原作と変わらなすぎたので。
一応、変わったところを言うと、
わざと煽りに乗ったくらいです。
この話も途中まではほとんど一緒です。
9000字です。 何故こんなにも...?
第21話 神の宴
side:ベル
カサンドラさんとダフネさんから案内状をもらった日の夜。
「『神の宴』の紹介状ねぇ....」
『神の宴』は、神達が自主的に開くパーティだ。
《ファミリア》の力を誇示したり、自慢したりする側面があるらしいが、基本的に神同士で騒ぐための催すものらしい。
「どうします、これ?」
「うーん...流石に無視は出来ないなぁ」
数日前に《アポロン・ファミリア》との揉め事があったため、断ると余計に話が拗れかけない。
まぁ、わざと煽りに乗った僕が悪いんだけど。
「揉め事があったのに、わざわざ紹介状を送り付けてきた....絶対になにかあるよね...悪い方向で」
「まぁ、そうでしょうね。だって僕、紹介状を貰った人に『ご愁傷さま』って言われましたし」
「いや、もうそれ確定でなんかあるじゃん...」
困った顔を浮かべる神様。
「すみません。僕が軽い気持ちで煽りに乗ったからに...」
何かしらあるだろうと思って、煽りに乗ったが、まさか自ら敵陣に乗り込んでくるように仕向けるとは思わなかった。
「いや、どうせあのときベル君が煽りに乗らなくても、ずっと絡んできただろうさ。早いか遅いかの違いだよ。まぁ、それは置いといて...今回の宴はいつもより趣向がこられている」
そう紹介状を見ながら一つ笑みを浮かべる神様。
僕も横から紹介状を覗き読むが、何がいつもと違うのか分からなかった。
「そういえば、ベル君は
「ええ。昔、ウラノス様やゼウス様に教えて貰いまして」
関係ないが、ベルは
「よし、せっかくだ。みんなで一緒に出席しようか」
結局何がいつもと違うのか分からなかったけど、初めての『神の宴』に心をはやらせるのだった。
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『神の宴』当日。
馬車が止まる。
その馬車から、燕尾服を身に纏うとある男性。と、白と黒、蒼を基調とした大人な雰囲気を醸し出す、ドレスに身を纏うとある女神が降りてきた。
「神様、御手をどうぞ」
「ありがとう、ベル君。とっても様になってるよ」
「ありがとうございます。神様も、とてもお綺麗ですよ」
「そうかい?嬉しいこと言ってくれるじゃないか」
微笑み合う二人。
その光景は、続々と集まってきた美男美女や大富豪の人達の目をとめた。
今回の『神の宴』は、''眷族を一名引き連れて''のパーティらしい。
通常『神の宴』では眷族の参加は認められない。この条件が、いつもとは異例なところらしい。
「すまぬな、ヘスティア、ベル。服から何まで、色々世話になって」
と、僕達に続いて馬車からミアハ様が、そう言いながら降りてきた。そして、その手に引かれているのは、唯一の団員であるナーザァさんだ。
「誘ってくれて、ありがとう、ベル...」
「いえいえ、いつもお世話になってますので。それと...お綺麗ですね。似合ってます」
「...ありがとう」
少し照れた仕草をするナーザァさん。可愛い。
「では、そろそろ行くとするか」
「ああ。じゃあ、ベル君、頼んだぜ?」
「はい」
僕は差し出された手を、優しく取る。
そして、僕達は建物の中へと入った。
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絢爛豪華な建物内は、数多の人や神達で賑わっていた。
当然、オラリオで有名な冒険者もたくさんいる。善悪に関わらず。
「ヘスティア。来たのね」
「ミアハもいるとは意外だな」
すると、声をかけてくるものがいた。
「ヘファイストス!タケ!」
ヘファイストス様とタケミカヅチ様だ。
ヘファイストス様は鍛冶の神であり、ヴェルフの主神だ。
タケミカヅチ様は、命さん達がいる《ファミリア》の主神である。
「お初目にかかります、神ヘファイストス様、神タケミカヅチ様。私は、神ヘスティア様の眷族である、ベルと言います。いつも主神がお世話になっております」
正式な場なので、礼儀を正し、お辞儀するベル。
「あら、礼儀がしっかり出来て偉いわね。ヘスティアの子とは思えないわ」
僕の対応に少し驚き、そして冗談めかしに神様をいじるヘファイストス様。
「ふふん、だろだろ〜!僕の自慢の子さ!」
親は子が褒められると嬉しいもの。
それを体現するように、嬉しがる神様。弄られたことには、気づいてないようだ。
「そのようだな。...ベルよ、先日は我が子供達が済まなかった」
僕の方を向き、そう言って頭を下げるタケミカヅチ様。
「頭を上げてください、タケミカヅチ様。僕達は気にしていないので」
「本当に済まなかった...。詫びになるか分からないが、何か困ったことがあったら、全力で協力する」
「それは嬉しい申し出です。ありがとうございます。もし協力して欲しい事があれば、そのときはよろしくお願いします」
いい繋がりを持つことが出来て、かなり万々歳なベル。
人との出会いや繋がりは、やっぱり面白いなと改めて感じたのだった。
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アポロン様の演説が終わる。
途中、視線がこちらを射抜いたが、その視線の意味するものは分からなかった。
まぁ、気にする必要もないし、今はパーティを楽しもう。
そして、皆と談笑を興じた。
すると、突然会場が湧いた。
人が集まっているところに目を向けると、騒ぎの原因が何なのか、すぐに理解する。
巨身の獣人従えた、銀髪のそれはそれは美しい女神がいた。フレイヤ様だ。
《フレイヤ・ファミリア》。《ロキ・ファミリア》と並ぶ最強派閥。オラリオにいれば、かの《ファミリア》を知らない人など居ないだろう。
フレイヤ様の登場は、場を一気に盛り上げた。
それはそうだろう。実力、名声が最も高い《ファミリア》。そして、フレイヤ様自体の恐ろしいほどの美貌。盛り上がらないわけがなかった。特に、''男''達が。
え...? 僕はどうだって?そんなの分かりきってることでしょ。当然、興奮したに決まっ(殴)....アイズの方が美しいに決まってますよ!いや、ちょっとふざけちゃったけど、本当だから!
そう一人で虚しくノリツッコミしていると、
「...あっ!?」
隣にいる神様のツインテールが揺れた。
「ベル君、フレイヤを見るんじゃ....!いや、ベル君なら大丈夫か...?」
何やら一人で変なことをしている神様。触れないでおこう。
すると、真面目な顔つきになった神様がこちらを向いて声をかけてきた。
「ベル君、フレイヤには気をつけておきなよ。フレイヤは万人を『魅了』してしまう。ベル君は大丈夫だと思うけど、絶対とは限らないから『魅了』されないようにね」
それを聞いてから、またフレイヤ様がいるところを見ると、魂が抜けたように立ち尽くす人達がいた。これが『魅了』なのだろうか。
これ...僕、大丈夫かな...?と少し不安を覚える。
僕の側では、『魅了』されかけているナーザァさんと、既にかかってしまった命さん、アスフィさんに限っては明後日の方向を見ていた。
これを見てると、僕自身は何ともなっていないので、多分大丈夫だろうと不安が祓う。
その時、銀の瞳がこちらを捉える。
じっと僕を見つめていたかと思うと、微笑んだ。
そして、コツ、コツと靴を鳴らして歩み出し、近づいてくる。
やがて、僕の前で足を止めた。
「来てたのね、ヘスティア。それにヘファイストスも」
「...やぁフレイヤ、何しに来たんだい?いつもは参加しないのに」
笑顔を繕う神様。神様自身あまり関わりたくない神なのだろう。関わりたくないって言う雰囲気を感じる。
「別に、挨拶をしに来ただけよ?珍しい顔ぶれが揃っているものだから」
そう言って、蠱惑的な視線を男神様達に送る。その視線に惑わされる男神様達。ミアハ様に限っては、普通に褒めてたけど。流石、天然タラシ神。尊敬します。
まぁ、その男神様達は眷族に足を踏まれてたけどね。ご愁傷さまです。
そして最後に、僕に視線を向け、自然な動作で頬を撫でてきた。
「今夜、私に夢を見させてくれないかしら?」
そう言ってきたフレイヤ様。それはあまりにも魅了的で、油断していたら一瞬で堕ちてしまいそうな誘惑だった。
まぁ僕にはアイズがいるから、全然大丈夫だけどね!
「見させるかぁ!!」
一瞬でそうツッコミをいれた神様。フレイヤ様の手を弾く。光もビックリな速さだ。
「ベル君!!大丈夫かい!?」
『魅了』にかけられていないか心配したのか、僕の頬に両手をあて、目を覗き込んでくる神様。
「え、ええ。大丈夫ですので、落ち着いてください」
さっきのように冷静に思考できるということは、正常であるということだと思う。
大丈夫だと、神様を宥める。
「むっ...分かった」
両手を離した神様。その顔は安堵を浮かべていた。
「あら、残念」
分かっていたわ、といったふうに微笑むフレイヤ様。あっさりと身を引いた。
もう用は無くなったのか、それじゃあ、と別れの言葉とともに歩み出したフレイヤ様。その後を着いていく従者....オラリオ最強のオッタルさんに何故か一瞥された。その目に込められてるものは、分からなかった。
そして、二人は去っていった。
それにしても、僕をずっと見ていた者って、フレイヤ様だったのか...。
ベルは神フレイヤと視線を交えたとき、いつも見られている視線と同じだと感じ取っていた。
はぁ...また厄介な神に狙われたもんだなぁ...と悲観するのだった。
「早速、あの色ボケにちょっかい出されたんかいなぁ」
誰もが口を開かないで居た時。僕たちに声がかかった。
声のした方に振り向くと、僕は絶句した。
「ロキ!?」
「よぉー、ドチビー。何やええドレス着とぉーけど、背伸びしとるようで笑えるわー」
男性用の正装をしたロキ様が、神様を貶しながら近づいてきていた。
そしてその隣には、美しいドレスに身を纏った、アイズがいた。
薄い翠のドレスは胸もとと背中がひらき、その少し紅みがかった肩まで剥き出しになっていた。両腕には、滑らかな生地の長手袋をはめており、金の長髪は一部を結い上げながら、背中の半ばまで降ろしている。
その姿は御伽噺のお姫様のような、また女神のような、どう言葉で表したらいいのか分からなくなるほど、美しかった。
この時ベルは、あることを考えていた。
今でも心臓が爆発しそうなぐらいヤバいのに、ウェディングドレス姿を見たら本当に死んじゃうんじゃないか!?と。
まだ付き合ってすらいないのに、何を考えているのだろうか。
アイズは僕と目が合うと、軽く俯いて、小さく、モジモジと体を揺らした。
「グハっ!!?」
クリティカルヒット。
あまりの可愛いさに、胸撃たれ、跪いてしまった。
か、可愛いっ!抱き締めたい!!と暴走する感情
いや、ダメだ!気持ち悪がれる!!とそれを必死に抑える理性がせめぎ合う。
「べ、ベル君!?」
「ど、どないしたんやベル!?」
急に跪いた僕を心配する二神。
全然大丈夫じゃないです...と未だアイズの可愛さに胸撃たれていた。
「大丈夫...?」
「大丈夫決まってるじゃないかっ、アイズ!...さん」
電光石火の返答。すぐ立ち上がり、全然大丈夫ですよ感を装う。
それは、アイズに心配させたくないといった気持ちからだった。
「そ、そう...?」
「...う、うん、なんかごめん...」
どうやら驚かしてしまったようで、引いていた。
「なぁベルゥ〜。なんかアイズたんと距離が近いように見えるんは、ウチの気のせいかぁ?」
「え...?」
何故かそんなことを言ってきたロキ様。
「き、気のせいだと思いますけど...?」
「ほーん...、まぁええ。ほな、ウチらはもう行くわ。ドチビとおっても気分が下がるだけやしな」
「それはこっちのセリフだ!」
「ふんっ、行くでアイズたん!」
「ボク達も行くぞ、ベル君!」
手を掴まれる僕と引っ張られていくアイズ。
え、ちょっ、いや待って!僕、色々話したかったのに!それに、まだドレス姿を褒めれてすらいないんですけどぉおおおおおおお!そう内心叫ぶ。
抵抗として、アイズへと手を伸ばす。アイズも手を伸ばしていたが、届くことはなかった。
それはまるで、悲劇の別れ物語のように。.....は?
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「はぁ...疲れたぁ」
テラスの手すりに寄りかかり、そう言葉を漏らす。
あの後、僕はヘスティア様に連れられ、知神だという神様達の前で挨拶をし回った。
慣れてない事をしていたので、どっと疲れが出てきたのだ。
それからしばらくすると、とある者から声をかけられた。
「ベル君?」
「...ヘルメス様?」
「どうしたんだい、こんなところで?」
「あ、いえ...疲れたのでちょっと休憩してたところです」
歩み寄ってくるヘルメス様。
正直、この神様とは関わりたくないんだよなぁ。18階層で、僕のことバレてただろうから。それと、なんか胡散臭いし。
「オレと関わるとは嫌って顔をしてるな」
「...別にそんなことは思ってないですけど」
エスパーかな?少し焦った。
「まぁ、安心したまえ。何もしないからさ」
今この瞬間は、ですね。分かってます。
ベルは、18階層のモルドの件はヘルメス様が主犯だと予想している。
だから、これからも何かしら面倒事を持ってくるんだろうなと思っていた。
「ほら、飲むといい」
「あ、ありがとうございます」
渡されたグラスを受け取る。
口付けると、どうやら水のようだ。お酒はもう飲みたくなかったので、この配慮は有難い。
「まぁ、ゆっくりしようじゃないか」
それからというもの、ヘルメス様はほんとうに何も言葉を発さなかった。
本当に何もしないんだ、と思っていた。この瞬間までは。
「ベル君は、誰が好きなんだい?」
ニヤニヤしながらそう聞いてきたヘルメス様。
いや、何もしないんじゃなかったの?そうツッコまずにはいられなかった。
「べ、別にいませんが...」
「【剣姫】か。お目が高いなぁ」
「なにも言ってないですよね!?」
「見てれば分かるさ。にしても、''あの''ベル君がねぇ...」
含みのある言い方をするヘルメス様。
あのってどの?って思ったのは言うまでもない。
「ところで、ベル君は踊らないのかい?」
「え?」
「今行われているダンスさ」
ヘルメス様の視線を追えば、大広間の中央では盛んに行われていた舞踏の光景が。
「あー、なるほど」
「そういうことさ。ま、ベル君が行かないなら、オレが行くけど?」
「それは僕の後にしてください。では、行ってきます」
ヘルメス様の煽りに被せるようにそう言った。
グラスを置き、アイズのもとまで歩く。
背中に小さく、頑張れと聴こえたのは幻聴ではないだろう。胡散臭いがいい神様だ。胡散臭いけど。
アイズのもとにたどり着く。
アイズは僕に気づき、振り向く。視線が交わる
そこから半歩下がり
「私と踊って頂けますか、お姫様?」
手を差し伸べ、恭しく頭を垂れる。
アイズは一瞬驚く。
状況の理解が出来たのか、やがて頬をうっすらと染め、微笑んだ。
「...喜んで」
僕の手にそっと重ねられた細い手。それを優しく繋ぐ。
指を絡ませた僕達は、ダンスホールの中心へと赴いた。
その行動は、他の人たちへの牽制だったのかもしれない。アイズの隣は僕だと知らしめるための。
ダンスホールの中心では、儚しくも美しい、魅入ってしまうとある二人が優雅に舞っていた。それは、広大な大自然の真ん中で戯れる二匹の蝶のように。
あまりにも洗練されたベルのワルツは、アイズも自然につられる
皆が足を止め、二人を魅入っている。
今、踊っている人踊っていない人限らず、男性達がアイズに、女性達はベルに夢中になっていた。
そんななか、とある神はそんな異様な雰囲気に気づかないわけがなかった。
『うおおおおおおおおおおおおっ!?アイズたーんっ、何やっとるんやー!?おいっ、ドチビッッ、離せぇー!!』
『はぁ?何をいってぬのああああああああああああ!?何してるんだぁー!?ベルくーんっ!!』
広間の奥から響き渡った絶叫。
そして視界の端から、鬼の形相で僕達を引き剥がそうと迫っくる二神。
『押さえろ、アスフィ!』
しかし次の瞬間、ヘルメス様の指示によりアスフィさんが動き、神様達を押さえ、引っ張られていく。
その光景をアイズと一緒に何も言えない表情で見送る。
『...オッタル、ここにウダイオスを連れて来れないかしら?』
『不可能です、フレイヤ様...』
...いや、なんて怖い会話をしているんだ...?
少し悪寒が走った。
「初めて...」
突然アイズがそう言葉を発した。
「ダンスを踊ったのは、これが初めて...」
僕の方が少し身長が高いため、上目遣いで話すアイズ。
「子供の頃は、少し、憧れてた...」
「...そうなんだ」
「うん。だから、嬉しい....ありがとう。ベルが初めての相手でよかった」
いつも凛々しい彼女の表情から零れ落ちた、幼い少女のあどけない笑顔。
あまりにも可愛ずきたその笑顔を見たとき、ベルは、尊死した。
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ダンスを終えた僕とアイズはそれぞれ沢山の人に囲まれ、ダンスに誘われた。
アイズの可愛さにダメージを受けた僕は、余裕が無くなっていたので、丁寧にお断りした、と言うより神様が否した。
アイズも断っていた、と言うより僕同様、ロキ様が否していた。
追記すると、ヘルメス様は死んだ。神様とロキ様の手によって。
「――諸君、宴は楽しんでいるかな?」
その言葉ともに登場したのは、主催者であるアポロン様。
「盛りがっているようならば何より。こちらとしても、開いた甲斐があるというものだ」
適当な言葉を並べた後、アポロン様は神様に目を向ける。
「遅くなったが....ヘスティア。先日は私の眷族が世話になった」
「...ああ、ボクの方こそ」
笑みを浮かべているアポロン様に、メンドイといった表情をしながら返答する。
「私の子は君の子に重症を負わされた。代償をもらい受けたい」
「重症?何を言ってるんだい?」
重症を負わせた記憶はない。ヴェルフの方は知らないけど、悪くても打撲くらいだと思う。
「ああ、ルアン!」
そう悲嘆する声で名前を呼ぶアポロン様。その視線の先には、先日のパルゥムが全身を包帯でぐるぐる巻きにした状態で歩み寄ってきていた。
「ま、まさか、ベル君...本当にここまでボコボコに...?」
「神様。僕がもししたとして、あれだけで済ませるとでも?」
「.....」
「...冗談ですよ?もちろん」
「だ、だよねぇ...」
こんな状況でも巫山戯る僕達。
それにしても、これは流石に脚色が過ぎる。
「ヘスティア。これを見て、まだとぼける気かね?更に、先に仕掛けてきたのはそちらだと聞いている。彼らが教えてくれた」
アポロン様はパチン、と指を弾くと、複数人の神様とその団員が歩み出てくる。
そして、口を揃えてアポロン様の言葉を肯定する。
「証拠は揃っている。ヘスティア、君はこれでも罪を認めないつもりか?」
「罪も何も、君がそう脚色してるだけじゃないか。認めるわけがないだろう」
言い方をはねのける神様に、アポロン様は醜悪に顔を歪ませる。
「ならば仕方がない。ヘスティア――君に『
神様と僕は、それを冷静に聞いていた。
勝者には、敗者に何でも命令出来る。
「我々が勝ったら....君が可愛がっている眷族、ベルをもらう」
またも僕達は冷静に聞いていた。
すると、アポロン様はおぞましい笑みを浮かべる。
「駄目じゃないかぁ、ヘスティア〜?こんな可愛い子を独り占めしちゃあ〜」
...........はっ!なんか悪い夢を見てた気がする!...いや、夢じゃなかった!クソッ、夢であってくれ!
あまりの気持ち悪さに気を失いかけたベル。一瞬夢だと現実逃避したが、出来なかったことに悪態をつく。
「相変わらず、変態だぁ....」
気持ち悪い、といった表情を浮かべ、蔑視する神様。
「変態とは心外だな。天界では求婚し、愛を深め合った仲だろう?」
「嘘をつくな嘘をぉぉおおおおおっ!!ベル君っ!勘違いするんじゃいよ!?アイツがしつこく言いよってきただけで、速攻でお断りしたからな!!」
凄い形相で捲し立てる必至な神様。少しからかいたくなる。
「ええ、分かってますよ神様。恋の一つ二つ、隠したくなるものですよね」
「全然分かってない!!ベル君っ!今はそういうのはいらないよ!!」
どうやらこの手の話は本当に嫌らしい。
「すみません、からかいたくなっちゃいまして」
「まったく。...はぁ。なんかアポロンを一回殴りたくなってきた」
アポロン様を睨みつけ、そう悪態をつく神様。
「それで、どうする?ヘスティア?」
問いかけられた神様は、一度俯く。
やがて顔を上げ、誰にも聞こえないように話しかけてきた。
「どうする、ベル君?」
「...今断ったとして、執念深いアポロン様のことです。何かしらで強制的に受理させるでしょう」
先程の会話で、''しつこく''と言っていた。決めつけはよくないが、執念深いと仮定した場合、何をされるか分からない。
なのでもういっそのこと、受けてしまった方がいいのでないかと思ったのだ。
「それは有りえる。なら''受ける''というわけだね?でも、それは...」
「仕方ないです。神様とは、離れたくないので。それに、絶対に隠したいというわけではありませんから」
もし居づらくなるようなことになれば、また旅をすればいい。神様も一緒に。
何故神様も、なのか。
それは、いつの日か神様は言ってくれたのだ。僕が死ぬまで一緒にいると。
「...そっか。ありがとう、ベル君」
優しく微笑んだ神様は、アポロン様へと向き直った。
「上等だっ!受けてたってやる、
胸をはり、威勢よく声をはった言葉が響き渡る。
その瞬間、大勢の男神と女神の歓声が上がった。
娯楽好きの神々にとっては、久々の面白そうなイベントが行われるからだろう。
「ふっ...聞いての通りだ。試合の詳細は
周囲が騒然となるなか、アポロン様は不敵な笑みを浮かべた。
ヘスティア自身も顔には出ていないが、内心笑みを浮かべていた。
こうして、
追記
次話でも言いますが、一気に戦争遊戯まで飛ばします。
一応、最初はこれまでの経緯を書きますが、途中からは遊戯戦争に入ります。
神の宴編をこんなに書いてしまうとは.....
ありがとうございました。
次回は、
いやその前に、改宗を入れます。
では、さようなら。