なんか最近、登下校でも学校でも誰かに見られている気がして落ち着かない。どこからでも誰からの視線を感じる。自分なんかをストーカーするような人がいる訳ないから自意識過剰なのだろうか。授業中でさえも視線を感じて授業に集中出来なかったりもする。
それは今日も同じで……視線を感じる。それも普通の視線というよりは虎が兎を駆る時のような鋭い視線。背中に視線がズキズキと刺さっているのが分かる。だけど、振り向く勇気は未だに持てない。
――――――――
無事に今日も千紗くんの尾行を完了した。なんかこういう言い方をすると任務見たい。だけど、私にとっては任務と同じなんです。毎日登下校は千紗くんの後ろをつけるのは。逆に私が尾行をしなくなったらそれは私の身に何かあったはず。だって私が千紗くんのことをストーカーしないなんておかしいもん。
「はぁ……千紗くんカッコいいな…………」
「春、漏れてるよ」
「あ……ごめん、ごめん」
「私の前だからいいけど、本当に気を付けなよ。春が千紗くんが好きなのを知ってるのは私だけなんだからさ」
「うん、わかってるよ。だけど、自然と口から出ちゃうんだよ」
本当に頭の中が千紗くんで埋まっていくのが分かる。彼以外のことを考える余裕もない。それぐらいに私の頭は全て千紗くんに浸食されているんです。
そしてHRが始まっても私は千紗くんから目が離せない。本当にずっと見ていても飽きらない!その後もずっと私は千紗さんのことを
時間は流れて時間は昼休み。昨日は千紗くんのことを考え過ぎて全然眠りに付けなかった。
「小野寺さん」
顔を突っ伏しているたら急に誰かに呼ばれた。そして私は眠りたい気持ちを抑えて顔を上げた。
「なに…って…え」
急に目の前に自分がストーカーをしている人が現れたらどんな反応をしたらいいの。正直、私は固まってしまった。だってどうせ風ちゃんか適当な男子とかが話し掛けてきたんだと思ったら自分の想い人だったんだよ。ここで普通に話せるなんて誰もいない。
「小野寺さんってまだこのプリント出していないですよね?」
「…ぷ、ぷりんと!!」
「うん。先生からこのプリントを集めてもってこいって言われちゃってね。それで名簿と照らし合わせていたんだけど、小野寺さんのだけなかったから」
「あ、ごめんね!!!」
私は急いでカバンの中から目的のプリントを取り出した。急ぎ過ぎたせいでちょっとプリントがごちゃごちゃになっちゃった。好きな人にこんなところを見られるなんて…。
「ううん。大丈夫だよ。逆に急かしちゃってごめんね」
「わ、わたしが出さなかっただけだから!」
これならもっと早く出しておけばよかった。そうしておけば千紗くんにこんな不甲斐ないところを見せないで済んだのに。
「そういえば、小野寺さんって一つ前の現代文のノートってあるかな?」
「う、うん。あるよ」
「こんなことをお願いするのはとっても情けないんだけど、ノートを見せてくれないですか?」
千紗くんは両手をあわせて必死にお願いをしている。自分としてはまさかこんなことをお願いされるとは微塵も思っていなかった。
「前の授業の日は体調が悪くて休んじゃったんだけど、友達がその時間は居眠りをしていたらしくてノートを取っていなかったみたいで。」
「全然いいよ」
そして私は初めて千紗くんにノートを貸した。千紗くんからすればただちょうど話したからお願いしたんだと思うけど、それでもとっても嬉しい。私にとっては話せるだけでも嬉しい。
「ねぇ、風ちゃん!!」
「なに?」
「私、千紗くんに話し掛けられたんだよ!!!」
「もうその話は何度目よ」