まるで嗤っているかのように。ベヒモスはその光景を見ながら静かに指示を待つ。そう、ベヒモスは既にトラウムプレジデントの支配下にある。この階層に主だったベヒモスはトラウムプレジデント達に下剋上を果たされていたのだ。

 

 

そんな絶望的な状況な中、唯一正常に動けたのはたった一人、南雲だった。

 

「ライナー!!しっかりして!!今の皆を纏められるのは君しかいないんだ!!ライナァァァァァァ!!」

 

この階層に来てから一言も発さず、顔色を悪くし剣を構えるライナー。先ほどの天之河の特攻や、女子の行動を普段の彼なら止められたはずだ。止められなかったのはライナーの精神面に何かあったと察した南雲はライナーの胸ぐらを掴み呼びかける。

 

「…ッ!?あ、あぁ…すまない…!!皆!!今の行動から奥の骸骨は俺たちをいたぶるつもりらしい!!ならば好都合、奴が油断している間に骸骨共を蹴散らし階段に突き進む!!メルド団長の意思を無駄にするな!!」

 

予想外の出来事に思考がフリーズしかけていたライナーだが、南雲の呼びかけにより思考が覚醒する。すぐさま生徒たちを鼓舞し指示を出していく。

 

「恐らくあのベヒモスは序盤は何もしてこない!後ろは気にしなくていい!雫と龍太郎は殿でベヒモスの警戒と動けない奴のサポートを頼む!ベヒモスが動き出したらすぐに教えてくれ!!」

「ええ、わかったわ!」

「ああ!任せろ!」

「香織と綾子は俺たちの生存の要だ!絶対に守り抜いてくれ!鈴、頼んだぞ!!ハジメはそのサポート!!」

「う…了解…」

「わかった!」

 

谷口の返事にいつもの元気がなく、大丈夫かと不安が残るが、南雲がいるなら大丈夫だろうとライナーは大盾を構える。

 

「浩介は隠れながら戦闘のサポートを頼む!残りは全員俺と一緒に骸骨狩りだ!光輝が目を覚ましたら骸骨を蹴散らすように伝えてくれ!訓練を思い出せ!確かに敵は強力だが連携に至っては俺たちの方が上だ!落ち着いていれば容易に倒せる!!」

 

ライナーは天井にアンカーを射出し、宙へ浮かぶと、アンカーをトラウムソルジャーの方へ放ち高速で接近し、盾の面の部分を地面に叩きつける。それで生じた衝撃波により、一度に数体を粉々にし、橋の端の方にいた一部のトラウムソルジャーを奈落に叩き落とす。

 

「進めッ!!足を止めるなッ!!生きて帰るぞッ!!」

 

 

おおおおおおおおおおおおおーーーーーーッ!!!

 

 

ライナーの指示、そして軽く数体のトラウムソルジャーを倒したことにより生徒たちの士気が高まっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▽▽▽

 

「おおおおッ!!」

「はああッ!!」

 

ライナーは立体起動装置を使い、大剣と盾を豪快に振り回しながら戦場を飛び回る。それに続いて目を覚ました天之河が聖剣を振り払いトラウムソルジャーを蹴散らす。

 

「〝天絶〟!!カオリン大丈夫?」

「うん!ありがとう!光の恩寵をここに!〝回天〟!!」

 

トラウムソルジャーが放った矢を、谷口は複数の結界を展開し防ぐ。その隙に白崎は前線で戦っている生徒たちに回復呪文をかける。

 

「ぐう…ッ!!」

「下がって!〝錬成〟!!」

「シッ…!!」

「ほら、早く傷治すわよ!」

 

トラウムソルジャーの攻撃を受けた檜山を助けるべく南雲は地面を変形させ追撃を防ぐ。もう一人のヒーラーである辻綾子が檜山の傷を癒す。その間に遠藤がトラウムソルジャーを始末するが誰も気づいていない。それにほろりと涙を零す。

 

「す…すまねぇ…」

「大丈夫!生きて帰ろう!!」

 

 

順調だった。生徒たちは戦意を取り戻し、次々とトラウムソルジャーを撃退していく。生徒たちの目には希望の光が宿っていた。

 

 

それをトラウムプレジデントは気に入らなかった。

 

『■■■■■■■■■■■■ーーーー!!!!』

 

悍ましい声でトラウムプレジデントが叫ぶ。

 

「ライナー!!ベヒモスが動いたわ!!」

「ついに来たか…ここは任せるぞ光輝!!」

 

ライナーはすぐさま空中で態勢を整え殿へと向かう。

 

「おい!ライナー俺も…ッ!?」

 

死角から襲い掛かる凶刃。何とか聖剣で防ぎ下手人に斬りかかる。しかしそれは綺麗に受け流される。

 

(コイツ…強い…!!)

 

天之河は下手人、もといトラウムサージェントと対峙した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トラウムプレジデントは苛立っていた。僕共が次々と蹴散らされていく。不甲斐ない…全く持って情けない…

人間共の希望をもった瞳がさらに苛立ちを煽る原因だった。

トラウムプレジデントはそろそろ一人ずつ殺して絶望する様を見て楽しもうとベヒモスに命令する。

 

 

一番後ろにいる女を殺せ

 

 

『グルァァァァァアアアアアア!!』

 

命令を実行せんとベヒモスは雄叫びを上げて走り出す。その巨体に似合わずかなり素早い。

あっという間に生徒たちの最後列に追いついたベヒモスは跳び、その何トンもあるであろう巨体で八重樫に飛び掛かる。狙いは自分だと理解した八重樫は坂上が巻き込まれないように蹴とばし一人後ろに下がる。

 

「おい!!何やってんだ!!」

 

坂本が叫ぶももう遅い。既にベヒモスは八重樫の上空に迫っている。

 

「さようなら…逃げて…」

 

八重樫の頭に流れるのはこれまでの人生の足跡、走馬灯と呼ばれるもの。人生を振り返る中で、八重樫が体験したことのないモノへの憧れからぼそりと呟いた。

 

「恋を…したかったな…」

 

幼い頃からの夢、小さい頃は白馬の王子様が迎えに来てくれると信じていた。天之河と出会いついに来たかと思うも、彼が原因でイジメへと発展。天之河に相談するも、余計に悪化してしまう結果に。

 

そして最後に思い浮かべたのはお母さんに会いたい、お父さんとまた鍛錬をしたい、家族に…感謝の言葉も伝えてないのに…という後悔の念。

 

人生後悔だらけ、十数年と短い時間、最後に…絶対に悔いのないように…少しでも皆が助かる可能性が上がるように…!覚悟を決める…!!

八重樫は刀を鞘に納め構える。

 

「お爺ちゃん…力を貸して…」

 

スゥッと息を吸う。

 

「八重樫流剣術…〝奥義「死なせない!俺が守護る!」え?うひゃッ!?」

 

グイッと八重樫の体は後ろに引っ張られ入れ替わるように何者かがベヒモスの真下に躍り出る。

 

 

グシャ

 

 

何かが潰れたような音がした。

 

「ラ…ライナー…?」

 

『グルァァァァァアア!!!』

 

ベヒモスが雄叫びを上げる。それと共鳴するようにトラウムソルジャー達がカタカタカタカタと音を鳴らす。

 

「え…嘘…だろ…?」

「ライナァァァァァァ!!!!」

「そんな…!?」

 

ライナーが八重樫を庇い死んだ。否、過程などどうでもいい。クラスメイトが、最高戦力であり、生徒たちに慕われていた男の死。場の空気を、戦況を一変させるには十分な出来事だった。

 

「ライナー!?ライがはぁ!?」

 

まずは天之河からだった。ライナーの死から生まれた隙を付かれ、トラウムサージェントからの攻撃により深い傷を負ってしまう。

白崎、辻を含めた魔法を扱う者たちは、死が身近なものとなり震え真面に詠唱を口に出すことが出来なくなる。

それにより前線もどんどんとトラウムソルジャーの波に押し返され、ベヒモスに近づいていくことの恐怖から半狂乱の状態になり仲間との連携もおざなりとなり、生徒たちの体には次々と浅くない生傷が付き始めている。

 

「いっ、嫌ぁ…ライナァァァァァァ!!!!!」

 

カタカタカタカタ、トラウムプレジデントのテンションのボルテージはMax。悲鳴を上げながら、瞳の色が希望から絶望に変わる様を見て愉悦に浸る。

更なる愉悦を求めベヒモスに指示を出そうとしたその時。

 

「なんて…声出してやがる…!!」

 

ベヒモスの下から聞きなれた声が聞こえる。その声はやけに響き、前線にいる生徒たちにもしっかりと届いた。

 

「雫…ベヒモスは俺が引き付ける…!巻き添えを喰らわないように離れていてくれ…!!」

 

ライナーは死んでいなかった。技能の〝硬質化〟を使い、潰されずに済んだのだ。

ビリビリと稲妻のようなものがベヒモスの体の下から溢れ出す。

 

そして凄まじい爆音と共にベヒモスに落雷のようなモノが降り注ぐ。ダメージは無いようだが、次の瞬間、ベヒモスの体が徐々に浮いていき、まるで持ち上げられているような…

 

「ッ!?ライナー…なの?」

 

初めにそれに気付いたのは八重樫だった。ベヒモスの真下から、高い砂ぼこりと眩い光を纏いながら現れたその巨人に。

 

『ウオオオオオオオオオオォォォ!!!!』

 

筋骨隆々、鉄を遥かに上回る強度を持つ鋼の肉体。そしてどこかライナーの面影を残した顔立ち。

 

〝鎧の巨人〟が今ここに顕現した。

 

 

 

 

 

 

鎧の巨人、ライナーは持ち上げたベヒモスを床に叩きつける。そしてひるんだベヒモスに反撃の猶予を与えぬよう馬乗りになり、硬質化した拳で殴る、殴る、殴る。

ベヒモスは必死に振り落とそうともがくが、ライナーは決して振り落とされぬようしがみ付きながらも殴り続ける。

 

「行ける…行けるぞ…!!皆!!ライナーが一人であのベヒモスと戦っているんだ!!それに比べて俺たちは何だ!?怯えることしか出来ないのか!?違う!!あのベヒモスと比べれば骨なんてただの雑魚だ!!今俺たちがすべきこと、それはこの骸骨共を倒して帰る道を切り開くことだ!!誰一人、誰一人としてここで死なせない!!だから皆!一緒に戦ってくれ!!」

 

天之河は負傷しながら半狂乱に陥った生徒たちに叱咤する。血反吐を吐きながらトラウムサージェントに斬りかかる彼を見て、次々と生徒たちは正気へと戻っていく。

 

「そうだ…ここで死ねねえ…まだやり残したことが沢山あるんだ…」

「ライナーが足止めしてくれてる。なら帰り道くらい私たちが片付けてないと…」

 

次々と生徒たちはライナーと天之河に感化され立ち直っていく。

 

「加勢するぜ光輝ィ!!」

「龍太郎!!」

「光の恩寵をここに!!〝回天〟〝周天〟」

「香織!!」

「全てを切り裂く至上の一閃!〝絶断〟」

「雫!!」

 

幼馴染四人組が終結、長い付き合いだからこそ出来る幼馴染ならではのチームワークで先程まで手こずっていたトラウムサージェントを圧倒する。

先ほど片手を失った女子、園部優花も熱に充てられ戦闘に参加している。今や戦わぬ者はこの場にいない。足手まといなど存在しない。

 

「〝錬成〟!!」

「サンキュー南雲!!此処に風を望む!〝風球〟」

 

南雲は戦場を駆け回りサポート役に徹する。南雲自身が自分を弱者だと理解しているからこそ、南雲は完全に裏方に専念する。

檜山も槍を振り回しながらトラウムソルジャーを蹴散らしていく。

嘗て毛嫌いしていた南雲に背中を預ける。今も南雲のことはいけ好かないし恋のライバルであるが、今日のこの土壇場での南雲に心動かされた。誰もが恐怖していたあの状況で一人だけまともに行動できたのだ。無事に帰れたら今までのことを謝ろうと心の中で誓う。

 

 

 

そんな生徒たちの快進撃をトラウムプレジデントは許さない。まずは邪魔者から消そう。トラウムプレジデントは遂に玉座から立ち上がり魔法を詠唱する。トラウムプレジデントの頭上に大きな火球が現れ、ベヒモスに馬乗りするライナーに向けて放つ。

 

『グ…ォォォオオオ!!!』

 

火球を不意打ちで受けたライナーは大きくのけぞりベヒモスを解放してしまう。すぐさまライナーは振りかぶり、渾身のテレフォンパンチを放つも、一手遅かった。

 

『グルァァァァァアア!!』

 

ベヒモスの頭部は赤熟化し、凄まじい勢いでライナーに向かい突進する。ライナーは避けることも出来たが、後ろで戦っている生徒たちに影響を与えないように受けきることを選択した。

 

ジュドッ!と聞いたこともない音が響く。突進の衝撃からの超高温の頭部により体が焼き貫かれていくというWパンチ。ライナーは衝撃を受け止めきれず、どんどんと押されていく。橋の中腹に来た辺りで勢いが止まる。

そして土手っ腹をベヒモスに貫かれている。シュウシュウと傷口から煙が漏れ出し、ライナーの目の光が消えている。誰が見ても巨人は既に戦闘不能と見るだろう。

 

「あれでも…勝てないのか…!」

「いえ、まだよ!きっと何かあるはずよ!!」

 

八重樫の剣がトラウムサージェントの首を捉え斬り飛ばす。

根拠のないことだが、八重樫は信じていた。彼はこんなものじゃあ死なないと。

 

次の瞬間、蒸気と共に、巨人のうなじ部分から勢いよく飛び出し、カタカタと嗤っていたトラウムプレジデントに肉薄する。

 

「さっきは随分と楽しそうだったな…!もっと楽しんでくれよ!!」

 

空中で大剣を振り回し、グルグルと回転しながら迫る。トラウムプレジデントは魔法を使い迎撃を試みる。

 

『■■■■■■■■■■■■ーーーー!!!!』

 

トラウムプレジデントが魔法を形成するよりも速くライナーが首元に向けて大剣を振りぬく。

 

 

 

しかし後一手足りない。大剣は分厚いトラウムプレジデントの骨に阻まれる。トラウムプレジデントがニヤリと嗤うがライナーは止まらない。

 

「うぉぉぉおおおおおおおおおおッ!!!」

 

硬質化をした腕で大剣の刃を殴る。ビキビキとへし折れる音が聞こえ、トラウムプレジデントの首から全身にかけて罅が入り…

大剣はトラウムプレジデントの首を見事砕き切断した。

 

 

おおおおおおおおおおおおおおッ!!

 

 

生徒たちの勝利の雄叫びが響き渡る。大剣は砕けたが大した問題もなく、丁度向かい側では天之河達がトラウムソルジャーを撃破し上層への階段を確保していたため、戻るだけだとライナーは油断する。それがいけなかった。

ベヒモスが怒り始めた。もともとトラウムプレジデントが持つ固有能力は支配。自身よりも魔力の低い魔物を使役する能力である。つまりは洗脳のようなものがベヒモスにかかっていたのだが、ここで術者がいなくなったことにより洗脳が解けたのだ。

操られていたことに怒り狂うベヒモスは鬱憤を晴らすかのように暴れ回る。

ライナーはすぐさまその場から離れなければと宙を飛ぶが、丁度ベヒモスの頭上付近で減速アンカーも何も普段通りに動かなくなる。それをベヒモスは狙った。その場で軽く跳び、ライナーの左足と左手を咥えた。

 

「魔力切れだと!?しま…!?」

 

もう遅い。ベヒモスはブンブンとライナーを咥えながら、まるで獰猛な肉食獣が獲物の意識を刈り取るように振るう。

振られた拍子にライナーの懐から飛び出した試作品の銃を何とか咥え、右手で引き金を引く。パンッと乾いた音が鳴るが、それはベヒモスの肉に阻まれ、逆に怒りを買う形になった。

ベヒモスは何度も何度も怒りに任せライナーを振り回す。

 

「が、ぐ、あ、が、ああああアアアアアアアッ!!!』

 

再度落雷が落ち、ライナーが巨人化する。しかし二度続けての巨人化、そして体力が削られていた影響で、鎧というには貧相な殻を纏った不完全な姿だ。

 

『グルゥァァァァァァァァ!!』

 

ベヒモスは的がデカくなっただけだというように、大きくなった腕を嚙みちぎった。

 

 

 

 

「助けなくちゃ…!」

 

南雲がベヒモスに一方的にやられるのを見て独りごちる。

 

「おい待て!!南雲ッ!!」

 

天之河や生徒たちの静止を振り払いベヒモスへと駆け出す。助ける手段なんて考えていない我武者羅に走った。

 

「〝錬成〟!!」

 

荒れ狂うベヒモスの近くに気付かれず着いた南雲は地面を錬成で変形させベヒモスを拘束する。

突如拘束されたベヒモスは反射的に咥えていたライナーを放り出し脱出せんともがく。

 

放り出された巨人のうなじからは蒸気と共に力なく項垂れたライナーが姿を現す。

 

「まずい、気を失ってる!!」

 

すぐに南雲はライナーを巨人から引きずり出し、抱え引きずりながら生徒たちの待つ階段前へと駆ける。ベヒモスもすぐに自身に纏わりつくモノを砕きながら脱出する。そして下手人である南雲へと、怒りと共に赤熟化した頭部で焼き潰さんと突進を始める。

そんなベヒモスに衝撃。痛くはないが煩わしい、衝撃波で前に進めない。

それは生徒たちの魔法だった。遠距離から最大火力の魔法を撃ち込み、一時的に行動不能にする。その隙に

 

「〝限界突破〟!!無茶するな南雲!!掴まれ!!」

 

残りの魔力を使い、限界突破で身体能力を上げた天之河が二人を連れ帰る。

天之河に担がれた南雲たちを見たベヒモスは、獲物を横取りされた怒りにより行き場を無くしていた頭部を床に打ち付ける。

 

ビキビキと音が鳴った。

 

今までこの橋を支えていた柱が、先頭の余波により崩壊し始めたのだ。特に最後のベヒモスの頭突きが効いたのか、凄まじい速度で崩れ落ちていき、ベヒモスもあっさりともがきながらも奈落のような暗い谷底へと落ちていく。

 

「しっかり掴まっていてくれ!もう少しだ…!!」

 

もう少しで皆の下に戻れる。しかし天之河におぶられている状態で背後を見れば、もう既にそこまで来ており、今のままじゃ助からないだろうと南雲は察する。ここで僕がいなければ天之河は無事にこの橋を渡り切れるのだろうと。

 

「天之河くん…白崎さんに約束破らせちゃってゴメンって伝えておいて…」

「な、何をするつもりだ南雲!!」

「いいから、僕は降りる、そしたら君たち二人は助かる。分かる?だから決して振り向かず走ってほしい」

「馬鹿を言うな!!全員で助かるんだ!!」

「今ここで二人を死なせるわけにはいかない。もし二人が死んだら誰が皆を率いて地球に帰るんだ。それに…天之河くんは戦争に参加してるんでしょ!?戦争ってのは沢山の犠牲の上で成り立ってるんだ!!だから…」

「やめろ南雲ォ!!!」

 

南雲は自分を掴んでいた天之河の腕を解く。

 

「走れ!!立ち止まらないで!!振り向かず!!進めッ!!」

 

キャーッと白崎の絶叫が響く。天之河はすぐさま立ち止まろうとしたが、南雲の思いを無下にはしまいと涙を流しながら走る。

 

南雲の声でライナーの意識が覚醒する。信じられないような顔で落ちていく南雲を見ていた。絶望するかのような、悲痛な表情を浮かべ、必死に南雲に腕を伸ばすが当然届かない。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛・・・・・・ッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

・死傷者

メルド含む騎士たち

 

 

・重傷者

園部優花(片腕欠損)

 

 

・行方不明者

南雲ハジメ

 

 

 

 

 

 

南雲は最後に気にしないでと笑顔を浮かべ、奈落の底へと姿を消した。




原作崩壊
キャラ崩壊
原作(敵)キャラ強化
原作キャラ死亡(原作でももう少し後で死ぬけど)


実はもっと苦戦させようとしてたけど勝手に皆が共闘してそこまでトラウムソルジャー達に苦戦しなかったという…
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