「貴方がカミーユビダン君ね?」   作:クソザコぎつね

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原作だと多分これが一番明るい回だと思います。


ワルツ・アタック 参

「何だこれ」

 

学校も無事終わり、家に着いたカミーユが自室の部屋を開けると目の前には大量の段ボールが山積みになっていた。

足の踏みどころもない程敷き詰められた段ボールを凝視していると、キッチンから風呂上がりであろう格好のアスカが出てきた。

 

「失礼ね、私の荷物よ」

 

手に持った缶コーラをグイッと飲み干し、アスカは続けた。

 

「アンタこそまだいたの?」

 

「まだ?どう言う事だ」

 

「アンタ、今日からお払い箱よ」

 

その発言にカミーユは首を傾げるしか無かった。目の前の少女が言っている事を整理しようとするものの、いまいちクビになる要素が見当たらない。

 

「ミサトは私と暮らすの。まぁ、どっちが優秀か考えれば当然の選択よね。本当は加持さんと一緒の方がいいんだけど」

 

「優秀?お前が俺よりも?笑わせないでくれ」

 

アスカも部屋を見回すと、段ボールの山を見て不満そうに口を溢した。

 

「しっかし、どうして日本の部屋はこうも狭いのかしら。荷物が半分も入らないじゃない」

 

クレームを並べるアスカの後ろに目を凝らすと、自分の部屋にあった機材一式諸々が部屋の片隅に寂しそうにほったらかされていた。

思わず近寄って見てみると、幸いにも傷はない様だ。だがカミーユの拳は怒りで震えている。

 

「貴様!優秀だからってなんでもして良いと思っているのか!」

 

思わず振りかぶった拳がアスカの綺麗な顔面にクリーンヒット。空手の有段者からのパンチを貰ったんだ、アザになる事間違い無し。

 

「何よいきなり!精々アンタはそこのスクラップ共と一緒に一人部屋でうずくまってるのがお似合いよ!」

 

アスカもお返しとばかりにカミーユの頬にビンタをかます。パァンと威勢のいい音と共にカミーユの頬には真っ赤な紅葉が。

 

「こら!何やってるのアンタ達は!」

 

いつの間に居たのか、ミサトは今にもおっぱじめようとする二人の腕を取りあげた。

お仕置きとばかりに二人ともゲンコツを貰った。

 

「「ミサト(さん)…」」

 

「この調子じゃちょっち心配ね…」

 

「「何が(ですか)?」」

 

「今度の作戦準備よ」

 

「「どうして?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「第七使徒の弱点は一つ!」

 

資料をぶちまけたテーブルの上に一口飲んだビール缶を置くと、部屋着に着替えたミサトは作戦概要を説明し始めた。

 

「分離した二つのコアに対しての二点同時の加重攻撃。これしか無いわ」

 

それを聞く二人のチルドレンは目をパチクリさせる。

 

「つまり、エヴァ二体のタイミングを完璧に合わせた攻撃よ。その為には二人の協調。完璧なユニゾンが必要なの」

 

二人のチルドレンは互いの顔を見ると、同じ表情をした。

 

「そこで、貴方達にはこれから一緒に暮らしてもらうわ」

 

これには二人とも驚いた。なにせよすこぶる相性が悪いのだ。誰だ、この作戦考えた奴。

 

「使徒は現在修復中。第二波は6日後で時間がないの」

 

「そんな…無茶な」

 

「で?どうするんですか。こんなのと協調とかそれこそo9システムですよ」

 

「方法ならあるわ。二人の完璧なユニゾンをモノにする為、この曲に合わせた攻撃パターンを覚えるのよ」

 

そう言ってミサトが取り出したのは一つのカセットテープだった。

 

「6日の内に、1秒でも早くね」

 

二人とも先程同様顔を見合わせるが、すぐにそっぽ向いてしまった。

 

(加持…本当に大丈夫なんでしょうね?)

 

ミサトも内心では苦い顔をするしか無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかし、カミーユの奴どないしたんやろ」

 

「学校休んでもう3日か…」

 

トウジとケンスケは、急に学校に来なくなったカミーユを心配してミサトのマンションへと向かっていた。

目的の階に着いたエレベーターから出ると、同じく隣から出てきたヒカリと出くわした。

 

「あれ?委員長やんか」

 

「三馬鹿トリオの二人?」

 

「なんで委員長がここにおるんや」

 

「惣流さんのお見舞い。そっちは?」

 

「カミーユ君のお見舞い」

 

歩いて行くと、三人共同じ部屋で止まってしまった。何か悪い予感がしながら恐る恐るインターホンを鳴らすと、アスカとカミーユの返事が聞こえ、ドアが開かれる。

ドアから出て来たのは色違いではあるが同じ服装に身を包んだアスカとカミーユだった。

 

「う…裏切り者…」

 

「またしても今時ペアルック…。イヤーンな感じ」

 

三人共顔を顰めた。

二人がなんとか誤解を解こうとすると、ちょうど良くミサトが綾波を連れて帰って来た。

取り敢えずは三人を招き入れ、話をすることにした。

 

 

 

 

 

 

リビングに招かれた三人は二人に合っているとは思えない作戦に思わず笑ってしまった。

 

「で、ユニゾンは上手くいってるんですか?」

 

結果は何となく分かるが、念の為ヒカリはミサトに聞いた。

 

「それは見ての通りよ」

 

全員が視線を二人に向けると…まぁ結果はお察しの通りだ。因みに何で練習してるかだが、リズムに合わせて地面の丸を押す…まぁツイスターゲームの亜種みたいなものだ。詳しくは見てくれ。

基本部屋でパソコンをいじっているカミーユだが、運動神経は人並み以上な筈だ。一応アスカの動きに付いてはいけるはずだろうが、やはり合わない。

何度やってもすぐ失敗するんで、アスカは怒りのあまりヘッドホンを地面に叩きつけた。

 

「当たり前じゃない!根本的にカミーユと合わせるのが無理な話なのよ!」

 

「じゃあやめとく?」

 

ミサトはジト目で質問した。

 

「他に人、いないんでしょ?」

 

アスカは高らかに言うが、それは目の前の少女を見てから言ってほしいものだ。

 

「レイ。やってみて」

 

「はい」

 

恐らくはこの為に呼んだんだろう。ヘッドホンをつけ最初からスタートするが、圧倒的にこっちの方が向いているだろう。寸分の違いも無く二人はゲームを終えてしまった。

綾波が合わせているのか、カミーユが自然と合わせる事が出来ているのか、どっちにしろパーフェクトだ。思わず三人は拍手するものの、アスカは自分以外に適している人物がいると知り、動揺する。

 

「こりゃ、変えた方がいいかもしれないわね」

 

ミサトが意地悪そうに言った。

 

「もうイヤ!」

 

扉を強く開いたアスカは足音を鳴らしながら何処かへと行ってしまった。どこか心の隅で自分が要らないと感じてしまったのだろう。

 

「カミーユ君!追いかけて!」

 

「は?」

 

「女の子泣かせたのよ⁉︎責任取りなさいよ!」

 

ヒカリの訴えにカミーユは内心自分に関係ないだろと思いつつ、アスカの跡を追う事にした。

 

 

 

何となく直感の赴くままコンビニに入ると、飲み物コーナーでしゃがんで品定めするアスカが居た。

いや、見ているのは飲み物ではなくもっと別の何かだろう。それは自分か、それとも周りの人の事か。

 

「何も言わないで」

 

話しかけようとするも、そう言われては何も出来ない。だがカミーユも少しはアスカの考えている事は分かっているつもりだ。

 

「分かってるわ、私はエヴァに乗るしかないのよ。」

 

気持ちに整理がついたのか、アスカは立ち上がった。

 

「やるわ、私」

 

そう言って、アスカは扉を閉めた。

 

 

 

 

 

 

「こうなったら、何としてでもレイやミサトを見返してやるのよ!」

 

コンビニで買い物をした後、二人は高台に来ていた。前に来た所と一緒だ、ここからは夕焼けがよく見える。どこぞの宇宙人が風情を感じる程に。

 

「見返す…か」

 

「甘い事は言ってらんないわ!傷つけられたプライドは倍返しするのよ!」

 

サンドイッチを頬張りながら語るアスカの目には闘志が満ちていた。その炎に、カミーユは少し好感を持つ。

 

「その気持ちだけは同じだな」

 

 

 

 

 

 

それからは二人の暮らしは一層激しさを増していった。

ゲームでミスする事が有れば互いに蹴り合い、歯磨きの後に互いを睨みつけ、テレビのチャンネルを譲らない為に互いに手を引っ叩いたり、寝るのも一緒で、食べる動きも互いに同じ。

彼らは究極のユニゾンを目指した。そこに恥など無い、あるのは目標へと向かう意志だ。二人ともそこは同じだった。

日にちは過ぎ、遂に作戦前日も終わりを迎えた。

 

カミーユは風呂も終わり、リビングで一人布団の上で手持ちのS-DATの音楽をリピートしていた。

 

「アレ、ミサトは?」

 

今風呂から上がったばかりのアスカは、時間を過ぎても帰ってこないミサトが気になった。

 

「仕事だ。今夜は徹夜だってさっき電話が来たぞ」

 

「それじゃあ今夜は二人きりね♪」

 

そう言うと、アスカはもう一つの布団を抱え、向かいの部屋へと持っていった。

向かいの部屋で寝るつもりなんだろう。

先程布団を持っていった時に閉めた扉を開け、アスカは顔を覗かせる。

 

「これは決して崩れることの無いジェリコの壁」

 

「ベルリンの壁?」

 

「ジェリコよジェリコ!この壁をちょっとでも超えたら死刑よ。子供はさっさと寝なさい!」

 

まるで母親の様に言うと、アスカは扉をピシャリと閉めた。自分にも母親がいたらあんな感じだったのだろうかと、カミーユは内心想像した。自分の母は実験の途中、事故で死んだのだと昔父さんが言っていたのを思い出した。

だがすぐに父さんは自分を捨て、自分に残ったのは今手に持っているS -DATだけだった。

それからは父さんを憎み続けた。何故親をやってくれなかったのだろうと。そんな事が何年も続いたあの日、手紙が来た。それからは…

 

ピシャリと音がした。思わずS-DATの電源を切ってしまう。

背を向けていて分からないがアスカだろう。足音をヒタヒタ聞こえる。トイレに向かっていったようだ。

閉じていた目を開け、時計を見るともう11時だ。早く寝ないとなと思い、再度目を閉じる事にした。

 

だがすぐ目の前で倒れる音が聞こえる。何事かと思い目をまた開けると、そこにはアスカが居た。驚いて今度はS-DATを逆再生にしてしまう。

寝ぼけて部屋を間違えたのだろうか。近くで見るとその整った顔がよく分かる。

彼女もシャツ一枚しか上に来ていない為、中学生とは思えない豊満なバストが露わになっている。

 

「マ…マ…」

 

寝言だろう。鈴の鳴るような声で呟くのが聞こえる。閉じた瞼からは少し涙が流れているのが見えた。

カミーユは少し、彼女への考え方を変える事にする。

彼女はどんな過去を過ごして来たのか。彼女の幼い姿にカミーユは思うところがあった。

 

カミーユはそのまま何もする事なく瞳を閉じた。一人じゃないと誰かに言い聞かせる様に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

作戦当日

 

再生を終えた第七使徒はVTOLに囲まれる中、本部目指して俄然進行中だった。

 

「音楽開始と同時にATフィールドを展開。後は作戦通りに、二人ともいいわね?」

 

「「了解」」

 

「カミーユ、最初からフル稼働、最大戦速で行くわよ。」

 

「分かってるさ、62秒で終わらせる」

 

外部電源が解除され、リフトオフ。作戦は開始された。

 

地下という檻から抜け出し、鳥の様に空は浮かぶ二機のエヴァ。

 

回転と勢いを乗せた槍。

 

分裂させた使徒へむけてのビームライフルとガトリングガンを用いた弾幕の嵐。

 

テンポに合わせたバク転で次々と攻撃をかわす二機のエヴァ。

 

最後の攻撃はビルを盾にし、すかさず相手への弾幕を張り続ける。

 

NERVの全施設からミサイルが放たれ、使徒が隙を見せると、チャンスとばかりにアッパー、からの回し蹴り。

 

狙い通り使徒は融合し、コアは二つ。

 

全身とスラスターを使った跳躍。

 

太陽を背にした二機のエヴァは二つのコアへと全体重と力学的エネルギーを乗せ、意志を持って山へと押し出して行く。

 

その作戦名はワルツ・アタック。

 

美しく鮮やかな踊りは、使徒の爆発にてここに幕を下ろしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あちゃー」

 

「無様ね」

 

…オチは美しいとは言えなかった。モニターに映し出されたのは踊りを終えたダンサーではなく、互いにぶつかったような倒れ方をした二機のエヴァだった。

 

ズームアップすると、電話越しに喧嘩する二人が見える。結局はこうなった。

思わず司令部は笑いに包まれた。

 

「また恥をかかせおって…」

 

冬月は頭を抱えながら、自分の胃が限界に近づくのを自覚した。

 




62秒について

JAの時フル稼働で10分と書いたのは覚えていますか?
この作戦はなぜ62秒で終わらせたのかというと、設定的な感じで言うなら、曲の時間が62秒しか無いからそれに合わせる為とかそういう理由です。チャンスは一瞬なので緊張感を持たせるためでもありますね。

まぁメタ的に言うならこの小説プロット云々全く無しなので私のミスです。よく考えずに書くもんじゃねぇわ。
あと言っておくと、大体の流れは決まってます。まごころを君にまで書くのでお楽しみを。
こんなペースじゃ夏に終わらねえよ。

カミーユの隣でアスカが寝る場面あるじゃないですか。悩みました。でもみんなに笑顔にさせたいんで、解釈違いでも許してくださいな。

では感想ご指摘お願いします!

エンディング

  • バッドエンド
  • ビターエンド
  • ハッピーエンド
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