「貴方がカミーユビダン君ね?」   作:クソザコぎつね

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ワルツ・アタック 弐

「先の戦闘によって第三新東京市の迎撃システムは大損害を受け、現在での復旧率は26%。使い物にならないと考えていいわ」

 

非常召集から一時間程経った後、カミーユとアスカはエヴァ2機による降下作戦の指示を受け現在コクピットにて待機している。

敵はまだ上陸して来ていない為、水際においての波状作戦が採用された。

レイは零号機が改修中な為、留守番である。

 

「せっかく日本でのデビュー戦だってのに、どうして私一人に任せてくれないの?」

 

「仕方ないだろ、作戦なんだから」

 

「言っとくけど、足手まといな事はしないでね?」

 

「俺だって一通りのことは出来る。馬鹿にしないでくれ」

 

「そう?んじゃとくと拝見させてもらうわ」

 

カミーユは何か言いたそうな様子だったが、アスカはその前に通信を切ってしまった。もし通信越しでなかったら今頃殴り合っているだろう。

 

「整備の腕は確かだけど、パイロットとしてはどうかしら」

 

一人呟くと、コクピット内に少し背中側から振動が伝わってきた。肩部ウェポンラックのロックボルトが外され、40m程ある巨体が地面へと落下していく。

背中と脚部に設置されたスラスターを吹かし、着地の衝撃を和らげる。

作戦地域に着いた後、アンビリカルケーブルが接続され作戦は開始された。

今回の作戦にあたって、初号機にはビームライフルが支給される。尚弐号機においては前回の海での戦闘の後改修が行われた為、今回は試運転に近い状態だ。運動性能がいくら向上したかを計測する為、ビームサーベル一本での戦いとなる。

 

「来る!」

 

上陸予定時刻になると、海面から大きな影が姿を現した。その巨体は今までより人らしい姿をしているがヒトデの様な面影も感じさせる。

顔らしき場所には二つの仮面が入り混じった様な器官が見受けられる。

 

「私からいくわ、援護してね!」

 

「は?」

 

「レディファーストよ」

 

「後から来たくせに指図しないでくれ!まったく!」

 

カミーユの文句虚しくアスカは一人突っ込んで行ってしまった。

初号機がビームライフルのトリガーを押すと、瞬く間に光の奔流が使徒の腕にあたる器官を吹き飛ばした。

次にコアへと狙いを定めた後、二撃目。

再び光の蛇が使徒目掛け牙をむくがコアにはヒビを入れるだけしかダメージを与える事が出来なかった。だが本命はそこじゃない。

 

「ぬあぁぁぁああああ‼︎」

 

海面に突出した廃ビルを踏み台に、弐号機は跳躍した後その光の剣で上から下へと相手を真っ二つにした。

 

(おかしい…あの使徒にはまだなにかある筈だ)

 

カミーユは少し訝しむ目で二つにお別れした巨体を見る。

 

「いい?戦いは常に無駄なく、美しく、よ」

 

勝ち誇った顔でアスカが自信満々に言うが、当の被害者はその発言を許さなかった。

二つになった巨体の右側に着いていた仮面に似た器官が入れ替わり、もう片方の残骸にも同じような器官が瞼を開ける様にして現れた。

その後二つの残骸を突き破り、生物が脱皮する様に現れたのはもう一体の同型の使徒。

 

第七使徒 イスラフェル。つまり、こいつは分裂したのだ。

 

「なんてインチキ!」

 

これには作戦を指示したミサトも目が点になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦いを終えた二人のチルドレンの前にスライドが流れる。それは文字通り真っ逆さまに地面に突き刺さった二機のエヴァだった。

 

『無様ね』

 

無線越しにE計画責任者であるリツコからの一言が添えられた。

 

「もう!アンタの所為でせっかくのデビュー戦が滅茶苦茶になっちゃったじゃない!」

 

「なんだと⁉︎アスカが勝手な真似しただけだろ!」

 

「勝手な真似ぇ⁉︎どうしてアンタがそんな事言えるのよ!図々しいわね」

 

「お前が一人で無闇に突っ込むからだろ!そんな事も分からないのか!」

 

最初は言い合いで済んでいたが、段々とエスカレートし殴り合いへと発展していくその様子はもうNERV職員にとって日常茶飯事であった。

 

「まったく恥をかかせおって」

 

NERV 1の苦労人である冬月もこの結果には眉を顰める。二機のエヴァが沈黙した後国連軍によるN2爆雷で使徒への攻撃が行われたが結局は足止めに過ぎなかった。

構成物質の82%を焼き払う事に成功するものの、肝心のコアは無傷。

 

「ま、立て直しの時間が稼げただけでも儲け物っすよ」

 

尚今回の報告には加持も出席していた。どうやら出向の指令が来た様で日本支部でしばらく滞在するらしい。

そんな事お構い無しに殴り合う二人へ、元教師でもある冬月は少し叱る事にした。

 

「いいか君達。二人の仕事は何か分かるか?」

 

途端に殴り合いを止める二人。二人も冬月先生の話はは真剣に聞くべきだと思った。

 

「エヴァの操縦」

 

「民間人を守る事」

 

「違う、使徒に勝つ事だ。こんな醜態を晒す為に我々NERVは存在しているわけではない。その為には君達が…」

 

「「なんでこんな奴と‼︎」」

 

「もういい…」

 

頭を抱えながら冬月は一人、部屋を後にした。

 

「どうしてみんなすぐに怒るの⁉︎」

 

「大人は恥をかきたくないからさ」

 

「ところで、ミサトさんはどこです?」

 

「ああ、ミサトなら後片付け。責任者は責任取る為に居るからな」

 

その通りミサトの目の前には山積みになった紙の山が机中に置かれていた。なんならいくつかはみ出している。

 

「関係各所からの抗議文と被害報告書。でこれがUNからの請求書。広報部からの苦情もあるわよ」

 

「はぁあ〜」

 

余りにも多すぎる量にミサトは頭を抱えた。

 

「今回の件で副司令はカンカンよ。次ヘマしたらそれこそ左遷ね」

 

「分かってるわよ、でも碇司令が出張してたのは不幸中の幸いだったわね」

 

椅子に腰掛けたミサトは皮肉気味にゲンドウのポーズを取った。リツコが、少し笑みをこぼすと白衣のポケットから一つのカセットテープを取り出した。

 

「何それ?」

 

「貴方の首の皮をつなげておくものよ」

 

その言葉を聞くとミサトの顔がぱぁっと明るくなる。

 

「さっすが天下のリツコ博士!持つべき物は心優しき旧友ね♪」

 

「残念ながらピンチを救うのは旧友じゃないわ。このアイデアは加持くんよ」

 

リツコがテープをひっくり返すとそこには、マイハニーへ♡と書いてある。

 

「加持の…」

 

ミサトはまた頭を抱え、苦い顔をした。どうやら何か思う事がありそうだ。何にせよ一週間の内に使徒を倒さなくてはならないのだ。選んではいられない。

 




弐号機について

今作での弐号機は日本支部での改修を受け、性能と見た目が大きく変わっています。
見た目においては、弐号機の後ろに百式のバインダーと似た物が付いている様な感じです。
性能についてですが、アスカの要望により運動性能を極限まで高めています。

それでは感想やご指摘、質問等お願いします。

エンディング

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