道化の元仲間は天寿に囚われる   作:時雨シグ

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今回9000字程です。

編集しました。


3巻
第12話* 神様とリリ ヴァレンシュタインさんとの特訓


side:ベル

 

 

リリと再契約した。二人の関係をリセットし、裏切りはなかったこととして改めて仲間となった。

そして、リリは死んだことになっている。もし生きていると知られたら、また襲われるからだ。

 

 

 

そして今は、神様にリリのことを知らせるため、ホームへと歩いている。

リリはシアンスロープに変身しており、僕は触りたい衝動にかけられている。そして、耐えきれなくて触るのだが

 

 

 

「ふぁっ....ベルさまぁ」

 

 

 

顔を染めなが悶える

 

 

 

「あ、ご、ごめん!つい!」

 

 

 

これがなかなかエロく、姿形のこともあって背徳感が凄まじいのだ。だけど、勘違いしないで欲しい。愛でたいという純粋な気持ちなだけで、邪なことなんて何ひとつ考えていないことを。

 

 

 

ホームへと着く。正直言うと、ちょっと不安だ。前、リリのことを言った際病みかけていたので、今回バチバチな雰囲気にならないか心配なのだ。

 

 

 

「り、リリルカ・アーデです。初めましてっ」

 

 

「君が噂のサポーター君か。ベル君から色々聞いてるよ」

 

 

「僕、お茶でも入れてきますね」

 

 

 

神様とリリはこれから真剣な話をするだろう。一度は裏切ったリリ。そこに神様が、真意を聞かないわけがない。よって僕は、邪魔者なので一旦場を外す。

 

 

 

「さて、まずは君の覚悟を聞こうじゃないか。サポーター君、君は二度と同じ過ちを繰り返さないと誓えるかい?」

 

 

 

真剣な表情で聞く神様。わざと僕が騙されたとはいえ、神様にとって、自分の『家族』を騙したことに変わりはない。

 

 

 

「はい、誓います。ベル様に、ヘスティア様に、何よりリリ自身に。だから、絶対に裏切りません」

 

 

 

リリもまた、真剣な表情で答える。当たり前だ。助けてくれた恩があるのに、それを仇で返すことなどしない。そして何より、ベルに惚れてしまったのだから...

 

 

 

「分かった。でも、正直に言うよ。サポーター君、ボクは君のことは嫌いだ。そりゃあそうだろ?ボクの『家族』を騙す行為をしたんだから。でも、ベル君は許した。いや、世界から君を許したんだ」

 

 

 

リリにはよく分からない言葉だった。分からないまま、ヘスティアは続ける。

 

 

 

「それと、なんだいそのしょぼくれた顔は?どうせベル君が責めないから、罪悪感に押しつぶされそうなんだろ?裁いて欲しくても裁いてくれないから。なら、ボクがベル君の代わりに君を裁いてあげるよ。.....ベル君の『仲間(かぞく)』になってくれ」

 

 

「え?」

 

 

「ベル君は、今までたくさんの''仲間''をなくしてきたんだ。そして、仲間を求めているんだ...。だから、よろしく頼むよ」

 

 

 

別れの辛さを知っているから、出会いは求めたくないと言う人もいるだろう。だけど、ベルは求める。仲間の大切さや楽しさなどが、素晴らしいものだと知っているから。仲間がいるからこそ、物語が描けるのだ。当たり前だが、仲間がいなくなるのはとても辛いし悲しいのだ。

 

 

 

「は、はい!」

 

 

 

ヘスティア様の言っている言葉は分からないけど、仲間になれるのならと返事をするリリ。

 

 

 

「でも!くれぐれも出過ぎた真似だけはしないようにっ!」

 

 

「え?」

 

 

「すみません。遅くなりま....」

 

 

 

ムニュッ

 

 

え?

 

 

 

「え?」

 

 

 

素っ頓狂な声をあげる僕。そして、僕に抱きついている神様は悪い顔をして

 

 

 

「さて、改めて....初めまして、サポーター君。ボ、ク、のベル君が世話になったねえ」

 

 

 

と言う。ボクのベル君に手を出すんじゃない、この泥棒猫!、とでも思ってそうだな顔で。あー、一波乱ありそう...

そして、

 

 

 

「いえいえこちらこそ〜っ。ベル様にはいつも、リ、リ、に優しくしてもらってますからぁ〜」

 

 

 

と神様に対抗するように身体をくっつけてくるリリ。バチバチする二人。あー、やっぱりですか....と虚空を見るのだった。

 

 

_______________

 

 

あの後、リリにここで住まないかと聞いだが、迷惑がかかるとの事で住まなかった。

 

 

リリが、ホームを出ていったあと、僕は《ソーマ・ファミリア》のことを聞くためギルドに向かった。

 

 

 

相変わらず喧騒が広がるギルド。中に足を踏み入れ、エイナさんを探す。

 

 

 

「ベル君?」

 

 

「エイナさ.....」

 

 

 

ん?...あ、アイズ・ヴァレンシュタインさん!?ど、どうしよう!?心の準備が...っ!よ、よし、一先ず退散と行こうか!

 

 

 

「あ!待ちなさい、ベル君!」

 

 

 

制止の声が響くが聞こえない。とても焦っていて、周りが見えていなかった。なので、筋肉隆々の男性にぶつかり、尻もちをついてしまう。

 

 

 

「す、すみません!」

 

 

 

と謝り、再び逃げようとしたら

 

 

 

「んぐっ!」

 

 

 

何かにぶつかった。顔を引き見てみると、尻だった。

え、尻?....ヴ、ヴ、ヴァレンシュタインさんの尻だ!!え、あ、えっと...ありがとうございます!!...あ、ちがっ...!と、焦りに焦り内心謝らずにお礼を言ってしまった。

 

 

 

「何してるのベル君。いきなり逃げるなんて失礼でしょ!」

 

 

 

脳内ピンクになっているところに、冷水をかけられたかのようにエイナさんが声がかかる

 

 

 

「す、すみません!え、えっと突然の事で焦ってしまって....それで何かようですか?」

 

 

「ヴァレンシュタイン氏が、キミに用があるらしいの」

 

 

 

なんだって...?もしかして、デートのお誘い?と馬鹿なことを考えていると、ヴァレンシュタインさんが声をかけてくる。

 

 

 

「ねぇ」

 

 

「は、はい!」

 

 

「この前、ダンジョンでオークに襲われてたよね?」

 

 

「え、ええ、そうでしたけど....」

 

 

「これ、君がいなくなったあとに落ちてたから、返そうと思って」

 

 

 

そう言って見せてきたのは、エイナさんから貰ったプロテクターだった。リリのこともあり、すっかり忘れていた。

それを受け取り、お礼を言う。

 

 

 

「拾っていただきありがとうございます!」

 

 

「うん。...それとね、ずっと謝りたかった」

 

 

「?」

 

 

 

謝られることなんてされた記憶がないので、頭に?が浮かぶ。

 

 

 

「私が逃したミノタウロスのせいで、君のこといっぱい傷つけたから...ごめんなさい」

 

 

 

あー、そういう事か。でも、ヴァレンシュタインさんが気に病む必要はない。だって、あれは僕が自分でやったことだから。頭をさげて謝るヴァレンシュタインさんに罪悪感がでる。ヴァレンシュタインさんは悪くないことは伝えておかないと。

 

 

 

「ちょ!頭をあげてください!ヴァレンシュタインさんは全然わるくないですから!むしろ、僕の方が悪いですよ!助けていただいた恩があるのに、お礼も言わず逃げてしまって...、ごめんなさいっ!」

 

 

「え、えっと...でも...」

 

 

「ホントに僕は気にしていないので、大丈夫です!」

 

 

「....ホントに?」

 

 

「ええ」

 

 

ちょっと不安げだった顔が、良くなるヴァレンシュタインさん。あぁ、可愛い...と思ったのだった。

 

 

__________

 

 

「ダンジョン探索、頑張ってるんだね」

 

 

「え?」

 

 

「こんな短期間に十階層に辿り着いて、すごいね」

 

 

 

あの件は終わり、少し話すことになった。

そして、突然褒められたことに困惑する。

 

 

 

「い、いえ、そんなことないですっ。もっと強くならないといけないのに...」

 

 

「なんで?」

 

 

「....認められたいです。目標の人に、みんなに...」

 

 

 

ヴァレンシュタインさんの横に並ぶためにはLv.をあげて、みんなに認めて貰わないといけない。ベートのように突っかかってくるものがいるかもしれないから。だから、早くLvを上げたいと思っているのだ。

これから、外套を被らずに実力を出すことがあるか分からない。なら、Lvをあげる方がいいと考えている。幸いにも僕は、ステータスが上がりやすい。

でも、ファミリア間での恋愛禁止が一番の壁。ウラノス様にでも、頼めないかな。

 

 

 

「...戦い方とかどうしてるの?」

 

 

「独学ですね。戦い方を教えてくれる人はいないので」

 

 

「じゃあ、私が教えてあげようか」

 

 

「え?」

 

 

 

突然の提案に、ほうけてしまった。教えてあげる?それは、ヴァレンシュタインさんにいうことですか?...なんだそれは!最高じゃないか!ヴァレンシュタインさんの戦い方を知れるし、一緒にいられる時間も増える!やったー!と内心喜びで叫ぶ。

 

 

 

「い、いいんですか!?」

 

 

「うん」

 

 

 

あー、あなたが本当の女神様でしたか。と崇拝するのだった。

 

 

 

その後は、何時どこでするかを決め、それぞれホームへと帰った。

道中もホームに帰った後も、喜びによる興奮で落ち着かなかった。神様に心配されたが、ヴァレンシュタインさんとの訓練を知られたら、面倒事になるので秘密にしておいた。

 

 

_______________

 

 

翌朝。オラリオを囲む壁の上に来ている。訓練は、早朝の壁の上ですることになったからだ。

 

 

 

「えっと、それで、ヴァレンシュタインさん...」

 

 

「アイズ」

 

 

「え?」

 

 

「アイズでいいよ。みんなもそう読んでるから。嫌?」

 

 

「嫌じゃないです!」

 

 

 

電光石火の返答。頭で考えるより先に口が動いていた。

名前呼びの許可がでたので、早速呼んでみようか。

 

 

 

「あ...、アイズ、さん」

 

 

 

やばい。なんか分からないけどやばい。好きな人を名前呼びするのって凄くやばい。と照れるベル。語彙力が死んでしまった。

照れ隠しのため、さっきの続きを言う。

 

 

 

「そ、それで、訓練は何をするんでしょうか?」

 

 

「何をしようか...」

 

 

「え?」

 

 

決めてなかったんですかアイズさん。ポンですか?でも、そこが可愛いです。

 

 

 

「昨日からずっと考えてたんだけど....君は何の武器を使ってるの?蹴りは体術は使うの?」

 

 

「えっと、武器は刀とナイフをつかってます。体術は一応」

 

 

「貸して」

 

 

「あ、はい。」

 

 

 

差し出された手に刀を渡す。

 

 

 

「こう?.....こう?.....こう?」

 

 

 

色々な構えをするアイズさん。可愛い。天然さんなんだね。とにやけてしまいそうになる。

 

 

 

「一旦、整理しましょう...!?」

 

 

 

可愛いアイズさんに、気が抜けてしまっていたんだと思う。アイズさんの顔が、キリッとした直後、頬に回し蹴りを放ってきた。それを、避けられるわけがなく、ぶっ飛ばされる。それで、頭のうちどころが悪かっのか意識が朦朧とする。やっぱり、アイズさん...天然なんだ。と内心呟いたあと、気絶したのだった。

 

 

_________

 

 

意識がだんだんと戻ってきた。

 

 

 

「う...」

 

 

 

目を開けると目けると、アイズさんの顔があった。一瞬で覚醒する。

 

 

 

「はわわわ!」

 

 

 

驚きで変な声を出していしまう。

 

 

 

「す、すみません!気絶してしまって!」

 

 

「ううん。あれは私が悪い。だから、気にしないで,。それで、大丈夫?」

 

 

「え、ええ。大丈夫です。」

 

 

「そう...。なら闘おう」

 

 

「え?」

 

 

「いっぱい闘うことで、色々なことを感じて、それで嫌でも身につく。...いくよ」

 

 

「...はい」

 

 

 

そこからは、たくさん闘った。Lv.1を演じているので、気絶したり意識が朦朧としたりを繰り返す。痛いが、耐久値をあげるのにもってこいだった。

 

 

特訓を終えると、いつも通り昼前からリリとダンジョン探索をした。

 

 

_______________

 

 

数日経った頃の、いつもの訓練。アイズさんは、眠そうだった。

そして、

 

 

 

「昼寝の練習をしよっか」

 

 

「ん?」

 

 

 

昼寝の練習とは?

 

 

 

「ダンジョンでは、いつでもどこでも、寝られるようにしないといけないから」

 

 

 

なるほど。でも、それって...

 

 

 

「もしかして、眠いんですか?」

 

 

「訓練だよ」

 

 

「は、はい!」

 

 

 

有無を言わさぬ顔で言うアイズさん。気押されてしまった。だけど、ホントは寝たいけど恥ずかしくて訓練と言うところ。アイズさん、可愛すぎます。

 

 

そして、寝転ぶアイズさん。

 

 

 

「寝ないの?」

 

 

「い、いえ!寝ます!...し、失礼します」

 

 

 

横にならない僕を見て、そう言ってきたので、僕も横になった。そして、アイズさんはと言うと、

 

 

 

「....スー.....スー.....」

 

 

 

寝ていた。

 

 

 

「いや、早いな!」

 

 

 

早すぎて、思わず突っ込んでしまった。

 

 

 

「っ!」

 

 

 

ここで、アイズさんの顔を見てしまったのは失態であった。キメ細やかな白い肌、柔らかそうなほっぺや唇。サラサラそうで綺麗な金髪な髪。あまりにも可愛すぎる。僕の顔が、だんだん近づいてしまっているのが分かる。止めたくても、止まらない。もういっそのことキスをしてしまおうかと。心臓がバクバクとなり、苦しくてうるさい。あともう少し、と言うところで...

 

 

 

「待っ...てて...」

 

 

「はっ!」

 

 

 

その言葉に目が覚め、すぐさま飛び下がる。一体僕は何をしようと!?と自分の行動に動揺を隠せない。そして、襲おうとしてしまった自分に嫌悪を抱く。

 

 

 

「はぁ、何やってんだ....」

 

 

 

それにしても、待ってて、か...。ここ数日、ちゃんと接してきてから、アイズさんが何か焦っているのを感じ取っていた。この言葉がどういう意味なのか分からない。もしかしたら、アイズさんも何かに''囚われている''のかもしれないと思ったのだった。

 

 

___________

 

 

あの後、僕も睡眠をとった。

そして今は、街を歩いている。

 

 

 

「アイズさん、どこに行くんですか?」

 

 

「お腹が空いているみたいだっから、何か食べよう」

 

 

「確かに、空いてますけど...」

 

 

「うん。それに私も空いてるから。....すみません。ジャガ丸くんの小豆クリーム味、二つください」

 

 

「は!?」

 

 

「いらっしゃいませぇぇぇええ!?」

 

 

「クリーム多め、小豆マシマシで」

 

 

「「......」」

 

 

 

今の状況を説明しようか。アイズさんが、ジャガ丸くんを頼んだ屋台には、虫の触覚をつけた神様がいて、その神様は、女の子といる僕を見て驚いている。そして、アイズさんは追加注文している。

僕は咄嗟に、あー...虚無ろ。と思い虚無る。そして、

 

 

 

「なーにをやっているんだ君はぁああああああっっ!?」

 

 

 

と神様が飛びかかってきた。

 

 

 

「まったく!次から次へと君はぁ!それに、とうとう!ついに!よりにもよって!この女までぇぇぇっ!」

 

 

 

半泣きになりながら怒る神様。虚無る僕。小首を傾げるアイズさん。可愛い。そして、なんだなんだと見てくる通行人。なかなかカオスな状況であった。

 

 

______________

 

 

「じゃあ、あと二日だけだって言うんだね」

 

 

 

すぐ側にあった路地に入り、神様が言ってくる。

 

 

 

「はい。《ロキ・ファミリア》の遠征が始まるまでという約束でして。いいですか?」

 

 

「いや、別にいいんだけどね...ちょいちょい」

 

 

 

神様に手招きされたので近づく。そして、小さな声で耳打ちをしてきた。

 

 

 

「特訓って言ってたけど、君はする側じゃないかい?」

 

 

「ええまぁ。でも、僕はLv.1ですので」

 

 

「いや、そうなんだけど。でもそれって、ただ一緒にいたいだけだよね?」

 

 

「そ、そうですね...。正直最高です」

 

 

 

僕の言葉に、神様はムッとなりアイズさんの方へと向く。

 

 

 

「..ふんっ!....ヴァレン何某君!ボクのベル君に変な真似はしないでくれよ!」

 

 

「はい」

 

 

「誘惑なんてもってのほかだからなぁ!」

 

 

「はい?」

 

 

 

何を言ってるんですか神様。誘惑なんて、どんとこいですよ!と意味のわからないことを内心声をあげた。

 

 

 

「僕のベル君なんだからなぁあっ!!」

 

 

 

そう叫んだあと飛び着いてきた神様。神様の胸に挟まれ息苦しくなる。

思ったよりも自分の胸が顔に押し付けていたようで、恥ずかしなった神様に弾き飛ばされ尻もちをつく。最高でした。

そして、弾き飛ばされた僕の近くに来たアイズさんに、いい神様だね。と言われ、距離が近い僕たちにまた声をあげる神様。そんな神様を見て、忙しいですね、神様。と呟くのだった。

 

 

 

その日の夜前。アイズさんと帰宅している最中に、何者かに襲われた。だが、魔法を使ったあと直ぐに立ち去っていった。

僕の方は一人だったけど、アイズさんの方は四人相手だったので、幸い怪我はなかったが少しボロボロになっていた。よし、誰だか分かったらボコボコにしてやろう。と決心するのだった。

 

_______________

 

 

特訓最終日

 

 

昨日、何故か特訓後にシルさんに仕事を押し付けられた。少し黒いオーラが出ていたが、気にしたら負けなので気にしなかった。

皿洗いをしていたのだが、その最中『ランクアップ』について考えていた。一緒にいたリューさんに教えられたが、『偉業』を成せばレベルアップ出来るらしい。僕は、どんなことを成せば『偉業』となるのだろうか。強敵を倒す?いや、ダンジョンのモンスターより強いモンスターなど、たくさん倒してきた。なら、気持ち次第でいけるのだろうか。と。まぁ、まだ先の話だ。おいおい考えるとしよう。

 

 

あ、そういえば、アイズさんがLv.6になった。おめでとうございます。明日、激励しよう。

 

_______

 

 

「アイズさん、Lv.6おめでとうございます!」

 

 

「うん。ありがとう」

 

 

 

《ロキ・ファミリア》の遠征の前日、特訓最終日。レベルアップしたアイズさんを祝う。

 

 

 

「それでは、今日もよろしくお願いします!」

 

 

 

構えをとらず、僕を見てくるアイズさん。そして、口を開いく。

 

 

 

「...ねぇ。聞いていい?」

 

 

「何をですか?」

 

 

 

少し口篭るアイズさん。何を言うつもりなんだろうか。

 

 

 

「....君は、何をそんなに''求めている''の?」

 

 

「!?」

 

 

 

突然のことで、驚きで声が出なかった。

内心ザワザワしながら問いかける。

 

 

 

「な、なんのことですか....?」

 

 

「この数日、君と訓練しているときにずっと思ってた」

 

 

「....なんで、そう思ったんですか?」

 

 

「分からない。でも、君を見てたら、そう思ってた....」

 

 

「そう、ですか...」

 

 

 

アイズさんに言われたとおり、僕は求めている。何を求めているか。それは、仲間。そして、''死''。半永久的な寿命を得てしまったであろう僕は、死''を望んでいた。死にたくても死ねない。死にたくても死ぬのが怖い。という矛盾がかけめぐっていた。

 

 

人は、殺しや病気、自殺で死ぬより寿命で死んだ方がいいと思うものだ。僕だって、寿命で死にたい。アイツの言葉もあるしね。

そしてこの瞬間、僕は決心する。

 

 

 

「アイズさん。少し時間とれますか?聞いて欲しいことがあるんです」

 

 

 

アイズさんには知ってもらいたい。好きな人であり、守りたい大切な人だから。

 

 

 

「うん、いいよ...」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

 

お礼を言い、昔を語っていく。数千年前に生まれたこと。精霊を助けたこと。アルゴノゥト達と冒険していたこと。自分だけが、何故か死なないこと。人との出会いや別れのこと。最近のこと。

語っている間、アイズさんはしっかりと聞いてくれた。

 

 

 

「....ということです。...まぁ、色々長く話しましたけど、信じてもら...」

 

 

「信じるよ」

 

 

「...え?」

 

 

 

言葉を遮って言ってきたアイズさんの言葉に呆ける。

 

 

 

「信じるよ」

 

 

「...嘘だと思わないんですか?」

 

 

「うん、思わないよ。君の顔を見てたらわかるから」

 

 

「.....」

 

 

 

嬉しかった。信じて貰えないと思ってた部分もあったから。

 

 

 

「あ、ありがとうございます...!」

 

 

お礼を口にする。あ、あの時の事謝っておかないと。

 

 

 

「あの、ミノタウロスの時のことと今までのこと、騙しててすみませんでした!」

 

 

「ううん、気にしないで。ミノタウロスを逃した私が悪いし、隠すのにも事情があったんだから」

 

 

「....分かりました」

 

 

「それ」

 

 

「はい?」

 

 

「あなたの方が歳上なのに、そんな敬った喋り方しなくていいよ?あと、さん付けもいい」

 

 

 

敬語、さん付け無しでいいよ発言。マジですか!ヤッター!と喜ぶ。

だけど、アイズさん呼びもまだ慣れてないのに、もう呼び捨てはちょっと恥ずかしいなぁ...。ふぅ。落ち着けベル。噛まずに言うんだ。

 

 

 

「わ、分かったよ。あ...アイズ...」

 

 

 

ふっ、無理だったわ。

 

 

 

「うん。....それじゃあ、始めよう。それと、今回は本気できて」

 

 

「...わかった。じゃあ、いくよ...」

 

 

 

そこからは、けたたましい剣撃が繰り広がっていた。細剣と刀の単純な攻撃。数秒で何合も打ち合う。言葉などいらない、剣で語り合う。

 

 

それは、たった数分の出来事。打ち合いを辞め、刀身を納める。

 

 

 

「強いね」

 

 

「まぁ、数千年も闘ってたらそりゃあね」

 

 

 

ここで、僕も聞いてみたいことがあったから聞いてみる。

 

 

 

「僕も一つ聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」

 

 

「なに?」

 

 

「アイズは、なんでそんなにも''焦っている''の?」

 

 

 

アイズに、聞かれたように僕も聞く。

そして、暗い顔をするアイズ。聞かなかった方が良かったかなと後悔していると、アイズは口を開く。

 

 

 

「....私の両親、黒龍に殺されたの」

 

 

「......」

 

 

「それで私は、強くなって黒龍を倒さないといけない。復讐したい」

 

 

「それが、焦っている理由?」

 

 

「うん」

 

 

 

そうだったのか。今まで、黒龍に家族を殺され、恨みをもつの者はたくさん見てきた。

アイズは、倒すために冒険者になったのだろう。だが

 

 

 

「焦っている理由は分かった。けど、アイズ。焦っていては強くなることから遠のいていくだけだよ。今は、たまたま強くなっていっているだけ。これからは、どうなるか分からないよ」

 

 

「...うん、知ってる。リヴェリアにも言われた。でも、私はっ....!」

 

 

「...ならアイズ、僕とまた特訓しない?」

 

 

「え?」

 

 

「正直いって、アイズは対人戦に強くない。ダンジョンモンスターは、人より攻撃手段が少ない。それに慣れてしまっているから、対人戦が劣る。そして、黒龍は人より攻撃手段が多いし強い。僕だって勝てない」

 

 

「.....」

 

 

「いつになるかは分からない。でも、いつか必ず倒せる。僕も倒したいと思ってるし、なにより君の為になりたい。だから、一緒に強くならない?」

 

 

 

そう言って手を差し出す。

 

 

アイズは少し考え、そして手を取る。

 

 

 

「うん。よろしく」

 

 

 

という言葉とともに。

 

 

 

そろそろ終わりの時間だ。最後にまた、お礼を言う。

 

 

 

「この一週間ありがとう」

 

 

「私も、ありがとう。楽しかったよ」

 

 

「そう?ならよかった。明日からの遠征、頑張ってね。絶対生きて戻ってくるんだよ」

 

 

「うん。ベルも、頑張って。...それじゃあ、またね」

 

 

そう言って、降りていったアイズ。

今日、かなり距離が近づいたんじゃないかと思った。僕のことも話せたし、アイズのことも教えてくれた。特訓することにもなったので、これからも会える。

僕は嬉しさを滲み出しながら、ホームへと帰った。

 

 

 

神様に今日のことを報告した。優しい顔になり、良かったねと言ってくれた。いい神様だ、本当に。だがその後、呼び捨てと敬語がなくなり、距離が近くなっていたことに、感情を爆発させる神様。あ、いつもどおりの神様でしたわ。と内心呟いた。

 

 

 

こうしてまた、日が過ぎていく。

 

 

 

 

追記

握手をした時、アイズの頬がほんの少しだけだけど、紅くなっていたのはどういうこと?

あと、アイズって色々やわらかi...... まる。

 

 

 

 

 

 

 




ありがとうございました。

アイズには、少し意識させてみました。


次回は、ミノタウロス

では、さようなら
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