読む覚悟がある人だけ読んでください。
アイズsideがあるんですけど、適当に書いてるので適当に流してください。
side:ベル
昨日は本当に大変だった。スキルが発現したことの思い当たる経緯を話したら、ヴァレン何某君には絶対ベル君を上げないぞ!!、と叫びまわったりと暴走した。それを、抑えるのに数時間かかり、寝てからも寝言で叫んでいたのでゆっくり寝れなかった。
回復しきっていない身体を解しながらダンジョンへと向かう。
トントン
誰かに肩を叩かれたので振り向くと、給仕服を着ている薄鈍色の髪と瞳の美少女が立っていた。
「あの、これ落としましたよ」
そう言って見せてきたのは魔石だった。
「え...?」
一瞬呆けてしまったが、すぐに腰巾着の中を確認する''ふり''をした。
魔石は昨日全部換金しているので、落とすはずがない。
なので、この人が嘘をついていることになるし、当然この魔石も僕のものではいないけど、貰えるのなら貰っておこう。
「えっと、すみません。拾っていただきありがとうございます」
「いえ、お気になさらないでください」
と、柔らかく微笑えんだ。可愛い笑顔だなと内心呟く。
「こんな朝早くにもうダンジョンに行くんですか?」
「そうですね。まだ出来たばかりの零細ファミリアなので、少しでも多く稼いでいかないと、生活できないので」
当たり障りのない返事を言ったところで、グゥっとお腹がなった。
そういえば朝何も食べていなかった。少し恥ずかしい。
「ウフフ、お腹すいているんですか?」
「.....はい。」
「朝食食べてなかったとか?」
はい、僕は頷く。
彼女は少し考える仕草をしたあと、横にあった店へパタパタと駆けていった。
少しすると小さなバスケットを持って戻ってきた。
「あの。もしよかったら、これをどうぞ」
「え!?い、いやいや、悪いですよ!それにこれ、あなたの朝ごはんなんじゃ...」
そういった僕に彼女は、悲しそうな表情をつくり
「もし、このまま見過ごして冒険者さんが空腹で倒れたとなったら、私、罪悪感でどうにかなっちゃうかも知れません....なので、どうか受け取って貰えますか?」
「ず、ずるいですよ、その言い方は...」
ホントにせこい言い方だ。断りたくても断れない。
まだ受け取るのに渋っていると、突然彼女が顔を近づけてきて、
「冒険者さん。これは利害の一致です。冒険者さんは朝食を食べれる。その代わり....」
「その代わり...?」
「冒険者さんは私が働いているこの酒場で、晩御飯を食べないといけません」
「な、なるほど。」
ホントにセコい人だ。こうやってお得意様を獲得していっているんだろうか?
観念した僕は
「分かりました。受け取りますし、夜には寄らせていただきます」
「フフっ、交渉成立ですね。」
そう言って渡されたバスケットを受け取りお礼を言う。
そして、ダンジョンへ向かおうとする。が、名前を聞くために自己紹介をする。
【相手の名前を聞く前に自己紹介する。】これ大事。
「僕は、ベルといいます。あなたのお名前は?」
その人は一瞬キョトンとなるが、すぐに笑みを浮かべ
「シル・フローヴァっていいます!これからもよろしくお願いしますね、ベルさん!」
「ええ。宜しくお願いします、シルさん」
そう言って今度こそダンジョンへ向かった。
あの子は普通の子じゃないとすぐに分かった。何故なら、抑えてるようだったけど少し神威が出ていたからだ。どこの神かは分からないがヒューマンとして接触したからには、何を企てているか分かるまで少し警戒する必要がある。
神は必ずしも善良だけとは限らない。神が降臨してから、この数百年で学んだことだ。
突然だけど、僕は神に対して嘘をつくことができる。何故、嘘をつけるのかは分からないけど。
___________________________
ダンジョン攻略を終え、換金して得られたヴァリスは2万程だった。
これほどあれば贅沢もでき、少し恩も返せるだろう。
一旦ホームに帰り、神様も誘おうとしたけれど、バイトの打ち上げがあるそうで一緒には行けなかった。
服を着替え、シルさんに誘われた酒場へと向かった。
外まで聞こえる冒険者達の喧騒を聞き、なかなか繁盛してるんだなぁ、と内心呟きながら扉を開け、中へと入る。
「あ、ベルさん!来てくれたんですね!」
「ええ、約束したので。それとこれを。ありがとうございました。とても美味しかったです」
そういってバスケットを返す。
「それは、よかっです!ありがとうございます!」
ニコッと嬉しそうに笑う彼女に席を案内される。
「では、こちらにどうぞ」
案内された席はカウンター席だった。
僕が座るとすぐに、
「アンタが、シルが捕まえたお客さんかい?ははっ!冒険者の割に可愛い顔してるじゃないか!」
と、突然声をかけられた。見上げると、大柄な女性が立っていた。
多分この酒場の店主だろう。
ミア・グランドと言う名前だそうだ。
「それはそうと、アンタ、なんでも私達が悲鳴を上げるほどの大食漢らしいじゃないか?どんどん!料理を出すから!、じゃんじゃん!お金をつかってくれよ!!」
言われのない事実である。犯人であるシルさんにジト目で睨むが「えへへ〜〜、」と可愛いらしい笑顔が返ってきただけ、僕は何も言えなかった。
「はぁ〜...分かりました。今日はいくらか多く持ってきたので、どんどん出してくだい!」
「おっ!いいねぇ〜坊主!そういうお客さんはだいすきだよ!!」
そういってミアさんは厨房へともどっていった。
シルさんと談笑しながら店内を見渡す。このウエイトレスさんたちは上級冒険者だと思われる。ミアさんなんて頭2つ以上飛び抜けていると感じた。何故、ここで働いているのかは分からないけど、特に気にする必要も無いので目の前のシルさんに集中することにした。
ミアさんが出してきた料理は、今まで食べてきた料理の中でも、トップクラスに美味しかった。
料理に舌鼓を打ち、シルさんとの会話を楽しんでいると、団体が酒場に入店してきた。
「ミア母さぁ〜〜ん!来たでぇ〜〜!」
その、神威を感じる女性の声につられて見ると、その団体客に、アイズ・ヴァレンシュタインさんがいることに驚き、目を見張ってしまう。
周りの客も、
「... おい、あれ!」
「うおっ!美人ばっかりじゃねかっ!」
「ばっかおまえ!エンブレム見ろ!《ロキ・ファミリア》だぞ!」
「げっ!マジかよ!」
周りの喧騒も気にせず《ロキ・ファミリア》は、僕の背中側にあるテーブル席へと座っていった。予想以上に近いヴァレンシュタインさんに緊張してしまう。
《ロキ・ファミリア》の1人が立ち上がって、
「みんな、ダンジョン探索お疲れさん!今日は宴や!飲むぞぉ!!」
と、音頭をとった。
それに伴って騒ぎだす《ロキ・ファミリア》。
アイズ・ヴァレンシュタインさんがいるとこにより緊張して身体が硬直してしまっている。初めての感覚に戸惑いと汗が止まらない。
シルさんによると《ロキ・ファミリア》はこの酒場のお得意様なんだとか。
なるほど。ここに来れば、アイズ・ヴァレンシュタインさんに会える可能性があると。.....うん!常連になろう!そう決意した瞬間であった。
「そうだ!おい、アイズ!あの話、皆に披露してやろうぜ!」
そう声を上げたのは、たしかあのとき、ヴァレンシュタインさんの後ろにいた獣人族の男性だった。
ヴァレンシュタインさんを見たときも思ったけど、この2人、アイツらに似てるよね?いや、似てるってもんじゃないか。瓜二つなんだけど。こんなことってある?そう考えていると、なんの事か分からないといったふうに、ヴァレンシュタインさんの戸惑う声がでる。
「....あの話?」
「アレだって。帰る途中で何匹か逃したミノタウロス。最後の1匹、お前が5階層で始末しただろ!そんでホラ、そんときにいたトマト野郎の!!」
あぁ、これは僕の話だな。トマト野郎で確信した。実際、僕も鏡で見たとき思ったもん。
「それでいたんだよ!いかにも駆け出しって言うようなひょろくせぇガキが!」
「あん時のあいつの逃げる姿なんて、腹がよじれたもんだぜ!」
え?そんなに滑稽だったの。えぇー、なんか恥ずかしいんだけど。いやまぁ、上手く騙せてるから問題はないけど...、でも、やっぱり恥ずかしい。
「今でも、笑っちまうよ!ククッ、クッ....。マジ抱腹もんだったぜ!」
いや、爆笑しすぎでしょ。
「ふーん。で、その冒険者はどうしたん?助かったん?」
「アイズがギリギリのところでミノを細切れにしたんだよ!なっ?」
「......」
ヴァレンシュタインさんはずっと黙ったままだった。チラっと見たその顔は聴くに堪えない、苦しそうな表情をしていた。
「それで、そいつあのくっせぇミノの血を全身に浴びて....グフッ!.....真っ赤なトマトみてぇになってたんだよ!!クハッ!、ハーっ!、マジ腹痛てぇ!」
ベートと呼ばれている男性の罵倒を聞きながら、僕は悔しくてプルプルと震えている''ふり''をする。いつか、訪れる瞬間のために。こんなことをしているうちもまだ、ベートの罵倒は続いた。
「アイズ、あれ狙ったんだよな?そうだよな?てか、そうだと言ってくれ!」
「.........そんなことは、ない、です」
ヴァレンシュタインさんはそういった。その言い方はとてもつらそうだった。
「それにあのトマト野郎、叫びながら逃げていったんだぜ、ククッ.....
うちのお姫様、助けた相手に逃げられてやんのぉ!!」
「........」
「アハハハッ!そりゃ傑作やなぁ!冒険者に怖がられてまうアイズたんマジ萌え〜!!」
「ふ、ふふ.....ご、ごめんなさい。アイズ。ちょっと、さすがに我慢できない........ふふっ」
黙っているアイズとベートの話で笑っている《ロキ・ファミリア》と他の客たち。
「あぁーん、もう。怖い顔しないのアイズ。可愛い顔が台無しだぞ!」
辛そうな顔をするヴァレンシュタインさんをからかい、さらに笑いに包まれる《ロキ・ファミリア》
「ホントにああいう奴がいるから俺たちの品位が下がっちまうんだよ。勘弁して欲しいぜ」
「いい加減そのうるさい口を閉じろ、ベート。そもそもミノタウロスを逃したのは我々の失態だ。恥を知れ」
まだ続けるベートにハイエルフの女性が叱咤する
「あぁ?なんで俺がババアに指図されなきゃなんねぇんだよ!」
聞く耳を持たず、言い返すベート。
大丈夫なのかこのファミリア。バチバチじゃないか!これで上手くいってるの?ファミリアの活動。それともこの人だけなのか?と、疑問を持つ。
「ほれ、もうやめぇ。酒がまずぅなるわ」
そろそろ飽きてきたのだろう神はやめろように言うが、ベートは無視して更に続ける。
「アイズはどう思うよ。あんな奴が俺たちと一緒の、冒険者、名乗ってんだぜ?」
「あの状況なら仕方ないと思います。...それに....」
「それに、何だよ?」
「...助けたとき、あの子を見た感じ、恐怖心がなかったように思えたんです」
え...?も、もしかしてバレてる?恐怖心がないのは当たり前だけど、恐怖心があるようにも演出したはず。
僕の演技に、何か感じとったということ、なのか....
さっすがヴァレンシュタインさん!こんなことは初めてだ!もう、さらに惚れた!
「....ククッ、そんなわけねぇだろ。お前だってみたろ!あいつの滑稽な逃げていく姿をよ!」
「.....」
「...チッ。何だよいいこちゃんぶっちまって。じゃあ、質問するぜ?あのガキと俺、番にするならどっちを選ぶ?」
おっと、ここにきて何やら興味深い質問をするじゃないか。とても気になります。
「......ベート、君、酔ってるよね」
「うるせぇ。ほら、選べよアイズ。雌のお前はどっちの雄にシッポを振って滅茶苦茶にされてぇんだぁ?」
なかなかいやらしい質問するな。滅茶苦茶酔ってるじゃん。
「.......私は、そんなこと言うベートさんは、嫌です」
ふっ!勝った。選ばれてないけどこいつよりは上だということを。
そして振られたベートにハイエルフの女性はこう言った。
「無様だな」
「ババァは黙ってろ。じゃあなんだ?お前はアイツに愛を囁かれたら、受けいれるってのか?」
「.......」
あの、何かしらの反応もらえます?とても、気になる内容にドキドキが止まらないんだけど。
黙っているヴァレンシュタインさんにベートは、また口を開く。
「はっ、んなわけねぇよな。自分より弱くて、軟弱で救えねえ雑魚に、お前の隣に立つ資格なんてねぇ。何より、お前がそれを認めねぇ」
そして、ベートは最後の言葉を放つ。
「''アイツ''のような''雑魚''は、アイズ・ヴァレンシュタインには''釣り合わねぇ''」
そんな言葉を待ってたんだ。
バァァン!!
と、僕は勢いよく外に飛び出していく。これによって罵倒や最後の言葉に、''悔しくて、堪えきれずに飛び出していった''、という印象と場面が完成した。
お金は、食い逃げになるので置いていった。全部置いていけば、その行動が相まって''これ''の印象を増長させる。
飛び出していった僕だか、すぐに店の横にある細道に入った。
よし、じぁああいつをボコリに行こう。途中までのことは、そう見えるように自分からしたことなので特に何も感じなかったが、最後の言葉はさすが怒りをおぼえる。あんだけ言われたんだ。やり返すぐらいいいよね。そう呟きながら、袋からとある外套を取り出す。
この外套は【神秘】をもっている知り合いに貰ったものだ。その性能は、使用者への認識を妨害する。そして、数十秒だけ透明になれる。というもの。
フードがついており、丈の長さは地面に着くほど長い。レインコートがイメージしやすいだろう。
外套を被り、重心を変える。
〈隠密〉と外套の透明化を使って中に入ろうとした時、出ていくヴァレンシュタインさんとすれ違った。それに、気を取られながら、今にも閉まろうとしていた扉に滑り込む。出ていった誰かとヴァレンシュタインさんを目でおったのだろう。全員が扉の方を見ていたが、僕には気づいていない。そして、あたかも最初からいたかのように席に座る。
突然出ていった誰かと、それを追いかけていくヴァレンシュタインさんに、店内は静まりかえっていた。しかしすぐに、ベートの笑い声が響く。
「おいおい!まさかあいつがいったてのか!?クッ....クッハハハッ!!一体どんな面してたのか、拝みたかったぜ!」
聞かれたのにも関わらず、更に笑い、バカにする、ベート。
救いようながないな。
「おい、いい加減黙れ駄犬。さっきから何ごちゃごちゃ言ってやがる」
声、口調を変え声を上げる。
静まりかえる店内。さっきまでの喧騒が嘘みたいだ。
「あぁ?.....おい、誰だ?駄犬っつったのは?」
緊張がはしり、ゴクンっと、誰かが唾を飲み込む音がなる。
「なんだ?分からなかったのか。なら、もう1回行ってやるよ。黙れ駄犬。ごちゃごちゃ騒ぐな」
「あぁ!誰だてめぇ!?」
「俺は、酒を飲みに来たただの冒険者だ」
駄犬と言われたことに怒りの形相で睨んでくる。
そして僕は、挑発を続ける。
「さっきからきいてりゃあ、雑魚だのなんだの馬鹿にしているが、ミノタウロスごときを逃すお前らも、大概雑魚だぞ。お前がバカにしていた冒険者となんら変わりはねぇな」
「何だとてめぇ....!!」
自分がバカにしていたやつと一緒だ、と言われたことに怒りが溢れ出す。
「殺すぞ!!」
「はっ、やってみろよ。ミノタウロスごときを逃す雑魚が、イキがってんじゃねぇよ。犬畜生より劣っているてめぇは、地面でもはってろや」
「ぶっ殺す!!!」
怒りが爆発した。目をつりあげ、その目にはものずごい殺気で満ちていた。
ベートが蹴りを放とうとした直前、怒号が飛ぶ。
「勝手に盛り上がってんのは構いやしないけど、店の中でおっぱじめようとするんじゃないよ!!するんなら、店の外でやんな!!!」
そういうミアさん。
いや、迫力がすごいな、と思いながら一旦中断して外にでる。ベートは今にも襲いかからんと、睨んでくる。
店内の全ての人がこの闘いを見ようと外にでる。通行人も、何が始まるんだ?といった感じで立ち止まっている。
「おい!さっさと構えろ!ぶっ殺してやるよ!!」
僕は構えない。構える必要がないのに構えたって意味がないからだ。
黙って、立っていると。嘲笑うように見てきた。
「なんだ?今になっておじけづいたか?今謝ったら半殺しでやめてやるよ!ほら、どうした!地面に頭擦りつけて、ごめんなさい、許してくださいって、ゆえよ!」
はぁ。
「構える必要がねぇから、構えてないだけだ。さっさと来い。このヘルハウンド野郎が」
冒険者にとってモンスターの名前で馬鹿にすることは最大級の侮辱となる。
「死ねやぁっ!!!」
強烈な蹴りが顔に目掛けて放たれる。《ロキ・ファミリア》でも屈指の俊敏をもつベートの蹴りは、Lv.1の者には何もなせず、即死するだろう。だか、僕は違う。Lv.5''程度''の蹴りなど、やはりその''程度''以外に何にでもない。
少し身体を横に傾ける。ベートの蹴りは僕のスレスレを通り過ぎていく。
「な!?」
避けられるとは思っていなかったんだろう。間抜けな声に間抜けな顔をして、こちらを見てくる。だが、やはり第一級冒険者。すぐに、切り替える。
距離を詰め、顔、横腹、足、蹴りあげ、回し蹴り。どれも決して軽くはない。Lv.1、2の者にとっては即死級となる蹴りを放ってくる。
それを僕は、首を傾け、半身になり、足を引き、上体を反らし、後ろに飛んで後退する。後退した僕に、ベートは距離を詰め連続蹴りをさらに放つ。フェイントを使ったりするが騙されることはない。
「クソっ!何であたんねぇんだ!」
渾身の攻撃が当たらないことに、更に怒りが募る。
「おい!避けてばっかすんじゃねぇよ!」
「お前の実力をしりたかったんだ。次からは避けはしない。...それでだ、俺が勝ったら冒険者を笑いものにするのはやめろ」
「いいぜ。だか、俺が勝ったら、そうだな..まぁ楽しみにしとけ!オラリオ中に恥を晒してやるよ」
「で、俺の実力は測れたか?」
「ああ。雑魚だと分かった。」
「ぜってぇぶっ殺す!!!」
僕は挑発を重ねる。怒りに呑まれると動きが単調になりやすく、読みやすい。わざわざこんなことをする必要はないが、でも、これでいい。怒っている時ほど、負けた時の悔しさは計り知れない。これをきっかけに自分の愚かさを知り。また、少しでも新人冒険者に対して優しくなるかもしれない。
これは、僕の発散と、ベートの更生へと繋がる道をつくる、 闘いなのだ。
「オラァっ!」
バシィィィッン!!
「なっ!?」
また、顔へと放ってきたその蹴りを片手で受け止める。いい音がなったなぁ、と内心呟く。
蹴りを受け止められたことに対して驚く、ベートとその他観戦者。
この蹴りは《ロキ・ファミリア》のガレス・ランドロックでさえ片手で受け止めることは難しい。それを容易にしたということは、オラリオで最強といわれているオッタルと同等以上の実力を持っているということになる。
「何だこの蹴りは?この程度で、あんなにイキってたのか?」
「....チッ。オラァ!」
足を掴んでいた僕の腕に、もう片方の足で蹴りを放つベート。手を離し、腕を引く。ベートはそのままバク転の要領で距離をとる。
「てめぇ!Lvはいくつだ!?」
Lv.1ですけど?と、内心呟く。
「それと、顔を見せやがれ!いつまで外套なんか被ってやがんだ!ナメてんのか!?」
「さぁ、どうだろうな。わざわざ教えたりなんかしないし、外套を被ってるのも、顔を見られないためだ。それに、ナメてなんていない。お前程度の相手にわざわざ外套を取る必要がないだけだ」
「それをナメてるって言ってんだよ!!」
挑発されてボコボコにしてやりたいが、自分より実力が上だとわかり、迂闊に攻撃ができないベート。
ああ。なら、もう、終わらそうか。
「じぁあ、次は俺のターンだ」
一瞬の静寂
ボッコ''ォォォン!
「ガハッッ...!!」
突然、ベートが悲鳴を上げた。
本人、また、他の人達は何が起きたか分からなかっただろう。
僕が突然視界から消えたこと。いつの間にかベートが殴られていたことに。
さっき僕がしたのは〈縮地〉という《アーツ》の一つで。
一瞬で相手の死角、懐にもぐりこむ移動法である。
「なんだ?もう終わりか?」
倒れ込んでいるベートにいう。
「.......」
気を失っているようだ。気絶させようとはおもっていなかったのだが、強く殴りすぎてしまったのだろう。Lv.5を殴ることなど、そうそうないので力加減が分からなかった。
ふぅ、と息を吐く。そして、《ロキ・ファミリア》の方へ向き。
声かける。
「おい、《ロキ・ファミリア》。今回、被害者はあいつだけだったが、もしかしたら、他にたくさんの死傷者が出ていた可能性だってあったんだぞ。なのに、お前らはコイツの事を叱咤せずに一緒に笑いやがって。ふざけてんのか。《ロキ・ファミリア》はこの程度だったのか?はっ!地に落ちたものだな。何が2大派閥だ、驕ってんじゃねぇよ」
俯く《ロキ・ファミリア》の人達。
そして、少し前へと出てきた小人族の男。
「すまなかった。あの場面でベートを止めることは、無理矢理にでも出来たのにしなかった。確かに僕達は驕っていたんだろう。ファミリア内でまた、意識改革し、ベートにはキツく言っておく。被害にあった子には謝罪する」
※語彙力のなさが出た。By作者。
.....まぁ、いっか別に。僕は気にしていないし、今回は何もなかったし。これですこしでも《ロキ・ファミリア》の人達が意識改革をしてくれればそれでいい。
「今後こういうことがないようにしておけ。あと、俺も部外者なのに首を突っ込んですまなかった」
謝罪をし、夜の闇へと歩を進めた。
「ちょっとまってくれないか」
足を止め、振り向かずに返事をする。
「何だ?」
「君のファミリアを教えてくれないかい?」
「...さぁな」
「...教えてくれないか?...なら、【闇派閥】だったりするか?」
威圧する声で聞いてくる。だか、
「それはない」
と、否定し、今度こそ闇にへと消えた。
ちょっと偉そうにしすぎたかな。でも、どうしても演技をするとあつくなってしまう。多分、あいつが道化野郎だったからその影響を受けてしまったのだろう。
それと、やはりベートはユーリにすごく似ている。性格は全く違うが、姿形は瓜二つだ。他にも、瓜二つの人達がいた。
人は輪廻転生する。だけど、ここまで同じところに集まるのはごく稀だ。たまたまかイタズラか、まだ分かり兼ねるけど面白くなりそうだ。そう笑みを浮かべた。
付けられていないことを確認しホームへと帰った。
______________________________
side:アイズ・ヴァレンシュタイン
今日は、帰還祝いと言うことで《豊饒の女主人》で宴をするらしい。
酒場に着いて、宴が始まる。
料理を食べたりジュースや酒を飲んだり騒いだりとみんな楽しんでいた。
すると、突然ベートさんがあの冒険者のことを面白おかしくバカにし始めた。
あんなことが起きたのは私たちのせいで、あの子は一切悪くない。なのに、ベートさんが馬鹿にして、みんなも笑っていることに心が締め付けられる。私はベートさんを止めたくても上手く言葉が出ない。
私が言った言葉は信じて貰えなかったし、どっちがいいなんて言われても答えられるわけがない。
でも、ベートさんは嫌だと思った。
ベートさんが発言したあと、白髪の男の子が飛び出していった姿を見た。あの子かもしれない、と私も飛び出した。
だが、外に出た時には、彼はもう居なかった。
昨日怖い思いをさせたのに、ベートさんを止められなくて、今日も彼に迷惑をかけた。
また、悩みが増えてしまった。どうしようと、と。まずは謝らないと、と。でも、どうやって?拙い私は、昔から話すことや考えることが苦手だ。モンスターを倒すことしかしてこなかったから。
そう考えている時、中からミアさんの怒号が聞こえた。どうしたんだろう?と、思っていると、外套を被った人とベートさんを先頭に、どんどん人が出てきた。リベェリア達も出てきたので訳を聞いた。
「ねぇ、リヴェリア。」
「ん?おぉ、アイズか。どこに行ってたんだ?急に飛び出していったが」
「えっと、飛び出していった子が、私が助けた子に似てたから、追いかけた...」
「どうだったんだ?」
「もう、いなかった」
「そうか」
「それで、なんでみんな外に出てるの?」
「ああ、それはな。あの二人が言い合いになってな。喧嘩が始まる前にミヤさんが追い出しんだ。私たちは見るために出てきたのだ」
「ねぇねぇ!どっちが勝つと思う!?」
アマゾネスで双子の妹の方であるティオナが、興味津々といったふうに聞いてくる。
「うーん...普通ならベートが勝つだろうね。だけど、あの人はベートに勝てるといった口ぶりだった。だから、戦いが始まるまではわからないね」
《ロキ・ファミリア》の団長で小人族のフィン・ディムナはそう答える。
「せやな。あんな場面でベートに啖呵きったんや。それなりの実力があるっちゅうことやろな。どんなふうになるんやろな〜」
「ガッハッハッハ!どんな闘いをしてくれるか楽しみじゃわい!」
ロキとガレス呑気なことを言って、この闘いを楽しみに待っている。
やがて、ベートさん達のほうに動きがあった。先手はベートさんの蹴りだった。フィン達でさえ警戒するその蹴りをあの人は身体を傾けてよける。
一瞬呆けるベートさんだったが、すぐに次の攻撃に入る。怒涛の攻撃だ。ステータスが上の私でも、対処するのは困難だ。だが、あの人は全てをギリギリで避けていく。対処に強いられているのかと思ったけど、顔には余裕があった。
凄い。
「........」
「ほう....」
「すっご〜い!!ベートの蹴りを簡単に避けてる!」
「全ての攻撃を先読みしとるかのような避け方じゃな!」
「ほえぇ〜、あんな冒険者おったんかいな。.....フレイヤのとこか....?いや、フレイヤのとこがあんな真似するとは思えん」
各々が感想を口にする。
ベートさんは避けられてばかりで腹が立っているらしい。
それに対してあの人はもう避けないと言った。
また、動きはじめた。ベートさんが最初の蹴りよりも、速く力強い蹴りを放った。それをあの人は、
片手で受け止めたのだ。
『!?』
私含めて言葉にならない驚きをあげる皆。
ベートさんも片手で止められるとは思いもみなく、驚いていた。
もう片方の足で腕をはらい後退するベートさん。自分よりも実力が上な相手にどういった攻撃をするか迷っているのだろう。攻撃を切り出せない状態だった。
それから、あの人が『俺のターンだ』と呟いた。
そして、
ボッコォォォン!!
という音と共にベートさんが悲鳴を上げた。
え...?いつの間に、殴ったの...?
その全然見えなかった攻撃に戸惑いを隠せない。
「.....ね、ねぇ!さっきの見えた!?」
「......いや、全く見えなかった。」
「.....私もだ」
「ワシもじゃな....」
「......」
ティオナの問いに、見えないと口にするフィン達に、首を横に振るティオネ達。
周りも何が起きたか分かっていない様子だった。
ベートさんはというと、気を失っていた。
そして、あの人はこちらを向き声をかけてくる。
私もみんなもあの人の言われたことに俯いてしまう。
いろいろ聞きたいことがあったけど、あの人はフィンと会話を数回交えたあと、居なくなってしまった。
「ロキ。あの人は嘘をついていたかい?」
「....いや、ついてなかった」
「そうか。...闇派閥ではないことに先ずは安心かな」
「そうだな。しかし、あのような者がいたとわな。フレイヤのところか?」
「いや。フレイヤんとこは、あんなことせぇへん」
「ふむ...あれほどの実力を持っているんだ。誰なのか調べる必要があるね。まぁでも、危険人物というわけでなさそうだし、急ぐ必要はないだろう。さっ、ベートを連れてホームに帰ろうか」
「せやな。.....はぁ。することが増えよったわ」
「元はと言えば、私たちの自業自得だ。弱音を吐くな」
「手厳しいなぁ〜、ママんは」
「だから母ではないと言ってるだろう!」
ホームへと帰る道すがら、あの子のことやあの人のことで頭がいっぱいになるアイズだった。
______________________________
side:ベル
「ただいま帰りました!」
「おかえりベル君!なかなか遅かったじゃないか」
「すみません。ちょっといろいろありまして」
今日あったことを神様に報告した。最初は怒っていたが途中からは「ざまぁみろ!ロキめ!」などとロキ様を嗤っていた。
追記
ヴァレンシュタインさんをたくさん見れたことがとても嬉しかったです。
それと、ヴァレンシュタインさんはアリアドネと瓜二つだなぁ。まぁ、アリアは金髪碧眼だったけどね。まる。
さ次は何書こうかな。ロキ・ファミリアの謝罪は書くとして、
魔導書どうしよっかな。
まぁ、考えておきます。何か案があればコメントしてください。
用事があるので、次はいつになるか分かりませんが。
では、さようなら。