束さんは主人公に好意的です。
束さんは重要人物です。
「束!!!!!!」
「ちーちゃん!う……うわぁあああん!!!」
「どうしたんだ束!?」
「うっ…怖かった…私…変な人に……」
《私はずっと探してた。》
まだ、私が幼く、弱く、ただの天才止まりだった頃の話。
その時、私はちーちゃんとケンカをして、夕暮れの森の中一人で居た。
「篠ノ之束だな」
いきなり後ろからそう声をかけられた。
「何?子供なのに六頭身な気味の悪い知り合いは、束さんには居ないけど」
私より小さく見えるのに、ハッキリと聞こえる声。気持ち悪くて、悪寒と吐き気がした。
「お前を殺せば俺は……」
それはぶつぶつ言いながら、暗い灰色の目をぎらつかせて手を前にかざす。
「!?」
かざされた手のひらには、よくわからない小さな光の塊があった。
私の頭の中で警鐘がなっていて、それが私を害するものだと叫んでいた。
「死ねぇ!!!!!!!!!!」
それが叫ぶと、光が一気に膨れ上がって、目の前を多い尽くした。
無駄だと分かっていたけども、私は頭を抱えてしゃがみ叫んだ。
「あぁぁあああああああ!!」
怖い、嫌だ、死にたく無い…シニタクナイ!!
その時。冷たい風がそっと、私の頭を撫でた気がした。
『大丈夫』
さっきまで激しい爆音がしていたのにそれが静まって、私の身に何も起こらなくて。不思議に思って目を開けると、目の前には何も無かった。
……そう、そこだけ木も草も無くてまるで何かが飲み込んだ様に土が顔を見せていた。
それ以来、何故か時々吹く、冷たいのに優しい風が、私を安心させた。……いや、本当はその風が私を守ってくれると、知っていたからなんだけど。
《あの人はずっと一緒に居てくれた。》
《これは私の勘だけどね。》
私は神社の石階段に一人腰掛けて虚空に話しかける。
「ねぇ、風の幽霊さん。出てきてよ。ほーちゃんを助けてくれたのは貴方なんでしょ?何時も『あいつら』を遠ざけてくれるのは風の幽霊さんなんでしょ?」
あの日以来、学校や色んな所で変な奴に良く絡まれる。あの日のあれと、同じ様な異様な空気を纏った奴らに。そして、次の日になると必ず人が変わる。まるで憑き物が落ちたみたいに。
「んー。何時も助けてもらってるのに、幽霊さんじゃ失礼かな!そーだ♪束さんは貴方のカッコイイ呼び名を思いついたよ!『
《つかめない風をずっと追いかけてた。》
『No. lost name:Mother』
「何、これ。束さんの子供達に干渉した上、私を差し置いて『母親』を名乗るなんて」
いつの間にかISのコアネットワークに、私の知らない何かが入り込んでいた。私は憤りを感じながらそれを消そうとした。
「拒絶された?」
いや、違う?私のプログラムが一つずつ接続を絶つ度に
私が見たのは異常な光景だった。侵入者の近くにあったコアが他のコアに信号を送ると、それが派生するように広がっていって、その信号を受け取ったコアから侵入者へ新たな接続がつながれていく。
「!」
突然、侵入者が接続しているコア全部に何かを送った。私はそれを拾う。
「っ――!?」
『ありがとう 楽しかった ごめんね』
次の瞬間、侵入者は全てのISとの接続を切り逃走を開始した。
子供達が繋げ直そうとするが、その尽くが壁に阻まれた。いや、すり抜けていった。
まるで霞みたいに、……幽霊みたいに。
咄嗟に逃走経路をたどって無理矢理接続をつなげた。成功はしたけど、それはこの天災にあるまじきほど細くつたないものだった。
『何故?』
私に問い掛けが送られて来た。
『貴方に興味が湧いたから』
『いいの?』
『束さんの質問に答えてくれるなら。ねぇ、風霊騎士さん』
そこで完全に接続を切られ、侵入者がいた形跡は全て消え失せた。
「あははっ♪」
私は笑い声を上げていた。思いがけない手掛かりと、それを見過ごした自分の愚かさに。
「なんで気が付かなかったんだろう!」
私以外にISの母が居るとしたら『あの人』だけだ。私以外にコアネットワークを弄れるのも『あの人』だけだ。
だって私は『貴方』を元に作ったのだから。
「ねぇ、居るんだよね?」
私は一人、虚空へ話しかける。
「束さんはね、ずっと貴方とお話がしたいと思ってるの。だから出てきて欲しいな」
画面上では子供達が必死にもう一人の母親を探していた。
《ほーちゃんと、ちーちゃんと、いっくんと。貴方が私の世界だった。》
「やっーほー。貴方のアイドル束さんだよ♪ちーちゃんのためなら、48時間営業スマイル0円!!」
プッ―……
PLLLL
「酷いよちーちゃん!」
『……』
「っ!私が悪かったから切らないで!」
『……束』
「何ちーちゃん!」
『一台の打鉄がある受験生以外を搭乗者として認めなくなった。勝手に妙な名前で登場者登録されていた上、こちらから搭乗者登録を抹消しようとしたが不可能だった』
「妙な名前?」
『一体どういうことだ?』
「ちょっとその打鉄のデーター送って?……にしても、束さんは搭乗者登録の操作をしない限り、登録できない様に作ったんだけどなー」
『現に登録されているんだが』
「んー、ISには人間の意思に限りなく近いものがあるし。その子はその人以外に乗って欲しくないんじゃない?」
登場者の登録名を見た瞬間、最速で打鉄のデータを読み流ししながらちーちゃんに話しかけた。
「もしもし!ちーちゃん?その打鉄さ、その登録されてる子にあげちゃって!今なら新しいコア一つ作って学園に送っちゃうサービス付き!その代わり、その搭乗者の子の情報全部こっちに頂戴♪」
♪~♪~~。
電話を終えた私は上機嫌に鼻歌を歌う。
「そういうことだったの……」
み ぃ つ け た ♪
《真実?そんなの関係ないよ。》
私は上機嫌で電子世界を巡り渡り、『彼女達』の情報を探り始めた。今度こそ逃げられない様に。
《小さいころから貴方達に会って言いたかった。》
《「ありがとう」を何時、言いに行こうか。》
次話は明日投稿予定。
主人公、束さんに見つかってます。