道化の元仲間は天寿に囚われる   作:時雨シグ

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第4話* アイズ・ヴァレンシュタインという名の女性冒険者との出会い 新たなスキル

side:ベル

 

 

 

神様との散歩から1週間がたった。あの日の翌日から、神様からのスキンシップが増えた気がする。別に嫌じゃないし、むしろ距離が縮まったから嬉しいと思っている。でも、なかなか精神的くるものがあるので大変だ。

 

 

 

 

ダンジョン攻略においては、エイナさんが怖くて3階層までしか行かなかったけど、今日はもっと降りてみることにした。

 

 

 

バレなきゃいいのさ!!

 

 

 

フラグを立てたつもりはありませんよ。ええ。

 

 

_______________

 

 

「どこまで降りようかなぁ。...ひとまず10階層まで降りてみようか」

 

 

 

6階層以上のモンスターにあった時は隠密を使えばいいしね。と呟き下の階層へと歩を進める。4階層は特に3階層とは変わりはなかった。

明日からは4階層まで行こっと。と思いながら5階層へ降りていった。

 

 

 

ときどき帰還する冒険者とすれ違いながら、のんびり歩いていた。

 

 

そのとき上層にはいるはずのないモンスターの気配がした。中層モンスターだ。それも、ミノタウロスの気配。何故ここにいるかは分からないけど、久しぶりに強そうなモンスターと戦えることに心がはやる。

 

 

 

「たまたま今回降りてきたけど、ラッキーだったね。こいつで《外》との違いをはかれる」

 

 

 

何故こうも違いを知りたいのかは特に理由はない。あるとしたら初めてのダンジョン探索だから、としか言えない。

 

 

 

姿を現したミノタウロスは《外》のミノタウロスと、筋肉の密集度や骨格の大きさなど大きく違っていた。

《外》のモンスターは子孫を残す。その方法は自分の魔素を使うのだか、産まれてくる子供は充分な魔素がないので弱体化している。よって、恩恵さえあればLv1でもある程度は倒せるのだ。

 

 

 

「ヴヴォオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」

 

 

 

僕を見つけるやいなや、走り出すミノタウロス。なかなか速くて地上のやつとは声の威圧もかなり違った。

 

 

でも、それだけだ。僕にとってダンジョンのだろうが、《外》のだろうが、ミノタウロスにしか過ぎない。

 

 

振り下ろされる拳。殴り殺さんとするその強烈な一撃を、僕は片手で受け止めた。

 

 

 

「ヴオォッ!」

 

 

 

何が起きたかわかっていない様子のミノタウロス。だがしかし、すぐに気を取り直しもう片方の拳を振りかざす。

 

 

 

その振るわれた拳を''弾き返す''。これは僕が創った、《アーツ》と呼ぶ技だ。

 

 

 

これは、アルゴノゥト達との冒険が終わったあと、時間がありすぎていたので、修行していたら取得できたものだ。1000年以上は使っているので、かなりものに出来ていると思っている。

 

 

 

「ヴォオオッ!」

 

 

「ふっ」

 

 

 

弾き返されたことで後ろに倒れそうになったミノタウロスの、顕になった胴体を蹴り飛ばす。

 

 

 

倒してしまっても良かったのだが、奥から人がこちらに向かってくる気配を感じた。今倒してしまえば僕がしたことは明白であり、Lv1なのに倒したとなったら目立ってしまう。まだ、オラリオに来て2週間しか経っていないのに目立つの嫌なのだ。

 

 

 

「ヴォォオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!」

 

 

 

渾身の攻撃を2度も簡単にあしらわれたことに怒りを爆発されるミノタウロス。だか、ちょうど良かった。これに乗じて一芝居うつことにしよう。

 

 

 

「うわぁああぁああああああぁぁっ!!」

 

 

 

逃げる芝居を。

 

 

 

でも、めっちゃ恥ずかしいんだけど!誰も居なくてホントに良かったよ!後ろの人に聞こえただろうけどそれはそれでしかない!というより、聞こえてないとダメ!と心の内で叫んだ。

 

 

 

ギリギリ追いつかれていく程度の速さで行き止まりへと走っていく。これで、切羽詰まって逃げている、と思われるだろう。

僕って毎回思うけど、結構な演技派なのでは?

 

 

 

 

行き止まりに差し掛かる。ミノタウロスは嘲笑うかのような目で、また、獰猛な笑みを浮かべた。

腹立つ顔だが仕方がない。

 

 

 

尻もちをつく。もうダメだといったふうに頭を抱える。それに対してミノタウロスは渾身の拳を振り下ろそうとする。

 

 

一連の場面に、最後の一言。

 

 

 

「助けて.....」

 

 

 

これで完成だ。自分の演技力に震えてきた。あとは助けてくれるのを待つだけだ。これで助けてくれなかったら、僕の死に様、恥ずかしくて泣いちゃうね。

 

 

 

ザシュッ!

 

 

スバァアアン!!

 

 

ベチャッ!

 

 

 

ベチャッ...?

え、なんか飛んできたんだけど....って、くさっ!え!これって!?と、心で叫びながら目を開けると身体が血だらけだった。

 

 

 

これって血だよね!?なんでこんなかかってんの!?え、なんで!?あー!血が滲んでいってる!あと、くさっ!こんなに臭いの!?《外》なんかと比べもんになんないくらい臭いんだけど!

と、思わぬ事態に驚いてしまう。

 

 

 

いや、ちょっと!もうちょっと上手く倒せなかったの!?と文句を言いそうになってしまったが、こっちは助けられた身、文句を言うなんて言語道断だ。

 

 

 

「....大丈夫?」

 

 

 

と、声をかけられる。お礼を言うために顔をあげ

 

 

 

「助けてい.た...だ.....k.......」

 

 

 

言葉を失った。

 

 

 

それは、一目惚れだったのだろう。

 

 

僕は今まで恋愛なんてしてこなかった。寿命のことがあるし相手を恋愛的に好きになることなどなかったからだ。だから恋愛はしないだろうと思ってたし、一目惚れをすることもあるはずがないと思っていた。

だけど、数千年生きてきてこの訳の分からない感情に、混乱した。

 

 

やがて、胸のバクバクに僕は耐えられなくなり、

 

 

 

「うわぁぁああぁああああああああああああああぁぁぁっ!!!!」

 

 

 

過去一の声を上げ逃げてしまった。

 

 

_______________

 

 

 

side:???

 

 

 

「うわぁぁああぁああああああああああああああぁぁぁっ!!!!」

 

 

「え、ちょっt.....」

 

 

 

私を見たあと叫びながら逃げていった赤目で白髪の男の子。

 

 

なんで逃げたんだろう。ミノタウロスが怖かったのかな?もしかして私が怖がらせた?などと思考していたところに、私と一緒にミノタウロスを追いかけていた男性が声をかけてきた。

 

 

 

「おい、アイズ。何やってんだ」

 

 

「ベートさん」

 

 

「倒したんなら早く戻るぞ」

 

 

「う、うん」

 

 

「それにしても面白かったな。ククッ。」

 

 

「?..何が、ですか?」

 

 

「何って、お前が助けた冒険者のことだよ。ミノタウロスの血でトマトみてぇになって、ククッ!傑作だったな!それに、叫びながら逃げていった姿なんて面白すぎて腹がよじれたぜ!ククッ、クハハハハッ!」

 

 

 

 

「....ミノタウロスに襲われたんです。逃げるのも仕方ないと思います」

 

 

「ハッ、弱ぇからあんなことにたるんだ。それに、お前は別に擁護する必要はねぇ」

 

 

「......」

 

 

でも、何故か分からないけど何かがおかしかった。あの子は恐怖している様子が感じ取れなかったし、よく分からないけど初心者冒険者とは思えなかったのだ。

何かしらを感じ取ったアイズだったが、深く考えず、なんで逃げられたのか、とまた悩むのだった。

 

 

 

「何立ち止まってんだ。ほら、さっさと行くぞ、アイズ」

 

 

「あ、うん」

 

 

_______________

 

 

 

side:ベル

 

 

 

「エイナさあぁぁぁぁぁぁぁぁあああんんんんっ!!」

 

 

「きゃぁぁぁぁぁあぁぁぁっ!!って、ベル君っ!どうしたのその格好!?」

 

 

「いや、その、色々ありまして。って、それより!金髪で長髪の細剣を持った美少女について教えてくださいいいぃぃぃぃぃ!!」

 

 

「いや、落ち着いてベル君!!」

 

 

_______________

 

 

エイナさんに汚れを落としてくるように言われシャワーで洗い流した。

綺麗にしたあと、応接室で事の経緯を話した。もちろん怒られましたよ。ええ。怒られたのは3回目だったけど、1番怖かったです。

謝りまくっても許してはくれなかったけど怒りは抑えれた、と思う。

 

 

 

「もう、ちゃんと約束守ってよね。本当に」

 

 

「はい、すみませんでした」

 

 

「それで、金髪で長髪の細剣を持った美少女について教えて欲しいんだっけ?」

 

 

「はい、あの、助けて貰って、その〜、....」

 

 

 

まだ、鼓動がうるさいし顔がまだ紅く、しどろもどろになる。

そんな僕を見たエイナさんは、勘づく。

 

 

 

「.....もしかしてベル君、好きになっちゃったりしてない?」

 

 

「え、いや!違いますよ!ただお礼を言えてなかったので....」

 

 

「ふーん、その割に顔紅いよ?」

 

 

「っな!」

 

 

「ふーん、」

 

 

 

ニヤニヤしているエイナさん。完全遊ばれている。

くっ、誰か僕を殺してください!

 

 

 

「ふぅ、まぁこれくらいにして。ベル君が言ってる人は多分だけど

アイズ・ヴァレンシュタインさんだと思うよ」

 

 

 

僕はダンジョン冒険者について、さして興味はなかったからあまり知らない。だか、この名前は知っている。たしか史上最短でレベルアップした少女で、《ロキ・ファミリア》の『第一級冒険者』だったはず。かなりの大物だ。

 

 

 

「ベル君。一応言っておくけど他派閥の子とは結婚出来ないんだよ」

 

 

「え?そ、そうなんですか!?」

 

 

 

し、知らなかった。そんなルールがあるなんて。

 

 

 

「知らなかったんだね。酷だけど諦めるしかないよ?」

 

 

「う、う〜、」

 

 

 

正直あの子と恋愛したいと思った。初めての好きという感情だったし、運命だ。とも思ったからだ。

 

 

 

「はぁ」

 

 

 

落ち込んでるベルをみてため息を吐くエイナさん。その応接室は、なかなか空気が重かった。

 

 

_______________

 

 

ホームへと帰った僕はいつも通りステイタス更新をして貰った。

 

 

 

「な、なんだこれ!?」

 

 

「ど、どうしたんですか神様?」

 

 

 

鬼の形相で紙に写した神様。渡してきた紙を見て僕も目を剥いた。

 

 

 

♪.:*:'゜☆.:*:'゜♪.:*:'☆.:*:・'♪.:*:・'゜

 

 

ベル

 

Lv.1

 

 

力 :I 92→H 113

耐久 :I 37→I 52

器用 :IH104→H 126

俊敏 :H176→G 204

魔力 :I 0

 

 

 

道化仲間(アルティス・サーカス)

 

・仲間を想うほどステータス大補正。

 

・仲間と冒険すれば耐久値大補正。

 

・仲間と冒険すれば獲得経験値大。

 

 

 

《憧憬一途》

 

・早熟する。

 

・懸想が続く限り効果持続。

 

・懸想の丈により効果向上。

 

 

♪.:*:'゜☆.:*:'゜♪.:*:'☆.:*:・'♪.:*:・'゜

 

 

 

新しく発現したスキル。

そして、ちょっとずつ詰め寄ってくる神様。冷や汗が止まらない。

ていうか、なんでスキルになってでてくるの!?数千年も恋してなかったから歪んでいるのか!?と、内心叫んだ。

 

 

もう、ホントに恥ずかしい。今日は全然らしくない。初めての感情に気が動転している。これが巷に聞く、恋は盲目ということなのか?

 

 

 

「べェエルゥウくぅ〜ん...これは、どういうことなんだぁぁあああああああぁっ!!」

 

 

 

叫ぶ神様に虚空を見つめて現実逃避をする僕。カオス過ぎるある日の夜だった。

 

 

 

追記

ちょっとしか見れなかったけどアイズさんの顔は可愛かったです。

それと、誰かに似ていた気がする。

 

 

 

 

 




はい、また嘘をつきました。酒場でのこと書こうと思ったら、書けませんでした。

あと、駄文ですみません。

次回は 酒場でのロキ・ファミリア

では、さよなら
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