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第16話* 絶望の中層 18階層
side:ベル
「それでは行ってきます、神様」
「うん、気をつけてね。行ってらっしゃい」
先日、エイナさんから中層に行ってもいいと許可が出たので、今日は朝早くからダンジョンに向かう。今の僕の格好は、いつもの装備の上に『サラマンダー・ウール』を着ている。神様が先程言っていたが、明るいところで見るとなかなか目立つ。
『サラマンダー・ウール』とは、中層に行くなら必需品だ。ヘルハウンドの炎対策としての装備品としてである。
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今はダンジョン中層前にいる。初めての中層ということで気持ちがはやる。
「では、最後の打ち合わせをします。あそこを抜ければ13階層、中層です。中層以降は、遠距離攻撃が増えるので油断しないでください」
リリの注意に頷く。
「初めての中層か...、なんだかワクワクするな!」
初めての中層に、ヴェルフも興奮しているようだ。
「ハハ、そうだね!」
「お二人共、緊張感が足りてないのではないですか?」
「しょうがねぇだろう、男なんだからよ」
「理由になってません、が...、お気持ちは分かります」
そう言ったリリも笑顔だった。
「よし、じゃあ行こう!」
そして僕達は、中層に足を踏み入れた。
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「話に聞いていた通り、光源が乏しいですね」
中層に足を踏み入れた僕達は、上層とは違う環境にやはりと言うべきか戸惑っている。話に聞いていたとはいえ、経験すれば戸惑うものだ。
「そうだね。曲がりくねってるわけじゃないのに、先があまり見えない」
「13階層はルームとルームを繋ぐ通路が長いのが特徴です。安全に戦闘するためにも、迅速に最初のルームへ到達しなければなりません。そして...」
リリの説明のとおり、通路が長い。挟み撃ちされる可能性があるため、なかなかに面倒な階層だ。そして...とさらに真剣な表情なるリリ。
「ああ、分かってる。ヘルハウンドが出たら、真っ先に叩け、だろ」
言いたいことは分かってる、といったふうに先を言うヴェルフ。
ヘルハウンドとは、子犬ほどの大きさの犬であり、別名『
「はい。いくら『サラマンダー・ウール』を着ているとはいえど、ヘルハウンドの炎はとても強力です」
話していると、モンスターの気配が近づいてくる。
「二人とも、来るよ」
グルルルルル
近づいてきたモンスターは、ヘルハウンドだった。
「噂をしているとってやつか、いきなりおでましだな...。よし、叩くぞ!」
ヴェルフをかわきりに、ヘルハウンドとの最初の戦闘が始まった。
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「これで最後っと」
最後の一匹を斬り消滅する。
「さっきので終わりか?」
「そうみたいです」
「そうか。最初の戦闘にしては、上出来じゃないか?」
ヘルハウンド。当たり前だが、僕にとっては大した敵じゃない。例え、本当のLv.2だったとしても、歯が立たない相手じゃないだろう。
「そうだね。火炎攻撃も、なんとか対処できそうだし」
「とにかく、開けた場所に急ぎましょう。こんなところでモンスターに囲まれたら厄介です」
キイイィ
鳴き声のしたところを見ると、そこに居たのは、赤い目に白い毛並みの兎のようなモンスターだった。容姿からして、アルミラージだろう。
「...ベル様?」
「違うよ!?」
「...ああ、ベルだな。」
「だから違うって!?」
そのモンスターを見るやいなや、ベルと言うリリとヴェルフ。
いや、本当に何言ってるの?違うよ?アルミラージだよ。アルミラージって、兎みたいな可愛らしい見た目だけど、見た目に反して狂暴なんだからね!僕、全然狂暴じゃないから!.....え、夜?えっと、それは....、さぁ、どうだろうね!えへっ!と、後半意味の分からないことを言うベルとからかう二人だが、目の前いるのはモンスターだ。襲ってこないわけがない。
キイイィィィッ!
襲ってくるアルミラージ。ヴェルフとリリは、倒すごとに『すまん、ベル!』、『ごめんなさい、ベル様!』と悲しそうな表情で言うもんだから、毎度、『違うよ!!』とツッコんでいた。
だが、こんな悠長にしている時間はすぐになくなった。倒しても倒しても、どんどん溢れてくるモンスター。
「ふざけろ、息付く暇もねぇ!」
悪態をつくのは仕方がないことだ。それほどまでに対処におわれているのだから。
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戦闘の最中、数人の気配と数多のモンスターの気配が近づいているのを感じた。気配のした方を横目に見ると、極東の服装をしている冒険者がこちらに向けて走ってくる姿が映る。
そして、戦っている僕達の間をぬけ、逃げていく。
「いけません!押し付けられました!
こんな中層に上がりたてのパーティが、
「退却します!早く通路へ!」
逃げる僕達。そして、追いかけてくる数多のモンスター。
ベルは考える。
仲間が危機に晒されている状況下で、まだLv.2を演じる必要はあるはずがない。仲間が死ぬかもしれないんだ。救える力を持っているのに、使わないことなんてあるか?いや、絶対にない。僕のことは、近々言うつもりだったのが早くなっただけだ。と。
「二人とも、先に行って!」
「ベル様!?」
突然の言動に驚く二人。
「フレイムボルトーー!」
多くのモンスターが飲み込まれ消滅したが、こんなもので終わるわけがない。次々と炎の中から飛び出てくる。仕方ない。ここで使うと、ここ一角が壊れるが、殲滅するには''これ''をするしかない。
だがしかし、ここはダンジョン。イレギュラーにイレギュラーが幾度となく重なるところだ。
ヴォォォォォ
さらに増えるモンスター。そして、さらに最悪な状況になる。
キイイィィィィッ!
「挟み撃ち!?」
さらなる最悪な状況にリリが絶望する。
「気が滅入るどころじゃないな...」
ヴェルフがそう呟く。
たけど、炎の勢いが少なくなった一本道。別のモンスター、アルミラージが跳ねながら出でくるが、活路が見いだせていた。
そして、リリがある提案をする。
「ベル様、ヴェルフ様、リリは逃げるを上策とします。この状況でまともに戦っても切りがありません」
「それは、片方を強行突破するってことだね?」
「はい、それが最良かと」
リリの提案は最もだ。僕もそう思っていたところだったしね。
やがてモンスター達は前後から近づいてくる。
「それでは...」
「おう」
「行こう!」
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強行突破をして、今は後ろからモンスターが攻めて来ているという状況になっている。このまま逃げる、或いは、ルームに出で殲滅するか。そう考えていた。
だが、なかなかどうしてうまくいかない。
ビキリ
逃げていた僕に、そんな音が響いた。
ビキリビキリビキリ
さらに大きく、途切れることなく響くその音。
そして、気づく。音源は天井。見上げる僕に倣って、ヴェルフらも見上げる。蜘蛛の巣を彷彿とさせる亀裂。モンスターが生まれる前兆である。
そこで、僕は声をあげる。
「走れーーーー!!!」
僕の声に驚く二人。だが直ぐに持ち直し、疲弊した体に鞭を打ちスピードをあげる。
キィアアアアアアアアーー!!
甲高い産声が辺りに響く。盛大な破砕音を撒き散らし、何十匹ものモンスター、『バッドバット』が天井から生まれ落ちた。
生まれ落ちただけなら、まだマシだった。モンスターが生まれたことで穴だらけになった天井は安定を失い、そして、
ドォオンッ!
崩落した。雨のように降りしきる絶望たる土砂か。
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そして、ようやく落石の雨が収まった頃。
ヴェルフの呻き声が漏れている。その声色から負傷したのは明白だった。リリの荒い呼吸音も聞こえる。とにかく、無事ではあったことに安心する。が、周りにはモンスターの気配がいくつもある。ヘルハウンドの群れだ。
ヘルハウンドは僕達を見下ろしている。そして、全てのヘルハウンドが地に低く伏せる。口内が膨大なまでの灼熱に迸る。
リリは青ざめ絶望し、ヴェルフは歯を食いしばり、己の不甲斐なさを心底呪う。
やがて、ヘルハウンド達は一斉に頭を振り上げ、僕達三つの的を照準する。
僕は、二人を背に、立つ。
「安心して、ヴェルフ、リリ」
圧縮された炎の塊は、僕達三人を燃やし尽くすため
「僕が、絶対に二人を死なせないから」
一気に僕らへと開放された。
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「すまん.....」
「いえ...」
今、僕達はあの状況から逃げだし、ヴェルフに肩を貸し歩いてた。
ヴェルフは、岩盤の崩壊により片足を潰され、一人ではまともに歩けない状態だ。リリは目立った外傷はないが、サポーターであり非力な彼女には、かなりの疲労を蓄積しただろう。苦しそうな顔がものがたっていた。
あのとき、僕は大層なセリフを吐いたが、あらゆるところから放火された攻撃は、流石の僕でも対処は難しい。しようと思えば出来たが、さらなる災害が起こりかねないため、出来なかった。なるべく被害がすくないようにしたが、『サラマンダー・ウール』がなければ危なかった。
そして現在、何階層なのかが分からない。あの場から離れるため逃げていたら、縦穴に落ちてしまったのだ。縦穴は、出っ張りも窪みもなくよじ登ることが不可能だ。本当にタチが悪い。
「ベル、リリ....いざとなったら、俺を置いていけ」
そう、力なく呟くヴェルフ。
「なに馬鹿な事言ってるんですか...」
リリが呆れる。
「絶対に、そんなことしないよ」
何があってもそんなことはしない。僕がいる限り、二人は死なせないと約束したから。そして、僕自身が死なせたくないから。
緊張感が高まるなか、しばらく歩いていると行き止まりにあった。これが、何度か続いている。そう、普通に迷っている。それは、ダンジョンで一番回避しなければならない事態。
「一度、落ち着きましょう」
リリが深呼吸し、その言葉を告げる。僕達は、座り込み現状の確認をする。治療用のアイテムは、数本しかなく。武器は、リリ以外は無事であった。『サラマンダー・ウール』も、ギリギリ生きている。
「ベル様、ヴェルフ様、今いる階層は、15階層かもしれません。特徴、通路の幅や光源、難解さからの推測ですが」
リリの言葉に絶句するヴェルフ。意味することは、地上への帰還が絶望的なものであるということ。
「ここで一つだけ案があります。それは...、18階層に避難することです」
僕も、何か案を出すとしたら同じだ。ヴェルフもリリも調子がいいのであれば、僕が守れば帰還出来るだろう。しかし、ヴェルフは足が潰れているため困難であり、リリも疲労によりいつ倒れるか分からない。なら、''縦穴''を使って18階層に降りた方が、まだ現実的だろう。
「....縦穴を使って降りるってことか...?」
「はい、そうです」
「階層主は、どうする?」
18階層に行くのはいいのだが、その前に階層主がいる。ヴェルフが疑問に思うも、すぐに答えるリリ。
「先の『ロキ・ファミリア』の遠征で倒されたはずです。ゴライアスの
なるほど。リリの推測通りなら、それは嬉しいことだ。無駄に戦闘などしたくない。
「このパーティーのリーダーは、ベル様です。ベル様、どうしますか?」
そう、リリに尋ねられる。僕は、ヴェルフの方をみる。自由がきかないヴェルフにとって、不安すぎるものだろうから。
「いい、ベルが決めろ。どうなったって、お前を恨みはしない」
信頼と絆による言葉だった。 だがまた、脅しでもある。
すでに僕の考えは決まっている。
「進もう、18階層に」
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18階層に向けて歩いている僕達。モンスターには遭遇していない。その理由は、
「....なぁ、リリスケ。この臭い、何とかなんねぇのか?」
「我慢してください。それにお言葉ですが、リリの方がこの悪臭に悩まされてます」
リリが首にかけている袋が、強烈な悪臭を放っているからだ。それは、『
しばらくすると、視界の奥に複数の真っ赤な眼光が浮かんでいる。ヘルハウンドだ。臭い袋の効果が薄れる遠距離から、火炎攻撃の準備をしている。
僕は、それらを倒すため、ヴェルフに声をかけようとしたが、その前に、
「やるしかないな....任せろ」
と呟いた。疑問に思うと同時に、突き出される右腕。
「【燃えつきろ、外法の業】」
紡がれたのは、超短文詠唱。
たちまちヴェルフの右腕からは空気の揺らぎ、陽炎が凄まじい勢いで迸る。
「【ウィル・オ・ウィプス】」
瞬間、三つの大爆発、ヘルハウンドらの自爆が巻き起こった。その爆発の仕方に、見覚えがある。あれは、
「
リリが驚愕する。
『
魔法を行使する際、魔力を制御しきれず暴走させてしまう事故現象だ。
神が降りくてくる前までは、よく見ていた光景。だけど
「モンスターで試したとこなかったが....成功したな」
「ヴェルフ、今のは?」
「俺の魔法は特殊らくしてな。一定の魔力の反応を火種に、爆発させるらしい」
【ウィル・オ・ウィプス】、
タイミングよく発動させることで魔力暴発を誘発させ、自爆させる。魔力量が高ければ高いほど効果がある。言わば、『魔力封じ』だ。
しかし、気になることがある。先程、モンスター''で''と発言していた。それはつまり、
「...ヴェルフ。人で試したとき、どうなった...?」
「.....見事に爆発した...」
...うーん...、やはりね。
「いや、何が起こるか分からなかったから、仕方ないだろう?それに、アイツらもそれをわかってたしな。...いやまぁ、俺が全面的に悪いんだけどな?」
罪の自覚はある苦しい弁明。悲しきかな。何一つ説得力がない。多分だけど、ヴェルフが白い目で見られるのは、クロッゾの血筋だけとは限らない気がしたのだった。
それからというもの、ヴェルフの魔法のおかげで、遠距離からの攻撃を無力化されていき順調に進められている。
「あった....」
ようやく発見したのだ、縦穴を。深さからして、恐らく、16階層まで。
僕達は、視線を交わし頷き合う。
そして、縦穴に飛び込んだ。
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side:ヴェルフ
「臭い袋が、なくなりました.....」
唐突の宣告。リリも俺も、この世の終わりといった表情をしている。15階層以降からはミノタウロスが出現する。そして、今は16階層、会わないなんてことはない。
ダンジョンのイタズラか。ここで、死が近づいているのを感じとる。前方に目を縫い付ける俺達。獰猛な殺気が放たれている。
やがて、ドンッ、ドンッ、と死の音が響く。燐光に照らされ、赤胴色の体皮に、膨大な筋肉、岩のような蹄、雄々しいその角が現れた。牛頭人体。二Mを超す巨躯。特大な天然武器を持ち、こちらを見下ろす猛牛モンスター。初めの敵、ミノタウロスに、俺は呼吸を奪われる。
『ヴォオオオオオオオオオオオッッ!!』
雄叫びが響き渡る。死を悟った。対抗は無理だ。強烈な『
ミノタウロスが大石斧を振りあげる。ああ、終わりだ。最高の鍛冶師になって、いずれヘファイストス様を超えるという目標を叶えられずに。とヴェルフは最期を覚悟した。
だが、次の瞬間。
がくんっ、と、視界が揺れた。それまで体を支えていた肩が、消えたのだ。咄嗟にリリに支えられる。
俺は、すぐさま顔をあげる。
肩を借りていた少年の背中が、見えた。
そして、ミノタウロスは斬られ灰に変わっていた。
何が起きたのか分からなかった。その''速過ぎる''攻撃に、困惑する。
だが、その思考もすぐに変わった。新たに三体のミノタウロスが出てきたのだ。言葉を失う。さすがに終わった。いくらさっき倒したといえ、一体だげ。三体は流石に無理だ。と。
だが、ベルはゆっくり歩いていた。リン...、リン...、と鐘の音が鳴り響く。刀を持った手に、白い粒子を収束させていた。約十秒分のチャージ。刀身を収め、構えながら疾駆するベル。
角を構え蹴散らさんと突撃してくる猛牛達に、純白の輝きを放ちながら、抜刀された一振。
ズダァアアアンッ!!
光の大斬撃が解放された。その光撃は、ミノタウロスを呑み込み、通路ごと破砕したのだった。
亀裂が走り砂埃が舞い、破片が飛び交う。
やがて、収まった頃。
カチッ
と、刀身を収める音が鳴る。リリと俺は立ち尽くす。ミノタウロスの連続撃破。何が起きたのかも分からなかった。だが、Lv.1にして、ミノタウロス単独撃破は、与太話ではなかったのだと。ヴェルフは確信した。
そして、
───
という言葉が浮かぶのだった。
___________________
side:ベル
『アンチ・マジック・ファイア』を連発するヴェルフはとうとうマインドダウンになってしまった。
また、リリが極度の緊張と疲労により気絶してしまった。その小さな体では中層のプレッシャーは、あまりにも重すぎた。二人とも気絶してしまったので、僕が持ち運ばないといけない。そのため、持てない荷物は捨てることになる。
「ごめん、二人とも....」
申し訳ない気持ちになる。だが、仕方がないことだ。僕でも、持てる量は限られる。出来るだけモンスターには会いたくないため、縦穴を探す。
すぐに見つかった。安全確認をして、飛び込む。着地し、また歩を進める。
進むなか、ダンジョンは静かだった。
「モンスターが.....いない?」
あまりにも静か過ぎることに疑問を抱く。いや、すぐに分かった。ここは、『嘆きの大壁』だということに。そして、ここに来て確信する。ゴライアスは誕生すると。
この状況で無駄な戦闘はしたくない。ゴライアス程度、一瞬で倒せるが、すぐ下の18階層にはたくさんの冒険者がいる。倒せば悪目立ちする。どちらも面倒なので、通り過ぎるという選択肢をにとる。
僕は走る。二人に衝撃が伝わらないように。
その最中、壁がバキッ、バキッ、と鳴り響いていく。
やがて、巨大な破砕音が爆発した。そして、ズンっ。と、着地音がなった。
僕は、ソレをチラ見する。これがゴライアスかぁ、と内心初めて見たゴライアスに呟く。そう考えられる余裕がある。なぜなら、入口がすぐそこにあるからだ。Lv.2であれば、ギリギリだっただろう。だけど、僕はLv.2であってLv.2でないため、足の速さが違う。
『オオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!」
と、咆哮を上げるが、僕はもう入口に立っていた。
そして、僕はゴライアスに
「ごめん、ゴライアス。もう出番はないんだ。本当にごめんね」
と言い放ち、降りる。
油断していたんだと思う。僕は、小さな出っ張りに躓いてしまった。
「アレェエエエエエエエッ!!?」
変な叫び声を上げながら天井、壁、地面を玉のように跳ね返り転がる。ヴェルフもリリも一緒になって転がっていく。
(わぁあああああああっ!!ゴメン、二人とも!!油断しちゃったぁああああああ!!!)
あまりにも締まらない展開に泣く。
ねぇ、ダサくない?あんなこと言っといてコケるって、どういうこと?ねぇ、本当にどういうこと?と、内心バグるのだった。
ずしゃあっ、と。出口から吐き出され、勢いよく地に投げ捨てられた。すぐに、ヴェルフとリリの安否を確認する。僅かながら呼吸を感じ取れる。よかったぁ、と安堵する。だが、すぐに治療が必要だ。運ぶため、担ごうしたとき、誰かが歩み寄ってくる気配があった。振り向くと、そこにいたのは...、アイズだった。
「や、やぁ、アイズ。ひ、久しぶり...だね....」
久しぶりの再会なのに、何故か気まずいベルであった。
補足という名の追記
ヘルハウンドの火炎攻撃から逃れたところ、悩みましたが思い浮かばず、なんやかんやあったということにします。
最後、ちゃんとヴェルフとリリは治療してもらいました。
ありがとうございました。
次回は、18階層。
では、さようなら