まあ理由は特にないんですけど、まあ早い話がコロナかかりました。
今は無事回復したので、14話投稿します。あと、今回かなり短いです。
「そ…層を超えたって、一体何層まで…」
続くの?と言おうとしたアスナに、俺は答えた。
「そうだな……確か、終わるのは9層だったはずだ。」
「きゅ……!?」
───9層!?と叫びそうになった口をとっさに塞いだアスナは、目をはち切れんばかりに見開く。それはリントも同様だ。
そんな状態の彼らに、
キリトは追加で情報を投下。
「しかも、途中でミスってもやり直し不可。当然、対立ルートへの変更も不可。ここで選んだ道を、9層まで走り抜けるしか無いってわけだ。」
「ちょっとアナタ、そういうことはもっと早く…」
表情を怒りに変更させようとしたアスナだったが、その表情は途中で迷い顔に変更された。
「……って、対立ルート?…それってつまり、あのエルフのどっちかの…」
「味方になる、ってわけだな。要は、もう片方と戦うわけだけど…」
「ああ。黒と白、どっちも選べるけど、どっちが良い?」
俺とキリトの説明を聞いたアスナとリントは、一瞬迷った素振りを見せたものの、何故かジト目へと表情を再変更すると、
「それ、選択の余地無いんじゃないですか?」
「そうよ、普通のRPGならともかく、
そこで言葉を切ったアスナは、ウッ…と言葉に詰まっているキリトを冷ややかな目で見つめると、
「ダークエルフのお姉さんでしょ? Did'nt you?」
「い…イエスアイディッド……でも、お姉さんだからじゃないよ、黒いからだよ。」
………嘘おっしゃい…どうせあのお姉さんのあれとかそれとかに惹かれたんでしょ?
と、そんな思考はアインクラッドの下に放り投げておいて、だ。
一応返答を受け取ったアスナは立ち上がるとふんっ!と顔を反らせ、
「まあいいわよ。私も、男の味方して女の人を斬るなんてゴメンだしね。じゃあ、黒エルフに加勢して森エルフを倒すってことでいいのね。じゃ、行きましょ。」
そう言って歩き出そうとしたアスナを、キリトが引き止めた。
「ま、待った待った!あと一つ、大事なこと!」
「何よ?」
「あのな……黒に加勢するのはそうなんだけど、俺たちは森エルフには絶対に勝てない。」
「「「え……えぇ!?」」」
驚愕の声を上げるリントとアスナ……と、俺を落ち着かせるため、キリトは意識したであろう落ち着いた声で言った。
「強げな装備を見てもわかるだろうけど……あの白い方《フォレストエルブン・ハロウドナイト》と、黒い方《ダークエルブン・ロイヤルガード》は、本来七層に行かないと現れない、しかもエリートクラスのmobなんだ。いくら安全マージンを取ってるとはいえ、三層に来たばかりの俺たちが敵う相手じゃない。」
エリートクラス……早い話が、同レベル帯のプレイヤーやモンスターより、数段上のステータスを持つ、というわけだ。単なるレベル差とは違う、地力の差。
「か、勝てないって……私達、死んだら…」
…現実でも死ぬ。そう言いかけたアスナを落ち着かせるように、キリトは言った。
「大丈夫、負けると言ってもそこまで行くわけじゃない。こっちのHPが半分まで削れると、黒エルフが奥の手を使ってくれて、それで勝てるから。だから俺たちがすべきなのは、慌てず防御に徹することだ。それでもHPは削れるけど、黒エルフのお姉さんが助けてくれるまで、ひたすら耐えるんだ。下手にパニックになって、他のmobを呼び寄せないとも限らないしな。」
「……解った。」
「……解りました。」
二人に続いて俺も頷くと、キリトはよし、と言うと、その腰を上げた。
「じゃあ、3つ数えてから飛び出すぞ。近づくと自動でクエが始まるから、俺の近くにいるだけでいい。」
キリトは最後にそう言うと、再度口を開き
「3,2,1………ゼロ!」
カウントがゼロになると同時に、俺たちは茂みから飛び出した。
それと同時に、二人のエルフの視線が一気にこちらへと集まり、警戒するかのように距離を取る。ついでに、二人の頭上の
森エルフのハンサムが
「人族がここで何をしている!」
といえば、まるで事前に打ち合わせしていたかの様に、黒エルフのお姉さんが、
「邪魔立て無用!今すぐに立ち去れ!」
と言う。……実際、この言動はプログラムで定められているのだから、打ち合わせも何も無いのだが。
ここで立ち去ることもできるのだろうが、それでは無意味だ。感動的ですら無い。
俺たちはちらりとアイコンタクトをすると、一斉に各々の愛剣を抜刀した。
……その切っ先を、森エルフのイケメンに向けることも忘れずに。
その瞬間から、森エルフの顔には険しさが増し、イベントmob判定の黄色いカラー・カーソルは、敵性mobを示す赤色…それもドス黒いダーククリムゾンへと変わっていく。
「愚かな…ダークエルフごときに加勢して、我が剣の露と消えるか。」
「そ…「そうよ!でも消えるのはそっちよこのDV男!」……」
可哀想にキリトさん……てかDVってこの場合使えるの?用法あってる?俺が無知なだけ?
そんな俺の思考を置いていって、戦況はどんどん緊迫感を増していく。
「良かろう、ならば貴様らから始末してやろう、人間よ」
いい音を立てて向けられるロングソードから放たれる剣圧を感じる俺の横で、キリトが言った。
「いいな、ガード専念だぞ!」
……その発言が、本当のものになるかは、少々疑わしかった。
なぜなら、キリトの隣…この中で唯一のレイピア使いのアスナの表情が………歴代誌上稀に見る、本気中本気の顔だったからだ。
「あの……ガード…専念…」
「解ってるわよ!」
「……まあ、キリト、最悪変身してカバーするから…」
「…頼んだ…。」
そして……二十分後。
「ば…馬鹿な……」
地面の直ぐ側で、そう呟くものが一人。
そして……
「ば…馬鹿な……」
……俺の直ぐ側で、そう呟くものが一人。
前者の頭上に浮かぶHPバーは、完全に色を失っている。……そして、こちら側には4人…いや、5人が立っている。
「なんだ、やればできるじゃない。」
そんな、なんとでもないような顔で呟くアスナ女史のHPは、半分を少し超えたところでとどまっている。
────これは後から聞いた話なのだが、黒エルフのお姉さんが使う奥の手は、強力な代わりにHPを消費…つまり、文字通り命を削って放つ技だったらしい。森エルフとの戦闘で、HPがすり減った黒エルフはその技で森エルフと相打ちに持ち込み、後をプレイヤーに託す……というのが、本来の筋書きだったらしいが…
…………その黒エルフのお姉さんは、しっかりとここに存在している。HPもゼロになっておらず、完全に生きている。
森エルフの体は地につき、ポリゴンのかけらと代わり爆散。一つの袋を残して、その痕跡を完全に消した。
…………黒エルフのお姉さんの顔に、あの、私どうすれば…という表情が浮かんでいるのは……
気のせいだろう、きっと。
◆◆◆◆
またまた後から聞いた話なのだが、決着がついた後のこのクエスト……その名も《翡翠の秘鍵》は、このような流れになるはずだったらしい。
黒エルフのお姉さんから後を託されたプレイヤーは、エルフたちが落とした大振りな一本の鍵を、黒エルフか森エルフの基地に運ぶ事となる。
その鍵は普通のアイテム判定で、街で普通に売れたりするし、結構いい値段もつくのだが、それではクエストは詰む。
基地に運ぶことで、ようやくこのクエストが本格始動する………訳だったのだが。
「えーと……な、なんだろー、これ…」
動揺を隠しきれていないキリトが、途轍もなくわざとらしい声を上げ、それに反応したアスナが、森エルフが残していった袋をすっと拾おうとするのを、キリトが止める。
何よ、と言いたげなアスナの目線をキリトが受け止める寸前、黒エルフのお姉さんが口を開いた。
「これでひとまず聖堂は守られる……」
そう呟いた黒エルフのお姉さんは、地面に落ちている袋を拾うと、腰のポーチにしまい、俺達の方を見た。その一連の動きはあまりにも自然で、コレがプログラムで動くNPCとは思えないほどだ。
「……………礼を言わねばなるまいな」
鎧をガシャガシャ言わせながら一礼したお姉さん………カラーカーソルの《Kizmel:Dark Elven Royal Guard》という表記に従えば、おそらくキズメルさんと読むであろう彼女は、言葉を続けた。
「そなたらのおかげで第一の秘鍵は守られた。助力に感謝する。我らが司令からも褒賞があろう、野営地まで私に同行するがよい。」
ここで、キズメルの頭上に黄金の?マークが点灯する。どうやら、この状況でもクエストは進行するようだ。
アスナはキズメルに近づくと言った。
「じゃあ、お言葉に甘えて。」
「…………」
黙っているのは俺たちだけじゃない、キズメルさん本人も黙り込んでいる。NPCへの受け答えは、YES/NOがはっきりしている返答でないと反応が帰らないことが多い。
キリトが、おそらくNPCに通じる言い方で言い直そうと、口を開き………かけたのだが。
「よかろう。野営地は森を南に抜けた先だ。」
キズメルは少し黙っただけで、普通に会話を続けた。
………きっと、ベータから本サービスまでの調整で、NPCのAIだかなんだかのレベルが上がったんだろう。それだけのことだ。
俺は、そう考え、納得しようとした。………だが、この世界に存在する例外が、俺の思考を掠める。
「(キズメルはメギド?………考えすぎか…)」
俺は今度こそそう納得し、左上に増えた五本目のHPバーの名前をながめた。
…キズメル:ダークエルブン・ロイヤルガード。
………俺は…俺達は、今後この騎士と深く関わることになるとは、誰も考えていなかった。
切りいいとこで切るとこんなとこで終わってしまった…
まあとりあえず、予告どうぞ。
次回、セイバーアート・オンライン。
「我らのまじないは、とても魔法とは呼べぬものだ」
「いんす…たんす?」
「ありがたく使わせていただき…うん?5人?」
第14節 黒き野営地、唯一の拠点。
オリジナルのブック組み合わせを出そうと思ってます。基本は赤いブックとの組み合わせです。
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ヘンゼルナッツとグレーテル
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猿飛忍者伝
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昆虫大百科
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天空のペガサス
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トライケルベロス
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玄武神話
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昆虫大百科
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オーシャンヒストリー