そしてそろそろテストです。
なので今回急いで書いたのでちょっと短めの味薄かも…
今までのテストやらかしまくってるので流石にやらないとなので…
ってわけで、今月一発目どうぞ。
幻書の下りから数分、俺たちは洞窟内の一角に来ていた。
「エンジュ騎士団の徽章だ、この道空を調べていた偵察兵の者だろう……持ち主はもう……生きてはいるまい…」
先程軽く聞いた話では、エンジュ騎士団というのはキズメルが所属している騎士団のことらしい。アスナいわく植物の名前らしく、その他にもカタラチ騎士団やビャクダン騎士団があるらしい。騎士団間は……あまり仲がいいとは言えないらしい。そのへんはリアルの政治と似たようなものか。
普段のクエストなら、この環境でこのサイズのアイテムを探し出せたときには全力ガッツポーズ物だったろうが、今それをする気分にはなれない。
声がいつになく沈んでいるキズメルに、キリトは徽章を差し出したが、彼女は首を横に振った。
「それは、キリトたちが司令に渡してくれ。…ひとまず、報告に戻ろう。」
「…ああ、解った。」
俺たちは少し静かな空気を発しながら、再び薄暗く湿った洞窟の中を歩き出した。
ダンジョン内ではフィールドより早くmobが
「やべぇ……アイツ階段登ってくるぞ!」
「ともかく走ろう!今の戦力で戦うのは無理だ!」
……後半の声はどこかで聞いたことがある気がするが、気の所為………
「あ……あんなクソでかいクモおるなんて聞いてへんぞ!どうなっとるんや!」
……気のせいじゃねえわこれ、どう考えても知り合いだコレ!
同じことに気づいた先頭を歩くキリトは、……おそらく俺たちに決断を委ねようとこちらに向き直った…のだろうが。
「どうす……」
「どうするのキリト君!?」
「どうすんだキリト!?」
「どうするんですかキリトさん!」
「ここはそなたに任せよう!」
「す………る……」
……パーティーリーダーになったつもりはないぞ!
そんな声が前から聞こえてきそうだが、その声をガン無視してキリトを見続ける。全員揃って。
……実際、この状況を解決する方法が無いわけではない。
理想としては、奥を走るディアベルやキバオウたちが逃げ切り、デカグモはターゲットを失ってダンジョン内の定位置に戻ることだが…
…そうなる確率はだいぶ低いだろう。最悪、進行先に湧いた通常mobとで挟み撃ちになってしまうことだってありえる。
そうなると次の理想形は戦ってくれることだろう。だが、ディアベルならまだしも他のパーティーメンバーがあのクモに対して知識を持ち合わせている気はしないし、ディアベルも戦闘を回避するつもりで来たのなら、恐らく情報を共有していないだろう。というか、今の戦力で戦うのは無理、と言っているあたり、今回のメンバーはそこまで高レベルというわけでは無いのかもしれない。
そうなると……俺達が引き受ける……?
「……戦おう。」
…どうやら、キリトも同じ発想だったらしい。
「パーティーが通り過ぎたら、あのクモを引き付ける。すぐそこの大きな部屋に引っ張りこめば、十分戦えるスペースはあるはずだ。」
キリトが早口で発した言葉に、俺たちは頷いて同意を示す。
「解った。指揮は任せたわよ。」
「そなたが戦うと決めたならば。」
「最悪変身する。お前はいつもどおり戦え。」
「そうですよ。キリトさん、頼みます。」
キリトもうなずき返すと、すぐに行動を開始した。
「よし、こっちだ!」
キリトは左手の松明を掲げると、そのまま走り出す。
俺たちは後を追うものの、キリトが止まった位置からは少し離れた位置で止まる。
「十字路だ!出口どっちだ!?」
「さっき通ったとこやろが、まっすぐやまっすぐ!」
奥で聞き慣れた叫び声が聞こえ、続いてカサカサとした足音が聞こえる。
キリトはその足音が最も近づいた時、隠れていた道の影から飛び出ると、アニールブレードをコンパクトな構えで振りかぶった。
アニールブレードの切っ先は、その足音の主の少し硬い体表を切り裂き、紫色の体液を噴出させた。
キリトはそれを視認した瞬間、とっさに飛び退くとこちらの方へと駆けてきた。
「キシャーーーーーーーーーーッ!」
音の発生源……この洞窟の主たる女王蜘蛛は、いかにもクモと言わんばかりの雄叫びを上げると、俺たち……というか自らに傷をつけたキリトを追って、こちらへと足の向きを変えた。
俺たちの視界にはちょうど、奴に関する情報が写ったところだった。
出現したカラーカーソルによれば、名前は《Nephila Regina》。カタカナで書けばネフィラ・レギーナ、となるだろう。レギーナが確かラテン語で女王を意味したはずなので、《女王ネフィラ》とでも言ったところか。HPバーは二段で、その一段目がほんの少しだけ削れている。
「……タゲ取りは成功したみたいね。」
俺のちょっと横でアスナが呟くと、それに呼応するかのようにクモの女王も、俺たちへと移動を開始した。
俺たちはそれを見ると……というか見る前から、全力で後ろへとダッシュしていた。
いくらなんでも、5人がこの狭い通路で戦うのは無理がある。せめて、小広場のようなスペースがなければ、剣技同士の衝突は避けられないだろう。
俺たちは奴に追いつかれること無く無事に広い部屋へとたどり着き、それぞれの愛剣を抜剣、各々構える。
女王蜘蛛はもう止まること無く、キリトめがけて全力で突っ込んでくる。
彼女の足がピクピクっと震えたのを見たキリトは、その瞬間口を開いた。
「足の刺突二連撃は先が震えたほうの足からだ!外側に避けないと二撃目を食らうぞ!」
キリトがリアルタイム指導を行う中、女王は律儀にもその実習を行った。
彼女が突き出した脚の方へとキリトはステップで回避し、次いで飛んできた二撃目は自分自身の脚で妨害される。
ちらっと脚が突き出された方を見ると、初撃の跡地にはガッツリと穴が空いている。ほんとにクモかお前?
ともかく、この一瞬とはいえ隙きが生まれたわけだ。
というわけで。
「ソードスキル一本!」
キリトの声に従い、各々が単発のソードスキルを発動する。
俺やキリト、リントの片手剣組はホリゾンタル、バーチカルなどの初期スキル、アスナは彼女が得意とする基本技のリニアー、キズメルは名前こそ不明だが、赤くサーベルを発行させ、クモの胴体へと叩き込む。
HPバーが目に見えて減り、クモの動きも一瞬鈍る。ボスモンスターと思えない減り具合は、キズメルの能力値ゆえだろうか。
この調子なら、ソードスキル数本で倒しきれるだろう。
キリトは、クモが脚を縮めた瞬間、再び叫ぶ。
「跳ぶぞ!着地の瞬間にこっちもジャンプ、タイミングはカウントする!」
その声に従い、各々が跳躍の体勢を取る。
「3,2,1,今!」
俺たちはタイミングをほぼ完璧に合わせて跳躍、着地したクモを中心として発生したショックウェーブを回避すると、再びソードスキルを叩き込む。
全力で戦う最中、俺たちはある事実を恐らく忘れていた。
キズメルは、今……というより今も尚、普通に俺たちと接し、一緒に共闘している。
だが、普通のNPCならば、プレイヤーの指示で戦闘を行うなどありえないのだ。それなのに、俺たちは普通のプレイヤーと接するように指示をキズメルとプレイヤー組、一緒に飛ばしている。
俺たちはいつしか、それが何もおかしいこととして思わなくなってきた。
◆◆◆◆
MMOに限らず、ゲーム中の時間を測るのは体感ではほぼ不可能だ。脳で発生するドーパミンとかあれとかそれとかがいい感じに働いて体感時間をずっれズレにしてくるので、戦闘なり一段落したときには、『やっべもう落ちないと学校間に合わねえよ!』とかいう自体が多々発生する。逆に、超感動するストーリーが繰り広げられると、後で時間表記を見て『……たったの3分?今の巨編が?』とか言うこともよくある。
俺たちはネフィら・レギーナとの戦いを無事勝利で終えると、いつ覚えたのか、ハイタッチしようとしているキズメルとアスナをしーっのジェスチャーでとどまらせておいて、とりあえずウィンドウを開いて時間を確認する。
時刻は午前4:25分ぐらい、出たのが二時過ぎだったので、その他諸々を考えると立ったの3分ぐらいしか戦闘してない計算になるわけだが、それだけあればディアベル一行がクモに追われていないことに気づくのは十分だろう。
キリトは少し通路に体を出すと、恐らく彼らが帰ってこないか確認していたのだろう。
大体2,3秒立ってからキリトは再びこちらに歩いてくると、
「ディアベルたちには気づかれなかったみたいだ。多分、彼らはギルドクエストをクリアするために一回地下二階に戻るだろう。その隙きに、俺たちはここを出よう。」
「そうだな。俺達は俺達で、一度司令官に報告しないとだしな。」
その言葉に頷いたアスナが、ふと思い出したかのように言った。
「そういえば、あのボスグモってどのぐらいでリポップするの?」
「えっと……」
キリトが、ベータ時代のインデックスを引こうとした時、それよりもキズメルの脳内ストレージの処理速度が勝ったらしい。
「あの大きさなら、この洞窟に満ちる霊力によって新たな主が生まれるまで、少なくとも三時間はかかるだろう。」
……エルフって、リポップそういう解釈なんだ。
「そんなに掛かるなら、ディアベルさんたちは安全に二階を探索できそうね。」
「はい。……まあ、ディアベルさんたちなら何とかしそう…ってきもありますけど…。」
「…確かに。……とりあえず行こうぜ。」
「うん。」「「ああ。」」「はい。」
俺たちは、この薄暗い場所を後にした。
◆◆◆◆
俺たちは無事に洞窟を脱出し、《森沈みのまじない》とかで普段は見えにくい黒エルフ野営地へと帰ってきた。
境目である霧を乗り越え、少し雰囲気の違う空気をすーはー吸いながら、ついでに装備も多少解除する。
その際使ったメニューウインドウ──世界観的には幻書──を使った俺たちに、キズメルが再び「便利なものだな」と呟くと、キズメルは口調を改め言った。
「先程のエンジュ騎士団の徽章、そなたらから司令官に渡してくれぬか?」
「あ、ああ…それは構わないけど…」
「よろしく頼む。……なくなった偵察兵は司令の血族でな……報告の場に立ち会わせたくないのだ。身勝手ですまんが……」
「……ああ。俺たちが責任持って渡しておく。………キズメルは……これからどうするんだ?」
「少し天幕で休ませてもらうよ。助けが必要ならば、いつでも声をかけてくれ。」
キズメルはそう言い残すと、俺たちの前から立ち去り、一緒に司会左上のHPバーも一本消えた。
「………きっと、またいつでもパーティーに入ってきてくれるさ。」
俺の声にアスナは珍しく、
「…うん。」
…と、短い声を出しただけだった。
彼女は気分を切り替えるかのようにフードをかぶると言った。
「さ、クエストの報告に行きましょ。」
クエストの報告はすぐに終わり、続けて俺たちは毒蜘蛛たちの主である女王蜘蛛の討伐を依頼された。
なんと、キリトがいつの間にか先程の女王蜘蛛の牙を拾っていたようで、それをストレージから取り出し恐る恐る取ると、その瞬間クエストクリアのSEが鳴ったときは、いいのかこのガバガバ判定でと一瞬思ったが、別にこのゲームはそういうところが問題じゃないと気づき、考えるのをやめた。
司令の天幕から出ると、キリトが俺たちに……というより、アスナ一人に提案した。
「……どうする?いつでもキズメルをパーティーに誘えるけど……」
「ううん、今はいい。なんだか……一人にさせてあげたい気がするの。」
アスナの感情は、何も間違っていないだろう。……NPCプレイヤー関係なく、己の仲間を気遣う感情そのものなのだから。
「……別に、あなたたちの仲間になったつもりはないから。」
「「………ハイ…。」」
綺麗に俺たちの心をぶち壊したアスナ嬢は、食欲に負けそうになっている俺たちを引き止めると言った。ちなみにキリトの袖を引っ張って。
「……ご飯の前に、付き合ってよ…」
「へ?何を?」
「ちょっと、一晩寝ただけで忘れないでよね!素材が溜まったら、私の剣を新しい剣に作り変えるって話!」
◆◆◆◆
で、新しい武器の前に、ある程度SAOの武器について話しておこう。
SAOのゲームでは、大抵のMMOと同じように、武器はだいたい3つのカテゴリに分けられる。
1つ目が、ボスを含むモンスターからドロップする、《モンスタードロップ》。ダンジョン中のチェスト内のアイテムと合わせ、《ドロップ品》ともいわれる。
2つ目が、クエストクリアの報酬として得られる、《クエストリワード》。
3つ目が、プレイヤー鍛冶師が新たに鍛造する、《プレイヤーメイド》。
時間が経つに連れ、強力な武器はドロップとプレイヤーメイドに偏っていくだろうが、今は対して差はない。キリトのアニールブレードは一層クエストのリワード、アスナのウインドフルーレは一層産のモンスタードロップだ。俺とリントの聖剣は……イレギュラーだな、うん。
というわけで、今回依頼するNPC鍛治屋も、現時点ではプレイヤーメイドと同等………それどころかあまりスキル値が高くないプレイヤーよりより良いものを作ることができる。
「…大丈夫だよ、上手くいくって。」
キリトが、俺たち男子組の前を歩くアスナに話しかけるが、アスナは結構ツンツンした様子で、
「別に何も心配してないわよ。」
と発言。どこかツンツン以外の要素も含まれている気がするが、ちょっと俺には読解できない。
「そっか。」
ここでさすがにうっそだぁー!とかいうデリカシーのなさを露呈する気はないので、とりあえず一言だけで済ませておいた。
…………キリトが。
「そうよ。…それより、今までの戦闘で素材とかちゃんと集まったんでしょうね?嫌よ、わざわざ集め直しとか……」
と、アスナは不自然に言葉を切った。
「……いつまでも、コレじゃだめよね……」
「へ?何が?」
「だから……いつまでも、キリトくんやラルトくんのベータのときの知識に頼り切るんじゃなくて、自分でモンスターの種類とか必要な素材とか、分かるようにならないとっておもって…」
「でもそれを言うなら僕だって……」
リントがアスナに言うものの、それもどこか達観した様子で言った。
「でもリント君は、仮面ライダーの力があるじゃない。その力で、前の事件みたいに世界を救えてる………。でも、私はただの一般プレイヤー……」
「そんなの関係ねえっての。俺だって昔は知らなかったわけだし、今だってアルゴの攻略本とかに頼ってるしな。」
「でも、それなら私だって同じだけど、ラルト君は経験として知識があるじゃない。経験で得た知識と、伝聞の知識はやっぱり違うわ。知ってる知識も全部アルゴさんの攻略本を暗記しただけだし……」
「それでも、俺たちだってベータの知識が切れたら終わりだよ。そうなったらもう右も左もわからない。…………それに、知識だけがすべてじゃない。別に今知らなかったって、俺たちみたいに知ってるやつから聞きまくって、それで自分の知識にしたらいいんだよ。丸パクリだっていい。ゲームなんて、誰かが見つけた知識で、より多くのプレイヤーが強くなってくんだから。」
「ああ。……なんでも利用して、今から強くなっていけばいい。今一番大事なのは、今日一日を生きることなんだから……」
……柄にもないきな臭いセリフに、少々気恥ずかしさを感じた俺とキリトは、照れ隠しに思わずアインクラッドの外周部を見た。
………その時ちょうど、俺達の目に眩しい光が飛び込んできた。
「そうね。こうやって、また新しい一日が始まるんだもんね……」
そう、アスナも感慨深げに呟いた。
……で。
「それから、言ってなかったんだけど………」
「………?」
「武器の作成って、強化と違って別に失敗とか無いから、安心して依頼していいと思うよ。そこまで不安になる必要は」
と、キリトが言った瞬間。
「それを早く言いなさいよ!」
…………毎度恒例、アスナ様のツッコミがキリトの声の合間に突っ込まれた。
ってわけで終わりっす。
なんか三巻入ってから全然進んでないぞ…?
…3月は暇な時間多いから結構書けるはず…
ってわけで、次回予告どうぞ。
次回、セイバーアート・オンライン。
「バフ、頂戴」
「接触だけじゃなかったっけ?」
「今の……どういうことですか……?」
第19節 白銀の切っ先、流星の如く。
オリジナルのブック組み合わせを出そうと思ってます。基本は赤いブックとの組み合わせです。
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