本編どうぞです。
「エス……パーダ……」
「スペイン語で刀剣……でしたかね……」
俺とリントの目の前に現れた、3人目の剣士…………仮面ライダーエスパーダ。本名をフミト。
彼は青い外套に身を包み、俺たちの前へと立っている。
「………一応確認だけど、君もスキルスロットの中に───」
「──入れてるよ、俺の場合は《雷の剣士》。」
「やっぱりか………いよいよ俺の転生関係なくなってきてねえか…?」
「どうしました、ラルトさん?」
「い、いや、なんでもない……と、とにかく、君もこれから、メギド対策に協力してくれるのか…?」
俺の問いに、彼…フミトはしばし考える仕草を見せた後に、口を開いた。
「ああ。……ただ、条件がある。」
「と、言うと?」
リントが再びこちらサイドの問いを送れば、彼は今度は即座にレスポンスを返した。
「………探してほしい人がいる。」
「…人探し、ねぇ……それが、君の戦う理由か?」
俺が彼に問い返せば、彼はしばしの間、瞑目。
彼が再び目を開けると、同時に口も開いた。
「……ああ。俺が……何が何でも、見つけ出さないといけない人だ。」
……仮面ライダーとして戦う理由がそれということは、少なからずその人はライダー……ひいてはメギドに関わった人なのだろう。
「………教えてくれ。君は………どうして戦うんだ?」
俺が彼に、少し声色を変えて聞けば、彼もまた、優しげな……そしてどこか儚げな声で答えた。
「…………簡単な話だ。俺はこの世界に……SAOに、もうひとり連れて来ていたんだ。あいつとは色々と旅をした…………でも、一層が攻略される1週間ぐらい前……あいつは、俺の前から消えた。」
「消えた…?それってただ別行動を取ったってわけじゃなくて…」
「ああ。………連れ去られたんだよ。高身長の男にな。」
「「………!?」」
連れ…去られた…?
「ちょ……ちょっとまってくれ……一層が攻略される前って……プレイヤーを移動させる方法なんてノックバックぐらいしかないだろ?今でこそドロップ品とかに麻痺のデバフありの剣も増えてるけど、当時プレイヤーを拉致する方法なんてまずないんじゃ……」
「……俺もプレイヤーが転移以外で強制移動させられるなんて、考えてもみなかったさ。………ただ、それはあくまでプレイヤーがプレイヤーを動かす時の話だ。……プレイヤー以外の者が関われば、その法則は通用しない。」
「「……!」」
……悪い予感が、当たっちまったわけか……
「それってまさか…!」
リントが結論にたどり着き、衝撃と恐怖の混じった声を上げれば、それにフミトも反応した。
「………ああ。あの高身長……ストリウスは……………メギドだった。」
「スト…リウス……」
…………ストリウス…?
リントが呆然と呟く中、俺も内心でその人物のシルエットを思い描いていた。
彼の言う通り高身長で、服は黒コート。何故か髪を一房長く垂らし……
………俺の想像通りだとするなら、彼は俺が知る同名の人物………仮面ライダーセイバーの登場人物である『ストリウス』と同じような人物が、この世界にいるということになる。リントがズオスに出会ったと言っていたが、同じようなことがまた起きたというわけだ。
「……つまり、君はその大切な人を探している…ってことか。」
「…ああ。……世界の……全プレイヤーが巻き込まれているというのに、申し訳ないが……」
「いや、いいよ。……仮面ライダーだって一人のプレイヤーだ。俺たちが前を向けないと、世界を守るなんてできっこない。」
「そうですよ。同じ仮面ライダーなんですから。ライダーは助け合いです。」
「……ありがとう。」
彼の言葉が合図となったのか、街の門から多くの人々………ここを拠点としている攻略組の面々が集まってきた。
「ラルトさん!」
「…!リンド!………リンドとリントの名前似てんなあ……」
「聞こえてますよ。」
「…すんません。」
しょうもないやり取りを繰り広げながらも、こちらに向かってくる攻略組の面々に、俺たちも駆け寄る。
「メギドは?」
「倒したよ。……といっても、今回は彼のおかげだけどな。」
「彼?…………って、君!」
「…!リンドさん!?」
「……あれ、知り合い…?」
まさかの二人知り合いパターン…?
「あ、ああ、以前一層で、俺がmobに殺されかけてたときにリンドさんに助けてもらったんだ。」
「そうだったのか……」
俺が納得したように呟けば、リンドも結った茶髪を揺らしてこちらに向き、少々補足する。
「ああ。一層でレベリングしていたときに遭遇してな。その時は助けなければと思っていたが………まさか仮面ライダーとなっていたとは………」
「リンドさんが、助けてくれたおかげです。なんてお礼を言えばいいか……」
………ほんと、人の縁ってのは意外なとこで結ばれてるもんだな………なんかスレニキたちが祭りだ祭りだとか言ってるけど………後で元ネタ聞いてみるか。
「……あ、そういえばさ。」
俺がリンドに声をかければ、フミトに向けていた視線を彼は俺へと向け、顔の僅かな動きで続きを促した。
「今ディアベル達、ギルドクエスト進めてるんだろ?名前とかメンバーとかは決めたのか?」
「ああ、それか。」
彼は納得したように呟き、続けた。
「メンバーは攻略組で、ディアベルさんと行動している面子を集めている。名前は……《アインクラッド開放隊》だ。ちなみに発案はキバオウさんだ。」
「へぇ……アインクラッド開放…か。」
前世のうっすらなSAOヒストリーとは全く違うこの世界ではどういうギルドが生まれるかと思っていたが、あの2つのギルドを合わせた感じのギルドになるのだろうか。
「ああ。………俺たちの手で、なんとしてもこの世界から人々を開放する。………彼はそう言っていたよ。」
「………ああ。俺はギルド入ってないけど、協力はさせてもらうよ。俺がこの世界を守ってるのも、世界に住む人々を守るためだからな。」
「……協力、感謝する。」
…………キバオウ、実際には『ワイ達の手で、なんとしてもこのクソゲーからプレイヤーたちを開放するんや!』……的な感じで言ってたんだろうな。脳内再生余裕だもん。
「まあそれはいいとして。とりあえず、5時から攻略会議だろ?そろそろディアベルたちも戻ってくる頃合いだろうし、会議場にでも行こうぜ。キリアスもそろそろ来るだろうしな。」
「ああ、そうしよう。……ところで、キリアスというのは…」
「キリトとアスナだけど?」
「…なる、ほど……。」
……リント、フミト、そんな目で見るな。
◆◆◆◆
あれから数十分、俺、リント、フミト、合流したキリアス、帰ってきたディアベルと彼の率いる攻略組……改め、アインクラッド開放隊の面々、そしてエギルを始めとしたマッチョメンは、3つの巨木改造建造物に∴状に囲まれたすり鉢状の広場に集まった。
開催時間を待つ間、2層でも世話になったエギルたちと会話を交わし、キリトが未だ二層の宿屋に置きっぱなしの魔法の絨毯──といっても本物の魔法の絨毯を使うやつが出てきたのだが──こと、商人プレイヤー御用達の《ベンダーズ・カーペット》をエギルに譲ることを取り付けたりしていれば、気がつけば午後5時。
中央ステージにある演壇に、ディアベルとリンド、そしてキバオウが登壇してきたので、皆と共に拍手を1つ。
そのタイミングで集まった人数を数えてみれば、その総数は45人。リントとフミトで二人増えたのにも関わらず総数が減っているのは、以前の戦いに参加していた6人のグループ……《レジェンド・ブレイブス》がこの場に居ないからだ。
彼らは攻略組の大多数よりレベルこそ低かったものの、所有するハイステータス装備で、二層ボス戦では大活躍した。本来なら、ここにいれば心強かったのだが……
………彼らは今、己の罪の懺悔として、その力をすべて手放した。またこの場に来るには時間がかかるだろうが……それでも、信じるだけなら自由だろう。
俺がそんな思考を巡らす間に、攻略会議が始まった。最初に今までのようなディアベルの挨拶があった後、会議は本題へと移った。
本題は、攻略集団の中枢を担うディアベルの集団が正式なギルドになったということだった。
「だいぶ早いな……」
「ああ。開通してからまだ1,2日ぐらいなのに、それであのクエストをクリアするのは相当早いよ。さすがディアベルってとこだな。」
忘れがちだが、彼…ディアベルも元ベータテスターであるので、その手の知識は持っているというわけだ。一度手助けとしてやってみたことはあるが、お使いクエに討伐クエに捜索クエとクエストのてんこ盛りフォームのようなあのクエストは二度とやるかバーカ!と叫んだほどだ。ちなみにマジだ。
続けて、ディアベルによるギルドに関する説明が続いた。アインクラッド開放隊の公式略称であるALSの名が発表され、次いでギルド加入条件であるレベル10以上という数値が発表された。
まあと言っても、俺たちは現状ギルドに入るつもりはない。セイバー原作にこそソードオブロゴスという組織は存在したが、別に俺は集団が好みというわけではない。そこ!ぼっちとか言わない!………まあともかく、他の面々を見渡す限り同じような反応だし、エギルたちのマッチョガイ集団もその意思はなさそうだ。というか、彼らがまっさきにギルド作りそうだな…
「ギルドの加入に関しては、この会議の後に受け付ける。下の層やこの層の掲示板にも、募集要項は掲示しておくので適宜見ていてくれ。それでは次の議題だ。」
彼の声で、横に立っていたキバオウが中央に近寄った。
「こっからは、当面の攻略作戦について話し合って行くで!目標は、この層の1週間での突破や!4日で迷宮区までいって、2日でボスを倒す!そのため必要なんは、攻略集団の頭数や!いつまでも40人ぽっちじゃ埒が明かへん、こんなクソゲーと正面からやり合おうっていう奴らを、積極的に増やしていかなあかんのや!」
威勢のいいキバオウの声に、ALSを中心とした面々が口々に囃し立てる。
ただ、1つ疑念があるならば、今挙げた目標である攻略のスピードアップと、攻略集団の増加は同時に実行できないものということだ。攻略集団が先へ進めば進むほど、そこを目指して進むプレイヤーの道は長いものとなっていく。実際、《レジェンド・ブレイブス》の5…6人が強化詐欺に手を染めたのも、レベルで埋まらない戦力差を装備で補おうとしたがゆえなのだ。
「……攻略のスピードアップか…」
「…どうかんがえても無理あんだろ。これじゃあ下で攻略集団入りを目指してるプレイヤーがいつまで経っても追いつけねえ。」
キリトと俺が意見を交わす中、俺はふと後ろで吹いた風に身を屈めた。
………だがそれは、風にしては少々質量が大きい気もした。
「…ん……?」
「…ラルト、お前も後ろ…」
「ああ…なにか通ったよな…?……でもお前索敵スキル持ちだろ?なんか反応あったか?」
「いや…周りのプレイヤーには反応あるけど……もし人だったら、あんな隠蔽スキル持ちなんて今じゃあそうそう……」
「「…………ん……?」」
隠蔽…スキル……?
思いがけなくキリトが呟いた言葉に、俺たちは思いっきり引っかかるものがあった。
俺たちが思い浮かぶ人物の中で、高い隠蔽スキル……正確に言えば、高い隠蔽効果を発揮するアイテムを持っている人物は"彼女"しか思い浮かばない。
だが、彼女がここにいるなど……
「まさか……」
「いやでも流石に……」
「……?どうしたの二人とも?」
「いや……後で話す。」
小声でコソコソする俺たちに気づいたアスナが俺たちに問いかけるも、俺がいい感じにごまかしておき、無理矢理に話を終えた。
ふと前を見れば、この会議も終わりが近づいてきていた。第一目標として、今日から明日にかけての《次の街》へと到達が掲げられ、次いで今日店頭に委託販売が始まった《アルゴの攻略本・3層攻略編》に記されている注意事項が読み上げられた。
「当面は、この本の情報を参考に動いていくで!ただ一層のこともあるけぇ、完全にこれだよりにはならんようにな!他に質問は…なさそうやな。ほんならディアベルはん、お願いするわ。」
「解った。」
キバオウが一歩引き、開いたスペースにディアベルが足を踏み入れる。
「これからも俺たちは変わらず、攻略を最優先、最速で進めていく!一層や二層に残っているプレイヤーたちを開放するためにも、俺たちが力を合わせよう!みんな─────一週間で、3層を越えよう!」
「「「おう!」」」」
周りから、野太い声が打てば響くの連携で、文字通り響いた。
◆◆◆◆
「ちょっと、どこまで行くのよ。」
攻略会議が終わって数分、アスナが戸惑いの声を上げた。
その理由は簡単で、俺とキリトが何を言うこともなく近くの芝生広がる広場へと歩いてきたからだ。ついてきているリントとフミトも、同様に戸惑いの表情を見せている。
キリトは立ち止まると、ポケットに手を突っ込み、口を開けた。
「………いるんだろ、キズメル?」
「…えっ!?」
アスナがキリトの言葉に、先程までの態度を一気に崩れ去らせ、辺りをキョロキョロと見渡した。リントもまた、周囲に視線を巡らせる。唯一事情を知らないフミトだけが、未だ困惑の表情を維持している。
「………気づかれてしまったか。」
キリトの向いた方向とは反対から声が聞こえたかと思うと、そこの風景がパラッとめくれた。
……正確に言えば、その風景を移していた布が払われた、というべきか。
「朝ぶりだな、キズメル。」
「ああ。…まさか、気づかれるとは思っていなかったが。」
「意外と俺たち人族も、勘ってやつが鋭いもんでな。」
まあ、ほぼ偶然だったけれども。
「キズメル…なんでわざわざ私達のところへ?」
アスナが、今最も知りたい情報を相変わらずの神速で聞いた。
「ああ、私の任務はお前たちの世話と護衛だからな。思っていたより帰ってくるのが遅かったもので、まじないを使って飛んできたところだ。」
「なるほど……」
まじない便利だな……俺もブックゲートがほしいぜ…
「…あの……彼女は…?」
「…ああ、悪いフミト、初対面だったな…」
危ねえ危ねえ…友達と遊ぼうってなって当日『こいつも来るって!』って知らねえやつと遊ぶ的展開になるとこだったぜ…
「こちら、ダークエルフの騎士、キズメル。……キズメル、彼が俺たちの新しい仲間のフミトだ。」
「キズメル…さん?」
「ああ。……フミト、でいいか?」
「あ、ああ。構わないが……」
…フミト、適応能力高いな。さすが物語のライドブックをメイン形態に使うだけある。
「……というかキズメル、俺たちを見に来たって行っても、街の中に入って大丈夫だったのか?もしまじないが破られたりしたら…」
俺の遅いっちゃ遅い心配に、キズメルはどこか自慢げに答えた。
「ふふ、エルフの力を舐められては困るな。この《朧夜の外套》の呪いは、そっとやちょっとの衝撃では解けないのだよ。お前たちに当たってしまった時は、少々ハラハラしたがな。」
ああ、あのとき……
「さて、私は野営地に戻ろうと思うが…お前たちはどうする?」
「あー……俺たちも戻るよ。ある程度の目的は果たしたしな。」
俺がそれとなく目線で同意を求めると、皆同様に頷いた。
「……ラルトさん。」
「…フミト…どうした?」
少し神妙な顔で近寄ってきたフミトに、俺は少し声色を変えて言った。
「……俺は、少しあいつを探して来ます。クエストは…」
「そうか…いや、いいよ。お前はお前のやりたいことをしててくれ。俺たちも、何か情報をつかめれば流すから。」
「…ありがとうございます。」
………フミトはそう残すと、ここを足早に立ち去っていった。
「……さて、俺たちは帰りますか。」
「…ああ。共に帰ろう。仮とは言え、私達の家へと。」
「……ええ、そうね。」
「……ああ。」
俺たちが地平線を見れば、そこには茜色の光が、地平線にそって伸びていた。
次回、セイバーアート・オンライン。
「バッカじゃないの!?」
「ど、どうぞ。俺はもう出るから。」
「七秒遅刻だゾ」
第22節 剣士の休息、迫る影。
オリジナルのブック組み合わせを出そうと思ってます。基本は赤いブックとの組み合わせです。
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